ここはとある廃屋の地下施設。
そこに複数の男達が入っていき、隠しスイッチを押す。
するとライトがついて辺りが見えやすくなるった。
古めかしい建物だが、壁にはひびがあってボロボロだ。
もはや、そこは牢屋といった方が正しい場所でしかない。
『『『・・・・っ』』』』
牢屋の中には獣人、有翼人、ハーフエルフ、神魔系と妖怪系統の少女達がいた。
男達をみて怯えて後ずさる。
それをゲスな笑みを浮かべて鍵の束を取り出すと、牢屋の錠前にいれて回そうとしてると。
「おっと、そこまでにしてもらうえ?幼女誘拐、はては惨殺に麻薬取引に獣人や有翼人やハーフエルフや神魔系や妖怪を連れ去り、ネットオークションに売りさばくという行為は許されんことや」
チャキ、という拳銃の音が響いた。
声の主は少女のようだ。
「ど、どっから入った!?厳重に閉じてたはずなのに」
「どっから?くっくっくっ…あんさんはバカやな?
そんな質問に答えると思うん?」
怯えているのか声が上ずっているが少女は気にしたふうもなく笑いながら尋ねる。
質問を質問で返すということに男は苛立ってきていたがゴリっと銃口を押し付けられて青ざめる。今、少女が引き金をひけば、男は即死となるだろう。男はそれだけは避けねばならないのだ。
随分静かだが、仲間はどうしたのだろうかと思っていると
「ああ、そうそう!あんさんのオトモダチやけどな?ちと、眠ってもらっとるえ」
そう少女が答えたのだ。
まるで男の心を読んだかのように。
「お、おまえは」
「何者かと聞かれたら…そうやなぁ?まぁ、わかりやすういうなら…なんでも屋やな」
男の問いに少女はそう答えると銃口を下へと下げて行く。
首辺りまでくると、引き金をひいた。
ドサッ
男はそこで意識を失い倒れたのだった。
「さて…お仕事の後始末やな」
少女は黒いフードをとると水色の長い髪が広がり、床に落ちている鍵の束を使い、牢屋をあけていく。
中にいた人外の者達は外に出ると少女に頭を下げた。
「えぇんよ、弱気者を助けることがわっちのポリシーやから♪
さて、行こうえ?親御さん達が心配しとるさかいな」
少女の笑みに人外の少女達は頷いた。
とても嬉しそうな笑みを見て霊札を取り出そうとすると
ぱしゅん!
という音が鳴り、少女の頬から血が垂れながれた。
目線を音のした方へ向けると、がくがくと脚を振るわせて怯えた様子の男がいた。
どうやら、銃の眠り針の耐性でもあったのだろうと少女は確信して、頬から流れた血を指で取り、舐める。
「しゃーなしやな。できれば、穏便にすませたかったんやけど」
やれやれという動作をして少女が言う度に、密度に重みがましていく。
少女の目が金色に光ると狐の尻尾が九本、生えて頭部には狐の耳がはえて服装着流しの衣装に変化する、男が怯えて後ずさると
「はい、ストップ!」
もう一人の少女の声が響いた。
黒いフードを着ており、心なしか身長も低いような気がする。
手には大きな金色の時計があった。
「つぐみ…なんで止めるんや」
「止めるよ!所長であり、リーダーの深紅ちゃんになにかあるのは悲しいもん
無暗に血を流すのはあの時だけで十分だよ」
心なしか固い声にフードを取る少女…つぐみはそう告げた。
昔を思い出して躊躇しながらもキッパリと言う彼女を見て少女…深紅は深いため息をつく。彼女の頭の上にはロップイヤーみたいなうさぎの耳にお尻の方からは猫の尻尾が生えていた。
「う、うわあぁぁぁ!!!」
その時、今がチャンスだと思い突進してくる男。
つぐみと深紅は慌てない…なぜなら
「……ごめんね『止まれ』」
カチ!
つぐみは悲しげに謝り、そして言霊をつげて金色の時計をかざす。
時計の秒針が止まると男も止まる。
「さすが、つぐみやな」
「やめてよ、深紅ちゃん。褒められてもあんまり嬉しくないよ」
深紅がそう言うとつぐみは目を伏せてそう呟き、手錠を男の腕に巻きつけて。
額に時計型のシールを張る。深紅は頬をかいて小さく「ごめん」と謝った。
「『汝は夜が明けるまで眠り続ける』」
つぐみがそう言霊をつげると男の額に溶け込むようにシールが消えていく。
「ほな、行こうかえ」
「うん。この子達を親元に帰さないとね」
深紅に言われてつぐみは頷くと呆然としている少女達に近寄り、手を差し出す。
少女達は手を伸ばしたのを見て深紅が霊札をかかげる。
すると光につつまれて深紅やつぐみや少女達がこの場から消えた。
*****
翌朝…
「けーさつはちゃんと向かったようやね」
「じゃないと、誘拐がまた起きるからね」
とあるマンションにて2人の少女はテレビを見て会話をしていた。
水色の長い髪の少女は頬にバンソーコーが張られている。
小柄な体躯で茶色のポニーテールの少女が苦笑いを浮かべていた。
この2人が最初にでてきた2人である。
「これで一件落着なのはいいけど…深紅さんが怪我してるなんて聞いてないんだけど?」
「細かいことはえぇやん」
そこへ、一人の少年が来てジト目で見て言うと深紅がけらけらと笑う。
「それより、フジくん!あの拳銃の眠り針が効かなかったみたいなの」
助け舟をだすように話を逸らす
「つぐみ、それは本当?なら…相手も対策してきたってとこかな」
つぐみがそう言うと少年が腕を組んで考え始める。
「もうちょっと…効果を強めなあかんかもな」
深紅がふぅとため息をついて、テーブルにある珈琲をとって、すする。
「争い事はなるべく起こさないようにしないとね。特に俺等の場合は」
「……うん。他の争いが絶えないしね」
少年はクッキーを皿に並べるとつぐみも頷いた。
「”先祖返り”は嫌悪されてるんもんな。妖怪と人のハーフもそうやけど」
深紅が悲しげにそう呟くと静まりかえる。