ありふれた破壊者は世界を繋ぐ   作:RE・RIDE

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そろそろオルクス編も終わりに近づいてきました。


第15話 帰還の準備

 

Side ツカサ

「あれ…何で俺泣いてんだ?しかもホッパー1⁉」

『ホパ?』

俺は立ち上がって、白骨遺体の側にあった黒いボロボロの傘を取る。

「これって…」

 

すると俺の背後から声がする。

「おいツカサ」

俺が振り向くと、ハジメがこちらを見ていた。

「どうした?」

「そいつを埋葬するから手伝え」

「⋯!いいのか?てっきり畑の肥料にでもしようとすると…」

「いいんだよ。こいつの死体は丁重に葬ってやる」

「⋯ありがとう。実のところ、どうしても他人だと思えなくてな…行こう」

「ああ」

 

そして俺たちは簡易的な墓を作って、手を合わせた。

 

「お疲れ様。オスカー。どうか安らかに眠ってくれ」

俺はそう言ってその場を去る。

 

「さて、これからどうする?」

 

俺はそうハジメにたずねる。ちなみに今ユエは神代魔法習得中だ。

 

「とりあえずしばらくはここにとどまるつもりだ。神代魔法とやらも試したいし、学べるものも多そうだからな」

「そう言えば俺たちが手に入れた神代魔法ってどんな能力なんだ?」

「『生成魔法』って言って鉱物に魔法やスキルを付加して、特殊な性質を持った鉱石を作り出すことができるらしい」

 

「ってことは天職錬成師のお前が上手く扱えば…」

 

「ああ。アーティファクト級の武器も作れるな」

「大分反則級だな…」

「そりゃあ神代の時代の魔法だからな」

「書斎と工房はどうなった?」

「ああ。こいつがあれば大丈夫そうだ」

ハジメは一つの指輪を取り出す。

 

「それって確かオスカーがつけてた…!」

「ああ。埋める前に必要なものは拝借しておいた」

「抜け目ないなお前」

 

俺たちがオスカーの住処に戻ると、ちょうどユエが部屋から出てきた。

 

「どうやら取得したらしいな」

俺の言葉にユエは頷く。

「うん、した。でもアーティファクトは難しいみたい」

「そうか。やっぱり神代魔法も相性とか適性とかがあるのかもな。ツカサはどうだ?」

「俺もアーティファクトは難しそうだ。やっぱり生成魔法は錬成師が使ってこそ真価を発揮するんだろう。そうだ、二人に共有しておきたいことがある」

 

俺はジャマタノオロチとの戦いのときに、誰かと対話したことを二人に話す。

 

「なるほどな。見知らぬ人物…だけど妙な懐かしさがある人物に技能をもらったと…。…実は今まで隠していたが、お前はどうやら最近、別の人格に変わることがある」

 

「………………はぁ?」

 

「俺とユエが確認したのはジャマタノオロチと戦ったとき、そしてさっきの2回だ」

「噓だろ…確かにどちらもところどころ記憶が抜けているところがあるけど…まさか…」

「ツカサ…」

 

 

「まさかそんな厨二病みたいなことになってたなんて…一生の黒歴史だ…」

「「………………え?」」

 

 

 

 

俺たちはとりあえず、オスカーの指輪を使って書斎と工房の封印を解除した。

 

「ハジメ」

俺はハジメに声をかける。

「どうしたツカサ?」

 

「これ…直せないか?」

俺はオスカーの遺体の側にあった黒い傘をハジメに渡す。

「どうだろうな…完璧な修復には時間がかかるぞ?それでもいいならやってみる。設計図ぐらいは書斎と工房のどちらかにあるだろうからな」

「ああ。構わない。よろしく頼む」

「おう、ハジメさんに任しとけ」

 

「二人に話がある」

急にハジメが俺たちを集めて言う。

 

「いきなりどうした?」

「俺は大迷宮をすべて攻略しようと思う」

「⋯その心は?」

「神代魔法の中には、他の世界に干渉できるようなものもあるかもしれない」

「確かに⋯それにオスカーの話もあるからな…」

俺はエヒトの話を思い出す。

 

「正直今それは割とどうでもいいんだ」

「なに?」

「神だか何だか知らねぇが、向こう側が我関せずならこっちからやりあうつもりはない。けど…」

「立ちふさがるなら例え神だろうと容赦しない、そういうことか」

「ああ」

 

「フッ、最近のお前らしいよ」

「二人はそれでいいか?」

 

「私はもとより。ハジメとずっと一緒だから」

 

「あんな話聞かされちゃ協会連中も信用できないからな。それにその旅の向こうで見つけ

られる気がするんだ。自分が何者で、何を成すのか。俺の人生っていう旅の答えを、な」

 

「そうか…よし。そうと決まればまずはオスカーの書斎で大迷宮の手がかりを探すか」

 

「その前にさっきの部屋の魔法陣、あれが脱出の鍵になるんじゃないか?」

「確かに…それ含めて探ってみるか」

 

俺たちはオスカーの書斎に行く。

 

「あったぞ!二人とも」

ハジメは設計図のようなものを机に広げる。

 

「ビンゴだ。さっきの魔法陣が地上と繋がっているみたいだぞ」

「地上と繋ぐにはオルクスの指輪が必要らしいけど…問題ないな」

「ああ。工房にはオスカーが作ったアーティファクトや素材が保管されてるのか…これも譲ってもらわないとな」

ハジメは悪い笑みをこぼして言う。

 

オスカー…なんか可哀想で涙出てきた。

 

「ハジメ…これ」

するとユエが一冊の本を持ってくる。

 

俺たちはその本を開く。

「⋯つまり、大迷宮を攻略すると創設者の神代魔法が手に入るということか。大方予想通りだな」

「ああ。これで俺たちの目的は決まった。改めて大迷宮を目指そう」

俺の言葉にハジメとユエは頷く。

「「ああ/うん」」

 

俺たちは工房に行く。

「ここにもたくさんある」

「ユエ。言うのを忘れていたが少しの間ここに留まろう。さっさと地上に出たいが、ここには学べるものも多い。これから先の迷宮攻略のことを考えてみても、可能な限り準備はしておきたいんだ」

「ハジメと一緒ならどこでもいい」

「…そうか」

 

「そうだ。ユエに渡すものがある」

「ん?どうしたツカサ」

俺はユエにキバライドウォッチを渡す。

「なにこれ…ッ!」

キバ!

ユエがライドウォッチを起動した瞬間、彼女の脳内に情報が溢れる。

 

『僕は生きてみたいんだ。僕は…僕として』

 

『渡、人に流れる音楽を守れ』

 

『僕は自分の心の声で戦ってきたんだ!これまでも、そしてこれからも!大切なものを守るために!』

 

『行くよ、キバット!』

 

『よっしゃー!キバって行くぜ!』

 

「…ッ!ハァ、ハァ」

「大丈夫か⁉ユエ」

ハジメはユエを心配する。

 

するとライドウォッチが黄色いコウモリに変化し、コウモリは周りを飛び始める。

「ヤッホーイ!久しぶりの自由だ!」

「お前…キバットか!」

ハジメはそう驚く。

 

そう、それは仮面ライダーキバの変身アイテムにして、相棒であるキバットバット3世だった。

 

「俺様はキバットバットⅢ世!今日から俺とお前は共に戦う相棒だ!」

「…」

ゆえは突然の出来事にあっけにとられる。

「ユエ、そいつはお前と同じように人の血を吸う生き物、コウモリだ。そしてお前の力になってくれる。名前はキバットって言って悪い奴じゃないから、どうか仲良くしてやってくれ」

ユエは少し考えて頷く。

「ん、分かった。よろしくキバット」

「おうよ!」

 

Side 愛子

「どういうことですか⁉嫌がる生徒に戦いを無理強いするなんて!仲間の死を目の当たりにしたばかりなんですよ!悲しみや恐怖から立ち直るには時間がかかるんです!」

 

ハジメたちの担任である畑山愛子は、イシュタル教皇を問いただしていた。

 

「確かにあれは不幸な出来事でした」

「本当にそう思っているのなら今すぐやめさせてください!でなければもう農地には行きません!」

その言葉にイシュタルは考え込む。

「それではこうしましょう。否という方には無理強いせぬことをお約束します」

「…お願いしますね」

「愛子様の天職は大変貴重な作農師、その能力を活かして、引き続き農地開拓にお力添えをいただきたい」

「…失礼します」

 

愛子が去ると、イシュタルは口を開く。

「全く…困ったものだ。例の件を進めろ」

「はっ!」

 

イシュタルは配下に命じ、一つの資料に目を通す。

【矢門ツカサの異端者認定について】

「奴は異常だ。どこにいるかも分からぬ以上、この結論は仕方あるまい。それに…」

イシュタルは神エヒトを描いた絵画を眺める。

 

 

「忌々しい『あやつ』と、何か関係があるかもしれぬからな」

 

 

Side 勇者組一行

ハジメとツカサがジャマタノオロチと戦っていたころ、メルド率いる光輝ら勇者一行の面々は、再びオルクス大迷宮の探索に訪れていた。

 

クラスメイトの南雲の死、そしてツカサの失踪なども重なり、引きこもる生徒なども現れ、今回オルクス大迷宮に訪れたのは騎士団に加え、光輝パーティー、檜山、遠藤のみだった。

 

南雲を失ったことでほぼ放心状態の香織に雫が話しかける。

「香織」

「あっ、雫ちゃん。私は大丈夫だよ」

「あんまり無理しないでね」

「ありがとう雫ちゃん。雫ちゃんこそ…矢門君のこと大丈夫なの?」

「うん…少なくとも、何も言わずに出ていったわけじゃないから…私にだけでもメッセージを残してくれたのは嬉しかった。それはそれとして、戻ってきたら一発ぶつけどね」

「フフッ、雫ちゃんらしいね」

ここで空気を読まないのが、勇者(笑)が勇者(笑)たるゆえん。

 

「香織!君の優しいところ、俺は好きだ!だけどクラスメイトの死に、いつまでも囚われていちゃいけない!」

「ちょっと光輝!空気を読みなさい!」

「雫は黙っていてくれ!香織、過去のことは忘れて前へ進むんだ!きっと南雲もそれを望んで…」

すると、

「香織ちゃん。私応援してるから、できることがあったら言ってね」

「そうだよ!鈴はいつでもカオリンの味方だからね!」

 

クラスメイトの中村恵理と谷口鈴が口を挟む。

「うん。恵理ちゃん、鈴ちゃん、ありがとう」

そのとき

「休憩は終わりだ!先へ進むぞ!」

というメルドの声が聞こえ、光輝たちは気を引き締める。

 

Side ???

「彼らは順調に迷宮攻略を進めているみたいだね。だけど…『あいつ』がじっとしているとは思えないし、いざとなったら僕が出るとしようかな」

『スチーム!』

『ホッパー!』

「君たちも乗り気みたいで良かったよ。ホッパー1、スチームライナー」

どこかで汽笛が響いていた。

 

 

 

 

 

 




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