真面目にゲーム作ってもらえます?   作:アウグスティン

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燦々と輝く

 驚くべきことにガンゲイル・オンラインの世界にも生産スキルはあった。

 そして俺は、なんとしてでもこのスキルを磨く必要に駆られていた。

 そう、すべては──俺の考えた最高にかっこいいフォトンソードを作るために。

 

 時は少し前にさかのぼる。

 いろんなゲームを掛け持ちしていると、やはりというかプレイ時間に偏りが生まれてしまうものだ。

 周年記念で色々と追加されたソードアート・オンラインにかまけている間、他ゲーに振れる時間は当然のように削られてしまっていた。

 特にガンゲイル・オンラインなんて月額費までかかっているというのに。

 

 これはまずい、と軽く最新情報をネットで漁っていたところ、一つのページを見つけた。

 

 それが生産スキルについてのページだ。

 どうやらこのゲームにも生産スキルがあり、一般的に多く使われているのは、銃剣に改造するスキルや、材料から弾薬を生産するスキルなどで、これらにはあまり惹かれなかった。

 だが、なんということだろう。

 その中に燦々と輝く彫金スキル! 

 

 端的に言えば、金属製の武器に自分だけのエンブレムを刻んだりできる、まあつまりは趣味用のスキルだ。

 だがこのスキルは! なんと! 

 レベルを上げればフォトンソードの柄さえ好きに弄れるようになるのである! 

 

 というわけで。

 

「自分やれます! 彫金用の素材だけわけてもらえればいいんで、パーティーに入れてください!」

「いいだろう。武器はなに使ってるんだ?」

「コレですね」

「ふざけてんのか」

 

 一応混ぜてもらえた。

 

 ■◆■

 

「そういや、なんで彫金スキルなんか鍛えようとしてるんだ?」

「そりゃもちろん、ライトセー……フォトンソードの柄をですね、自分好みにカスタマイズするためですね」

「ほう……ちなみに、どんな感じにする予定なんだ?」

「当然、銀と黒が交互に出るような感じにですね。エミッター部分もこう、わかります? スイレンの葉っぱみたいな」

「おお、なるほど。じゃあそのフォトンソードはもちろん」

 

 フォトンソードを起動してみせる。もちろん現れるのは緑の刀身。

 

「いややっぱ、こうして見るとかっこいいな。俺も買おうかな」

「ぜひぜひ!」

「買うならやっぱ赤かな」

「救世主だと思っていたのに!」

 

 地の利も得ながら言いたかったが、そんな凹凸はなかったので、対等な目線で言う。

 

「おいもう敵が出てくるから真面目にやれ」

『はーい』

 

 接敵するならしかたがないので、戦闘態勢をとる。

 ガンゲイル・オンラインではPVPとPVE、行う戦闘によって推奨される装備が変わる。

 対人であれば実弾、対エネミーであればレーザーだ。

 

 レーザーは弾薬が軽く、取り回しと継戦能力に優れるため、高いHPを持つエネミーとの戦闘に向く。

 しかしその優位性は、対人では薄く、レーザー攻撃を減衰する軽量の防具が存在するため、プレイヤー相手には実弾が推奨される。

 

 という前提のもとでフォトンソードを考えると、この過剰火力はやはりPVEの方が向いているのではないだろうか。

 何百と弾丸を打ち込まないと倒せないモンスターを切り刻みながら思う。

 

「どうです、なかなかのもんでしょ」

「過剰火力ってのも、こういう時には役に立つもんなんだなぁ」

 

 プラズマの刀身が敵にヒットするたびに、ガリガリと削れていくHPゲージ。

 当初の予定よりもだいぶスムーズに、より多くのモンスターを倒して、ホクホクで帰ることになる。

 他のパーティーメンバーには不要なアイテムをこっちでもらうことができた。へっへっへ、こんだけあれば、まあまあスキルレベルも上げられるぜ。

 

 雑談しながらの帰り道、タァーンと音が響いて、リーダーが吹き飛んだ。

 

「襲撃だ! 備えろ!」

「クソ、どっから撃ってきやがった!」

 

 ライトセーバーを起動し、音の出所を探す。たぶんこっちの方。

 

「おっと」

 

 恐らくは狙撃とは別口であろう、弾丸が複数人によってばらまかれた。

 さすがにこんなものまで斬っていられないので、ステータス任せにその場から跳ねて射線から逃れる。

 それでようやくこちらからも反撃を開始するが、PVE用の装備ではなかなか有効打にならず、こちらがやられる方が早そうだ。

 

 最小限の装備しか身に着けない前提の下、極限まで振ったAGIを支えに、敵の方へと飛び出す。

 撃ち合いは続いているので、俺の方に向いたのは一人だけだが、その程度ならなにも問題はない。

 弾道予測線を見て、簡単には避けられないものだけ斬り落とし、そのまま射手も両断する。

 

「──~~っぶなぁ!!」

 

 予測線が横から俺の身体に伸びたのを見て、すぐさまそこに刀身を重ねる。

 と、ほとんど同時にバヂィッっと火花が散った。

 こっち優先しないと、危なすぎるな、狙撃手は。

 

 排莢する水色髪の少年が見えたので、そちらへ吶喊。

 反復横跳びするみたいに左右に跳ねながら距離を詰め、斬りかかろうとしたところで彼がピストルを抜いたので慌てて防御する。

 その隙を突くように、スナイパーライフルを構え直そうとしていて。

 剣は間に合いそうにないので、仕方なく俺もピストルを抜いて撃つ。

 

So uncivilized(こんなものを使うとは)

 

 ピストルを投げ捨て、動きの止まったところへ、ライトセーバーを振り下ろす。

 反射だったのだろう。持っていたスナイパーライフルを盾にしようとして。

 

「あ。あーあ」

 

 悪いことしたかなぁ。まあ向こうから襲ってきたわけだし。

 そうこうしている間に、背後で繰り広げられていた戦闘は、PK集団が勝ったようで、二人ほど生き残りの襲撃者がいた。

 まあ、仕方ない。サクッとそいつらも斬り捨てて、ポーズで投げ捨てたピストルを拾う。

 

 PKのドロップはランダムだから、全部きっかり取り戻せたわけではないが。

 パーティーは維持されてるし、返しに行くかぁ。




なお時系列的にまだヘカートではない
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