霊夢「……まず、力の扱い方からね」
叶恵「能力はもう大丈夫だよ?」
霊夢「そっちじゃなくて、“霊力”」
叶恵「霊力……?」
霊夢「ま、あなたの場合は“神力”だけど」
叶恵「神力……」
自分の手を見るが、まだ実感は薄い。
霊夢「あなた、昨日のあれ覚えてる?」
叶恵「……ルーミアのときの?」
霊夢「そう、あいつ光みたいなの出してたでしょ」
叶恵「……うん」
確かに。
あのとき、何かが“溢れた”。
霊夢「それが力の正体」
叶恵「……」
指を一本立てる。
霊夢「でも、今のあなたは垂れ流し状態」
叶恵「た、垂れ流し!?」
霊夢「そう。だから制御できてないのよ」
叶恵「うぅ……」
霊夢「じゃあやるわよ」
境内の中央に立つ。
霊夢「まずは“感じる”こと。」
叶恵「感じる……」
霊夢「目、閉じて」
叶恵「うん……」
静かに目を閉じる。
風の音。
木のざわめき。
遠くの鳥の声。
そんな音が聞こえてくる。
霊夢「で、その奥」
叶恵「……奥?」
霊夢「自分の中の“流れ”を探すの」
叶恵「……」
意識を沈める。
深く、もっと深く。
――ドクン
何かが脈打つ。
叶恵「……あ」
霊夢「見つけた?」
叶恵「……うん……なんか…暖かいの……」
霊夢「それよ」
叶恵「……これが……神力……?」
霊夢「そう」
霊夢の声が少しだけ柔らかくなる。
霊夢「じゃあ次。それを“動かす”!」
叶恵「動かす……?」
霊夢「流すのよ。腕の方に」
叶恵「……やってみる」
意識を向け、さっきの“暖かいもの”を――ゆっくりと腕へ
――スッ
叶恵「……来た……」
霊夢「いい感じね。じゃあ次」
叶恵「まだあるの!?」
霊夢「当たり前でしょ?それを外に出すの」
叶恵「外……」
霊夢「形をイメージして。」
叶恵「形……」
少し考える。
叶恵「……やっぱり丸」
霊夢「無難ね」
叶恵「だって分かりやすいし……!」
霊夢「いいから!やってみなさい」
叶恵は手を前に出す。
集中すると、流れを感じる。
そして――押し出す。
叶恵「……っ」
ポンッ
小さな光の玉が、ふわっと現れる。
叶恵「……で、できた……!」
霊夢「まあ初めてにしては上出来ね」
叶恵「ほんと!?」
霊夢「でも、」
しばらくすると、光の玉が霧散するように消える。
叶恵「えぇ!?」
霊夢「それじゃただの光よ」
叶恵「え……?」
霊夢「“飛ばしてみなさい”」
叶恵「……」
もう一度作る。
今度は体から絞り出すだけじゃない。
“前へ”。
叶恵「……行けっ!」
ヒュン
光の玉が一直線に飛ぶ。
――コツン
石に当たって弾ける。
叶恵「……!」
霊夢「それが基本」
叶恵「これが……」
霊夢「あなたの弾幕の元よ」
叶恵は自分の手を見る。
叶恵「……なんか……すごい」
霊夢「でしょ♪」
少しだけ得意げに言う。
霊夢「それを増やして、綺麗に並べて、当てる」
叶恵「綺麗に……」
霊夢「ただ当てるだけじゃダメ。魅せるの」
叶恵「またそれ……」
霊夢「ここでは大事なのよ。じゃあ最後」
叶恵「まだあるの!?」
霊夢「あるに決まってるじゃない。統合よ」
叶恵「統合……?」
霊夢「あなたの剣と、その弾幕を統合するの。
これが一番大事よ?」
叶恵「……!」
枝を握る。
霊夢「さ、やってみなさい」
深呼吸をし、構える。
神力を流す。
全身、腕、枝の順に。
叶恵「……海原流……」
光が、枝にまとわりつき、揺れる。
まるで水のように。
叶恵「……一式……」
――シュンッ
斬撃と同時に、光が散る。
叶恵「【千斬万海峡】‼︎」
一閃の軌道をなぞるように
いくつもの弾が、波のように広がる。
叶恵「……!」
霊夢「……へえ」
少しだけ驚いた顔。
霊夢「もうそこまでできるのね」
叶恵「……できた……」
自分でも信じられない。
霊夢「今の、ほぼスペルカードよ」
叶恵「え!?」
霊夢「名前をつければ完成」
叶恵「名前……」
少し考えて。
叶恵「……海原流……」
光はまだ残っている。
波のように揺れる弾幕。
叶恵「……波みたいに広がるから……」
霊夢「……」
叶恵「……まだ、思いつかない」
霊夢「まあ最初はそんなもんよ」
霊夢は空を見上げる。
霊夢「でもあなた」
叶恵「?」
霊夢「ちゃんと“こっち側”に来たわね」
叶恵「……」
その言葉を、静かに受け取る。
叶恵はもう一度、手を開く。
小さな光が灯る。
叶恵「……兄さん」
小さく呟く。
叶恵「……待ってるから。」
光が、少しだけ強くなる。
その日。
私は、“弾幕を撃つ剣士”になった。
霊夢「あ、さっきの技名でもいいわよ。」
叶恵「いいの?!」
叶恵は結構アホな子にしたい