真面目にゲーム作ってもらえます?   作:アウグスティン

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茅場さんて仕事頑張ってるんだな

 うばぁー、と机に突っ伏していた。

 あーダルすぎ。

 

「ぅあああ」

「よしよーし」

 

 変なうめき声をあげていると、ストレアに頭を撫でられた。

 なんだか安らいでくる。そうか、ここがVRキャバクラ。

 行ったことないけど。

 

「うう、ママー」

「ママじゃないよ」

「公衆の面前でなにやってんだ、おめぇよぉ」

 

 ソードアート・オンライン内でなにもせずだらだらしていると、偶然通りがかったクラインに声をかけられた。

 

「よぉ、クライン」

「おう。どうした? ずいぶんお疲れみてーじゃねーか」

「いやなに、社会人って大変だなと」

「お。なんだ就職したのか? それなら教えてくれりゃあお祝いしたってのによ」

「そん時はお願いするが、まだもう少しの間は学生でね」

「じゃあアルバイトしてみたってとこか」

「まあ、そんなとこかな」

 

 いやあ、まさか茅場さんに仕事頑張ってるんだな。みたいな感想を抱く日が来るとはね。

 毎日働いてる社会人って、みんな立派だよ。ほんと。

 

「なに始めたんだ? コンビニバイトとかか?」

「あー、ちょい待ち。どこまでなら守秘義務違反にならねーかな」

「ほんとになにやってんだ」

 

 でもよくよく考えてみれば、正式な書面を交わしたのは後半だけか。

 前半部分は、まあいいだろう。

 

「最初っから説明するとだな、ザ・シードってあるだろ? VRゲームツクールの」

「アーガスが配ってたやつだよな」

「そそ。あれを使ってだな、VR空間で動かすCADを作ったんだよ」

「きゃど?」

「ええと、3Dプリンターでなにか作るってなったら設計図がいるのはなんとなくわかるだろ。こういうのを作るツールだと思ってくれ。これのVR版を作ったんだ」

「ほおー」

「で、まあ、これが面白そうってことで親が目つけてな。しっかり作りこむことになったんだよ。これがまあまあ大変でさあ」

「……ぜんぜん思ってたもんと違うが、ま、お疲れさん」

 

 VRでシミュレートするために、カメラやらスキャナーやらと連動させてどうこうと、専門的なところはぼんやりとしか把握できていないが、だいぶ別物になった。

 後半部分、茅場さんの恋人の神代さんにたまたま会ってからのことは、黙っておくか。

 こっちはしっかり守秘義務契約を交わしたからな。

 

「まあそんなわけで、ちょっと仕事みたいなことをしてたわけよ」

「へえ。じゃあ今日はゆっくりしとくか」

「お、なんかやる予定あんの? 行く行く」

 

 せっかくのゲームなんだから遊ばないとな。

 

 ■◆■

 

「釣り、ねぇ」

「おうよ。やったことあるか?」

 

 クラインに連れられてやってきたのは、街外れの湖畔だった。

 のどかな水面に、ぽつぽつと釣り糸を垂らすプレイヤーの姿が見える。

 

「ガキの頃に何度かな」

「今もガキだろ?」

「くっそ、就職したって言っとくべきだったな」

 

 釣りスポット周りに配置されていた釣具屋で、釣り竿と餌を調達する。

 釣りスキルをセットして湖畔に腰を下ろす。

 クラインは慣れた手つきで仕掛けを整え、糸を垂らした。

 

「慣れてんのか?」

「まあな。おっと、どうやら今回ばかりは俺様が先達みてーだな」

「ああ。よろしく頼むぜ先輩。で、なにが釣れるんだ、これ」

 

 さすがに釣り針に餌をつけるのを事細かにやらされることはなく、アイテムを選択するだけでくっついたので、そのまま同じように湖に糸を垂らす。

 

「ちっこい魚がメインだな。たぶん淡水魚なんじゃねーか? たまにレアなのも出るって噂だ」

「海水魚がいねーよ、アインクラッドには海ねーんだから」

「もっと上の層にねーのかね、海」

「さあ?」

 

 俺も別に、百層まで全ての層がどうなってるのかなんて知らないからなぁ。

 適当に糸を垂らして、獲物がかかるのを待つ。

 特にやることもないので、水面を眺めながらぼんやりする。ぽえ〜。

 

「お〜い、引いてんぞ」

「わっ、とと」

 

 竿が引かれていたので、急いで巻き取る。

 

「あら」

「ちょっと早かったみてーだな。まだ魚が針にはかかってなかったらしい」

「浮きが沈んでるように見えたんだがなぁ」

「もっと素早くシュッと沈んだ時が引き上げる時なんだ。まあ、それも確実ってわけじゃねーんだけどな。めちゃくちゃ凝ってんだよなぁ、釣りスキル」

「ああ。社員に釣り好きがいたんだ」

「ま、そんなとこだろうな」

 

 ちなみに鍛冶スキルがやたらと凝ってるのは茅場さんの趣味だ。ソードアートなんて名前にしてるくらいだから、剣が好きで、剣を作る鍛冶にも興味があったんだろう。

 これ用の取材とデータ取りはめっちゃしっかりと行っていたような覚えがある。

 

「おっし来た。へっへ、今度は俺が手本ってもんを見せてやるぜ」

 

 そんなことを思い返していると、横でクラインの竿がしなる。

 しばらく魚との攻防が繰り広げられ、水面からついに獲物が引きずり出された。

 

「おお〜。……ちっちぇ」

「うるせぇ。釣果は釣果だっての」




ストレア「(生き餌を棒でツンツンしてる)」
クライン「なんか、おめーんとこのストレア、他のとこの子と比べても生き生きしてるっつーかなんつーか」
アッシュ「えー? あー。キリ番踏んで性能いいとかじゃね」
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