懸木の民の戦士であるキィニチは、チャシクが察した通り経験豊富な熟練の竜狩り人であった。
いかなる時でも冷静沈着であり、高い分析力で相手の脅威と弱点を的確に見極め対処する。故に彼の依頼達成率の高さはナタ全土で見ても指折りと言えるだろう。
そんな実力者であるはずのキィニチに
久しく感じていなかった戦慄が走った。
「なんだ………アレは………」
聖火競技場へ向かっていた最中にただならぬ轟音と揺れを感じた彼は、大規模なヒルチャールの一団と龍との戦闘————
————否、蹂躙を見た
クク竜に近しい翼を持つその巨龍によって
戦士は尾に薙ぎ払われ
射手は炎の塵と消え
魔術師は火球となり爆ぜ
王者は大地の一部となり
その鱗に唯の一つも傷を負わせる事叶わず、一団は瞬く間に壊滅したのだ。
キィニチはその目に刻んだ
その龍の並外れた力を
その龍の威容を
その龍の————————
————————————————————————
「(……こいつは絶対に野放しには出来ない。今ここで逃せば、後で後悔する……そんな予感がしてならない)」
キィニチは普段ならまず頼ることの無いであろう戦士としての勘にこの時ばかりは従い
「(見極める必要がある。この龍の————
大剣を目の前の古龍に向けて構えると
———本質を)」
一気に駆け出す
古龍はその動きに即座に反応。右腕の巨剣を体ごと叩きつけ大地を穿つが右に避け懐に飛び込む。そこに間髪入れず鞭の様な尻尾がうなりをあげキィニチの足下目掛けて振るわれ、今度は素早く飛び越えこれも回避。古龍はその勢いのまま、左腕の曲刀を横薙ぎに振り抜き首を切り裂こうとするも、上体を限界まで反らして紙一重でやり過ごし
『ガアァァァッ!!!』
鋭利な牙が並んだ大顎がキィニチに喰らいつこうと迫るが
「っと!」
腕から素早く伸ばした鉤縄による空中移動で素早く脱出し、古龍の口撃は空振りに終わる。空中で体を捻り方向転換すると再び鉤縄を飛ばして跳躍し、すれ違い様に古龍の喉元へ大剣の斬撃を見舞い地上へ着地する。
「……通るならここかと思ったが、やっぱりダメか」
しかし結果は最初に背後から攻撃した時と同じであった。薄く傷が入った喉元に指を沿わせながら、古龍は何処か嬉しげに目を細める。
『懸木の民……中々の使い手だな。それにその鉤縄は草元素と燃素によるものか?……実に興味深い』
「そっちの攻撃はちっとも当たらねぇなぁ?鈍重過ぎて欠伸が出るぜ。今度はご自慢の火でも吐いてみるかぁ⁉︎」
「(一撃が重い右の巨剣、リーチの長い柔軟な尻尾、左の曲剣は攻撃スピードが速い。そして捕縛目的も兼ねた噛みつき攻撃……体を回転させてながらこれらを順番に繰り出して戦うのか)」
古龍に向け尻を振りながら挑発するアハウをよそに、キィニチは分析する。
『……その提案を、承認しよう』
すると古龍は大気を吸い込み胸と喉を数瞬燻らせると、眼下の人間へ向け大量の火焔を一気に吹きつける。予備動作を見ていたキィニチは再び空中へ飛び上がり難なく回避すると
「これでも喰らいなデカブツがぁ‼︎」
ドドドドドッ!!!!
キィニチの腕と一体化したアハウが小銃に変身し、宙を飛び回りつつ大量の弾丸を古龍に浴びせる。狙うは頭と炎を吐いて露出している口内。炎の射程範囲外からの射撃は、その全てが吸い込まれる様に目標へと命中し周辺が黒煙に包まれる。
『ぐっ!ぬおぉ⁉︎こ、これはまた珍妙な攻ゲホッゲホッ……!』
ダメージついでに目眩しも兼ねた攻撃により、こちらに吐かれていた炎は明後日の方向へと向く。どうやら狙い通りに此方を一時的に見失ったようだ。
「(……ここまでは上手くいっている)」
そしてこの龍の実力だけでなく、性質も少し分かってきたようにキィニチは思う。
「(自らの力に溺れている訳でも無ければ、アビスに精神を汚染されている様子もない。人語を解する知能の高さに大きな体躯と力がありながら、荷車を襲ったとこっちが問い詰めれば目に見えて焦り始める罪悪感らしき物も持ち合わせてる)」
場所を悟られぬよう飛び回りながら大口径弾に切り替え、思考を回す。
「(龍のプライドをわざと傷つけるように挑発すれば、それにあっさり乗ってこっちの望む展開をまるでなぞるように順当に戦いへ移行した。その割に戦い方は怒りにまかせた力づくじゃ無く、まるで戦士のような冷静かつ丁寧さすら感じる。)」
「(理性的だ……そして今のこの状況。余りに
この龍、やはり此方の思惑を————
『考え事か?』
「(————っ!)」
ゴォッッッ!!!!
古龍の周りに漂っていた黒煙を裂き、空中を鉤縄でキィニチが移動していた軌道上に巨大な槍が突き込まれた。すんでの所で身を捻り、服の一部を掠めたが辛うじて回避する。
「あんの野郎…こっちの死角に隠れて翼の剣を大槍に変形させてやがったのか。龍族の風上にも置けねぇ姑息な手を使いやがって!!」
『クハハハハ……お褒めの御言葉痛み入るぞ聖龍殿』
すると、古龍は何を思ったか形成した大槍を大地へ勢いよく叩きつける。衝撃で全体に亀裂が走り、バラバラに砕け————
『まだ、戦いは始まったばかりだ』
ジャラジャラ……
『さあ……我にも教えたまえよ、盗人』
粉々になった筈の燃素はしかし散らばる事なく
ジャキンッッ!!!
「………勘弁してくれよ」
鎖状の、長大な
『愚かな龍の、扱い方とやらを』
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・キィニチside
目的の為龍に対してはあんな事を言ったが、実の所荷車の一団をこの龍が襲った瞬間は俺は見ていないし確証も無かった。ヒルチャールの死骸がそこら中に転がっていながら、行商人や護衛の遺体も血痕も何処にも見当たらないためだ。
落ちていた護衛のものと思しき剣も直近に戦闘で使われた形跡は無かった。恐らくその場から逃げようとした際に落としたのだろう。
そして龍がヒルチャールや俺と戦っている時、奴は攻撃の余波が荷物に当たらぬよう気にかけてはいるようだが、それ以上の執着は見られない。荷物を目当てに荷車を襲ったとすれば、片時も荷車の側を離れようとはしないはずだ。
……まさかこの龍、行商人の一行がヒルチャールに襲われているのを助けたのか?だから荷物に対する執着があまり無く、人を襲う事なく逃したから人の遺体や血痕も見当たらなかったのか?
この龍を危険な邪竜と判断するのはまだ早計なのか?………
だとしたら
この龍がヒルチャールとの戦いの最中見せた
———そんな事を考えていた途端、
突如飛んできた槍の一撃を間一髪躱したと思ったら、今度は俺が使っていた鉤縄を即興で再現された。見たものを燃素で制限無く自由に生み出せるとすれば、こいつには一体あとどれほどの手札があるのか。
………やはり俺だけで測れる存在では無い。炎神様に確実に伝える為にも、そろそろ撤退するべきか……?
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•チャシクside
……まぁ、荷物を狙った盗人の可能性は0だよね。こんなデッカい龍の懐にある荷物を、わざわざ龍に挑む危険を冒してまで欲しがるとは考えにくい。
最初の攻撃から今までの身のこなし、それにあの鋭い眼光は間違いなく数多の死線を潜ってきた戦士特有のものだ。……幼い頃見た祖父もあんな眼をしていた。そんな人が敢えて俺を挑発し戦いを望む理由とは一体何か。
仮に危険な力を持つ龍である俺を始末するつもりなら、たった一人で挑む様な真似はしないだろう。となれば、他に考えられるのは……
その前段階。俺の実力と危険性を測っている可能性。情報が手に入った後は撤退して上に報告し、改めて準備を整え討伐隊を派遣する……といった具合かな?
グヘヘ…であれば実に好都合。丁度俺もこの身体の実力が知りたかった所なんだよねぇ……。
これだけの強者にお相手してもらえるんだ。こちらはあくまで「盗っ人と思われる輩から荷物を守る為」という大義名分の元、カチーナ達が戻ってきて事情を説明してもらうまで時間の許す限り戦おうじゃないか。
「聖龍」の名を騙るヤモリのお仕置きも兼ねてなぁ……!
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「や、野郎っ……!どこまで俺様をコケにすれば気が済むんだ!!この神聖なる領主である俺様の技を真似しやがるとは!!!」
アハウが苦々しげに悪態をつく中、キィニチもまた焦りを感じていた。
古龍が繰り出してきた槍のリーチは尻尾を上回り、それが鉤縄に変化したことで更に伸び、その長さは全長の実に3倍近くにまでなっている。
『ふっっ!!!』
ギュオォォォッッ!!!!
「——くっ!!」
更に攻撃速度まで上がった。巨体の割に俊敏とはいえ、こちらが上回っていた機動力という優位性がここにきて崩れる。
「………撤退する。これ以上戦うのは危険だ」
そう言うとキィニチはアハウの反論も待たずに踵を返し逃走を図る。
『今度は追いかけっこか?』
それをみた古龍はすぐさま翼を広げて飛び上がると後を追った。
キィニチが目指すのは深い渓谷。そこに以前クク竜に追われた時に使った逃走経路はある。障害物のない空中は高い空戦能力を誇るクク竜の領域であり、そこでの戦いは分が悪い。しかし、見上げるほどに巨大な岩肌が両側から迫り来るようにそびえるこの渓谷では、クク竜が翼を広げて飛ぶには幅が狭く不用意に入ってこれないのだ。
「(奴はクク竜の成体とは比にならないほどの大きさ……まずこの渓谷には入れない筈だ)」
未使用の
『ほっ』
ガチィッッ!!!!
「———んなぁ!!??」
「……………冗談だろ」
キィニチ達が見たのは、丁度自分たちと同じように鉤縄を駆使して渓谷内を縦横無尽に飛び回る古龍の姿であった。飛ぶために広げていた翼はピタリと閉じられ、スリムな姿になって岩の合間を縫うようにキィニチ達へ迫り来る。
「おいっ!!まだ追ってきやがるぞ!!!」
「チッ!……次の逃走経路を使う。そこまで逃げ切るぞ!」
キィニチは体調の悪い日に見る夢でも見ているような気分だった。あんな巨大な龍がその翼を使う事なく、まるで人間のように鉤縄で空中を翔けるなど悪い冗談にしか思えない。中に懸木の民の人間でも入っているかのような慣れた動きだ。
しかも鉤縄を伸ばして引き寄せた際に必ず起こる失速時、谷の岩肌を蹴ることで速度を維持…否、寧ろ加速している。
両者の距離は少しづつ、しかし着実に狭まってゆく。
危険を感じたキィニチは
手首の安全装置に指をかけた。
『クッハッハッハ!!ここまでの様だな盗人。己の実力を過信などせず
ギュオォォォッッ!!!!
『荷物の事すっかり忘れてたああぁぁぁ!?!?』
勝利を確信した表情の古龍が突如、血相を変えて器用にUターンすると元来た道を猛スピードで飛んでいってしまった。
「……………………」
キョトンとした顔で呆気に取られるキィニチ達だけがその場に残され、渓谷に再び穏やかな静寂が訪れた。
夥しい量のヒルチャールの遺体、焼け野原、そして地割れが広がる平野の真ん中に忘れ去られた荷車。
「?………⁇」
そこに何処からともなく現れた一匹のヒルチャールが、興味津々といった様子でそれに近づいてゆく。手に持った棍棒でチョンチョンと荷車をつつき、危険な物でない事を確認すると
反対の手を恐る恐る伸ばし
『……その薄汚ねぇ手で———
グググッッ……!!
『触れるんじゃねええぇぇぇっっ!!!!』
ドッゴオオォォォンンッッ!!!!
荷車に近づく不届者に元の形に戻した燃素巨剣で天罰を喰らわせると、古龍は荷車の無事を改めて確認する。
『ゼェッ、ゼェッ、ゼェッ………良し、異常無しっと。フゥ、危ない危ない………………ん?』
「おぉーーい!チャシクー!!大丈夫ーー⁈」
するとそこに、行商人一行を競技場まで送り届けたカチーナが合流した。
『お、カチーナか!この通り荷車は無事——
「ハッハァーッ!!とうとう背中を見せやがったな!!!偉大なる聖龍クフル・アハウ様を前にあれだけ狼藉を働いた挙句背を向けるなど、タダで済むと思うなよぉ!?」
———っ⁈』
「やはり速いな、これじゃ荷物の回収も無理……っ‼︎カチーナ⁈」
「あれ?キィニチお兄さん!」
『————へ?お兄さん⁇』
何故かその場に居合わせたカチーナに、古龍が近づき口をひらいた光景を見たキィニチは
「っっ!!そこから離れろカチーナッ!!!!」
迷う事なく
「アハウ!!!カチーナは巻き込むなよ!!」
「ハァーハッハッハァ!!!待ちわびたぜこの時をよぉ!!思い知れ無礼なデカブツ野郎め!!!!」
そして巨大なドットの龍へと変貌したアハウの口内に真っ黒な高エネルギーが充填される
『………え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?!?あ、あの姿、ま、まさかホントに龍だったのか!?』
「最初からそう言ってんじゃねぇか!!!どこまでも癪に障る野郎だな貴様は!!!……この聖龍クフル・アハウ様の尊き真の姿をその目に焼き付けて死ねる事、光栄に思え!!!!」
眼下の古龍へ向けて極限まで圧縮された黒いエネルギーを解放し
ゴオッッッッ!!!!!
巨大な黒の奔流となって放たれた
『——っ!カチーナッ!!!!』
「きゃっ⁉︎」
「⁉︎」
ドゴゴゴゴオォォォォッッ!!!!!
「ケホッケホッ……チ、チャシク!大丈夫⁈」
「へへっ!くたばったかあの野郎………あん?」
「……………これは」
大規模な爆発の後、黒煙が晴れたその爆心地にあったのは
無傷のまま破壊光線を免れた荷車と少女
そして———
「…………………燃素切れの状態でデカい攻撃貰うと人に戻るのか。ゲフッ」
髪をチリチリに焦し真っ黒になった、少年の姿であった。
————————————————————————
「カチーナのお兄様でいらっしゃいましたか………」
「あぁいや、カチーナがそう呼んでるだけで別に血縁じゃ無いんだが。……俺はもう気にしてないから、頭を上げてくれないか?」
「ギャハハハハッ!!いい眺めじゃねぇか!おい、誰か写真機を持ってる奴はいねぇのか?記念に何枚か撮って家と競技場の掲示板に飾ってやりてぇ所なのによぉ!!!」
その後、カチーナの経緯説明により両者の誤解が解け、チャシクは誰に言われるでもなく即座にキィニチに向け土下座を敢行した。ちなみに荷車をヒルチャール達から守り抜いた功績を考慮したカチーナからのお咎めは無しだった。
「死んだら古龍に転生してた、か…まるで御伽話みたいだな。しかしあの巨大な古龍の中身が、本当に懸木の民出身の奴だとは思わなかったよ。若いのに見事な鉤縄捌きだ」
「……今更だけど、信じてくれるのか?こんな俺でも荒唐無稽に思うような話」
「ああ。あの時君は、アハウの攻撃から
そう言うとキィニチは真剣な表情でチャシクを見つめる。
「………なぁ、チャシク。俺から一つ君に聞いておきたい事があるんだ」
キィニチは言葉を選ぶ為少しの間を置くと
「君は…………アビスが憎いか?」
「え?……んーまぁ、ナタに度々現れては犠牲になってる人達がいる訳だし、俺が住んでた里を襲撃して実際自分も殺されてるから、人並みに憎んでるとは思ってます」
「……………………そうか」
キィニチはチャシクの言葉を聞くと、真剣な面持ちを和らげ、頭を下げた。
「変なことを聞いたな。………今まで君に言った事、行動を謝罪させてほしい。行商人と荷車を守る為に戦ってくれた君を、悪龍と疑ってしまった」
「いやいやっ俺の方こそ!!あそこまでやるつもりは無かったんだけど、貴方みたいな強い戦士と戦えるのが楽しくて、嬉しくなっちゃって……すいませんでした」
「……うん!これでお互い仲直りできたかな!」
二人の横ではカチーナがお互いに謝り合った様子を見届けると明るく笑いかけた。
「あ、それからアハウ、君にも謝らなくちゃだよな」
「…あぁん?今更おめぇみたいなチビが何言ったところでこの俺様の怒りが収まるとでも…………」
するとチャシクは、目の前に浮かぶアハウの前で
片膝をつき、胸に手を当て首を垂れる。
「烈炎の国の領主にして、偉大なる聖龍クフル・アハウ様。これ迄の失言と行為を心より謝罪するとともに、この私【チャシク・ララミディア】の最大限の畏怖と敬意を、どうか御受け取り下さい」
その場にいた全員の目と口が開いたまま塞がらなかった。
「…………………いいだろう。お前のその言葉、しかと受け取った。このクフル・アハウ様は度量が広いからな。これまでの狼藉は水に流し、我が名、我が威容を畏れ讃える事を赦そう。今後も我が信奉者として益々励むが良いぞ!ハァーッハッハッハッハ!!!」
アハウは満足気な高笑いを残してキィニチの腕輪に消えていった。
「へっ、チョロいぜヤモリめ」
「…………お前も龍の扱いに慣れてるな」
「あのー、荷車の積荷の載せ替えが終わりましたー。壊れた荷車は後日撤去ということになりそうです。お二人のお陰で全ての荷物を無事に送り届ける事ができそうです。本当にありがとうございました!」
護衛を伴って荷物を回収していた先ほどの行商人がチャシクとカチーナにお礼を言う。
「いえいえ、当たり前の事をしただけですよ。カチーナもありがとうな。競技場まで何度も往復するはめになっちゃって……」
「ううん、全然大丈夫だよ!」
「……俺も競技場に用があったんだ。護衛の人数は多いに越した事はないし、俺も同行させてくれ」
「おぉ、貴方は【
「カチーナと同じ古名持ち⁉︎道理で強いわけだよ……」
「キィニチお兄さんは私なんかよりずぅーっと強いよ!」
「そういうお前も、あの姿での武器捌きは見事だったぞ。随分独特な戦い方だったが、あれは誰に師事してもらったんだ?」
「あぁ、あれは独学で————
みんなで雑談に華を咲かせながら、一行は歩みを進めた。
当初の目的地である聖火競技場まで、もう間もなく。