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いつもお読みいただきありがとうございます!
今回から主要人物として、『名探偵プリキュア!』より「明智あんな」が登場いたします!

本作における明智あんなは、2027年から1999年へとタイムスリップした過去を持つキャラクターです。
しかし、そこで彼女を待ち受けていたのは「太陽の異常活動」という過酷な現実でした。
1999年9月19日に発生した大規模な太陽フレアにより、仲間である他のプリキュアたちが命を落とす中、彼女だけはジェット先輩、ポチタン、シュシュタン、マシュタンとともに1999年を間一髪で脱出し、2011年へとたどり着きます。

大切な仲間を失った深い悲しみを経験したからこそ、彼女は命の尊さと生きることの厳しさを誰よりも知っています。

また、2011年へのタイムスリップの代償として、彼女の容姿には大きな変化が現れました。
毛先がハート型にカールし、先がピンク色にグラデーションしたボリューミーな紫色のツインテール——現在の彼女の姿には、そうした過酷な過去と代償が刻まれています。

複雑な過去を背負った彼女が、今作でどのように物語に関わっていくのか。
それでは、第7話をどうぞお楽しみください!


第7話「もし予言に限りがあるとしたら、最後の数字には一体『何人が死ぬ』と?」

2026年5月6日・夜、あかりの部屋。

 

息が詰まるような一日の終わり、あかりは一人自分の部屋で佇んでいた。

窓の外は不気味なほど静まり返り、昼間の重苦しい空気がそのまま夜の闇へと溶け込んでいる。

 

その時だった。

 

パッと視界が白く弾けたかと思うと、自室の壁という壁が一瞬にして光を放ち、周囲ぐるりと巨大なスクリーンへと変貌を遂げた。

 

あかり「な、なに……!? 壁が……!?」

 

あまりの現象に息を呑み、後ずさりするあかり。

すると、どこからともなく、頭上からも足元からも包み込むような謎の声が部屋中に響き渡った。

 

『なぜ予言が現在まで続いているのか、知りたい?』

 

あかり「誰……!? 誰なの……!?」

 

あかりの問いかけに応えるように、壁一面を覆っていたスクリーンが一瞬で真っ黒に暗転する。

 

次の瞬間、黒く染まった空間の四方から、白い光の線が幾何学的に走り始めた。正方形の無限のグリッドが地平線の彼方まで広がっていき、あかり自身がまるで世界の境界線を失った異次元の空間の真ん中に放り出されたかのような錯覚に包まれていく。

 

壁も、天井も、床すらもなくなり、どこまでも続くグリッドの光だけが怪しく浮かび上がっていた——。

 

幾何学空間(時空の隙間)。

 

無限に広がる白いグリッドの闇の中で、あかりは息を呑んで立ち尽くしていた。

 

四方を包み込む光の壁の奥から、静かな足音が響く。闇を払うように現れたのは、かつて「キュアアンサー」として戦い、15年の歳月を重ねた明智あんなの姿だった。

 

あんな「ごめんなさい、急に呼んでしまって」

 

あんなの髪は、毛先がハート型にカールし、鮮やかなピンク色へとグラデーションするボリューミーな紫色のツインテールへと姿を変えていた。その神秘的でどこか寂しげな佇まいに、あかりは胸を強く打たれる。

 

あかり「これが……プリキュア……。私も、会いたかったよ」

 

あかりの言葉に、あんなは切なくも温かい眼差しを向け、静かに語り始めた。

 

あんな「2027年1月24日から、私は突然1999年4月1日へとタイムスリップした……。だけど、そこで直面したのは太陽フレアの脅威だったの。その影響でジュエルキュアウォッチは機能を失い、変身することすらできなくなった……」

 

あんなは悲痛な面持ちで、遠い過去の記憶をなぞるように目を伏せた。

 

あんな「1999年9月19日……前例のない大規模な太陽フレアが地球を襲った。地球上のすべてが焼き尽くされ、あらゆる命が絶たれる絶望的な状況……。私はジュエルキュアウォッチに残された緊急タイムスリップ機能を使い、ジェット先輩、ポチタン、マシュタン、シュシュタンを連れて、奇跡的に2011年7月24日へと逃げ延びたの。この姿はその代償……過去と現在で、私の姿は大きく変わってしまった」

 

あんなの声がかすかに震える。その背負った過去の重みが、空間全体に波紋のように広がっていく。

 

あんな「でも……もし私が生き残っていなければ、今のような時代はなく、地球そのものが消滅していた……。相方だったキュアミスティックの小林みくるちゃん、怪盗団ファントムのニジー、アゲセーヌ、ゴエモン、ウソノワール、キュアアルカナ・シャドウの森亜るるかちゃん、キュアエクレールの帆羽くれあちゃん……そして、まことみらい市のたくさんの市民の方々……全員が、太陽フレアに焼かれて死んでしまったんだよ……」

 

溢れ出そうになる涙をこらえるように、あんなは胸元を強く握りしめた。

 

あんな「どんなに私たちが足掻いても、結局運命は変えることができなかったんだって……2011年に辿り着いてからずっと、私は一人で暗い悩みを抱え込んでいたの。でもね……私が諦めずに繋いだその一歩があったからこそ、今、こうしてあなたの生きる世界が存在している。自分の選択が今の未来を創ったのだと知って、私はようやくその悩みから救われたの……」

 

あんなはまっすぐにあかりの目を見つめ直し、力強い眼差しを向けた。

 

あんな「だからこそ、あかりちゃん……あなたに覚えていてほしいの。予言が絶えない世界だからこそ、今から備えておくことが何より大切なのだということ。失われてしまった命は、もう二度と帰ってこない。それは動かせない悲しい事実……だけど、その悲劇を知り、生き抜いたからこそ『生きていてよかった』と思える未来が、きっと訪れるはずだから」

 

運命の冷酷さに打ちひしがれていたあかりの心に、あんなの紡ぐ言葉が、消えることのない確かな光となって静かに染み込んでいった。

 

あんなの言葉を噛み締めながらも、あかりの胸には一つの大きな疑問が浮かんできた。終わりなき予言、そして避けられない運命の数々。その果てにあるものを確かめるように、あかりは静かに問いかけた。

 

あかり「ねえ……じゃあ、もし予言に限りがあるのだとしたら、最後の数字には一体『何人が死ぬ』って書いてあるの……?」

 

その問いに、あんなは痛みを堪えるような眼差しで一瞬目を伏せ、ゆっくりと口を開いた。

 

あんな「……約80億人。もし予言がそこで終わるとしたら、地球上のすべての人が、何かしらの災厄で命を落とすことになってしまうの……」

 

重く冷たい言葉が空間に響き渡る。息を呑むあかりに向かって、あんなは優しく、しかし確信に満ちた声で言葉を続けた。

 

あんな「でもね、あかりちゃん。予言が無限に続き、私たちがこうして未来へと命を繋いでいる今だからこそ……あの時のような全滅の二の舞は、もう絶対に起きないの」

 

あんなの手がそっとあかりの肩に触れる。

 

あんな「予言が続くということは、世界が続いていくということ。災厄を知り、備え、立ち向かう意志がある限り、絶望の果てにある終わりは訪れないんだよ」

 

その力強い言葉は、無限に広がる暗闇のグリッドの中に、消えることのない確かな希望の灯火として温かく灯り続けていた。

 

2026年5月6日・深夜、あかりの部屋。

 

あんな「だから、今から予言に対する備えが必要なの。……今夜はこれぐらいで」

 

あんなが静かに微笑み、指をパチンと弾いた。

 

次の瞬間、四方に広がっていた光のグリッドが水泡のように弾け消え、見慣れた自分の部屋の光景が一瞬で戻ってきた。

 

静まり返った部屋。壁はいつもの壁紙に戻り、窓の外には静寂な夜空が広がっている。

 

あかりは自分の手を見つめた。そこには、あの謎の女性から渡された小さな小石の冷たさと、あんなから託された重くも温かい言葉の記憶が、確かに残されていた。

 

あかり「備えること……生きていくこと……」

 

母であるひかるが深い絶望の中で眠る隣の部屋の気配を感じながら、あかりは小さく息を吸い込んだ。

 

新幹線衝突事故が迫る5月21日、そして観星町を襲うという8月末の巨大な台風。

 

避けられない運命の歯車が回り続ける中で、自分たちには何ができるのか——。あかりの瞳に、かすかな、けれど消えることのない決意の光が宿り始めていた。

 

地球最後の日、ひかるの夢の中・観星町の路上。

 

果てしない赤紫色の雲が空を覆い尽くし、世界が終わろうとしていた。そして、朝の空は異様にオレンジ色みを帯びていた。空にはすでにオーロラのような、太陽フレアの炎が見えている。

 

星奈ひかるが夢の中で見ていたのは、「もし予言に終わりが存在し、最後の予言通りに地球が焼き尽くされるまで、あと1時間」という最悪の未来だった。

 

車のスピーカーからは、重厚で悲愴に満ちた『ベートーヴェン交響曲第7番 第2楽章』の旋律が静かに流れ続けている。ひかるはただ前だけを見つめ、15年前に家族と暮らしたあの懐かしい家を目指してハンドルを握りしめていた。

 

車窓の外に広がる街は、まさに真・地獄絵図そのものだった。

 

「嫌だ!!死にたくない!!」

 

「お願いだ!こんなので死ぬのは御免だ!!」

 

「あぁもう、どうすりゃいいんだこれ!?」

 

「どうしようもないなんて、信じられねえ!死ぬしか方法はないなんて、あんまりだぜ!!」

 

溢れかえる市民たちの叫びと悲鳴が絶え間なく重なり合い、街中をパニックの渦が飲み込んでいく。

 

やがて、たどり着いた懐かしい我が家。扉を開けると、そこには15年前と変わらない温もりを持った家族が待っていた。

 

ひかるは静かに家族と身を寄せ合い、流れる重厚なクラシック音楽を聞きながら、世界の終わりとなる最後の瞬間を迎えるのだった。

 

2026年5月7日・早朝、星奈家・ひかるの部屋

 

「ハッ……!」

 

荒い呼吸とともに、ひかるは跳ね起きるように目を覚ました。

 

額にはびっしょりと冷や汗が滲み、全身が小刻みに震えている。窓の外からは、いつもと変わらない静かな朝の光が差し込んでいた。

 

ひかる「夢……あんなの……あまりにも恐ろしい夢……」

 

胸に手をおて激しい鼓動を鎮めようとしながら、ひかるはベッドの上で息を整える。

 

1000年先まで絶え間なく続くという予言。

もしもその予言に「限り」があったとしたら訪れてしまう、あの絶望的な世界の終わり。

 

あかりが持ち帰った「備えが必要」という言葉の意味と、夢の中で見た圧倒的な地獄絵図の記憶が交差し、ひかるの心に重い波紋を広げていくのだった。

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