真面目にゲーム作ってもらえます? 作:誰かフルダイブ開発してくれ
とうとう今日はβテストの最終日。
β中にクリアされた最前線、十層に来ていた。
ファンタジーにありがちな謎の和風テイストの層で、ここでは刀を持ったモンスターが見られる。
このゲーム、やけにユーザー不利な部分が多いから不安を感じて、刀はプレイヤーにも使用できるのかと茅場さんに聞いたが、隠し要素の一つとしてちゃんと使えるらしい。
よかったよかった。ちょこちょこモンスター専用ソードスキルとかあるんだけど、刀もモンスター専用です、は俺だって不満だ。
最終日の記念にあちこちでお祭り騒ぎが起きているものの、俺は我関せずと外へ戦いに出ていた。
ここの刀を使うモンスター代表、オロチ・フットソルジャー。
ぱっと見はただの鎧武者だが、よく見ると爬虫類であることがわかるそれは、流れるように抜刀し、刀身を輝かせてソードスキルを放つ。
迎撃するために同じ軌道で剣を振るスキルを発動。
システムアシストの動きに合わせて、さらに身体を加速させるように力を込める。
ギィン。
と、音を立てて互いの刀剣が弾き合う。
技術の差でこちらが有利だ。
モンスターにはできない必殺技があるからな。
「おらっ!」
思い切り鎧武者を蹴飛ばす。正確には蹴りのソードスキルで追撃を行う。
攻撃を受けて隙が生まれたところへ剣のスキルを打ち込む。
「ふぅ」
楽しいな、うん。
すごくストレス発散。
手足や首をちゃんと切り落とせたり、それはそれとしてグロくはなく倒したモンスターがポリゴンの破片になって粉々に砕けるのもやってて楽しい。
得た報酬を確認する。
MMOだし、ある程度は仕方ない部分もあるんだろうが、レベルアップが遠いな。
ボタンポチポチのレベリングでさえ面倒なのに、VRで同じ敵を作業的に倒し続けるのって、精神的に来るな。
この辺は今までのMMOとは違うシステムの方がいいかもしれない。
「ん? あ、おーい」
そんなことを考えていると、よく見る姿を見つけたので声をかける。
「え。ああ、確か……アッシュだったかな」
「そうそう。そっちはキリトだったよな。お祭りには参加しないのか?」
「それはあんたもだろう」
「おっと。それもそうだ」
黒系の装備を好んで身につけている片手剣使い、よくボス戦でも見かけるプレイヤーのキリトだ。
手元で剣を回して、腰のホルダーに戻す。
「戦うの楽しくってね。キリトは?」
「俺もそんなところかな」
「ふうん。じゃあせっかくだし一緒にやらないか?」
「あんたはソロ専だと思ってたよ」
「だからせっかく、なんだよ。それにソロ専はお互い様だろう」
パーティー申請をキリトに飛ばす。
■◆■
鍔迫り合いの最中に、空いてる左手でぶん殴る。
「スイッチ」
と言って下がり、代わって前に出たキリトが鎧武者を切り倒す。
「ふう」
「お疲れ様。さすがだな」
「GG。それにしても便利だな、それ」
「体術か? いいだろう。でっかいボスとの戦いではそんなに役立たないから、あんま見せることもないんだけどな」
フィールドにいる敵も、ソードスキルを使わせるためか人型がわりといるし、接近戦だとこのサブウェポンの存在は結構便利だ。
「隠しスキルか。そういうのもいっぱいあるんだろうな。スキル構成はいろいろと考えてきたけど、こうして見ると体術も欲しくなってくるな。どうやって習得するんだ? あ。聞いちゃマズかったか?」
「いいや? ただまあ本番でどうなってるかは知らないぞ」
別に隠すようなもんでもないし、クエストの情報をだす。
どうせ本番が発売されたら、すぐに攻略サイトとかにも載るだろうし。
「楽しかったか? このゲーム」
そう聞いてみる。
「もちろんだ。もうβテストが始まってからはずっとソードアート・オンラインのことで頭がいっぱいだったよ」
「そうか? まあ、それならよかったよ」
「なにか不満でもあったのか?」
「まあ……あんま長居したい世界ではないなと最初は思ってたよ」
楽しいと言った戦闘面も、狩場の取り合いだって多かったし。
この層はまだマシだけど、他の層だとデコボコなフィールド上でモンスターと戦わされることも多くて、めちゃくちゃやりづらいこともあったからな。
マップのメリハリが薄い、というか見栄え重視のごちゃごちゃしたフィールドだろうがモンスターが出てきて戦闘になるのはストレス。
「でも、やっぱこうして剣を振り回せるのは楽しいよな」
他の類似VRMMOが出てくるまでの命では困るから、もっとロマンを増やす必要はあると思うが。
彰「てなわけで将来的にカーディナルをサービスとして配信するのはどうかな」
父「なるほど。いいアイデアだが……まだ法整備とか」
茅場・彰『法整備が曖昧なうちに好き放題やっておくべき』
父「こんな時だけ意見を一致させないでくれ」
時は2022年。現実だとChatG◯Tが登場したばかりくらいの時代。
そんなとこへSF映画の超性能AIみたいなカーディナルを放り込もうとする奴ら。