ありふれた破壊者は世界を繋ぐ   作:RE・RIDE

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変身はまだしばらく先です


第1章 異世界への召喚
第1話 日常そして急変


 

「ということで今日からこの四年二組に新たに加わる矢門ツカサ君です。自己紹介お願いできるかな?」

「矢門ツカサです。これからよろしく」

 パチパチパチパチ

皆の拍手が終わった途端に、一人の生徒が立ち上がった。

「先生!一時間目は矢門君の歓迎会をするのはどうですか!」

「おっ!天之河それはいい提案だな!皆、そうするか!」

『イエーイ!』

その生徒はこちらに近寄ってくる。

「俺は天之河光輝!よろしくなツカサ!」

初手からため口&呼び捨てかよ。なれなれしいが⋯まぁこの年頃だとこんなもんか?

「あ、ああ。よろしく…」

こいつとは少し距離をとろう。俺がそう決意した瞬間だった。

「あれ?もしかしてツカサ?」

「あんたは…もしかしてハジメか!」

「ああ!久しぶりツカサ!」

俺の両親の都合上、幼い頃は引っ越しが多く、もともと俺が生まれた地域、すなわちここでの最初の友達にして親友が彼、南雲ハジメだ。

「確かに引っ越してないんだったらこの学校にいるわな」

「でも同じクラスだなんて!改めてこれからよろしく!ツカサ!」

「ああ」

俺たちは固い握手を交わした。

 

「行くぞー!ツカサ!おらっ!」

俺の歓迎会ということで今俺たちはバスケットボールをしている。

同じクラスの坂上龍太郎からのパスを受け取る。

「よっし!」

そして俺は前にいたやつをかわして、シュートを決める。

「すごいなツカサ!全部決まってるじゃないか!」

そして試合は終わった。

同じチームの天之河がこっちに来る。

「まぁスポーツ全般は昔からよくできたからな」

これは転生前からなのだが、俺は他の人よりも飲み込みが早く、スポーツや学問はそれなりに得意だった。写真を撮ること以外は。高校ではいろんな部活に勧誘されたものだ。

「昔からだったけどやっぱりツカサはすごいね!」

「それほどでもないよハジメ。天之河、後半戦は頼めるか?俺はちょっと用事がある」

「何言ってんだよ!今日の主役は君じゃないか!」

「イヤー、キラキラオーラアフレル天之河クンガ出タ方ガ皆ノ士気モアガリマスヨー」

「そ、そうか!しょうがない!ならば俺が変わろう!皆!作戦会議をするから俺のところに集まってくれ!」

俺はそそくさとその場を離れる。

 

 

Side 雫

雫は女子生徒三人に連れられて、体育館裏に来ていた。

「あんた、天之河君に告げ口したでしょ」

「ち、違うよ!私はただ相談のつもりで…」

「それが告げ口って言ってんの!」

雫は女子生徒の一人に押されて、地面にしりもちをつく。

「今度告げ口なんてしたら…その伸ばした髪でも切っちゃおうか!」

「や、やめて!」

「はぁ?何なら今ここで切ってやってもいいんだよ?」

一人がハサミを取り出すと、残り二人も同じようにハサミを出す。

「もうしないから…許して…」

雫は泣きながら懇願する。

そのとき、どこからかシャッター音がした。

「へぇ~。この学校ではこういうことが流行ってんのか」

そこには今日転校してきたばかりの男の子、矢門ツカサがいた。

「な、何してんのよ!あんた!」

「いや別に?通りすがりに写真を撮ってみただけだが?何ならお前ら一人ずつでも撮ってやろうか?」

「い、いらないわよ!」

すると女子生徒のうちの一人が言う。

「そ、それに学校に不要物は持ってきちゃいけないんだよ!先生に言いつけてやる!」

「どうぞ?好きにすればいいさ。だが俺はさっきの瞬間を写真に収めているから言いつけて損するのはお前らだと思うけどな」

「ッ!行くよ!」

「う、うん!」

そして三人組は去っていった。

「やれやれ…大丈夫か?」

ツカサがしりもちをついたままの雫に手を差し伸べる。そして手を引っ張って立ち上がらせる。

「う、うん」

「いつもあんなことされてるのか?」

「い、いえ。いつもは愚痴を言われるだけなんだけど、光輝に相談したらあいつ本人たちに注意しちゃって…」

「それであいつらのいじめもエスカレートしたってわけか」

「うん…」

「あいつ…思ってたより相当の馬鹿だな。よし!今度からあいつらに何かされたら遠慮なく俺に言え。何とかしてやる」

「い、いいの?」

「ああ。俺にはこいつと、頼りになる味方がいるんだ。なんてったって俺の親は教育委員会のお偉いさんだからな」

俺はマゼンタ色のカメラを出して言う。

「⋯ふふっ」

「どうした?」

「いえ。かっこいいなぁって」

「フッ、そいつはどうも」

雫は彼のことをもっと知りたいと思った。

春の訪れを告げる風がゆっくりと吹いていた。

 

 

それから数年経って…

「ヤバい!寝過ごした!」

俺は着替えて机の上のディケイドライバーを取り、朝食を急いで食べ、ドアを開ける。

「行ってきます!」

両親は今日二人とも早くに出たし、妹は既に学校に行ったので返事は帰ってこない。

俺は門の近くに玄関の近くに置いてある自転車の鍵を開け、自転車にまたがり急ぐ。

 

「おっ」

「あら矢門君じゃない」

俺は自転車を降り、そのまま押していく。

「おはよう雫」

「おはよう。あなたがこんな時間に登校しているなんて…さては寝過ごしたわね?」

「しょうがないだろ!目覚ましセットするの忘れてたんだから」

俺の二度目の人生が始まって早17年、もう前世の享年と同じ月日を行きたが、これといったディケイドの力の活躍時はなく、ごくごく平凡な毎日を送っていた。

「まぁあなたらしいと言えばあなたらしいけれど…そう言えば例のごとくおじいちゃんが道場に入らないかって言ってるけど」

「あ~…例のごとく断っといてくれ」

雫の家は代々道場を経営していて雫の祖父である八重樫 鷲三さんに俺はひどく気に入られてしまっている。一度大会の参加者が欠席したときに助っ人として参戦することになったのだが…そのとき優勝してしまったのがいけなかった。それから『例のごとく』ほぼ毎日、雫づてに勧誘をしてくるのだ。

「雫!おはよう!」

すると後ろから無駄にはきはきした声が聞こえてきた。

「あら光輝」

「やっぱりお前か…」

「ツカサもいたのか。おはよう!」

「ああおはよう。相変わらずキラキラオーラがまばゆいですねー」

「ようツカサ」

するとクラスメイトの一人、坂上龍太郎が俺にあいさつをする。

「ああ、おはよう」

すると天之河ははるか前方にいた二人、ハジメと、同じクラスのマドンナ的存在、白崎香織に気付き、そちらに近づこうとする。

しかし

「空気を読め馬鹿」

「なっ!馬鹿とは何だ!」

今にも暴走しそうな天之河を横目に俺はため息をつく。

「はぁ⋯いるだろ、浩介」

どこからか声が聞こえる。

「人をお付きの忍者みたいに呼ぶなよ⋯」

すると前髪で目が隠れている男子、遠藤浩介が現れる。

「えっ!?遠藤くんいたの!?」

「相変わらず影が薄いな⋯」

雫がそう言い、坂上もそう続ける。

こいつとはそこそこ長い付き合いで、コイツ自身もお人好しのいいやつなんだが、いかんせん影が薄い。俺は気づくことができるが、普段からもう少し存在感を出せというべきだろうか。

「浩介、こいつをしばらく頼めるか」

「えぇ⋯しょうがないな」

「なっ!離せ遠藤!」

浩介は天之河をがっしりと掴んで離さない。

「俺、二人に早く行った方がいいって言ってくるわ」

「お願い」

「ああ」

俺は自転車にまたがり、二人の方へ近づく。

「おはようバカップル」

「うわっ!びっくりした!おはようツカサ」

「ちょっ!矢門君バカップルはやめてっていつも言ってるでしょ!」

お察しの通り白崎はハジメのことが好きだ。だがあいつが鈍感すぎるが故にそれに全然気づいていないが。それでもそこそこ仲が良い。二人でいるときにちょっかいかけてきた奴は白崎の天然発言でとどめを刺されることが多い。俺はそういう輩を殴りたい気持ちを必死に抑えている。

特に同じクラスの檜山大介。あいつは根本的に気に入らない。ハジメにちょっかいをかけてばっかりで、これいじめじゃないか?と思うことも多い。

「はいはい。ところで一枚」

俺はカメラで二人を撮る。

「あとで写真ちょうだいね。矢門君」

「ああ。いつも通りな」

「ちょっ!それは言わない約束でしょ!」

「悪い悪い。つい口が滑ったー」

白崎は俺が撮ったハジメとの一枚を毎回受け取るようにしている。おおかた思い出アルバムでも作ってるんだろ。俺のピンボケ写真の何が良いんだか。バカップルめ。

「それよりどうかしたの?後ろで天之河君がひどく暴れてるけど…」

「ああ、そのことでなんだが…早く行った方がいいぞ。面倒なのが来る前に」

「そっか」

「教えてくれてありがとう矢門君。ハジメ君行こっか」

「うん」

二人を見送るとちょうど三人が追いついた。

「サンキュー浩介。何とか二人を逃がせたぜ」

「貸し1つだからな」

 

朝礼が終わり、俺はハジメの席に行く。

「おい。起きろ。まだ授業も始まってねぇぞ」

「大丈夫?ハジメ君」

「うん」

白崎もハジメの席に近寄って言う。

「全く、香織は本当に優しいな。南雲もあまり香織の優しさに甘えるのは良くないと思うぞ」

すると空気を読めないお邪魔虫こと天之河がやって来る。

「ううん。心配しないで大丈夫だよ。私は私がハジメ君と一緒にいたいから言ってるだけだから」

教室の空気が凍る。

キミ、そゆとこだぞ?

「そ、そうか!香織は本当に優しいなぁ!」

そのとき、ある異変が起きた。

天之河を中心として、教室の床に突然何かの魔法陣のようなものが現れたのだ。

それはだんだん輝きを増していっていた。

「皆さん!教室の外に出てください!」

異変を察知し、教室にいた畑山愛子先生が皆に呼びかける。

だがもう遅かった。先生がそう言ったときには魔法陣が強く光っていた。

光が止むと、もうそこに人はいなかった。

 

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