奇跡だ…
叶炊「ハァッ…ハァッ…ぐっ…」
フラン「ふふっいいねいいね。
その目。まだ諦めてないんだ?人間なのに。」
レーヴァテインを振り回す。
叶炊「生きて帰んなきゃ…いけないんだよ」
刀でレーヴァテインを捌く
フラン「そう、じゃあ…私が飽きるまで遊んでよ。
そこまで啖呵切ったんだから。壊れないでね?
キャハハ!」
禁忌【カゴメカゴメ】
ライン状に並んだ丸弾を網目模様に配置した後、大玉をぶつけてラインを崩し拡散
叶炊「くぅ…!」
レミリアとの戦闘で消耗していた叶炊には少し重い。
フラン「かーごめかーごめー。
後ろの正面だーぁれ♪ふふふっ!」
叶炊「…っ!【海流落とし】ッ!!」
叶炊が後ろに刀を振り下ろした瞬間に拳を鳩尾に放つ
叶炊「がぁッ…!」
叶炊(嘘だ…この見た目でこのパワー…っ!
それにもかかわらず魔法を併用した技巧派……
まずい意識が…飛ぶ…)
カラン…
刀を落として跪く
叶炊「ゴブッ…」
胃液が口から吐き出る。
叶炊(クッソ痛い…嫌だ…ここで死ぬ…?)
叶炊「…ハァッ…ハァッ…」
首巻をしっかり締めて刀を拾う。
叶炊(違うだろ…っ!!)
刀をフランに向ける
叶炊「…死ねるもんか…僕は…まだ諦めてないんだ…!!」
フラン「ふぅん…やっぱり面白いわね。
あなた、今までで一番遊び甲斐があるおもちゃかも!」
禁忌【フォーオブアカインド】
フランの姿がブレたかと思ったら、四体に分身した
叶炊「…うっそでしょ…」
(分身の術みたいな物…?
いや違う。魔法陣…!魔法か…)
叶炊「随分と…ふざけた技だ。」
フラン「「「「そう?私は楽しくて大好きよ?」」」」
四人のフランが同時に笑う。
庭に狂気の笑い声が重なる。
叶炊「全部本物…か。」
袖で口元の血や胃液を拭き、刀を構える。
叶炊「……厄介どころじゃないね」
フラン「「「「ねえねえ、どれが本物だと思う?」」」」
フラン①「当ててみて?」
フラン②「間違えたら壊すね?」
フラン③「当たっても壊すけど!」
フラン④「キャハハハハ!!」
同時に突進。
叶炊「ッ……!偽物なんてないでしょうが!」
瞬間移動。地面に着地。
だが、背後に気配。
フラン「後ろだよ♪」
ドゴッ!!
腕に回し蹴りがもろに入る
叶炊「ぐっ……!あぁぁ!!」
外壁に叩きつけられる。
叶炊(左腕…?!ある…?感覚が無い…)
石壁にはヒビ。
叶炊(速すぎる……!)
バシッ…
意識が朦朧とするが頬を引っ叩いてなんとか保つ。
叶炊(瞬間移動しても…読まれてる…)
フラン「もっと動いてよ。止まったら壊れちゃうよ?」
四体同時に弾幕展開。紅い弾幕が視界を埋める。
叶炊「……っ!!海鳴閃!!」
刀で斬る。避ける。瞬間移動。
だが追いつかれる。
フラン「遅いし弱いのに壊れない!」
四方向から同時攻撃。
叶炊「ぐぁっ!!」
吹き飛び床を転がる。
刀が滑って目の前に落ちる
叶炊「……くっ……」
立てない。呼吸が乱れ、視界が揺れる。
左腕はダラリと垂れ下がっている。
叶炊(左腕が折れてる今、右腕も骨折するのはまずい…!)
すでにレミリア戦で肋骨一本、
フランとの戦闘で肋骨と鎖骨の骨にヒビが入っている。
フラン「……ねえ。」
四体がゆっくり近づく。
フラン「どうして壊れないの?
普通のおもちゃはねもっと早く、ぐちゃってなるのに。」
本体が語りかける
叶炊「……」
膝をついた叶炊の耳元に囁く
フラン「……ねえ。痛くないの?」
叶炊「痛いよ。」
フラン「……そっか。」
少しだけ笑顔が消える。
フラン「じゃあなんで立つの?」
叶炊「……妹がいるから。」
フラン「……」
フランの動きが止まる。
フラン「……妹?」
叶炊「大切な…妹。やっと会えたんだ。
こんなところで死ねない。」
フラン「……」
フランの分身がゆっくり消え、
一人に戻る。
フラン「……いいなぁ…大切にされてて。」
小さな声。
叶炊「?」
フラン「私ね、490年間一人だったの。
地下に引きこもってて、誰も来なくて、
誰も遊んでくれなくて。壊しちゃうからって…ずっと、」
俯く
フラン「一人。」
叶炊「……」
フランは笑う。
でも目は笑ってない。
寂しさだけが映る瞳
フラン「だからね、壊れないおもちゃ好きなの。」
レーヴァテインを構える。
フラン「ねえ、壊れるまで遊ぼ?」
炎が爆発する。
禁忌【レーヴァテイン】
叶炊「……っ!」
刀を構える。
ピカッ…
紅魔館の方で光の柱が立つ
フラン「…お姉様、負けちゃったみたい。
でも、あなたはまだ終わってないよね?」
叶炊(強いとかじゃない、この子は……
この子の強さは…孤独からきてる…!)
フランは突進してくる。
叶炊も負けじと踏み込む。
刀と炎が衝突。
ドォォン!!
土煙がだんだんと晴れてくる
フラン「…え?」
フランのレーヴァテインは叶炊の脇腹を掠めている
まだ生きている。あまりにもしぶとい
でもそれ以上に理解が追いつかない。
叶炊「グッ…ごめんね。辛かったね。
ずっと暗い場所で一人で…ずっと…ずっと…」
優しく、柔らかく声をかける
フランはさっきまで殺し合っていた相手に抱擁されていた。
フラン「…なんで?」
隊服には大量の血が滲んでいるようで、
血と泥の臭いが漂っている
叶炊「…僕に、吸血鬼の気持ちはわからない…
人間だから。まだ20年も生きてないから。
君の本当の辛さなんて…知ることができない」
口から血が滴り落ちる
叶炊「でも…これ以上。
君を一人にできないって…そう思った。」
フラン「…意味がわかんないよ」
叶炊「だって放っておけるわけないじゃん…ッ!!」
口から血が飛ぶ。
フラン「…お姉様や…パチュリーは…
私を厄介者扱いしてるんだ。」
叶炊「違う…!」
少し、服を握る力が強くなるが、すぐに弱まる。
叶炊「…肉親を…たった一人の妹を…
大切に思わないお姉ちゃんは…ほとんどいないよ。
少なくとも、君のお姉ちゃんは…絶対大切に思ってる。」
炎が揺れる。紅霧が流れる。
しかし、誰も動かない。
フラン「……」
抱きしめられたまま動かない。
フラン「……そんなこと……ない。」
小さな声。
フラン「お姉様は……私を閉じ込めた。
壊すからって。危ないからって。
外に出したらダメって……ずっと。」
叶炊「……」
フラン「ずっと一人だった。」
叶炊「……」
フラン「……だから壊してもいいおもちゃしか、
遊んじゃダメなの。」
レーヴァテインが震える。
炎が強くなる。
フラン「……でも。あなた壊れない。だから好き。」
炎が爆発する。
フラン「壊れるまで遊ぶ!!」
禁忌【レーヴァテイン】
爆炎に肌を焼かれる
叶炊「……ッ!」
立ったまま何もしない。
フラン「早く離してっ!!遊ぼうよ!!」
地面が砕ける。その時。
レミリア「やめなさい…」
空気が止まる。
フラン「……!」
叶炊「……?」
紅い影が降りる。翼が月光に照らされる
レミリア「そこまでよ、フラン。」
フラン「……お姉様。」
レミリアがゆっくり歩く。
そして後ろには霊夢、魔理沙、叶恵の3人。
3人は口を出さずに見守る
レミリア「また、暴れてるのね。」
フラン「だって…この人壊れないの。
楽しいの。初めてなの。」
レミリアは叶炊を見て言う。
レミリア「あなた、まだ生きてたのね。」
叶炊「死に…かけた。てか、死にそう。」
レミリア「人間なのにフラン相手にそれなら上出来よ。」
叶炊「そっちも…終わったんだ?」
レミリア「ええ、負けたわよ。」
フラン「まだ終わってない!!」
翼が広がる。その姿はまさに狂気。
フラン「まだっ…!!」
禁忌【フォーオブアカインド】
分身が出現する
レミリア「……フラン。」
低い声。
フランが止まる。
レミリア「いい加減にしなさい。もういいの。」
静寂。
フラン「……やだ。」
レミリア「……」
フラン「だって。やっと遊べるんだよ?490年ぶりに。」
レミリアの表情が揺れる。
レミリア「……」
沈黙。
レミリア「……そう。」
ゆっくり近づく。
レミリア「寂しかったよね。」
フラン「……うん。」
レミリア「……ごめんね。」
フランの目が開く。
フラン「……え?」
レミリア「閉じ込めてたのは、
あなたが怖かったからじゃない…
あなたが壊れるのが怖かったから。」
フラン「……」
レミリア「あなたは強すぎるの。
だから…守る方法がそれしかなかった。」
フラン「……」
フランの手が震える。
レーヴァテインが消える。
フラン「……私、嫌われてると思ってた。」
レミリア「馬鹿ね。」
レミリアはフランの頭をそっと撫でる。
レミリア「妹を嫌う姉がいるわけないでしょう。」
静寂。
フランの目から涙が落ちる。
フラン「……ずるい。今言うの…ずるいよ。」
レミリアの服を握りしめる
フラン「……もっと早く言ってよ。」
レミリア「ごめんなさい。」
沈黙。
紅霧が流れる。
霊夢「感動の場面に水を注すのも悪いけど、
さっさとこの霧を消してくれない?迷惑なのよ。」
レミリア「ええ、そうね。」
その横で。
叶炊「……よかった。」
衰弱した叶炊が微笑む
フランが見る。
フラン「……ごめんなさい。もう、壊さない。」
叶炊「そっか。」弱々しく応える
フラン「でも、また遊ぼうね。」
叶炊「うん。できれば普通に。」
フラン「無理。」
叶炊「ははっ…即答か、参ったなぁ」
起き上がれない。
叶恵「兄さん!」叶恵は叶炊に駆け寄る
叶恵「よかった…」
叶炊「…ただいま。」
叶恵「おかえり。そして…ようこそ。幻想郷に。」
霊夢「とりあえず、この子の傷を手当しないと危険よ。」
魔理沙「やるぜ。止血くらいできるさ。」
パチュリー「…私がやる。」
小悪魔に運ばれて全体的に紫が基調の女性がやってきた
小悪魔(…重い…)
叶炊「…え、だれ…?」
朦朧としている
魔理沙「お前は…図書館の魔女!」
パチュリー「回復魔法をかけるから、
その子をこっちに寄越して。」
叶恵「…お願いします。」
紅い霧が発生した、
後に紅霧異変と呼ばれた幻想郷に
新しく来た吸血鬼が起こした異変は、
博麗の巫女、現人神、そして謎の剣士によって解決された。
射命丸文「あやや!これは特ダネですよ〜!」
パシャッパシャッパシャッ
紅霧異変
『解決』
to be continued▶︎