どうも明日奈も許可を得たみたいで、本日初ログイン。
事前にユーザー名は教えていたので、しばらくゲーム内で待っていると、彼女からフレンド申請が来る。
もちろんすぐに承認。追跡機能をオンにすると、ウンディーネを選んだようで、そちらの初期地点にいるようだった。
さてと。
「で、これ、どうやって合流するんだ?」
メインはソードアート・オンラインだし、ここ数日のプレイも近隣で飛び回りながらたまにモンスターに魔法ぶち込んでたくらいだから、知識がない。
システムが同系統ならフレンドのとこにワープとかはないだろうし、ちょっと調べるか。
■◆■
ネットで調べた情報をまとめて、アスナにメッセージを送る。
他種族との合流に、一番都合がいいのは、マップの中央にある街、アルンだとか。
『アルンってとこまで来れる? ワールドのちょうど真ん中』
『飛ぶ練習しながら行ってみる』
……なんでMMOで、こんなフレンドと遊びづらい仕様なんだ。アルンが初期地でいいだろ。
フレンドと協力プレイ、ってやるなら同種族を推奨ってか。種族ごとに特性が違うのに。
さっそく作り直せというのもあれだし、仕方ない。アルンまで飛んでいくか。
「もしも~し、どなたかアルン目指してる人います? 一緒に行きませんか~」
大通りで同じ目的のプレイヤーを何人か集めて、出発することにした。
すでに到達済みのプレイヤーが快く道案内を買って出てくれたので、感謝してついていくことにする。
十人そこらの集団が、羽根を広げて、舞い上がった。
全員が全員、マニュアル操作で飛べるわけではなかったので、コントローラー操作の人達に合わせて飛んでいく形になる。
「ちなみにどんくらいかかるんだ」
「数時間は覚悟しておけ」
「……先に飛んでっていいか」
「道がわかるんならな」
なんで開始早々こんな面倒なことをしなくちゃいけないんだ。
シルフ領の首都スイルベーンを出て、森の上をまっすぐと飛んでいく。
眼下を緑が高速で流れていく。
あー、やっぱこれだけでだいぶ楽しいわ。
この飛行するって要素だけのゲームでも十分売れるだろ。なんてぼやーっと考えながら、ついていっていると。
「上昇しろ!」
と、鋭い声の指示が出て、すぐさま飛び上がる。
もちろん全員間に合うわけもなく、何人かは、急に飛んできた炎魔法に被弾した。
危ない危ない。VRMMOで油断はよくないな。
ん? あれ。
「モンスターじゃなくてプレイヤー? PK?」
「そうだ! 気を付けろよ!」
この、妖精になって空が飛べます、って看板でPKが許されてるんだ、このゲーム。
ともあれPK集団、見たところ赤いからサラマンダー達は再び魔法の詠唱に入ったようで、アバターの周囲を光の文字が舞い始める。
戦闘なら配慮はいらないし、俺は最高速度で突撃。詠唱の終わった魔法が放たれる。
「よ、ほっ」
「はぁ!?」
魔法は多少の追尾性能があるが、勢いよく上下に振って回避。
再び急上昇しながら、まずは一人目の腕を斬る。
そのまま速度を落とさずに通り抜けて、彼らの周囲を旋回しながら、少しずつ削っていく。
少しして、最後の一人までポリゴンになって砕けた。
「雑魚が。一昨日きやがれ」
「お、おお。アンタ強いんだな」
「どんなもんよ」
簡単、簡単!
「それにしても、ここはPK可能エリアだったのか。もっと安全なルートはないのか?」
「街の外は基本どこもPK可能エリアだぞ」
「なんでだよ」
どうして妖精になって空が飛べるゲームで、そんな殺伐としてるんだ。ターゲティングずれてるって。
ただ空が飛びたいだけのライトユーザーがやめちゃうだろ。
「なんでって、そりゃまあアルヴヘイム・オンラインはPK推奨ゲームだからな」
「マジか」
なんでこう、ソードアート・オンラインといいターゲット層に合致しない要素を入れたがるんだろう。
それからまたしばらく移動を続け、ちらほらと現れる敵をぶちのめしつつ、かなりの時間をかけてようやくアルンにたどり着く。
移動中にメッセージが来ていたが、既にアスナはログアウトしたらしい。
「はぁ〜。まったく」
そりゃそうだ。
ゲームは一日一時間、なんてノリでやってたら、生活するだけでも果てしないな。
■◆■
次一緒に遊ぶときは、俺の方もアルンからウンディーネ領に向けて迎えに行く、という約束を立て、それはそれとしてアルヴヘイム・オンラインについて調べることにした。
人気もあるのだろう、そこそこ攻略サイトは充実してきていたので、初心者向けページを見てみる。
「あ、マジでPK推奨のPVPゲームなんだ」
アルヴヘイム・オンラインはキャラレベルが存在せず、各種スキルレベルだけが、スキルを使い込むごとに上がっていくというシステムのゲームだ。
俺はてっきりこれを、気兼ねなくスローライフしてくれ、みたいな意図だと思っていたのだが、どうやらPS上げて殴り合え、が正しかったらしい。
「……ひねくれ者が作ったんだろうなぁ……」
取っつきにくいゲームになってんなぁ。