東方海神録   作:ゆっくり杠葉

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第四話《剣士のスタイル》

叶恵「なんか……巫女さんの戦い方は分かんないけど……」

境内の端

叶恵は足元に落ちていた枝を拾い上げ、

軽く振る。

ヒュン、と風を切る音。

叶恵「刀でなら、戦えるよ」

霊夢「ふぅん……外の世界にもまだそういうのあるのね」

叶恵「ま、まぁ…ね。あ、竹刀ね?!」

霊夢「なによ、食い気味に…竹刀って、あの練習用のねぇ……」

腕を組んで眺める。

霊夢「こっちじゃ、人里の物好きが飾りで

模造刀持ってるくらいよ。妖怪退治に使ってるのなんて、

ほとんど見ないわ」

叶恵「……」

少しだけ寂しそうに枝を見る。

叶恵「でも……」

構える。

足の位置、重心、視線。

どれも自然に整う。

叶恵「これしか、知らないから」

霊夢「……へえ」

霊夢の目が、ほんの少しだけ鋭くなる。

霊夢「じゃあ試してみなさいよ」

叶恵「え?」

霊夢「え?じゃないわよ。実戦するの」

叶恵「えぇ!?」

霊夢「安心しなさい。

いきなり妖怪とやらせるほど鬼じゃないわ」

指をひらひらさせる。

その瞬間――

チラチラと光が現れる。

小さな羽音。妖精だ。

霊夢「あら、ちょうどいいところに。

ほら、あれ相手にしてみなさい」

叶恵「む、無理無理無理!」

霊夢「大丈夫でしょ。

あなたの能力が本物ならね」

叶恵「うぅ……」

深呼吸をし、枝を握り直す。

叶恵「……やる」

妖精がこちらに気づく。

キィッ、と甲高い声。

次の瞬間、弾が放たれる。

叶恵「――っ!」

“見えた”

そう感じると体が勝手に動く。

一歩、横へ。

弾が頬をかすめる。

叶恵「避けた……!」

霊夢「ほらね」

余裕の声。

だが、次々に弾が飛ぶ。

叶恵「ちょ、ちょっと多い……!」

 

回避。回避。回避。

 

だが――

叶恵「っ!?」

死角からの一発。

ギリギリで体をひねるが、完全には避けきれない。

 

ピチューン

 

叶恵「くっ……!」

霊夢「それが限界ね」

叶恵「……っ」

歯を食いしばる。

見える攻撃は避けられる。

でも、それだけ。

叶恵「……だったら」

足を踏み込み、前へ。

霊夢「?」

叶恵「避けるだけじゃ……ダメだ……!」

弾の間を縫うように走る。

能力が導く“安全な道”。

叶恵「そこっ!【海鳴閃】っ!」

大きく振ると、枝が妖精に当たる。

パシッ

妖精「きゃっ!」

弾幕が止まる。

叶恵「はぁ……はぁ……!」

霊夢「……なるほどね」

感心したように呟く。

霊夢「避けるだけじゃなくて、詰めるタイプか…」

叶恵「……うん」

息を整えながら答える。

叶恵「守るためには……倒さないといけないから」

霊夢「……」

一瞬だけ、霊夢の表情が変わった。

霊夢「あなたの戦い方、だいたい分かったわ」

叶恵「え?」

霊夢「まず巫女向きのものじゃないわね。」

叶恵「えぇ!?」

霊夢「少なくとも、私とは違うってこと。」

腕を組む。

霊夢「私は遠距離で叩くタイプ。でもあなたは――」

叶恵を見る。

霊夢「近づいて、仕留める」

叶恵「……」

その通りだった。

霊夢「筋金入りの剣士ね」

叶恵「……うん……」

その言葉が、すとんと落ちる。

霊夢「まあ、巫女もやってもらうけど」

叶恵「両立なの!?」

霊夢「当たり前でしょ!」

さらっと無茶を言う。

霊夢「現人神で剣士なんて、むしろ珍しくて面白いわ」

叶恵「面白いって……」

霊夢「いいじゃない。個性よ」

少しだけ笑う。

霊夢「じゃあ次」

叶恵「まだやるの!?」

霊夢「当然!見なさい、

珍しい奴がいるからまた暇な奴らが来た」

今度は少し数が増える妖精。

叶恵「えぇぇ……!」

霊夢「ほら、剣士なんでしょ?」

叶恵「うぅ……!」

構える。

でも、さっきより迷いはない。

叶恵「……やるよ」

風が吹く。

その中で、叶恵は踏み出した。

――巫女であり、剣士である道へ。




妖精が弱すぎる希ガス
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