東方海神録   作:ゆっくり杠葉

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第五話《海原流刀殺法》

叶恵「フゥー……」

ゆっくりと息を吐く。

足を開き、重心を落とす。

叶恵「――っ」

一気に踏み込む。

叶恵「二式【天空海闊斬】!!」

振り抜いた枝が、空気を裂く。

――ズンッ

目に見えない風圧が、地面を駆け巡り

土が舞い上がる。

霊夢「……」

少しだけ目を細める。

霊夢「今のが“型”ってやつ?」

叶恵「うん!」

ぱっと表情が明るくなる。

叶恵「私の家の道場に伝わる剣術、海原流刀殺法!」

霊夢「へぇー……」

地面の抉れを見ながら呟く。

霊夢「なんか、やたら規模大きいわね」

叶恵「初代の人の苗字から取ったらしいよ?」

霊夢「苗字なのね……珍しい」

叶恵「え、そうなの?」

霊夢「この辺、そんなきっちりした家系の流派ってあんまりないのよ」

叶恵「へぇ……」

少しだけ誇らしそうに胸を張る。

叶恵「ちゃんとしたやつなんだよ?」

霊夢「そりゃ見れば分かるわよ」

軽く肩をすくめる。

霊夢「で?」

叶恵「え?」

霊夢「なんで“海”なの?」

叶恵「えっと……」

少し考えて。

叶恵「斬撃を“波”みたいに重ねるのが特徴だからなんだって」

霊夢「波ねぇ……」

霊夢は腕を組む。

霊夢「まあ、確かにさっきの、なんか“広がる”感じだったわね」

叶恵「うん!あと――」

少しだけ声を落とす。

叶恵「本当は……刀でやるともっとすごいんだけど……」

手に持っているのは、ただの枝。

霊夢「まあ、それでも十分おかしい威力だけどね」

叶恵「え、そう?」

霊夢「普通の人間なら、ただ振るだけで終わりよ」

叶恵「……」

自分の手を見る。

叶恵「……そっか」

少しだけ、自分が“普通じゃない”ことを実感する。

霊夢「……そういえば」

叶恵「?」

霊夢「あなたの名前、ちゃんと聞いてなかったわね」

叶恵「あ、そうだった」

姿勢を正す。

叶恵「私は、塰霧叶恵」

ぺこりと軽く頭を下げる。

叶恵「よろしくね」

霊夢「……」

一瞬だけ間。

霊夢「ごめん、あなただけにさせるのもなんだから、

改めて自己紹介するわ」

くるっと向き直る。

霊夢「私は博麗霊夢」

少しだけ胸を張る。

霊夢「ここ、博麗神社の“素敵な巫女”よ」

叶恵「自分で言うんだ……」

霊夢「何か文句ある?」

叶恵「ないです!」

即答。

霊夢「よろしい」

少し風が吹き、境内の木々が揺れる

その中で。

叶恵「……ねえ、霊夢」

霊夢「なに」

叶恵「私のこの技……ここでも通用するかな」

霊夢「……」

少しだけ真面目な顔になる。

霊夢「通用するわ」

叶恵「ほんと?」

霊夢「でも――」

指を一本立てる。

霊夢「ここは“弾幕ごっこ”がルールなの。」

叶恵「弾幕……ごっこ?」

霊夢「殺し合いじゃない戦いってこと」

叶恵「……」

霊夢「あなたのそれ、そのままだと危ないのよ」

さっきの地面の跡を見る。

霊夢「当たったら終わり、じゃダメ」

叶恵「……じゃあどうするの?」

霊夢「見せるのよ」

叶恵「……見せる?」

霊夢「綺麗に、避けられても楽しいように」

叶恵「戦いなのに……?」

霊夢「だから“ごっこ”なの」

少しだけ笑う。

霊夢「その中で勝つのが、ここのやり方よ」

叶恵「……」

少し考えて。

叶恵「……難しいね」

霊夢「でしょ?だから、調整するのよ」

叶恵「調整……」

霊夢「あなたの剣、弾幕にしてみなさい」

叶恵「えぇ!?」

霊夢「できるでしょ」

さらっと言う。

叶恵「む、無茶言わないでよ!」

霊夢「なによ!現人神なんだから、

それくらいできるわよ〜」

叶恵「理屈が雑!」

霊夢「ほら、やってみなさい」

叶恵「うぅ……」

枝を構え、深呼吸。

叶恵「……海原流……」

風が集まる。

さっきとは違う“広げる”意識。

叶恵「……一式――」

振る。が、

――スカッ

ただの素振りである

叶恵「……あれ?」

霊夢「ほらね」

叶恵「難しいよこれ!」

霊夢「まあ最初はそんなもんよ」

霊夢は少しだけ優しい声で言う。

霊夢「でもあなたならできる」

叶恵「……」

叶恵は枝を握り直す。

叶恵「……やる」

霊夢「その意気よ」

風がまた吹く。

今度は、ほんの少しだけ――

叶恵の周りに光が混ざる。

霊夢「……」

それを見て、小さく呟く。

霊夢「わかってたけど、やっぱり……

ただの外来人じゃないわね。現人神だとしても、

飲み込みが早すぎる。」

その日。

叶恵の剣術は、“弾幕”へと変わる一歩を踏み出した。




※海原流刀殺法について補足
これからこの剣技の名前が
海原流刀術、海原流刀殺法の二つが出てくるゾ
刀殺法の方は今の名前、
刀術の方は昔の名前ってだけで特に変わりはないゾ☆
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