梨子ちゃん、誕生日おめでとう。
楽しんでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ。
とある平日の放課後。
「そういえばさ? 梨子ちゃんって、お休みの日って何してるの?」
「え?」
目の前に居る少女、
「…内浦に引っ越してきてから、休日の過ごし方とか変わったのかなって思って」
「あ、そういう意味ね。びっくりした……」
「?」
唐突な質問に一瞬驚いた梨子。当の質問をした本人は首を傾げてるが。
「内浦に引っ越してからの私の休日の過ごし方は……千歌ちゃんや曜ちゃん、Aqoursのみんなとお買い物やご飯を食べに行ったりしてるかな。心結君の喫茶店にもお邪魔したりとか」
「こちらこそ、毎度ありがとうございます」
ちなみに梨子の場合、家族と一緒に来てくれる時もあるので、それを含めると心結が営んでいる喫茶店『月見屋2号店』では、同年代の中で彼女が一番来店数が多い。
「あとは……趣味に費やしてる、かなぁ……」
「梨子ちゃんの趣味っていうと……絵を描く事とか?」
「うん。あと手芸で小物を作るのも好きなの」
「そうなんだ。手芸は初耳かも。梨子ちゃん、器用そう」
梨子とは内浦に引っ越してくる前からの付き合いなので、彼女と出会ってからはよく一緒に休日を過ごしたりしてた仲だったりする。
「え? 器用、かな? 分からないけど……でも、手や指を使って何かを作業するのが好きなのかも」
「最近は小物作りとかやったりしないの?」
「普段は学校やAqoursの活動があるし、曲作りの期間は練習がない日も譜面に向かってるから……息抜きにちょこっと触るくらいしか最近はできなくて」
その理由を聞いた納得する心結。何故なら梨子はAqoursの作曲担当でもある為、彼女が今言った通り、ほんとに手芸に関しては、息抜き程度しかできないのだろう。
「だから、何の予定もない日は、好きな事をじっくり時間をかけてやるの♪」
ちょっと心配に思った心結だったが、彼女の言葉を聞いて大丈夫そうだなと一安心。
「家でバッグや巾着とかを黙々と作る事もあるし、スケッチブックを片手に内浦の景色を描きに出かけたり……わ、私だけの心結君の絵を描いたりとか……」
「そうなんだ~……最後辺りに何か言った?」
「ううん! な、何も言ってないよ!? そ、そんな感じで作業とかに没頭しちゃって、気付いたらすっかり夕方……って感じかな」
我ながら地味な休日だよねと苦笑いする梨子。
「でも、普段なかなかできない事を存分にできるから、私としては満足してるかな」
「…梨子ちゃんが楽しそうで何より。そんな梨子ちゃんに僕からちょっとしたご褒美をあげよう~」
「?」
その言葉の意味に梨子が首を傾げると、いつもの不思議なペースを崩さずに何故か心結は両手を広げてた。
「おいでおいで。梨子ちゃんがリラックスできるよう
「!?(は、ハグ!? 心結君が……わ、私にハグ!? いや待って私! 落ち着くのよ! 心結君の事だから、別に他意はない筈!)」
彼の発言に思わず変な声を上げそうになった梨子だが、それを必死に抑えてその言葉の意味を考える。偶に心結は梨子の前でぶっ飛んだ発言をしたりする事があるから余計に。
…でも梨子からすれば、今までのどれも役得でしかなかったのだが。
「ほらほら梨子ちゃん、おいでおいで~」
「で、でも心結君に悪い気が……」
「別に遠慮しなくてもいいよ~、僕がしてあげたいだけだから~」
「……」
結局、自身の欲望には勝てず、心結にハグをされる事を選んだ梨子。
「はい、ぎゅ~……からの、よしよし~……」
「あ、あの……心結君、これはちょっと流石に恥ずかしいんだけど……」
「なんで~? 梨子ちゃん達がいつも頑張ってるから、撫でてるだけだよ?」
「そ、そういう問題じゃなくて……(も、もぉ~! こういうところがズルいんだから!)」
「そういえば梨子ちゃん、次のお休みの日は何をする予定なの?」
「え? つ、次のお休み?(待って!? この状態のまま訊く事!? …あっ……)」
「? 梨子ちゃん?」
「な、なんでもない。そ、その、もう少しだけこのまま……心結君に甘えてもいい……かな?」
「うん、いいよ」
この状態のまま次の休みの予定を訊くのか!?と心結に言いたかった梨子だが、普段あまり年相応な笑顔を見せない心結がやたら嬉しそうな表情をしていたのを見てしまったので、今日ばかりは遠慮なく好きな人に甘える事にした梨子なのであった。
読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……(苦笑)
次回の投稿は、曜ちゃんの誕生日になると思います。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。