再び意識を取り戻した私は真っ白な天井を眺めていた。
ここはお約束の言葉をいうべきだろうか。
「うゆうあいうりゃあう(知らない天井が見える)」
言ってはみたものの、うまくしゃべれてないようだった。
身動きも取れないことに泣きそうになっていると。
「☆、△○☆□★?」
そう言って黒髪のロングヘアーでつり目の女性に抱き上げられたが、あいにく私にはなにを言っているのかわからない。
多分、動けないのは赤ん坊だからだと思われる。
そして目の前にいる女性は私の両親ではないかと予想しておこう。
それにしてもやはりすぐに言語がわかるというものはないんだろうな。
けど、すぐにわかってしまうだけでは怠けてしまう可能性もある。
ならば、いっそこの状態から徐々に吸収していって覚える方がいいかもしれない。
「うぁ?」
「♭□★△◎♪」
不思議そうな顔をして見つめるとくすりと、女性が笑い、私の頬にキスをしてくれた。
ふむ、やはり彼女が私の母でいいらしい。
言葉がわからないのはなれないが、今はすぐにわからなくてもいいだろう。
次第に覚えていけば、普通に話せるかもしれないし。
そんな無意識に考えていたらあむあむと尻尾をくわえていた。
ん? 尻尾って……えぇ~~!?
よく見ると母様と断定される女性の頭頂部には猫耳が見える。
となると、それは自分にも生えているのではと、私はどこかわくわくした気分でいた。
ああ、早く大きくなって鏡をみたいものだ。
「◎△★□◇?」
凝視している私を見て不思議そうな顔をする母様。
その時にゆらりと揺れる尻尾が見えた。
あれはおそらく猫尻尾であろうことが容易に想像できる。
でも、なんで二又なんだろうか。
そんなことを考えていると背中を優しく撫でられて、うとうとしてきた私。
こ、このままではなにもわからずに寝てしまう!
でも、眠気には勝てないゆえに、そこで意識は途絶えた。
「◇□★◎○♪」
そうつぶやいた女性は優しくゆりかごに寝かせてくれた。
静かに部屋から出ていくのを最後に私は意識を完全に閉じてしまう。
~~~☆~~~~~
赤ん坊になってから長く暮らして早数ヶ月経ち、私は5歳になっていた。
私はハイハイしている時には鏡で自分の容姿を確認したことがある。
母親と同じような黒髪の黒い猫耳と黒い二又の猫尻尾が私にも生えていたのだ。
なんともプリチーな姿に生まれてしまったのか。
そりゃ、嬉しくないわけではないけど、種族だって選ばなかったしね。
そういえば、私以外にも同じ目にあってこの世界……ミドラスヘイドにいるのだろうか。
もし、いたら、会って会話をしてみたいな~。
「ユリア、起きてる?」
「あい、おきてましゅ」
そう考え事していたら子供部屋のドアを開けられて、こちらを覗き込む母様が見えた。
私がそう答えると嬉しそうに笑いながらこちらへと歩いてくる。
うしろには兄様と姉様もいて、笑顔で近寄ってくる姿が見えた。
母様同様に美しい顔立ちをしている兄様と姉様。
ちなみに私もそう変わらない可愛い顔立ちをしているようだ。
手には何か握られているようだけど、なんだろう。
「今日は、ユリアにお土産があるのよ」
と、にこにこと笑顔で笑いかける母様。
名前は確か……ユリエ・フォン・アーデルハイトというらしい。
兄様の名前はカイト・フォル・アーデルハイトで、姉様の名前はメノウ・フォ・アーデルハイトだったよ。
私の名前はユリア・フィル・アーデルハイトというみたい。
なんでわかるかというと母様が教えてくれたからなんだけどね。