紅霧に包まれた門が、重くきしむ音を立てて開く。
ギィィ……
叶炊「……お邪魔しまーす。」
刀を腰に収めたまま、慎重に足を踏み入れる。
大妖精「ほ、ほんとに入っちゃったよ〜……!!」
羽をばたつかせながら後ろで震える。
チルノ「ふっふーん!!怖くなんかないぞっ!」
胸を張る。
チルノ「出てこーい!!びびったのかー!!!」
叶炊「……誰に言ってるの?」
チルノ「館のやつら全員に決まってるでしょ!
出てこい!アタイが相手だっ!」
叶炊(どう見ても勝てる気がしないのに…元気だなぁ)
苦笑しながら館の中を見渡す。
暗い廊下。古い燭台。
数少ない窓から差し込む赤い霧の光。冷たい空気。
随分と豪華な場所だが…あまり雰囲気はいいとはいえない。
叶炊「……静かだね。館の中っていうより、
迷宮みたいだ。それに、妙だ。
普通は使用人みたいのがいるんじゃないの?」
大妖精「ひ、ひゃっ……なんか気味悪いよぉ……」
チルノ「大丈夫大丈夫!アタイがいれば安心だ!」
叶炊「逆に不安なんだけどな……」
その時。
カツ……カツ……
足音だ。奥の廊下から近づいてくる。
大妖精「ひぃっ!?で、出たぁぁぁ!!」
チルノ「アタイが相手だー!!」
猪突猛進のチルノを無理矢理抑え込む
叶炊「下がって。」
柄に手をかける。
暗闇から現れる影。
銀髪、メイド服。
冷たい瞳は空間を切り裂くようだ。
咲夜「……人間の少女に、妖精2匹…
館の中で何をしているのかしら?」
銀のナイフが指の間で光る。
叶炊「…僕は男だよ」
咲夜「……美鈴が普通の人間に負けるなんて。」
ナイフが回る。
叶炊「聞いてる?」
咲夜「本当に珍しいわね。
あとで文句でもつけてやろうかしら。
それと、侵入者さん。歓迎はしないわよ?」
叶炊「(もういいや、)…それはどうも。
ところで、あなたは……この館の人?」
刀に手を添える。
咲夜「ええ。この紅魔館でメイド長をしている、
十六夜咲夜ですわ。」
優雅に一礼。
叶炊「通りすがりの人間。
塰霧叶炊です。用があるのは、紅い霧だけだよ。」
咲夜「そう……」
ゆっくり歩く。
咲夜「話に聞いていたのは博麗の巫女と、
そこの神社に住む“現人神”だけだったのだけれど……」
目を細める。
咲夜「あら。あなた、その隊服に刀……
ただの人間じゃないのね?
現人神も似たような意匠をしているみたいだし。」
叶炊「……ん?どういうこと…?」
チルノ「叶炊のそっくりさんがいるってことか?!」
咲夜「いい機会ね。」
指を鳴らす。
咲夜「あなたに見せてあげるわ。」
懐中時計を取り出す。
咲夜「この力を。」
叶炊「……いや、急に因縁つけられても困るのだけれど……」
苦笑し、一歩下がる。
咲夜「失礼だけど。」
懐中時計を手に取る。
カチ…
咲夜「少し時間を止めさせてもらうわ。」
叶炊(能力の開示…?)
咲夜「――メイド秘技【殺人ドール】」
世界が止まる。
すなわち空間が凍る。
四方八方に無数のナイフが浮かぶ。
咲夜「…解除」
空間が動くと…
叶炊「ま、周りに……ナイフ!?
ば、バカなっ……さっきまで無かったはず…!」
一斉にナイフが飛んでくる
ならば、複数回の斬撃で撃ち落とすしかない。
【千波万波】
叶炊「うぉぉぉぉ!!」
ガギン!!ガギン!!ガギン!!
鞘のまま刀を振り回し怒涛の千連撃
撃ち落とされ床に突き刺さる銀刃。
叶炊「――ッはぁ!!」
最後の一本を弾き飛ばす。
カラン……
床に円を描くナイフ。
叶炊「何急に、ラッシュの速さ比べ?
ヒヤヒヤしたんだけど。」
ムスッとした顔で問う。
頬には一筋の切り傷
咲夜「……ふふ。全て弾いたのね。時を止めたのに。」
叶炊「時を……止める、か。」
叶炊(へぇ…あの佇まいから考えて、
かなりのやり手…僕の戦闘経験自体、
まだ浅い…相手の力量を測るなら…)
叶炊「君はその力で何人の人間を倒した?」
叶炊(やはり、話をするしかないよね。
これが僕の戦術だ。)
咲夜「あなたは今まで食べたパンの枚数を覚えているのかしら?」
叶炊「0枚。食べさせてもらえなかったからね。」
咲夜「あらそう、残念ですわ。
時間停止なんて普通の人間なら対応できるはず無い。
あなた、本当に人間なのかしら?」
叶炊は肩をすくめる
叶炊「人間だよ……やれやれ。
誤解がどんどん重なっていくなぁ。」
刀を抜く。
刀身からは蒼い光が反射される
それはまるで刀身が淡く揺らぐよう
叶炊「時間停止……DIOかよ。
どんくらい時間を止めてられるのか
気になるところだね」
咲夜「上等ね。」
時計を閉じる。
カチ。
咲夜「ならもう一度、時を止めるわ。」
時計が鳴る。
カチリ。
to be continued
刀を振り回してる場面はラッシュでナイフを
打ち落とすみたいな動きをイメージしましたね
あと叶炊君はジョジョ履修済みっす。
叶炊「あ、ここ進研ゼミで出たところだ」
咲夜から少女という言葉が出たのは叶炊の見た目から。
あと、普通に咲夜天然だから見間違えるかなと…