真面目にゲーム作ってもらえます?   作:アウグスティン

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ちょうどお気に入り数10000になる瞬間を見落としてしまった……

いつもありがとうございます!


オリジナルソードスキル

「なあ、すげー強いプレイヤーの噂を聞いたか?」

 

 と、キリトが言った。

 周年イベントから数ヶ月、季節は既に春である。

 一時はログイン率が落ちていたキリトも、こうして再び意気揚々とゲームの世界に来るようになっていた。

 

「どんなのだ?」

 

 しばらく離れ気味だったとはいえ、キリトの実力はなかなかのものである。

 そんなキリトが言い出した強いプレイヤーとは、いったいどんな人物なのだろうか。

 

「一周年の時にソードスキルを自作できる機能が追加されただろ?」

「オリジナルソードスキルか?」

 

 オリジナルソードスキル──OSSは、プレイヤーがソードスキルを自作できる新機能だ。

 システムアシストなしで、ソードスキルのような動きをすることで、スキルとして記録することができる機能である。

 ただ、実際問題、アシストなしで、既存のスキルとは被らない技を出すのはなかなか難しく、今のところそれほど実用的な新スキルは多くないらしい。

 

 俺もスピニングシールドをはじめとした、武器を回転させて防御する技を攻撃技に改良しようと試みたことがある。

 剣を回転させて連続攻撃するスキル、それをアニースピンみたいな名前で登録しようと頑張ったが、最終的には失敗した。

 

「どうも実用レベルでOSSを作ったプレイヤーらしい。実際見た方がいい、って言われてあんまり詳しく聞けてないんだ」

「へぇ。そりゃすごい」

「でだ。どうもPVPを受けてるらしいから、一緒に見に行かないか?」

「行く行く。ついでにもうちょい観客増やそうぜ。……あ、ミトいる。あいつ暇なのかな」

 

 ともあれ、そんなこんなで噂のプレイヤーを見に行くことになった。

 

 ■◆■

 

 運のいいことに、俺達が話題の人物のもとを訪れた時、ちょうど挑戦者が打倒された瞬間だった。

 いい感じに波が途切れていたので、キリトが乗り出す。

 

「次は俺が挑んでもいいか」

「もちろん、構わないよ」

 

 挑戦を二つ返事で受けたチャンピオン。

 ひゅー、かっこいい。休憩するほどの疲労もないと言わんばかりに、現れたキリトへ決闘の申請を送る。

 二人の剣士が広場で向かい合う。

 

 PVPなんて、かつては適当にソードスキルを打ち合うだけのものだった。

 だがプレイヤー数の増えた今、リアルの剣術のような高度な技術が要求されるものとなっている。

 決闘開始の合図が流れるものの、二人はソードスキルではなく通常技で切り結び始めた。

 

「ほう。やるな」

 

 一緒に見学していたミトが言う。

 確かにその通りだ。

 実際、恐ろしく強い。だがなぜだろう。その強さとは関係なく、胸がざわざわする。

 

 そしてついに、チャンピオンが真価を見せる。

 キリトの攻撃を剣でいなすと、彼が左手に持っていた十字盾がソードスキルの光を放つ。

 剣と盾、オーソドックスなスタイルながらも、完全に予想外。

 存在しないはずのシールドバッシュを、しかしてキリトはすさまじい反応速度で受け身を取る。

 

「し、信じられん。あの技は──!?」

「知っているのか、アッシュ!」

「うむ。あれは、ユニークスキルではなくレアスキルとしてなら実装していい、と提案したら茅場さんが没にしたスキル、神聖剣!」

 

 なぜここに。

 まさか勝手に実装したというのか!? 

 

 そして次々とチャンピオン──プレイヤー名ヒースクリフは、盾を絡めた怒涛の連続攻撃スキルを繰り出す。

 そこはかとなく見覚えのある。だが、どこか違うような。

 ……あ。

 

「まさか、OSSで? 全部リメイクしたのか??」

 

 てことはヒースクリフは、茅場さんだなこれ。

 もともと神聖剣含む、多くのソードスキルのモーション作成に関わっているし、こうしてOSSを作るのもお手のものだろう。

 どんだけ専用スキルが欲しかったんだ。

 

 とはいえ、ゲーム内ですべてのプレイヤーが利用できる機能を活用しているにすぎないのでノットギルティ。

 てかあれだ、OSSなら盾にも武器判定持たせられるんだ。

 スキルの作成難易度が高すぎるから、誰もできてなかっただけで、通常プレイでは行えないような戦闘スタイルも出来るのか。

 

 その後、すべての技がOSSという初見殺しもあり、決闘は見事にヒースクリフが勝利していた。

 

 デスしてポリゴン片になったキリトが、その辺にリポップする。

 

「っとと。負けちまったか。GG、あんたすごいな」

「君もかなりやるようだ」

 

 和やかに健闘をたたえ合う二人。さて、巻き込まれないうちに逃げちまうか。

 

「さて。他に挑戦者がいるかね。アッシュくんもどうかな」

「……えー。いや、構わないですけど、ヒースクリフさん」

「私に勝てれば、いくつかOSSを伝授しよう」

「いいっす、盾持ってないんで」

「……そうかね」

 

 なにはともあれ、決闘の申請が来たので受諾する。

 どうすっかな、突っ込むか。

 カウントダウン終了と共に突撃。盾で殴ろうとする瞬間はガードできないわけだし、そこは蹴ればいいか。

 

 事前にある程度はスキルを知っていたのと、キリトが粘ってスキルを引き出してくれていたおかげでいい感じに戦えそうだ。

 無傷とはいかないが、少しずつガードの上からの削りやカウンターでダメージを与えていく。

 

 ヒースクリフがソードスキルを発動。

 これはもう見たぜ! 

 片手剣の斬撃をガードして、次は盾を──

 

「ぐえっ」

 

 ザクっと斬られる。

 さっきと動きが違う。似たようなOSSを作ってやがんのか!? 

 ノックバックでもう受けるしかなくなった三発目の斬撃。

 あ、違うこれ、普通に片手剣のソードスキル。

 

 そっかぁ。ユニークスキルじゃなくて、ただの片手剣+盾にOSSだもんな。

 通常スキルも併用できるか。

 

「くそったれー!」

 

 俺も負けた。




ミト「(……しれっとなんか言ってたけど、アーガス関係者? 明日奈と友達のアーガス関係者?)」
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