ALO──アルヴヘイム・オンラインなる新たなMMORPGが発売された。
明日奈のところのレクトが出した新作で、ザ・シードを基盤とした大規模なゲームである。
やらないという選択肢はないので、早速プレイすることに。
これの発売に合わせて、ナーヴギアも次世代機のアミュスフィアが発売されているが、変わらずナーヴギアを着けてログインを行う。
「リンクスタート」
さてと、まだアッシュの名前は使えるかな。
使えそうだ。じゃあアッシュにして。
それから種族の選択だ。
アルヴヘイム・オンラインは、ソードアート・オンラインに対抗するためか、バッチリと魔法が存在するファンタジーな世界観のゲームだ。
プレイヤーは妖精となり、剣だけでなく魔法を唱え、なんとビックリ空まで飛べるという驚きのゲーム性だ。
モンスターが空飛ぶならまだしも、プレイヤーに飛行させるとは、なかなかすごいことを始めたな。
それでその妖精は、九種類の種族があり、そこから一つ選ぶことになる。
初期設定画面の簡易説明を読む限りでは、個人的にはシルフが気になるな。
種族ごとに特性が異なるようだが、シルフの種族特性は風属性の魔法と、飛行速度が速いことらしい。
せっかくだから飛行性能が高いこいつにする。
で、アバターなのだが、こちらは最近ソードアート・オンラインでも採用した方式が採られている。
経緯としては、現実とはかけ離れた姿形のアバターを長時間使用していると、現実での身体操作が覚束なくなる、という考えてみれば当たり前の問題が発覚したのである。
てなわけで、アバター作成は無制限から、現実の肉体を元に問題ない範囲でいじれる方式になった。
大雑把に言えば、現実の身長からプラマイ十センチ程度の範囲内でアバターを作ることになる。
そのうえで種族ごとに外見の特徴があるから、そこも縛られてしまうようだ。
シルフの場合は、緑系の色合いから大きく離れることは出来ないらしい。
まああんまネタに振った見た目にする気もないから、適当にそれっぽいものを用意してログインする。
■◆■
「おお〜」
石と鉄の城であるアインクラッドとは違う、自然的な街だ。
種族ごとに国があって、そこから始まるそうなのだが、なんというかエルフの森って感じ。
これどっかのクエストで火、点けられたりしないかな。
「飛行飛行〜」
軽く街の様子を眺めてから、ヘルプを開いて飛行方法を調べる。
どうやら操作方法は二通りあるようで、コントローラーを握って操作するか、背中の羽根を自力で動かすかだ。
羽根を動かす……?
ちょっとよくわからなかったので、コントローラーを使っての飛行から試してみる。
「これは、操作もわかりやすくていいな」
片手が塞がるのだけはいただけないが、それは仕方ない。
適当なところに着地する。
もう一度メニューを開いて、今度はマニュアル操作に切り替え。
今飛んだ時の感覚が背中にある。
この……なんか生えてる羽根を身体の一部のように動かす感じで。
「お、おお?」
コントローラー操作の時には、動かされているような感覚のあった羽根を、自らの意思で羽ばたかせる。
ぐっと身体が持ち上がり、地面から足が離れた。
「すげぇ、これは爽快だ……」
重力を振り切って、思うがままに飛ぶ。空が飛べるって、こんなに楽しいものなのか。感動だ。
さて。どうやって曲がるんだ。
わからないまま直上して、飛行制限に当たってようやく停止した。
■◆■
「いやぁ、楽しかったよ。マジでね」
明日奈からアルヴヘイム・オンラインの感想を求められたので、そう回答する。
「明日奈もやりゃあよかったのに。残念だなぁ」
「母さんがゲームばかりしてちゃダメだって」
「自社製品だろ」
なにを言ってるんだ、あの人は。
ゲーム作ってる会社の社長夫人が、思っててもゲーム批判を口に出すなよ。
「で。たぶんアンケート代わりに聞いてこい、みたいなとこだと思うけど」
「ええ、そんなところ」
「明日奈にやらせりゃいいのに」
「まだ慣れてないから、建設的な意見をあまり出せないのよ」
「出せるようになるためにも必要だと思うが、まあいいか。……んー、まあ楽しかったよ。初日だけど、空飛べるってのはすごい差別化点だ。思ってたよりもずっと楽しかった」
「へー。彰くんがそんな風に言うなんて。よっぽど楽しかったのね。私ももう少し母さんに頼んでみようかな」
「ああ。他社製品をこき下ろすわけにもいかないしな」
「ええと。そんなひどかったの?」
「いや? 面白いと思うよ。ザ・シードにはプレイヤーを飛行させるプログラムなんてないから、あれはレクトで作ったんだろ。誰かは知らないが、すごい人もいたもんだ」
体感、基本的なシステムはやはりザ・シード上で作られている。
そのうえでしっかりと別のゲームであると思えるし、間違いなくこれも神ゲーだ。ただ。
「ただ、うーん、他社だしな。言っていいもんか」
「とりあえず言ってみて」
「そう? なら遠慮なく。リアルとかけ離れたアバターを長時間使用する悪影響が、と最近話題になってたじゃん」
「そうね?」
「羽根付きの妖精アバターは悪影響ないのか?」
「あー、うん、どうだろう」
まあ。検証くらいしてるだろう。
たぶん。
原作では言及ないため不明
まあ多分無いでしょう