side ツカサ
俺たちはハジメと共に手頃な場所で火を起こす。
ユエという少女は、先ほどの魔法行使のせいで疲れて眠ってしまっている。
「で。お前のその髪色は何なんだ」
「ああ。魔物食ったらこうなった」
「マジか…ってか説明雑すぎんだろ」
「で、ステータスが今こんな感じだ」
____________________________________
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:49
天職:錬成師
筋力:880
体力:970
耐性:860
敏捷:1040
魔力:760
魔耐:760
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解・時之王[+変身][+形態
変化]
____________________________________
「……………チートの権化じゃねぇか」
「そうか?」
「それでお前…左腕は誰にやられた?」
俺は前から気になっていたことを言う。
「………自分でケリはつけた」
「………そうか」
「ツカサは?」
「ステータスか?そういや最近見てなかったな。どれどれ…」
_____________________________________
矢門ツカサ 17歳 男 レベル18
天職:破壊者
筋力:1000
体力:980
耐性:1100
敏捷:1020
魔力:800
魔耐:950
技能:全属性耐性・物理耐性[+治癒力上昇][+衝撃緩和]・全属性操作・胃酸強化・剣術・剛力・縮地[+空力]・先読・精密射撃・気配感知・熱源感知・高速魔力回復・空間破壊・超高速移動・万能空間・変身・形態変化・ライダー召喚・言語理解
____________________________________
「………お前も大概じゃないか?」
「………何かごめん。それにしても魔物の肉か…」
「⋯食うのか?」
ハジメは魔物肉を差し出す。
「そんなに軽くいけるもんなのか?」
「いや。想像もできないほどの苦しみを味わうことになるぞ」
「………でもお前はそれを耐えたんだろ?」
「ああ」
「なら俺がお前だけにその苦しみを背負わせるのは噓だろう?」
「……生半可なことじゃないぞ。それに人間じゃなくなるかもしれない」
「分かってる。だけど、俺は大切なものを守れる力が欲しいんだ。それに⋯手が届く命は助けたい」
「……昔から変わらねぇな。お前は」
「お前はここ数日で随分と変わったけどな」
「うるせぇ」
ハジメはそう言いつつも、先ほど獲った魔物の肉を差し出す。
「あとこれも」
ハジメは小さな容器を3本差し出す。
「これは?」
「どんな怪我や状態異常でも治せる『神水』だ」
「…お前そんなもん持ってたのか…」
「悪いがそれぐらいで我慢してくれ。神水にも余裕がないんだ」
「ああ。大丈夫だ」
俺はゴクリと唾を飲み込み、魔物の肉に食らいつく。
「うっ!ぐ…ああ!」
「ツカサ!」
「やべぇな…!これ…!」
俺は神水を1本飲む。
「ぐあっ…!体が…!」
思わずもう1本飲む。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「大丈夫か?ツカサ」
「あ、ああ。何とか⋯な」
俺は結局神水を2本消費して、魔物の肉の試食を終えた。
「それにしても2本だけで充分って…お前ホントに大丈夫か?」
「ああ。力も湧いてくるし、成功のようだぞ」
「それならいいけどよ」
「さ~て、ステータスは?」
__________________________________
矢門ツカサ 17歳 男 レベル:25
天職:破壊者
筋力:1580
体力:1460
耐性:1690
敏捷:1550
魔力:2000
魔耐:1980
技能:全属性耐性・物理耐性[+治癒力上昇][+衝撃緩和]・全属性操作[+全属性適性]・胃酸強化・剣術・剛力・縮地[+空力]・先読・気配感知・熱源感知・魔力感知・魔力変換[+体力変換]・高速魔力回復・空間破壊・超高速移動・精密射撃[+対象追尾]万能空間・魔力操作・変身・形態変化・ライダー召喚・世界間移動・言語理解
_______________________________________
「なるほどね。こんな感じか」
「……やっぱお前もチートの権化だろ」
「……まぁ確かに」
ここまで来たらさすがに自覚も出てくるわ。
「っていうかお前は容姿の変化はなさそうだな」
「え?…本当だ」
俺は自分の体を見てみる。
「ハジメ」
「ああ、すまないユエ。起こしちゃったか?」
「ん、問題ない」
「気づけば俺たち二人ばかり会話してたな。お前の話を聞かせてくれ」
ユエの話によると、ユエは300年前に滅んだとされている吸血鬼族らしく、ユエはその間長年物音一つしない暗闇にいたらしい。
「ってことは、ユエは少なくとも300歳以上ってことか」
「……マナー違反」
ユエはハジメをジト目で睨む。
「お前なぁ…それはさすがに引くぞ」
「あ、すまない」
「⋯ん」
「それにしたって吸血鬼って皆そんなに長生きするもんなのか?」
「私が特別。『再生』のせいで年も取らない」
「先祖返りってやつだな」
「ん。そう」
「先祖返り?」
「ああ。一族の中でごくまれに、先祖返りによって強力な力に目覚めるものが現れるらしい」
「そう。先祖返りによって、十二歳のときに私は『魔力操作』と『自動再生』の固有魔法に目覚めた」
「ってことは不老不死ってことか」
「ん」
普通の吸血鬼が人間より多少長生きするのは知っていたが、まさか300年以上生きている吸血鬼もいるなんてな。
ちなみに人間族の平均寿命は七十歳ぐらい、魔人族は百二十歳ぐらい、亜人族は種族によって異なるらしい。
ユエは先祖返りの僅か数年後には当時最強の一角に数えられていたらしく、十七歳ときに吸血鬼の王位を継承したらしい。
「ところで、ユエはここがどのあたりかとか分かるか?地上への脱出の道とか分かったらありがたいんだが⋯」
「ごめんなさい⋯」
「いや、いいんだ」
「…でも、この迷宮は『反逆者』の一人が作ったと言われている」
「「反逆者?」」
「神が治めていた時代に、神に挑んだ神の眷属のこと」
「神に逆らった奴がいたのか?」
ハジメはそう聞く。
「世界を滅ぼそうとしたと伝わってる。言い伝えによると反逆者の中心メンバーは不思議な姿に変身したらしい」
「不思議な姿?」
ハジメはそう聞く。
「うん。あるものは暁の錬金術師に、あるものはきらびやかで奇妙な戦士に、といった感じで。けどもくろみ外れて、反逆者たちが逃げ込んだ場所が大迷宮」
『世界を滅ぼす?…ふざけんじゃねぇ』
「うん?どうしたツカサ」
「え?ああ…!いや…何でもない…!続けてくれ」
(まただ⋯まるで自分の中で誰かが呼び起こされているみたいな…)
「じゃあここ、オルクス大迷宮もそうなのか?」
「うん。大迷宮の一番深いところに反逆者の住処があるみたい」
「奈落の底の最深部か…そこならもしかしたら」
「ん。地上への道があるかもしれない」
「神代の時代の魔法使いなら転移系の魔法で地上とのルートを作っていてもおかしくないってことか」
「ならいくしかないよな?ハジメ」
「ああ。だが少し時間をくれ。新しい武器を作っておきたい」
「分かった」
「そういやさっきの銃は何なんだ?『ガンナー』より高威力だったけど…」
「ああ。あれは奈落の底で作った『ガンナー』の完成形とも言える『ドンナー』だ」
「…やっぱお前すげぇわ」
「そいつはどうも」
「よし完成。こいつの名前は『シュラ―ゲン』だ!」
ハジメは完成したレールガンにそう名付ける。
「⋯ハジメ、ハジメはどうしてここにいる?」
するとユエがそうたずねる。
「え?」
「どうして魔力、直接操れる?」
「お、おい」
「どうして魔物を食べられる?そもそも人間なの?左腕は?」
ユエは立て続けにハジメに近づきながらそう問う。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!順を追って説明するから!」
その言葉にユエはようやくハジメから離れる。
「さて…」
「どこから説明するんだ?」
「そうだな…」
それから俺たちは迷宮を進みながらユエに事情を説明した。この世界に召喚されてからのこと、仮面ライダーのこととかな。
今は一旦座って休憩をしている。
「ううっ…ぐすっ…」
「いきなりどうした?」
ハジメはユエに言う。
「ハジメ…辛い…私も…辛い⋯!」
「気にするなよ。正直もうクラスメイトのことは割とどうでもいいんだ。復讐する気ももう失せたしな」
「ハジメ…」
そう言ったのは俺だ。まさか檜山に復讐しないと言い切るとはな。
「そんなことよりも、これからは生きる術を磨くこと、故郷に帰る方法を探すこと、それに全力を注がないとな」
「ああ。そうだな」
「帰る?」
「そりゃ帰るさ。ま、いろいろ変わっちまったけど、故郷に…家に帰りたい」
「そう⋯私にはもう帰るところ、ない…」
ユエはうつむいて言う。無理もない。彼女の一族は滅び、故郷と呼べる場所もこの300年でなくなっているだろうからな。
「ユエ…」
「なら…ユエも来るか?」
「え?」
ハジメがそう言うと、ユエは目を丸くしてそう言う。
「いやだからさ、俺たちの故郷に来ないか?」
「え⋯?」
「まぁ、魔法もない人間の世界だから窮屈かもしれないけど、この先どうとでもなると思うし…あくまでユエが望むのなら、だけどな」
と俺も続ける。
「…いいの?」
「「ああ!」」
「二人とも…」
俺は立ちあがって言う。
「よし!そうと決まったら先を急ごう!」
「ああ。そうだな…!」
「ん。行こう…!」
感想や評価、お気に入り登録してくださると嬉しいです