Side ツカサ
ツカサは落ち着いて話し出す。
「俺は前世で解放者の一人だったんだ」
「マジか…⁉」
「えぇ!どういうことですk⋯!?モゴモゴ⋯」
大きい声を出したシアの口をユエはふさいでツカサの話に耳をすませる。
「…ってことはオスカーが言ってた親友って…」
「ああ。俺だ」
「マジかよ…」
「俺はかつて、一人である暗闇に囚われていた」
『ここはどこ?なんで誰もいないの?なんでこんなにさみしいの?なんで?なんで?なんで?なんで⋯』
『なんで僕がこんな目にあわなきゃいけないの?』
そしてある日
「ここは…」
オーロラカーテンの中から一人の青年が現れた。首にマゼンタのカメラを下げた見知らぬ人物が。
「お前は?」
その青年は俺にそう聞いた。
「分からない。気付いたらここに…」
「…どれくらいいたんだ?」
「分からない。気が遠くなるほど昔から…」
「…そうか。頑張ったな」
青年は俺の頭をぽんぽんと軽く叩いてくれた。
「⋯さみしかった」
「…悪い。俺にはお前をここから連れ出すことができないみたいだ」
その言葉に俺は少しだけさみしく思いながら言った。
「…そっか」
「だけど…こいつをやるよ」
俺がそのとき受け取ったのは、通常のライドウォッチと同じ形状をしたディケイドのライドウォッチだった。
「これは?」
「全てを破壊して、物語を繋ぐための力だ」
俺はライドウォッチを見回して言う。
「どうして僕にこれを?」
「俺が聞きたいくらいだ。ただ…お前は昔の俺と同じような目をしている。だから親近感がわいたのかもな。急にこんなところに飛ばされたときは焦ったが…どうやらお前に未来を生きる力を与えるのが、今回の俺の役割のようだな」
「あなたは…誰?」
「門矢士。通りすがりの仮面ライダーだ」
彼はこちらをカメラで撮って言う。
「仮面…ライダー?」
「いつかお前にも分かる日が来る。…時間のようだ。またな、坊主」
その後のこと今は思い出せない。一度外の世界に出た気もする。そこでかけがえのない出会いがあったような気もするが…気付いたらまたあの暗い空間に幽閉されていた。
そこからさらに時が流れて
「ここかな?頼んだよ、ミレディ」
「よーし!えーい!」
俺が閉じ込められていた部屋のドアが初めて開いた。
「⋯誰だ?お前ら」
そこには眼鏡をかけ、長い髪を後ろで束ねた青年。金髪のポニーテールの少女の二人組がいた。
「何の用だ?ここまでたどり着くとは相当の手練れのようだが」
「僕たちは君を助けに来たんだ」
「助けに⋯だと?」
「ああ。この世にあるかも定かではない場所、『狭間の塔』。そこには神から見放された破壊の権化がいるという噂を聞いてね。君の力というのは恐らく神代魔法だろう?」
その質問には答えず、まず俺の口をついて出たのは
「お前ら…今の噂を聞いてここに来たのか?」
という言葉だった。
「うん?そうだけど…何か問題があるかい?」
「…」
今までも噂を聞いて遊び半分でこの塔に入ってくる奴らはいたが…
「相当な物好きだな。お前ら」
「フッ、よく言われるよ」
「君はずっとここにいる気かい?」
俺は視線を落として答える。
「…俺にはここしか居場所がない。生きているのかどうかでさえ分からないような俺には…生きるということの意味すら分からない俺にはここしかないんだ…」
すると
「もしかして君…友達がいないの?」
「はぁ?だったらなんだよ」
「そっか…なら僕たちが君の最初の友達だ!」
「は?」
俺は一瞬その青年の言ったことが理解できなかった。なにせ『友達』なんてこの部屋に何故か生えてる花くらいだからな。
「そう言えばまだ名乗っていなかったね。僕はオスカー・オルクス。解放者のメンバーで、錬成師だ」
「私は!超絶天才美少女魔法使いの~ミレディ・ライセンちゃんだよ~!」
「解放者ってのは?」
「神を滅ぼしてこの世界に生きる人たちが自由に生きていける世界…人々が自分の意思で自由な生き方ができる世界を作るために戦ってる集団さ。と言っても、今のところ僕とミレディしかいないけどね」
「自由な意思…か」
するとオスカーは
「君も一緒に来ないか?」
と俺に言う。
「俺も?」
「ああ」
俺は少し考えたあとに言う。
「フフッ。今さら生きる意味を見つけるのもいいかもしれないな」
「決まりだね。君名前は?」
「俺の名前…」
「名前がないのか…」
するとオスカーは何かを見つけて声を漏らす。
「あれ?この花って…」
オスカーは部屋のすみに生えていた花を取る。
「アライヴの花じゃないか」
「アライヴの花?」
「ああ。どんな場所や環境でも生きていける花だから、生きるって意味の『アライヴ』って名前が付いたんだよ」
「へぇ~!オー君物知り~!」
「そうだ!君の名前はこの花から取ってライヴっていうのはどうだろう?この先、自分の意志で生き抜いて、生きる意味を見つけられるようにっていう願いを込めたんだ」
「ライヴ…生きる⋯か」
「名字はどうしようか…」
「デトロイ…」
「え?」
「そう、俺の名はライヴ・デトロイだ」
俺は立ち上がってそう名乗る。
「分かった。これからよろしくね、ライヴ」
俺はオスカーと握手を交わす。
そのとき突然警報が鳴り、防衛システムが作動する。
すると無数の魔物が現れ、オスカーたちに威嚇する。
俺はオスカーたちを下がらせるように立って前に出る。
「おい。お前ら、俺の初めての友達に何しやがる気だ」
「グルルルル!」
「ああそうかい、なら…」
俺はディケイドウォッチを持ち、起動した。
『ディケイド!』
すると腰にネオディケイドライバーが巻かれて俺はカードを取り出す。
「ええっ!何それ!」
使い方は体が知っていた。
「変身」
『KAMENRIDE DECADE!』
俺はディケイドに変身して魔物たちを狩っていく。不思議とどうやって戦うのかが分かった。今までこの姿で戦ったことなんてないはずなのに。
すると
「ガルル!」
「きゃあ!」
魔物の一体がミレディを人質に取った。この塔では魔力が使えなくなっていたから、ミレディも簡単に抜け出せなかったようだった。
しかし
『ATTACKRIDE CLOCK UP!』
「へ?」
俺はクロックアップをして一瞬で残りの魔物を狩り、そのとき空中に放り投げられたミレディをお姫様抱っこした状態で受け止めた。
「大丈夫か?お嬢さん」
「あ…その…ありがとう…」
ミレディは顔を真っ赤にしてそう言う。
「それが俺とミレディたちとの出会いってわけだ」
「あのときのラヴ君はホントにかっこよかったよ~!それはもう周りがキラキラって!キラキラってしてたんだよ~!」
「おい待て。いろいろと突っ込みたいことが多かったんだが」
「フッ…それを聞くのは野暮ってもんだぜ?親友」
「ああ…そう…」
ハジメは半分呆れたような様子でそう言う。
「それから俺は他の解放者や、旅先で出会った人たちと交流を深めたりして、生きるってことの素晴らしさを学んだ。ずっとこの瞬間が続けばいい。そう思っていた。だけど…」
日常が壊れるのはあっという間だった。
あの日、俺たち解放者が神敵認定をされたとき、仲間たちは宿場で泊まっていたところを襲われて…
「おい…!おい…!目ぇ開けろよ…!うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
仲間は大勢死んだ。その後も解放者の仲間たちは人間に力を振るうことができずに死んでいった。ついさっきまで笑って話していた相手が肉塊に変わっていく現状に、俺は耐えられず、仲間の死体の前で吐いたことも何回かあった。
それでも中心メンバーの俺たち8人だけはなんとか逃げ延びたが…
「ッ!馬鹿野郎が…!」
その日俺は短剣で腹を刺された。
というわけで、まさかのディケイド・門矢士本人からディケイドの力の一部をもらっていたことが判明しました。
今後も機会があればレジェンドライダーが出てくるかも⋯?
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