暗い
暗い
暗い
一片の光も届かない闇の中
そこから私達を見つめる魑魅魍魎達
ほんの十匹程を斃した所で活路など生まれない
本で見た英雄や父のようにはいかない
刃毀れした剣を握る手の震えが止まってくれない
私は助からないのか
私では救えないのか
私は
ここで死ぬのか———
「おーーーい‼︎助けに来たぞぉー!」
その人は私たちを助けようと単身此処に飛び込み
大きなヒルチャールを切り捨てると
暗闇を照らす、暖かな火を私に手渡してくれた
迫り来る新手から逃れる為皆で出口を目指し
力の限り走ったが
その人も私も悟った
全員は助からないと
その人は追手を食い止めるべく一人で残ると言った
「……大丈夫だから。な?」
その人の言葉を
その人の表情を
「———っっ‼︎………わたしはマーヴィカ‼︎此処から出たら、すぐに助けを呼んで戻ってきます‼︎絶対貴方を………っ絶対に助けるから‼︎」
背を向けたまま手を振る
その人の最期の姿を
私は—————————
明朝。毎日のようにアビスの悪夢にうなされていた彼女だが、今朝だけは様子が違った。
「…………………この夢も、随分と久しぶりだ」
彼女は独り呟くと、目元を指で拭った。
この戦いが終わるまで決して流さぬと決めていた涙は、思った通り指を濡らすことは無かった。
「あれだけ泣いたのは、あの時以来無かったな……さてと」
ベッドから降りると、テキパキと寝巻きを着替えあっという間に朝支度を終える。シェイカーに入ったドリンクを飲み干すと、最後にお気に入りのサングラスを手にとり——
彼女が向かうのは、聖火競技場に常設されているジム。24時間誰でも無料で利用でき、体づくりの為多くの戦士達が通う場所だ。朝一番のジムでの運動がマーヴィカの日課になっている事はナタ人には周知であり、皆が朝の挨拶を交わす。
「炎神様、おはようございます!」
「おはようございます炎神様。今朝もお早いですね!」
「やぁ、おはよう皆」
爽やかに挨拶を返しながらジムへ入りいつもの定位置に向かうと、隣に先客が来ていた。長身なマーヴィカや筋骨隆々な他の利用者に比べ、ここでは少々浮いてしまう程に小柄な少女に見える。
「おはようございます!いつものドリンクはそこに」
「おはよう。いつもすまないな、イアンサ」
イアンサと呼ばれたその少女はマーヴィカへ挨拶すると、使い終わったダンベルを拭いた後
「よっと」
ゴットンッ…
そのサイズに見合わぬ重厚な音と共に持参したカバンにしまった。
マーヴィカはこれから使う器具を炎神専用の棚から選んでいた。毎朝使用しているダンベルに手を伸ばしかけ…
「…今日はこっちを使うか」
その隣、更に一回り大きいダンベルを手に取った。ドリンクを飲んでいるイアンサは、隣でトレーニングを開始したマーヴィカを見て珍しそうに目を見開く。
「あれ、朝にそれ使うなんて珍しいですね?」
「……ん?あぁ、今朝はいつもより目覚めが良くてな。ちょっとした気まぐれだよ」
「へぇ〜………何かいい事でもあったんですか?」
「ふふっ、そう見えるか?」
「はい。なんと言うか…………長らく会ってなかった友人に久しぶりに会えた、みたいな?アタシにはそんな風に見えました」
「…ふむ…………いい事、と言えるかは分からないが。実は昨晩書類の整理をしていた時、興味深い報告書を読んでな。ヒルチャールの一団に襲われた行商人を何処からともなく現れた巨大な龍が助けたというものだ」
「巨大な龍が人を…ですか。でもそれだけじゃ大して珍しく無いんじゃないですか?以前クビナガライノに助けられた事があるってカチーナも話してましたし」
ナタの人々の生活に密接に関わっている竜達。その気性や性格は人と同じく様々であり、野生下であっても人懐っこい性格の竜であれば、人を助けるために勇敢に敵と戦う姿もしばしば報告されている。
「…いや。その報告書によると、どうもただの竜では無いらしい。クク竜にも似た翼を持つその龍は人語を解し、人間の姿に変身までするそうだ。」
「えぇ⁉︎人の姿に?」
「あぁ。それに強さも目を見張るものがある。あの竜を知り尽くしているキィニチが手を焼くほどだ、相当の実力と言っていいだろう」
マーヴィカはダンベルを反対の手に持ち替えると、隣で驚くイアンサの方を向く。
「その者は自らを【チャシク・ララミディア】と名乗ったそうだ。イアンサ、君は人龍漫遊記という本を読んだことはあるか?」
「えぇ、何度か。作風が変わってたんで覚えてますよ。……姿と言い行動と言い、まるでその本に出てくる龍そのものですね」
「案外無関係でも無いかも知れないな。報告によれば強大な力と同時に人間臭さも持ち合わせ、第一発見者であるカチーナに危害が及ぶと見るや、反射的にその身を挺して庇ったそうだ。実際に見極めるまで断定はできないが……もし我々に対しても協力的であれば、あるいはアビスとの戦いにおいて実に頼もしい助っ人になるのではと思ってな」
「………でも、もし危険な龍だとしたら?友好的なフリをしてナタを奪うチャンスを虎視眈々と狙ってる、とか」
「その時は私が出て対処する必要があるだろうな。何か思惑があってそれを隠しているとしても、それを推測するには情報がまだ足りない。出来れば直接会ってみたい所だが———」
そこにマーヴィカとイアンサの会話を遮るように、ジムの扉が勢いよく開かれる。
「お取り込み中失礼します!会場設営中に物資の崩落事故が!」
「失礼します。設営に使用する資材の運搬に遅延が見られます。輸送隊にトラブルがあったようで———」
「失礼します!競技場南東にてアビスの魔物を複数確認しました!数が多く、駐留戦力による対処が難航しており———」
「失礼しますマーヴィカ様!———」
扉の外から雪崩れ込むように人が押し寄せ次々に報告を行い、それを見た二人は顔を見合わせ苦笑する。
「……今の時期では、直ぐにとはいかなそうだな」
「あ、あはは……魔物の対処はアタシが行きますよ」
「助かる。……分かった、これから向かおう。到着が遅れている資材の種類と事故現場のケガ人は?」
マーヴィカは手にしていたダンベルをイアンサと同じく手早く拭き取ると、早足で棚に向かい
ガッコンッッ…
元あった場所に戻し、イアンサから貰ったドリンクを片手に出口へと向かっていった。
「朝から大変だなありゃ……よっしゃ、アタシもやるぞ!朝のトレーニングがてらにシメてやるか!」
イアンサもそれに続き、指をバキボキ鳴らしながらジムを後にした。
————————————————————————
小鳥のさえずりと部屋を照らす朝日を感じて、チャシクは重い瞼を渋々開く。
彼にとって朝とは待ち望むものでは無く、受け入れ難い一日の始まりを知らせる憂鬱なものである。病床に伏す自分に出来ることなど、無気力に外を眺めるか、何百回も読んだ本を読み返す事ぐらいだ。
思い切り外を走り回る事も、両親の仕事を手伝う事も、アビスと戦う事も叶わない。そんな意味も意義も見出せない時間を、ただ死んだように過ごす。それがチャシクの毎日であった。
つい最近までは
「しかぁしっ!今は心も身体も元気いっぱい健康そのものぉ!今なら空も飛べそうだぜ!何なら飛べる!今までは出来なかった事も、今ならどんな事でも思いのままに…………」
宿の出入り口前で狂喜乱舞していたチャシクは一旦動きを止め、深く深呼吸すると
「今なら心ゆくまで鍛練できるっっ!!!!」
「君、朝からそこで大声出さないで。他の利用客に迷惑よ」
「アッスイマセンデシタ」
宿のオーナーであるチアンカにお詫びした後、チャシクは食堂で朝食を済ませると鍛練に使う武器を借りる為サルタリー溶鉱炉前にやってきた。聖火によって浄化された液体燃素が溶鉱炉の中から眩い光を放つ。武器を借りる許可を得るべく責任者を探すが、どうやら今は外しているようだ。
「うーん、誰も居ないな。勝手には持ってけないし…………ん?」
ふとチャシクは、壁際の棚に並べてある武器の一つに目を向けると、近づいてじっと見つめる。
「……ほぉ〜……はぇ〜……凄いなコレ」
その場にしゃがみ込み小声で呟くチャシクが、武器の柄に手を伸ばし———
「あーキミ?悪いけどそこのは勝手に持ってっちゃダメだかんねー?」
それを背後から掛けられた声によって止められる。そこには猫を思わせる耳と尻尾を生やした、ラフな格好の長身な女性が気怠げそうに立っていた。足下にある箱に入った武器を納品する為にここまで運んできたようだ。
「(…こ、これがモノホンのギャル…実在したのか…!)」
「そこの武器は実戦用に鍛えられた売り物の武器だから、訓練には持ってっちゃダメ。使うなら隣の樽に刺してある武器持ってくようにしてね〜」
その女性が指刺した「訓練用。持ち出し一人一本まで」と書かれた樽には、訓練用に刃を削り落とした様々な武器が入っていた。
「あ、そうだったんですか?良くできた剣だなと思ってつい…」
「当然。それはウチが鍛えた剣だかんね。使うのはダメだけど、試しに持ってみる?」
「いいんですか?…じゃあ遠慮なく!」
チャシクは見ていた武器を右手で取ると、天井へ向けて掲げた。
「…うん、思ったとおりすごい剣だ。刀身の燃素の向きが
「…………………へぇ、持っただけで分かるんだ?」
「いや、見てて思った。うーんこりゃさぞいい値段がつい———」
そこまで言いつつ掛けてあった値札を確認すると、書かれていた数字が予想より1ケタ多かった。体が固まりスンッと無表情に切り替わったチャシクは、そっ……と剣を元あった場所に戻した。
「……予想の10倍とは恐れ入りました………」
「ま、一生モノとして使える事を想定した造りと値段だからね。キミも一本ど?」
「何匹ヒルチャール倒せばいいのやら…でも、いつか買わせてもらいますよ」
「おっけ。ウチはこだまの子のシロネン。注文受けてから出来上がるまでだいぶ時間かかるから、予約は早めにね〜」
「俺はチャシクです。これから貯金始めようと思いますっ!……えっと、訓練用の剣ここから持ってきますね?」
記入ボードに武器レンタルと納品証明のサインを書き込んでいるシロネンは手だけひらひらと振ってその言葉を肯定する。チャシクは樽から武器を見繕うと、シロネンに礼をして去っていった。
「……両手剣を
サインを終えたシロネンは不意に当たりを見渡し、その場を離れようとして———
ポンッ
「あぁ、丁度いい所にいてくれた。シロネン、会場設営の人手が足りないらしいから君も助っ人に行って欲しいんだが頼めるか?」
「…………スゥーー……ハアァァァァァ………」
一番見つかりたくない相手に捕まってしまった。
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「オラッ喰らいやがれ‼︎」
「そっち行ったぞぉ‼︎」
「応援はまだ来ないのか⁉︎」
競技場南東にて繰り広げられているヒルチャールと駐留戦士達の戦闘は、両陣ともに戦力的には互角であり一騎当千の強者が居ないため、決め手に欠ける膠着状態であった。戦士側も大きな負傷者を出さずにうまくやり過ごしてはいるが、戦況は芳しく無い。
その時、この状況を打破すべく駆けつけた
「おぉ!応援が来たぞ‼︎イアンサさん…………と誰だあいつ⁇お前知ってる?」
「いや、俺も知らねぇな…」
敵も味方も数が多い戦況を考慮し、龍化はこの場でするべきでは無いとチャシクは判断した。駆けつけたもう一人の戦士が突っ込んで行く様子を視界の端に捉えながら、両手剣の柄を握りなおす。
「(燃素の通りはまずまず。刃の付いてない両手剣だけど……重量と燃素でカバーすればいけるだろ)」
するとチャシクは燃素を剣全体に込めながら別方向にいる敵へ向けて駆け出した。両手剣の柄と本来刃が存在する位置に緋色の光を収束させながら、敵陣の先頭に立つヒルチャールが振るう棍棒にぶつかる直前
「ギャギャギャアァァァ!!!(スカッ)……ギャ⁇」
相手を見失った敵が頭上を見上げると
燃素の鎖を柄に巻き付けた両手剣を振り乱しながら跳躍したチャシクが
「殲滅、開始ィ!!!!!」
ドッゴオオォォォンンッッ!!!!
遠心力の恩恵を存分に受けた両手剣を大地に叩きつけた。轟音と共に数匹のヒルチャール達が衝撃であえなく吹き飛び、大地に突き刺さった剣を軸に鎖を引き絞ったチャシクが遅れて高速落下し、二度目の轟音が周囲を揺らす。
敵陣のど真ん中に大穴を開けて着地したチャシクは、手に握った鎖を波立たせ一瞬で剣を引き抜くと、それを巧みに操りヒルチャールの群れを次々に刈り取り叩き潰してゆく。ただ円状に振り回すだけの単調な動きでは無い。まるで意思を持った大蛇が獲物を狩るかの如く獰猛に暴れ狂う。
訓練用の為刃が備わっていない両手剣がチャシクの手により燃素の刃を与えられ、暴徒が持つ巨大な盾すら触れる事なく溶解させ両断する。この剣撃を止められる実力者は、残念ながらこの群れには存在しなかった。
「アッハハハハ!!思ったとおりだ!キィニチと戦った時から考えてたけど、中々悪くないじゃんか!」
この戦闘スタイルは彼の本来の戦い方とは異なる。手持ちの武器は両手剣一本、龍化を封じ、広範囲攻撃も可能ながら味方を巻き込まぬよう位置調整が容易という理由から、先日戦ったキィニチの戦闘スタイルに着想を得て採用したアドリブである。
しかしその結果は本人の予想以上に好感触だった。龍化して戦うよりも燃素消費が圧倒的に少なく、対大ボス戦はともかく殲滅戦に向いた良い戦闘スタイルを見つけたとチャシクは内心大喜びであった。
「す、スッゲェ……目で追えねぇよ…」
「あんな強い奴が居たのか…オレ全然知らなかったぜ」
「キィニチみてぇに紐を使って戦ってるけど…ありゃあ別物だな」
他の戦士達はヒルチャールと戦いつつ、突如現れた見知らぬ少年の大立ち回りに目を奪われていた。戦局は完全にひっくり返り、あれだけいたヒルチャール達は瞬く間に数を減らしていく。
「(よしっ、後の敵も数えるほどか。朝からいい運動…)っ⁉︎」
敵を蹴散らしてまわっていたチャシクの目に、背後から斧で今にも切り付けられそうな少女の姿が飛び込んできた。
「っさせるか!どりゃあぁぁぁ!!!」
此処から直接剣を投擲すると少女を巻き込む危険がある為、チャシクは両手剣を目標のすぐ側を通過させ付近の地面に刺し固定すると、鎖を素早く収縮させその勢いのままドロップキックを敢行した。
攻撃はヒルチャール暴徒の顔側面に見事直撃し、斧による攻撃は防がれ————
ゴシャッッ!!!
反射的に少女が背後に放った裏拳が、チャシクの顔にクリーンヒットした。
「ひでぶうぅっっ!?!?」
「っ⁉︎やっちまった‼︎」
衝撃でチャシクは錐揉み回転しながら吹き飛び、地面に転がる。
「………し、締まらねぇ……」
「おいアンタっ!だっ大丈夫か⁈」
誤って殴ってしまったイアンサがすぐさま駆けつけ、伸びていたチャシクの容体と意識を確認する。幸い腰の入った一撃では無かった為大事には至らなかった。チャシクは額を手のひらで数回叩きながら確かな足取りで立ち上がる。
「…ん、問題無し。俺は大丈夫だよ。今のはイイ拳だったぜ…」
「いやホント済まなかった…!後ろから攻撃されるのは分かってたんだが、まさか横から体ごと突っ込んで来るとは思わなくて、拳を止めるのが間に合わなかったんだ。…さっきの戦いを横から見てたが、アンタ大した強さだな!」
イアンサは謝罪すると手を差し出し、それにチャシクが応え握手する。
「アタシはイアンサ!豊穣の邦でトレーナーをやってる。アンタのお陰であっという間に片付いた、礼を言わせてくれ」
「俺はチャシクだ。鍛練できそうな場所を探してたら戦ってるのを見かけてな。君の体格の不利を感じさせないパワフルな戦い方、カッコよかったな!若いのに大したもんだ!」
「……こんなんでも一応成人はしてるんだがな」
「ファ⁉︎すっすいませんでした‼︎若いとか偉そうなコト…」
チャシクは慌てて手を離し勢いよく頭を下げると、それを見たイアンサは快活に笑う。
「ハハハッ!気にして無いよ、この見た目じゃ勘違いしても仕方ないさ。それよりその名前、本に出てくる古龍と同じだな!」
「お、人龍漫遊記をご存知とは!その古龍みたいに強さと優しさを持った子に育って欲しくて両親が付けたらしいです。俺も大好きな本で!」
「成程な。今のアンタの戦いっぷりを見るにその願いは叶ったってわけだ。何か体を鍛える秘訣とかはあるのか?」
「…………あまり深く考えた事無いかも。物心ついた時からがむしゃらに鍛練してたらこーなってたって感じで。最近まで病気で寝たきりだったんで筋肉もだいぶ落ちてますし」
「……ハァ⁉︎ねっ寝たきりだった?本当か⁈………悪い、ちょっと触るぞ」
するとイアンサはチャシクの手を再び握り、ベテラントレーナーの真剣な表情で手のひらから前腕、二の腕から肩にかけてぺたぺたと触診すると、改まってチャシクに問いかける。
「……アンタ、ウチに入会する気はないか?適切な食事とトレーニングをすれば、アンタは今より強くなれる筈だ!」
「アハハ…すいません。光栄だけど、今は元気になったばかりでやりたい事があるんで遠慮しておきます。その後で良ければ、豊穣の邦にお邪魔してもいいですか?」
「あぁ、勿論だ!………そのやりたい事って?」
「……んー…」
その問いにチャシクは背後を振り返る。その視線の先には力尽き消滅が始まったヒルチャール達がいた。
「………ま、色々と。他の色んな部族の集落にも遊びに行きたいですしね!」
チャシクは笑顔でそう答えると、地面に刺さっていた両手剣を引き抜き———
ポッキンッ⭐︎
「………………アッ」
「…………あちゃぁ……」
柄の根本からへし折れた。
チャシクを見送ったイアンサが、ふと振り返り彼の戦いの痕跡を見つめる。
「(………あのスピードにこの破壊力。しかも刃の付いてない訓練用の剣でこの強さか。終始燃素を補給もせずぶっ通しで使ってたのに見た所全く減ってる様子もなかったし、身体に異常も見られなかった……あれでまだまだ余力を残してるとは末恐ろしいな…)」
次にイアンサは彼と話した時を思い返す。
「(……でも話した感じは本当に年相応の少年って感じだったな。普通に人当たりも悪くないし、剣を折った時の表情もアタシには演技には見えなかった。だが……)」
イアンサは顔を上げ、チャシクが歩いていった方向を見つめると腕を組む。
「(やりたい事、か………アンタの目的は何なんだろうな?正直アレを相手にしたくは無いが……そうならない事をアタシは祈るぜ)」
「【チャシク・ララミディア】様よ」
イアンサと別れ、一本
「(修理いくらかかるかなぁ………いやぁーしかしまさか人龍漫遊記を読んでた人が他にもいたとは!俺が読んでた時はあんまメジャーって感じでも無かったけど…こりゃ熱く語り合える同志がもっと増えるかもな!えへへへ…)」
割と呑気だった。
最近主人公謝ってばっかりな気がする…