N3x7 D15a5732   作:vic.

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【注意!!】
ここから先は残酷な記事の内容が描写されます。あまりにも残虐な死亡シーンはR-15指定になるきっかけになるため描写するつもりはありませんが、内容がショッキングであるため、このような描写が苦手な方は閲覧をご遠慮ください!


第46話「香田澄あまりの先輩の訃報」(残酷な記事の内容注意!)

パッパラ宿・シティパークパッパラジュク24階 自室 2026年11月12日 19:00

 

出来上がったばかりのタワーマンションの24階。窓の外に広がるパッパラ宿の夜景はどこまでも美しく輝いていたが、室内の空気は氷のように冷え切っていた。

 

香田澄あまりは、デスクのパソコン画面を食い入るように見つめていた。画面に表示されているのは、世界の異常な事象を記録・追跡している謎の検証WEBサイトだ。

 

そこには、ひかるたちが追っているものと同系統の不気味な暗号コードが一覧化されていた。

 

『200909021』

 

あまりの指先が激しく震える。解析されたその予言の解読結果には、冷酷な文字でこう記されていた。

 

「2009年9月2日――ジェットコースター脱線・暴走事故。犠牲者1名」

 

あまり「ジェットコースター……事故……。これも……あの予言のシステムが引き起こしたっていうの……!?」

 

過去の凄惨な事故すらも、すべては計算されたプログラムの結果であったという事実に息を呑んだその時、部屋のテレビからアナウンサーの重々しいニュース音声が流れ込んできた。

 

『――続いてのニュースです。今月23日で、あの惨劇からちょうど26年を迎えます。26年前の11日後……2000年11月23日、ロシア・アムール川に架かるアムール橋で発生し、63人もの尊い命を奪った「アムール橋倒壊事故」。現地では23日に大規模な追悼式典が執り行われる予定です』

 

画面には、当時の老朽化した鉄骨が凄まじい音を立てて崩れ落ち、濁流と土砂に呑み込まれた巨大な橋の痛ましい映像が映し出されていた。

 

『この事故では、現地を訪れていた日本人3名も犠牲となりました。事故当時、橋の上を通過中だった大型バスが、倒壊の衝撃で崩落した台車から大量に露出した鋭利な建設用鉄筋群の直撃を受け――』

 

テレビの音声を聞いた瞬間、あまりの脳裏にある一つの名前が脳裏をよぎった。

 

幼い頃、パッパラ宿の近所に住み、いつも優しく自分を可愛がってくれた年の離れた大好きな先輩――髙井早織。

2000年当時、あまりはまだ2歳だった。早織は19歳、大学1年生という輝かしい未来を前にした若さで、あまりの前から突如として姿を消したのだった。その死の真実について、幼かったあまりは「海外での不幸な事故」としか聞かされていなかった。

 

あまりは弾かれたようにスマートフォンを取り出し、震える手で検索ウィンドウに打ち込んだ。

 

『髙井早織 死亡』

 

検索ボタンを押すと、画面の最上部に最新の検索AIによる簡潔で、それゆえにどこまでも冷徹な概要テキストが生成された。

 

【AIによる概要】

『髙井早織さんは、当時19歳だった頃、アムール橋倒壊事故の際、崩落した台車の鉄筋によって体を穿たれ、命を落としています』

 

画面に表示された残酷な一文が、あまりの視界を打ち砕いた。

 

あまり「そんな……早織先輩が……そんな、むごい亡くなり方を……っ!?」

 

2000年11月23日のアムール橋倒壊事故。

2009年9月2日のジェットコースター事故。

1999年の航空機墜落事故。

そして、今日――2026年11月12日に起きたソラシド市サーキットの惨劇と、次に待つ11月29日のヘリコプター事故。

 

時代も場所も超えて張り巡らされた、破滅の「数字」と「事故」の連鎖。

かつて自分を抱きしめてくれた温かい先輩の命すらも、世界の均衡を維持するための狂ったシステムの「代償」として処理されていたという事実に、あまりはスマートフォンを抱きしめたまま、足元から崩れ落ちるように泣き崩れた。

2026年11月13日――サーキット事故の惨劇から一夜が明けた早朝。

 

世界中が52人の死と絶望的な事故の報道に揺れる中、X(旧Twitter)をはじめとするSNSのタイムライン上には、ある一つの不気味な投稿が静かに、しかし爆発的な勢いで拡散され始めていた。

 

『予言の数字は人類への警告だ。元凶は誰でもない。この世界のシステムそのものが、世界を存続させるために行なっている。』

 

アカウント名は無機質な記号の羅列で、プロフィール画像も存在しない。だが、その短文に込められた異常な説得力と、2024年の太陽フレア以降に世界各地で頻発する不条理な大惨事のデータが添付されたスレッドは、閲覧した者の心に不穏なざわめきを生み出していた。

 

マコトミライタウンのマンションで重い瞼を開けたあんなは、タイムラインに流れてきたその投稿を目にした瞬間、全身の血が引いていくのを感じた。

 

あんな「この投稿……ただの都市伝説や陰謀論の類じゃない……」

 

画面をスクロールするあんなの指が止まる。その投稿者は、一般には公表されていないサーキット事故の過酷な詳細数値や、2000年のアムール橋倒壊事故、1999年のJXA307便の記録、さらには過去数十年にわたる不自然な大事故の「日付」と「犠牲者数」の整合性を完璧に指摘していた。

 

それは、ひかるたちが提示された「決定論のコード」の構造と完全に一致していた。

 

あんな「まさか……私たちやミラ以外にも……この『世界のシステム』の存在に気づいている者がいるというの……!?」

 

パッパラ宿の24階で、涙に濡れた目を擦りながら同じ画面を見つめていた香田澄あまりもまた、息を呑んでいた。早織先輩を奪った2000年の事故。その裏に潜む冷酷な法則性を、この投稿者は確かに見抜いている。しかし、投稿者は惨劇を阻止しようとしているわけでも、誰かを糾弾しているわけでもない。ただ観測者として、客観的かつ冷徹に「世界の仕組み」を提示しているだけだった。

 

一方、星奈家で力なく画面を見つめるひかるとみれぃの胸にも、確かな戦慄が奔った。

 

みれぃ「このアカウントの主は……誰なのぷり? システムの元凶ではない……でも、ミラのように『破滅の計算』を知り尽くしている……」

 

ひかる「世界の中に……この狂ったシステムの正体を知っている人が……他にもいるの……?」

 

その存在が味方なのか、あるいはシステムが生み出した新たなる「観察者」なのかはわからない。ただ一つ確かなことは、2024年の太陽フレアによって破綻をきたした世界の中で、運命の不気味な歯車をあらかじめ理解し、絶望の深淵を冷静に見つめている「何者か」が確実に現世に潜んでいるという事実だった。

 

11月29日のヘリコプター事故まで、あと16日。

 

システムの恐怖と、それを陰から見つめる謎の知解者の存在が、絶望に打ちひしがれる少女たちの前にさらなる深い謎と影を落とし始める。

 

その夜…

かつてアイプリのトップスターとして輝いていた青空ひまり。しかし、2024年の太陽フレアによる異変以降、彼女の鮮やかなミルキーピンクの髪は元の色に戻ることなく、不気味な変貌を固定されたままだった。

 

そんなひまりは最近、毎夜のように同じ恐ろしい過去の光景にうなされ続けていた。

 

『2025年10月10日――フードコート爆発事故。犠牲者123名』

 

あの日も、システムが弾き出した破滅の数字に従い、無造作に無数の命が奪われた。ひまりの夢の中では、その凄惨な爆発の瞬間に至るまでの日常が、まるで巻き戻されたビデオテープのように鮮明に再生される。

 

走るバスの激しい揺れ。キーッと耳を刺す急ブレーキの音。

 

その拍子に、つり革を握り損ねたひまりの手が手すりの鋭利な金属片に強く擦れ、親指の皮膚を深く切ってしまう。

 

ひまり「あっ……やっちゃった……」

 

血がじわりと滲む親指を見つめ、ひまりは止血しようと咄嗟にその親指を口に含んで強く咥えた。

 

口の中に広がる鉄の味。だが、その痛みに気を取られている間にも、夢の中の時間は刻一刻と破滅の瞬間へ近づいていく。自分が小さなケガをしたその数十秒後、画面の向こうのフードコートは激しい炎と爆風に包まれ、123人の生命が一瞬で灰となったのだ。

 

どれだけ叫んでも、指を咥えて痛みに耐えても、世界の「代償」として計算された事故を止めることはできなかった。

 

「20251010123」

 

過去に刻まれたその恐怖の数列と、昨日のサーキット事故の52人。そして次に訪れる11月29日の13人。

 

覚めない悪夢の輪廻の中で、ひまりは親指の痛みを思い出すように体を丸め、冷たい汗に塗れながら暗闇の中で小さく震え続ける。

夢の中で再生される記憶は、親指の痛みから一気に惨劇の核心へと狂い出していく。

 

バスの窓越しにひまりとみつきが何気なく見上げていたショッピングモールの4階――そのフードコートの広大なガラス張りの壁面が、突如として内側から膨れ上がり、猛烈なオレンジ色の爆炎とともに吹き飛んだ。

 

ドンっ――!!

 

大気を切り裂く重低音の衝撃波が遅れて遅れて届き、走っていたバスの車体を大きく揺らす。4階の高層階から、巨大な窓ガラスの破片がまるで輝く刃の雨のように路上へと降り注いだ。

 

爆発の猛威はそれだけに留まらない。爆風の直接的な圧力に押し出され、逃げ惑う余裕すら与えられなかった無数の人々が、砕け散った窓の縁から、空中へと放り出されていく。

 

「キャああああああっ!!」

「うわあぁぁぁっ!!」

 

悲鳴が交錯し、地上のアスファルトへとなぎ払われるように落ちていく人々。平和だったはずのショッピングモールの周囲は、一瞬にして地獄絵図へと変貌を遂げた。

 

バス内にいたアイプリの少女たちは、目撃した光景のあまりの凄惨さに悲鳴を上げ、パニックに陥りながらも「逃げなきゃ!」「みんな、降車ドアへ!」と押し合いながら必死に屋外への避難を試みる。指を咥えたまま固まっていたひまりも、みつきの手を強く引かれ、足をもつれさせながらドアへと駆け出した。

 

だが、少女たちがどれほど足掻き、悲鳴を上げようとも、空を焦がす炎と積み重なる惨状は容赦なく広がっていった。

 

2025年10月10日。

フードコート爆発事故。

 

あの日、あの場所で、システムが世界の崩壊を防ぐ「代償」としてあらかじめ計算し、奪い去った尊い命の数は、正確に123人。

 

「嫌……嫌ぁぁぁっ!!」

 

冷や汗で濡れた布団の上で、ひまりは跳ね起きるように目を覚ました。暗い部屋の中に、自分の激しい喘息のような呼吸音だけが空虚に響く。

 

2024年の太陽フレア以降、元に戻らなくなった自分の髪。

2025年に起きた123人のフードコート爆破。

そして昨日、2026年11月12日に予言通り発生し、52人の命を奪ったサーキット事故。

 

過去から現在へと途切れることなく完璧に接続されている「確定された惨劇」の鎖。親指に残る錯覚のような痛みを抱えながら、ひまりは膝に顔をうずめ、次に訪れる11月29日の「13人」という数値の冷たさに、ただただ絶望の涙をこぼし続けることしかできず、そのまま動けなくなってしまった。

70 b3 c0n71nu3d…

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