ありふれた破壊者は世界を繋ぐ   作:RE・RIDE

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第8話 奈落の底

 

Side ハジメ

(ここは…?生きてる?それとももう死んだかな…僕。何で僕がこんな目に合わなきゃいけないんだ…!帰りたい!故郷に…家に帰りたい…!)

「う⋯ん…?ここは…?」

ハジメは洞窟のような場所で目を覚ます。

 

「気が付いたようだね。我が魔王」

「…ウォズ⋯さん?」

気が付くと目の前にはウォズがいた。

 

「もしかしてウォズさんが助けてくれたんですか?」

「ああ。爪熊は私が追い払った」

「ありがとうございます…」

「なに、我が魔王のために尽くすのは当然のことさ。それに…いや何でもない」

「そう言えばツカサは?ノイントを倒したの?」

「ああ。彼は無事だ」

「良かった…」

「あと、彼からこれを預かっている」

「これって…!」

ハジメはウォズから『あるもの』を受け取る。

 

「そしてこれも。奈落の底で落ちているのを見つけたんだ」

ウォズはジクウドライバーとジオウライドウォッチをハジメに渡す。ちなみにガンナーは弾切れで使えなかった。

すると突然ウォズが頭を下げる。

 

「…申し訳ありませんでした。我が魔王」

 

「ちょっ!ウォズさん⁉急に改まってどうしたんですか⁉」

「私が君を見つけるのが遅れたせいで…」

ハジメは彼女が何のことを言っているか理解し、左腕を…いや、左腕が『あった場所』を見る。

ハジメは数分前に奈落の底で目覚め、辺りを散策していたら、数多くの強力な力を持った魔物と相対し、最終的に爪熊と呼ばれる魔物に左腕を切り裂かれ、食われた。

 

「ウォズさんが気にすることはないですよ。確かに恨んでいないと言えば嘘になります。僕だっお人好しじゃありませんから。でも命の恩人を責めるなんて馬鹿なことは僕にはできません」

「しかし…」

 

「それよりも教えてください。僕はどうやったら生き延びられるんですか?」

ハジメの目つきが変わった。

 

「…君は⋯変わらないね」

ウォズはどこか悲しそうな笑みを浮かべる。

 

「え⋯?」

「いや、なんでもない。この本によれば、君は魔物の肉を喰らって生き延びたと書いてある」

「なっ…そんなことしたら…!」

「そう。体が崩壊する。しかし君にはそれを克服する術があった」

「それって何なんですか?」

「答えはこの洞窟の奥にある」

「奥に?」

 

ハジメたちは洞窟の奥に進んできた。

「これって確か…!」

すると光る結晶があり、そこから綺麗な水が垂れていた。

「ああ。どんな怪我や状態異常でも直し、魔力枯渇も回復する奇跡の水、『神水』だ」

「これを飲みながら魔物の肉を喰らえば…生き延びられるんですね?」

「ああ。この本にはそう記されている」

ウォズは『逢魔降臨暦』を見せて言う。

「…ならやります。僕は…いや、俺は必ず生きて故郷に帰ってやる!それを邪魔するものは誰であろうと…殺す…!」

それを見てウォズは少々寂しそうな表情をする。

 

「それより、ウォズはどうしてこんなに俺を気にかけてくれるんだ?」

「…私は未来で君に救われたんだ、我が魔王」

「救われた?」

するとウォズはフードを脱ぐ。

「ッ!その顔…!」

ウォズの顔はノイントと全く同じ顔をしていた。

「お前、女だったのか⋯!」

「私はノイントと同じく真の神の使徒と呼ばれる存在の一人だった。神のお遊びのために地上で多くの人を殺してきた。しかし…私は次第に人間を愛するようになってきた。一生懸命に生きる彼らの生き様に心を撃たれたんだ。だが…神はそんな私を不良品と言い、神の使徒たちに命令を出して私を処分しようとした」

 

「そんな…」

 

「だがそのときに、君が救ってくれたんだ」

 

ウォズはハジメに向かってほほえんだ。

「俺が?」

「ああ。神の使徒たちを一掃し、私には自分を守ってくださったあのときのあなたは、神をも殺す魔の王に見えたんだ。それからはあなたから頂戴したウォズの名を名乗り、家臣として、あなたを良き覇道へと導くべく、あなたに仕えた。しかし…私は君に最良の未来を選択させるどころか、考えられる最悪の道を選ばせてしまった…だから未来のツカサ君、ツカサ殿に与えられた仮面ライダーウォズの力の一つ、タイムマジーンに乗ってこの時代にやってきたんだ」

「そういうことだったのか…ウォズそれなら俺を導いてくれ。俺が⋯故郷に帰るために」

「⋯おまかせを、我が魔王」

ウォズはひざまずいてハジメの手を取る。

 

「手始めに⋯オルクス大迷宮を出るまでに、最悪の未来を選ぶかもしれない別れ道があか?」

「いえ。まだそんな未来を選ぶ可能性はありません。あなたの性格上⋯ね」

「そうか…ならそれで十分だ。ウォズ、これからは俺一人で何とかしてみる」

「…本気なんだね。我が魔王」

「ああ。お前がいるからこそ、導かれてばかりじゃダメだと思うんだ。もっと大事な場面でお前に導いてもらわないといけないからな」

 

「さすが我が魔王だ。ああそうだ。ツカサ君が『五日後に合流しよう』と。場所は分かるからどんどん進んでくれて構わないと」

「ハハッ…!ツカサの奴…分かった」

「ああそうだ、最後に一つ」

「何だ?」

 

「ツカサ君は君が奈落に落ちた時にあるカードを使って君を助けようとしていた」

「それがどうかしたか?」

「そのときにも、君が奈落に落ちたとき同様にクラスメイトの一人が魔力弾を放ち、彼を妨害したんだ」

「…!」

「犯人が誰なのかは君には大方予想がついているだろう?」

「…檜山か」

「その通り」

 

「…分かった。覚えておくよ。復讐するかどうかはこの先決める」

「ではまたお会いしましょう。我が魔王」

「別行動なのか?」

「ええ、私にはまだやるべきことがあるのでね」

「そうか⋯気をつけろよ」

「ああ」

そう言ってウォズは消える。

 

「さぁて、いつまでものんびりしてるわけにはいかねえよな。まずは…魔物を仕留めるための罠を…」

 

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