真面目にゲーム作ってもらえます?   作:アウグスティン

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行動停止を十分に設定したのは誰ですか?

「よっしゃー! とうとうボス戦だ!」「早いもの勝ちだぞ!」「うおお! 乗り込めー!」

 

 一斉に二層のボス部屋へと突撃していく大勢のプレイヤー達。ちょっと出遅れたことで、人数制限に引っかかって部屋に入れなくなる。

 

 ソードアート・オンラインのβテストが始まって二週間ほど。

 やたら難易度の高い操作でほんのり停滞気味だった攻略も、さすがにみんな慣れてきたようで、とうとう二体目のボスまでたどり着いたのである。

 

 入り口は空きっぱなしだから、中でなにが起こっているのかは確認できる。

 大勢のプレイヤーが、でっかいミノタウロスのボス、バラン・ザ・ジェネラルトーラスと、その取り巻きである多数の牛と交戦を開始した。

 取り巻きはボス部屋の外でも見られるのと似ているが、ボスは、と。

 

 誰かやられたら代わりに入れるから、隙を虎視眈々と狙いつつ、ミノタウロスを観察していると、見たことのないソードスキルを発動し、範囲攻撃。当たったプレイヤーは行動が停止して、そのままゲームオーバーした。

 

 おお。強。

 もうちょい動き見てから行くか。

 

「よっしゃー! いけいけー!」

「お前もいけ!」

 

 引きずり込まれてしまった。仕方ない。俺も戦うか。

 準備運動がてら片手剣を手元でくるりと回しながら、ミノタウロスへと突撃する。

 

 ■◆■

 

「スタンが三秒はいいです。まあ妥当なところでしょう。麻痺(パラライズ)の行動停止を十分に設定したのは誰ですか?」

「私だ」

 

 お前だったのか。

 

「プレイヤーに身体を動かしてもらいたいから近接武器しかない、と言った口で、十分も動けなくなる状態異常を用意した理由を説明できます?」

「あれはチュートリアルも兼ねている。状態異常を扱うモンスターが今後現れるから、耐性が必要だということを伝えるためのモンスターだ」

「まずはフィールド上の雑魚敵でやってください」

 

 とはいえそこまでケチをつけるものでもないか。

 通常攻撃が即死技なわけではなく、あくまでも予備動作ありの大技が強力って敵だ。

 麻痺させてからもっかい殴ってくるせいで不快感があるだけで、ワンパン火力の大技だとしても被害は同等だったろう。

 

「まあ楽しかったからいいんですけどね。そういえばボスってどれくらいでリポップするんですか? 一層のボスもまだリポップしたって話は聞いてないんですけど、まさか月一?」

 

 参加人数の制限もあるし、本稼働後に同接が増えたら毎日リポップでも足りないくらいだろう。

 

「? フロアボスはリポップしないが?」

「? これソロゲーじゃなくてMMORPGなんですよ?」

「もちろん。わかっているとも」

「後発プレイヤーが一生、メインストーリーのボスに挑む機会がないとかあり得ないのでリポップさせてくださいね。こだわりの大ボスみたいなのをやりたいなら、本稼働後に期間限定イベントみたいなのでやってください」

 

 茅場さんの出してくるアイデアって、どっちかというとJRPGなんだよな。

 だからMMOではやるべきではないような仕様を出してくるんだが、まあそこは誰かが調整すればいいだけのこと。

 

 今回は普通に楽しめたし、追加のバランス調整対象として、ボス報酬が与えたダメージだけに依存したり、ラストアタックボーナスなんかのアタッカーしか恩恵を得られない報酬システムの見直しだけ依頼して、会議は終わった。

 

 ■◆■

 

 その後、ちょっと茅場さんと話す機会があったので、少し気になっていたことを、ネタバレになるかもしれないが聞いてみることにする。

 なにせもうすでに体術スキルのこととか聞いてるからな。今さらだ。

 

「ところでなんですけど」

「なにかな?」

「属性武器とかってどこで手に入ります?」

「属性武器?」

「ええ。俺はてっきり、あのモンスターのきのみを取ってくるサブクエ、ええと、あの植物のやつ」

「おそらくリトル・ネペントだろう」

「ああ、そうそう。あいつを倒して貰ったアニールブレード、あれとか火属性かなって思ってたんですけど無属性で。今のとこ属性武器がないから聞いてみたいなーと」

「属性を持った武器はソードアート・オンラインには存在しない」

「あ、そうなんですね。じゃあソードスキルのほうかな? 切りよくスキルレベル十とか、どうです? 当たってます?」

「ソードスキルにも属性の概念はない」

 

 あれ、おかしいな。

 

「各種属性やらを使うモンスターはいますよね」

 

 今回のボスのミノタウロスとか、そのまんま電撃使ってたし、マップにもそれの下位互換みたいな属性付きの牛はいた。

 

「え、あれプレイヤー側には属性攻撃ないんですか? 敵だけ?」

「そう言われると、まあ、その通りだ」

「じゃあ追加しましょうか。敵だけ楽しそうなのは面白くないですし、なにより敵ごとに有利な属性とかあれば、装備を変える楽しさも生まれますからね。今のとこ物理性能が高い装備を、どの敵相手にも持ち出すだけになっているので」

 

 単純に俺が使ってみたい、というのもある。

 念願のアイスソードを手に入れたい。




「あ、あとこれはゲームと関係ない提案なんですけど、カーディナルってゲーム作成以外にも使っていいですか?」
「かまわないが、なにかやりたいことでもあるのかね」
「いえね。SAOの作成と維持ができるくらいコーディングできるカーディナル、これの使用権とか他社にめちゃくちゃ売れるんじゃないかって」
「なるほど。私はかまわないが」
「SAOの維持と発展には金がいりますからね。NPCもカーディナル用の設備を増強していけばもっとリアルになるでしょうし、いつか本物の人間と見分けがつかなくなるかも。何年くらいかかると思います?」
「……。そう遠い未来にはならないだろうな」
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