僕のヒーローアカデミア -DBLEGENDS-   作:熱いおゆ

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投稿してから矛盾に気づく癖やめたい。


第4話

「なあ、シャロット。前から気になってたんだけど」

 

朝練の合間、水分補給をしながらアキトは尋ねた。

 

「そういやさ。ベジータたちって、他の人からも普通に見えてるんだよな?」

 

「当たり前だ。実体化してるんだからな。」

 

「じゃあ話しかけられたりも?」

 

「ある。」

 

「マジか。」

 

「この前なんて、近所の婆さんに『今日は暑いねぇ』って話しかけられてたぞ。」

 

「……で?」

 

「『フン』で終わらせてた。」

 

「想像できすぎる……。」

 

このやり取りをきっかけに、アキトは以降、呼び出す場所と時間の選定に、より一層気を遣うようになった。人気のない河川敷、早朝の神社裏、深夜の自室――安全な「呼び出しスポット」をいくつか確保しながら、修行と育成を進めていく。

 

---

 

初回の十連は、あくまで「新規ユーザー特典」の無料ガチャだった。今後、同じように引くには、結晶を1000個貯める必要がある――そのことを、アキトは翌日、ガチャ画面を開いて気づいた。

 

「……やっぱこれ流石に石がかかるようになるのか」

 

「当たり前だろ。むしろ最初の分がタダだったのが、破格の話だ」

 

「じゃあ、1000個ってどうやって貯めるんだよ」

 

「デイリーミッションで毎日コツコツ稼ぐか……あとは、お前の現実の行動と連動した『イベントミッション』だな」

 

「現実の行動……?」

 

アキトがシステム画面を開くと、〈限定イベントミッション:ヒーローへの足がかり〉という文字と共に、具体的な項目がずらりと並んでいた。

 

* 『累計50時間の基礎肉体トレーニングを完遂せよ』(報酬:結晶300個)

* 『街で困っている者を救援せよ』(報酬:結晶100個)

* 『伝説の戦士との組み手を計20回こなせ』(報酬:結晶200個)

 

「なるほど……! ゲームのアプリみたいに画面をポチポチ叩くんじゃなくて、俺が実際に体を動かして、街で誰かを助けたり修行したりすれば、それが実績になって結晶が手に入るのか!」

 

「そういうことだ。お前がヒーローを目指して泥臭く汗を流せば流すほど、システム側もそれに応えて結晶を吐き出す仕組みになってる」

 

「めちゃくちゃ分かりやすいな……! 自分の努力が目に見えて還元されるなら、やりがいしかないぞ!」

 

それからの二週間、アキトは血の滲むような修行と日常を送り続けた。早朝から河川敷で倒れ込むまで走り込み、夜はベジータとの容赦ない組み手で体中に青あざを作り、帰り道には迷子の子供を交番へ送り届けたり、荷物を持ったお年寄りを手伝ったりした。

 

地道な努力が、着実にシステムの数字を増やしていく。そうして二週間ほどが経った、ある夜のことだった。

 

「――よし! 修行ミッション達成で、ちょうど1000個超えた!」

 

視界の端の結晶カウンターを見つめ、アキトは思わずニヤリとした。

 

「初回の無料分とは違って、俺自身の汗と努力で貯めた分だ。感慨深いもんがあるな」

 

「気持ちは分かるが、期待しすぎんなよ。今度は保証も何もねえ、ただの十連だ」

 

初回の十連であれだけの面々を引き当てたことで、アキトは内心、少し調子に乗っていた。

 

視界の中央に新たなバナーが浮かぶ。初回限定の特典バナーはすでに消えており、代わりに表示されていたのは〈常設マスターパック10連ガチャ〉のバナーだった。

 

「初回限定のバナーは消えて、常設のやつになったな。ってことは、ここから出てくる面子は……」

 

「ラインナップ自体は初回と大きく変わらねえが、確定枠はあの一回きりだ。今回はもう保証なしだからな」

 

「うっ……それはそうか。苦労して集めた1000個、ここで一気に溶けるわけか」

 

「まあ、そう思うと余計に緊張するよな」

 

アキトは意気揚々とタップした。光の演出と共に、視界が白い別空間に切り替わる。

 

「言っとくが、同じカードを引き当てて初めて、そのカード自身の星が上がる。名前が同じでも、レアリティや型が違えば、それは別物だ。前に会った顔でも、必ずしも星が上がるとは限らねえぞ」

 

「それもゲームと一緒か」

 

一枚目、控えめな輝きの光が弾け、実体化する影もなく、名前とレアリティだけが表示された。今回は、初回に引いたのと寸分違わぬ表示だった。

 

「あ、天津飯と同じカードだ。これ、星2ってことでいいんだよな」

 

「そうだ。全く同じ一枚が重なって、初めて星が伸びる」

 

二枚目も同様に、光は淡いまま。

 

「餃子も同じカード、星2」

 

三枚目、光の色がわずかに強くなる。

 

「お、EXTREMEか。ちょっと期待」

 

現れた光の中から、傷だらけの戦闘服の青年が、気だるげに姿を見せた。前回の十連でも会った顔だ。

 

「よお、また会ったな」

 

「あ、ヤムチャさん……。これ、同じカードで合ってますか?」

 

「さあな、俺には分からねえよそんなの」

 

自嘲気味に笑うヤムチャに、シャロットが横から確認する。

 

「ああ、同じカードだ。星2になる」

 

四枚目、五枚目も、これまでに見た顔の被りが続いたが、いずれも同一カードだったため、着実に星が伸びていった。

 

「HERO……これも同じ亀仙人だ。星2」

 

「EXTREME、ナッパも同じカードで星2、と」

 

淡々と続く「新顔なしの被りラッシュ」に、アキトの表情が徐々に曇っていく。

 

「うっ、うそだろ……。新規、全然出てこない……」

 

「言ったろ、慢心すんなって」

 

六枚目、七枚目も、同一カードの被りだった――ブルマとラディッツ。ブルマが星2に、ラディッツも星2へ。八枚目、九枚目も似たり寄ったりの結果が続く。クリリンと人造人間18号、これも両方とも同一カードの被りで、それぞれ星2になった。

 

「せめて誰か新顔出てくれよ……」

 

十枚目、最後の一枚。光の色は、これまでとさほど変わらない、控えめな輝きだった。現れたのは、これまた見覚えのある顔――ヤムチャだった。

 

「――お、また会ったな」

 

「ヤムチャさん、まさかの二回目被り……。星3ってことでいいんだよな」

 

「そうだ。悪い結果じゃねえだろ」

 

がっくりと肩を落とすアキトに、シャロットは容赦なく追い打ちをかけた。

 

「まあ、被りは無駄じゃねえ。狙ったキャラの星が着実に育ってる」

 

「慰めになってねえよ、それ」

 

「慰める気もねえよ」

 

とはいえ、被りによる限界突破は、地道ではあるが確実にキャラクターを育てる手段だった。この十連で、天津飯・餃子・ヤムチャ・亀仙人・ナッパ・ブルマ・ラディッツ・クリリン・人造人間18号――初回に引いた面々のほとんどが星2まで、ヤムチャだけは星3まで伸びた。ベジータの姿は今回一度も現れず、LEGENDS LIMITEDの格上げ演出も発生しなかった。新顔こそゼロだったが、着実な積み重ねであることに変わりはなかった。

 

(試験まで、あと二か月か……。まだ先は長いな)

 

---

 

それから一か月ほどの間、アキトは無理にガチャを回さず、現実での地道な実績解除に没頭した。

 

『重力3倍下での組手を100回完了せよ』『街の清掃活動に10時間参加せよ』といったイベントミッションを一つずつ泥臭く潰しながら、今いる仲間たちとの修行に専念した。

 

「重力3倍設定、そろそろ慣れてきたか」

 

「まだキツいけど……前より確実に、動けるようになってる」

 

「悪くねえ伸びだ」

 

修行アイテムも積極的に活用した。重力修行の設定を使えば、通常の何倍もの負荷をかけた状態でトレーニングができる。修行ベルは、日常生活の中でも常時負荷をかけ続けられる便利アイテムだったが、シャロットいわく「ヒロアカ側のキャラに使っても、肉体は鍛えられるが個性そのものは成長しない」というバランス調整があるらしい。もっとも、今のアキトにとっては、自分自身の地力を鍛える手段として、十分にありがたいものだった。

 

星1のまま変わらないベジータとの組み手だったが、日を追うごとにその動きは容赦なく鋭さを増していた。組み手のたびに何度も地面に吹き飛ばされ、アキトは泥だらけになりながら膝を突く。

 

「くっ……! 一緒に修行してるはずなのに、こんな変わるもんなのか……!?」

 

「フン、伸び幅が貴様とは違うからな」

 

腕を組み、冷ややかな視線で見下ろすベジータの言葉には、サイヤ人の王子としての絶対的なプライドが満ちていた。

 

「ぐ……言い返せないのが悔しい……」

 

「無駄口を叩く暇があるなら立て。貴様の地力も、俺の動きにわずかでも反応できる程度には底上げされているはずだ」

 

「……ッ、了解!」

 

地道な積み重ねの日々が、確かな手応えとなってアキトの中に積もっていった。

 

---

 

月が変わり、ガチャ画面のバナーが一新されているのに気づいたのは、試験まで残り一か月ほどの頃だった。過酷な100時間耐久トレーニングや、街での小さな救助活動をいくつも積み重ね、コツコツ貯めた結晶が再び1000を超えたタイミングだった。

 

〈期間限定:サイヤ人特集10連ガチャ〉

〈配信期間:今月1日 〜 今月末まで〉

 

「お、バナー変わってる。今月はサイヤ人特集か。汗水流して貯めた1000個だ、引くぞ……!」

 

「一か月かけて泥臭く貯めた分だ。気合入れて引けよ」

 

「今度こそ新顔頼む……!」

 

震える指先でタップする。視界が白い光に切り替わり、一枚目の光が立ち上る。

 

「HERO……ピッコロか。初めましてだ」

 

「新顔、一人目。幸先はいいな」

 

二枚目、光の色がわずかに強くなった。

 

「EXTREME……! おっ、これも新顔! 界王神とかいう人だ」

 

見覚えのない、気品のある佇まいの人物が実体化する。三枚目はウーロン(HERO)、四枚目でピッコロ被り(星2)、五枚目で少年時代の孫悟飯が加わる。六枚目、ひときわ強い光が弾け、SPARKINGのバーダックを引き当てた。

 

「お、バーダックか! かっこいいな」

 

「サイヤ人特集らしい引きだな」

 

七枚目、八枚目、九枚目と進み、いよいよ最後の十枚目。

 

それまでの光とは、明らかに質が違った。

 

空間全体が沈黙に包まれ、漆黒の空に青白い強烈な閃光が走り抜ける。空間そのものを圧迫するような凄まじい重低音と共に、虹色の光の粒子が静かに、だが圧倒的な密度で渦を巻き始めた。最高峰の演出――LEGENDS LIMITEDの降臨だ。

 

「な――これ、さっきまでと全然違う……!」

 

「まさか……この非確定枠で引き当てるとはな」

 

シャロットの声からも、冗談めかした調子が完全に消えていた。

 

光が収束していく中心。荒々しく立ち上る凄烈な黄金のオーラ。破れた道着を纏い、逆立った金髪を微かに揺らしながら、静かに佇む男がいた。

 

その瞳は冷たく、静かな怒りと、研ぎ澄まされたサイヤ人としての誇りを湛えている――

 

『ナメック星編 超サイヤ人 孫悟空(LEGENDS LIMITED)』。

 

フリーザを絶望の淵に叩き落とした、あの静かなる伝説の戦士だった。

 

「うおおお……! ナメック星編のLL超サイヤ人悟空……『バカヤロー悟空』だ……!」

 

圧倒的な威圧感に気圧され、息を呑むアキト。

 

超サイヤ人となった悟空は、ゆっくりと視線をアキトへ向けた。無駄な昂ぶりはない。静かで、重々しく、底知れない深みのある声が響く。

 

「……お前が、オレを呼び寄せたのか」

 

「あ、はい……! 星宮アキトです……!」

 

悟空は静かにアキトの全身を一瞥すると、微かに吐息を漏らし、静かな眼光のまま口を開いた。

 

「いい面構えだ。……オレは超サイヤ人、孫悟空。力を借りたいのなら、相応の覚悟を見せてもらおう」

 

無邪気なお調子者の面影はどこにもない。仲間を傷つけられ、サイヤ人としての誇りに目覚めた「超サイヤ人」そのもののクールで重厚な佇まい。前世で画面越しに見つめていたあの冷徹なまでの格好良さを前に、アキトの背筋が武者震いでゾクゾクと痺れた。

 

(試験まで、残り一か月半か……。この人たちと一緒に、もっと強くなる……!)

 

---

 

それから半月ほど経った、試験まで残り一か月というタイミングで、アキトはふと結晶の増え方に違和感を覚えた。

 

「なあシャロット、最近ミッションの報酬、心なしか増えてないか?」

 

「気のせいじゃねえと思うぞ。デイリーミッションの基礎値自体が、心持ち上がってる気がする」

 

「個性が育ってきてるから、とか?」

 

「かもな。まだ確証はねえが、個性の練度が上がるにつれて、システム側の還元量も増えていく――そういう仕様なんじゃねえかと思ってる。あとは、大きな出来事を一つ乗り越えるごとに、まとまった報酬がドカッと入ることもあるらしい」

 

「大きな出来事って?」

 

「さあな。それこそ、試験に受かるとか――そういう類のことかもしれねえ」

 

シャロットの言葉に、アキトは少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。地道な積み重ねの先に、まだ見ぬ伸びしろがあるらしいという実感が、残り少ない試験までの日々を後押ししてくれる。

 

---

 

試験直前、月が変わってまた別のバナーに切り替わっていたタイミングだった。悟空を引き当てて以降も、アキトは変わらず日々のミッションとトレーニングを黙々とこなし、気づけばまた1000個ほどの結晶が貯まっていた。

 

「試験直前に、最後の賭けに出るか」

 

「賭けって言うほどのもんでもねえだろ。いつも通り引くだけだ」

 

「まあそうなんだけど、なんかこう、景気づけっていうか」

 

〈期間限定:地球育ち大集合10連ガチャ〉

〈配信期間:今月1日 〜 今月末まで〉

 

「これで本当に最後だ……」

 

結果は、決して劇的なものではなかった。今月の新規カードと、これまでに引いたカードとの被りが数枚――その中に、ひときわ目を引く合体戦士の姿はなかった。LEGENDS LIMITEDの格上げ演出も、今回は一度も発生しなかった。

 

「……ゴジータ、出なかったか」

 

「まあ、そう毎回都合よくはいかねえよ。今いる面子でも、十分戦力にはなってる」

 

肩を落としながらも、アキトは気持ちを切り替えた。育成の主軸はあくまでベジータと、新しく加わった超サイヤ人悟空。この二か月半で積み上げてきたものは、派手な一枚のカードだけではない。

 

「……よし、切り替えていこう。試験まで、あと三日だしな」

 

「その心構え、忘れんなよ」

 

---

 

試験前日の夜、アキトは自室の机に向かい、願書の控えをぼんやりと見つめていた。

 

「緊張してんのか」

 

いつの間にか現れたシャロットが、壁にもたれかかりながら声をかけてくる。

 

「そりゃするだろ。人生――っていうか、二回目の人生を賭けた試験だし」

 

「大袈裟な」

 

「大袈裟なもんか。ここで落ちたら、この体の……星宮アキトの夢も、俺の今後も、全部振り出しに戻る」

 

シャロットは少し黙った後、静かに言った。

 

「まあ、気負う気持ちも分かる。だが、この二か月半、お前がどれだけ真面目に体を作ってきたか、俺が一番近くで見てきた。爆死に凹んだ日も、地道に修行とミッションを積んだ日も、俺は全部見てきた。今更ジタバタしたところで、積み上げてきたもんは変わらねえよ」

 

「……お前がそういうこと言うと、逆に調子狂うんだよな」

 

「柄じゃねえのは分かってんよ。だが事実だ」

 

アキトは小さく笑い、深呼吸をひとつした。

 

「なあ、シャロット。試験本番は、個性は一切使わない方針でいくけど……本当にそれでいいと思うか」

 

「お前が決めたことだ。俺がとやかく言う筋合いじゃねえ。ただ」

 

「ただ?」

 

「もしどうしようもない場面が来たら――そのときは、迷わず頼れ。命より優先すべき秘密なんて、ねえんだからな」

 

その言葉に、アキトは静かに頷いた。

 

---

 

翌朝。指定された試験会場に到着すると、そこには想像していた以上の人数の受験生が集まっていた。緊張した面持ちの者、余裕綽々な態度を崩さない者、様々な表情がひしめき合っている。

 

(この中の何人が、実際に合格できるんだろうな……)

 

会場を見渡していると、ふと視界の端に、聞き覚えのある声が耳に入った。

 

「ふ、ふぁいとぉぉぉ……!」

 

丸っこい頬をした、お団子頭の女の子が、一人で気合を入れている。緊張のあまり少し挙動不審気味のその姿に、アキトは思わず目を留めた。

 

(あの子、もしかして……)

 

確証はなかったが、前世の記憶にどこか引っかかるものがあった。だが今は、余計なことを考えている余裕はない。試験開始のアナウンスが会場に響き渡る。

 

「これより、雄英高校ヒーロー科・実技試験を開始する! 諸君らには、これから模擬市街地に移動してもらい――」

 

説明が続く中、シャロットの声が、頭の中に直接響くように届いた。

 

「聞こえてるか。会場内にも、俺の声だけは届けられる」

 

「お、便利だな。それ、もっと早く言ってくれよ」

 

「今言ってるだろうが。細かいことは気にすんな」

 

軽口を交わしながらも、アキトの意識は完全に試験へと切り替わっていた。模擬市街地への移動が始まる。周囲の受験生たちの緊張感が、肌にひりひりと伝わってくる。

 

(ここからだ。個性に頼らず、この二か月半で鍛えた体一つで――)

 

拳を強く握りしめ、アキトはゲートの向こうに広がる、模擬都市の光景を見据えた。




みなさんレジェンズで好きなキャラは誰ですか?私はLL竜拳3ですLFのかっこよさは異次元
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