マブラヴ・カーストルーム   作:EXTERMINATION

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第30話 東京湾を奪還せよ

西迎撃隊全体が、東京ハイヴ中層へ向かって動き始めた。

 

五十六機が通るには、最初の坑道は狭すぎる。

 

そのため部隊は三本の並行経路へ分けられている。

 

教導隊とサムライ部隊を含む主力が中央坑道。

 

候補生第一隊は右側の支道。

 

後方確保隊は左側の経路。

 

三隊は中層入口付近で再び合流する予定だった。

 

最初の二百メートルでは、大規模な敵反応は確認されなかった。

 

少数の戦車級が現れたが、前方を進む正規軍制圧隊が短時間で排除していく。

 

候補生隊へ届くのは、爆炎の残光と粉塵、

砲撃音、壁面を転がってくる岩片だけだった。

 

須藤は前方に連なる戦術機の照明を見ながら言う。

 

『本当に多いな』

 

前を進むのは、不知火、陽炎、撃震。

 

多数の機体が同じ地下道を通っている。

 

高円寺が機体同士の間隔を確認する。

 

『少し密集しすぎている』

 

堀北も同じ点へ気づいた。

 

『前方機が急停止しても回避できる距離を維持して』

 

初期の地下訓練で、最初に教えられたことだった。

 

仲間の背中だけを見て進むな。

 

前方の機体が倒れれば、後続まで止まる。

 

五十六機が同じ地下へ入った今、その基本がこれまで以上に重要になっている。

 

中央坑道の先で爆発が起き、地面が大きく揺れた。

 

要撃級二体と、サムライ前衛が交戦を始めたらしい。

 

だが候補生隊は止まらない。

 

右側支道を予定速度で進み続ける。

 

龍園が中央隊との進行差を確認する。

 

『こっちの方が速いな』

 

ひよりが地上から答える。

 

『右支道は、中央坑道より敵反応が少ないです』

 

坂柳有栖が注意を加える。

 

『ただし、合流地点の手前に狭窄区画があります』

 

「予定通り進む」

 

オレが答えると、宝泉が前方を見ながら言った。

 

『正規軍より先に着けそうだな』

 

堀北が釘を刺す。

 

『競争ではないわ』

 

『分かってる』

 

言葉では認めている。

 

それでも声には、もっと前へ進みたい気持ちが滲んでいた。

 

須藤にも同じものがある。

 

だが、二人とも隊形を崩してはいない。

 

約二百五十メートル進んだ地点で、第二中継器の設置を開始した。

 

八神が機体を壁面へ寄せ、固定アームを伸ばす。

 

宝泉は前方を警戒。

 

七瀬と天沢が左右の保守坑を見る。

 

その時、右側の暗い保守坑から戦車級四体が飛び出した。

 

宝泉が最初に気づく。

 

『右だ!』

 

七瀬と天沢が即座に機体を向ける。

 

宝泉は敵へ接近しようとはしなかった。

 

中継器担当を守れる位置を維持したまま、三機で射撃を開始する。

 

最初の二体を七瀬と天沢が止める。

 

残る二体が八神へ向かおうとするが、

宝泉が右側へ一歩移動し、三十六ミリ弾を撃ち込んだ。

 

一体が停止。

 

最後の一体は七瀬が排除する。

 

その間も、八神は作業を中断しなかった。

 

『第二中継器、設置完了しました』

 

宝泉が言う。

 

『遅ぇ』

 

八神は落ち着いて答える。

 

『規定時間内です』

 

七瀬が宝泉へ呼びかける。

 

『宝泉くん、前へ出ませんでしたね』

 

『中継器を守れって言われたからだ』

 

天沢が楽しそうに言う。

 

『偉い、偉い』

 

『馬鹿にしてんのか』

 

「前進する」

 

オレが会話を止める。

 

軽い口論は続いている。

 

それでも宝泉は役割を守った。

 

訓練で繰り返し指摘されてきたことを、実戦でも実行できている。

 

候補生第一隊はさらに地下へ進んだ。

 

その途中、中枢構造体の進路が僅かに変化した。

 

坂柳有栖が報告する。

 

『中枢上昇経路が西へ約二百メートル移動しました』

 

茶柱が尋ねる。

 

『こちらの経路へ近づいたのか』

 

『はい。現時点では、西迎撃隊が最初に中枢へ接触する可能性が最も高いです』

 

サムライ3が即答する。

 

『予定通りだ』

 

茶柱は敵の配置を確認した。

 

『前方の敵反応は?』

 

ひよりが読み上げる。

 

『統率級六体』

 

『要塞級四体』

 

『光線級反応が複数』

 

『戦車級と要撃級は、数が多すぎて正確には計測できません』

 

星之宮が呟く。

 

『聞きたくなかったな』

 

坂上が答える。

 

『聞かなくても進むしかない』

 

真嶋は全回線へ弾薬管理を注意する。

 

『無駄撃ちするな。中枢へ着く前に弾を切らすな』

 

午前五時十二分。

 

作戦開始から十二分後。

 

西迎撃隊は、東京ハイヴ中層部の入口へ到達した。

 

その先には、これまで通過してきた坑道とは比較にならないほど

巨大な地下空洞が広がっていた。

 

天井は高く、左右の幅も広い。

 

戦術機が横方向へ展開し、部隊単位で戦える空間がある。

 

しかし、広いということは。

 

光線級の射線も通るということだった。

 

先行する無人偵察機が空洞へ入る。

 

数秒後、暗闇の奥から赤い照射が走った。

 

無人機は一瞬で反応を失い、映像も途切れる。

 

『光線級反応!』

 

警報が全機へ流れた。

 

正規軍機が重金属雲を散布する。

 

灰色の粒子が巨大空洞へ広がり、照明と前照灯の光をぼやけさせていく。

 

候補生第一隊は入口手前で停止した。

 

茶柱が命じる。

 

『中枢接触隊が先に入る』

 

堀北も候補生側へ指示する。

 

『第一候補生隊は、その場で待機』

 

須藤が不満を漏らす。

 

『また待つのか』

 

「命令だ」

 

『分かってる』

 

須藤機は動かなかった。

 

正規軍の不知火、撃震、陽炎が、重金属雲の中へ進入する。

 

壁沿いへ分散し、高度を抑えて前進。

 

赤い照射が何度も空洞を横切る。

 

重金属雲によって照準精度は低下しているが、完全に防げるわけではない。

 

一機の不知火が右腕部へ照射を受けた。

 

装甲が赤く焼け、腕部出力が急低下する。

 

『サムライ9、右腕部中破!』

 

それでも機体は後退しなかった。

 

損傷した右腕を即座に切り離す。

 

接続されていた突撃砲も捨てる。

 

残された左腕で長刀を抜き、前進を続けた。

 

真嶋が訓練で説明した通りだった。

 

壊れた部分を捨てる。

 

残された機能だけで動く。

 

候補生たちは、それが実戦でどれほど速い判断を要求されるのかを目の前で見る。

 

正規軍前衛が光線級へ近づこうとする。

 

だが、複数の要撃級がその前へ立ちはだかった。

 

砲撃。

 

爆炎。

 

一機が正面で要撃級の注意を引き、別の二機が側面へ回る。

 

長刀が脚部関節へ入り、巨体が傾く。

 

その隙を使い、後続が光線級へ砲撃を集中する。

 

一体。

 

二体。

 

三体。

 

空洞内で光線級反応が次々と消えていく。

 

正規軍が進路を開いた。

 

茶柱の命令が届く。

 

『候補生第一隊、進入しろ』

 

堀北が第一班へ指示する。

 

『第一班、前へ』

 

オレたちは巨大空洞へ入った。

 

重金属雲によって視界は灰色に濁り、前照灯も数十メートル先までしか届かない。

 

その中を正規軍機の影が進む。

 

左右からBETA反応。

 

須藤が戦車級へ短い連射を加える。

 

命中。

 

高円寺は別の一体へ必要最小限の弾を撃つ。

 

オレは右側から接近する二体を排除した。

 

堀北は個別の戦闘へ集中せず、十二機全体の位置を管理する。

 

『立ち止まらないで』

 

第二班も中央隊列を維持する。

 

龍園が右。

 

平田が左。

 

一之瀬が救援位置。

 

神崎が敵反応と地形を管理していた。

 

第三班は通信中継器を守りながら後方を進む。

 

左右の保守穴から戦車級が出るたび、宝泉が先に発見して射撃する。

 

前へ追いかけようとはせず、八神との距離を維持している。

 

空洞中央で正規軍機一機が脚部を損傷し、転倒した。

 

巨体が後続部隊の進路を塞ぐ。

 

平田が気づく。

 

『損傷機があります!』

 

一之瀬も向かおうとする。

 

『救援します』

 

だが龍園が止めた。

 

『待て。正規軍の回収班が近い』

 

二人は動きを止める。

 

すぐに撃震二機が損傷機へ接近した。

 

搭乗者の生命反応を確認。

 

牽引器具を接続。

 

候補生第一隊は射線を維持し、回収作業の周囲へBETAを近づけない。

 

助けを必要とする機体を見つけても。

 

自分たちが行くべきとは限らない。

 

役割を重ねれば、かえって救援の邪魔になる。

 

一之瀬は目の前の損傷機を見ながらも、決められた位置を守った。

 

中枢構造体の深度は七百四十メートル。

 

予測接触まで約二十分。

 

西迎撃隊は予定より速く進んでいた。

 

だが、敵反応も加速度的に増えている。

 

空洞の奥から、要塞級が姿を現した。

 

一体。

 

二体。

 

そして四体。

 

巨大な脚部と身体が、中枢接触隊の進路を塞ぐ。

 

茶柱が命じる。

 

『要塞級は正面から倒すな』

 

サムライ3も作戦を示す。

 

『左側へ誘導する』

 

正規軍が要塞級の右側へ砲撃を集中する。

 

爆炎によって注意を引き、少しずつ左へ向きを変えさせる。

 

長刀で脚部関節へ浅い斬撃を加えるが、完全には倒さない。

 

ここで撃破し、巨体が中央へ倒れれば、部隊全体の進路が塞がる。

 

龍園が前方の戦闘を見る。

 

『正面から潰さねぇのか』

 

高円寺が答える。

 

『倒せても、道が塞がる』

 

須藤も理解していた。

 

『分かってる』

 

これまでの地下訓練で、何度も繰り返した判断。

 

大型種は、倒せばいいわけではない。

 

どこで止めるか。

 

倒れた身体が、どの道を塞ぐか。

 

正規軍は要塞級を左側へ追い込み、一体を壁面へ寄せる。

 

右側に一機ずつ通れる空間が開いた。

 

西迎撃隊はその隙間を通過する。

 

直後、巨大空洞全体が強く揺れた。

 

警告表示。

 

地層移動。

 

中枢構造体の上昇速度が、さらに増加している。

 

深度六百九十メートル。

 

予測接触まで十二分。

 

坂柳有栖の声が管制室から響く。

 

『中枢上昇速度が、作戦開始時より二十二パーセント増加しました!』

 

茶柱が尋ねる。

 

『急いでいるのか』

 

ひよりが答える。

 

『周囲のBETA反応も、中枢の上昇に同期しています』

 

白い外殻を持つ六体の統率級が、

中枢前方から西迎撃隊へ向かって動き始めた。

 

『統率級が接近します!』

 

前方映像へ、巨大な白い殻が映った。

 

一体。

 

続いて二体。

 

暗闇の奥から、残る個体も次々と現れる。

 

要塞級より背丈は低い。

 

だが横幅は遥かに広く、

複数の太い肢体が地面と壁面を掴んで身体を運んでいる。

 

外殻の下では、赤い孔が不規則に発光していた。

 

第二侵入口で遭遇したものと同じ。

 

ただし、今度は一体ではない。

 

六体が巨大空洞を埋めるように並んでいる。

 

周囲にいた要撃級や戦車級は、統率級へ道を譲るように左右へ退いた。

 

茶柱が候補生側へ命じる。

 

『候補生第一隊は停止』

 

堀北も即座に従う。

 

『全機停止』

 

正規軍中枢接触隊が前へ出る。

 

サムライ部隊。

 

教導隊。

 

統率級六体との距離は約四百メートル。

 

さらにその周囲には光線級、要撃級、無数の戦車級が存在している。

 

星之宮が目の前の光景を見て言う。

 

『これを抜けて、中枢まで行くの?』

 

坂上が答える。

 

『抜けるしかない』

 

真嶋は全隊へ注意を送る。

 

『白い外殻へ正面から撃つな』

 

『肢体の付け根か、外殻下の赤熱部を狙え』

 

茶柱。

 

『正規軍前衛、左右へ展開』

 

サムライ3。

 

『中央を空けろ』

 

統率級六体をすべて倒す必要はない。

 

左右へ分断し、中枢接触隊が中央を突破するための道を作る。

 

だが、統率級は前進を止めた。

 

六体が、ほぼ等間隔で横一列へ並ぶ。

 

巨大空洞の幅を埋める、白い防壁。

 

龍園が低く言う。

 

『向こうも道を塞ぐ気か』

 

統合司令部の参謀が答える。

 

『偶然の配置だ』

 

龍園は鼻で笑う。

 

『まだそんなこと言ってんのか』

 

オレも統率級の並びを見る。

 

六体の間隔は不自然なほど均等。

 

中枢の進行方向と正規軍の経路を正面から塞いでいる。

 

偶然だけでは説明しにくい。

 

坂柳有栖が正式に報告した。

 

『統率級六体が、中枢前方に防衛線を形成しています』

 

ひよりも補足する。

 

『要撃級が統率級同士の隙間へ入りました』

 

BETAが人間のような戦術思考を持っているかは分からない。

 

それでも、目の前で起きている結果は明確だった。

 

突破しなければならない壁。

 

茶柱が言う。

 

『正面から突破する』

 

その時、坂柳理事長が全回線へ入った。

 

『待ってください』

 

茶柱。

 

『別経路がありますか』

 

ひよりが地形図を拡大する。

 

『巨大空洞上部に、旧地層の亀裂があります』

 

『幅は戦術機一機分程度』

 

『統率級の上を通過できる可能性があります』

 

サムライ3が尋ねる。

 

『何機まで通せる』

 

『現在の強度なら、六機程度です』

 

茶柱は即座に判断した。

 

『中枢接触隊を六機に絞る』

 

サムライ3。

 

『誰を行かせる』

 

『教導隊四機』

 

『サムライ3』

 

『爆薬運搬機一機』

 

合計六機。

 

残る正規軍と候補生第一隊が地上側で統率級を引きつけ、

その間に六機が上部亀裂を通って中枢へ向かう。

 

堀北が茶柱へ呼びかける。

 

『先生』

 

『何だ』

 

『六機だけで行くのですか』

 

『そうなる』

 

『爆薬運搬機が損傷した場合は?』

 

『戻る』

 

『本当に?』

 

茶柱は迷わず答えた。

 

『約束した』

 

須藤も通信へ入る。

 

『俺たちも行ける』

 

『行かせない』

 

『でも、六機だけじゃ――』

 

茶柱の声が強くなる。

 

『お前たちの任務は、ここを守ることだ』

 

統率級六体と大量のBETA。

 

残る正規軍と候補生がここで止めなければ、

上部亀裂へ入る六機は背後から追われる。

 

中枢へ向かう部隊が進むためには、誰かがこの場を守らなければならない。

 

オレは上部亀裂の位置を確認する。

 

入口は統率級防衛線の右上。

 

そこへ到達するまで、正規軍が道を作る。

 

候補生第一隊は中央後方を維持し、敵の流入を止める。

 

茶柱がオレへ呼びかけた。

 

『綾小路』

 

「何でしょうか」

 

『ここを任せる』

 

「了解」

 

『中枢接触に失敗した場合は、爆薬を持って戻る』

 

「分かりました」

 

『私たちを追うな』

 

「先生たちが戻れば、追う必要はありません」

 

茶柱は僅かに黙った。

 

『戻る』

 

その直後、統率級六体が同時に動き始めた。

 

周囲の要撃級と戦車級も前進する。

 

サムライ3の命令が全回線へ響く。

 

『全隊、迎撃開始!』

 

正規軍機と候補生機が一斉に射撃を開始した。

 

地下空洞は一瞬で巨大な戦場へ変わる。

 

統率級の白い外殻へ無数の砲弾が着弾し、火花と爆炎が連続して走った。

 

だが、正面装甲はほとんど崩れない。

 

正規軍は照準を肢体の付け根と、外殻下の赤い孔へ移した。

 

左右から火力を集中させ、中央の二体だけを僅かに外側へ押し始める。

 

その隙間を作るため、一機の不知火が統率級の目前まで接近した。

 

複数の肢体が伸びる。

 

不知火は地面を滑るように姿勢を低くし、最初の一撃を回避。

 

背後から別の肢体が迫る。

 

直撃寸前。

 

坂上機の砲撃が肢体の軌道を逸らした。

 

茶柱機が長刀を振り、肢体の関節部へ斬撃を加える。

 

傷は浅い。

 

星之宮が開いた赤い孔へ射撃。

 

真嶋が百二十ミリ弾を撃ち込む。

 

大爆発。

 

中央の統率級二体が、僅かに左右へずれた。

 

上部亀裂へ続く進路が開く。

 

サムライ3が命じる。

 

『中枢接触隊、上へ!』

 

六機が跳躍ユニットを制限出力で噴射し、空洞側面の岩棚を伝って上昇した。

 

茶柱。

 

坂上。

 

星之宮。

 

真嶋。

 

サムライ3。

 

爆薬運搬機。

 

六機が上部亀裂へ向かう。

 

統率級の一体が、その動きへ気づいた。

 

巨大な肢体が上方へ伸びる。

 

須藤が叫ぶ。

 

『行かせるか!』

 

候補生用の限られた百二十ミリ弾を発射する。

 

砲弾が肢体の付け根へ直撃し、大きな爆発を起こした。

 

肢体の動きが止まる。

 

高円寺が開いた赤い孔へ正確な射撃を加え、

龍園が反対側から同じ個体を押さえる。

 

平田と一之瀬は中央へ流れ込む戦車級を止め、

神崎が敵位置を全隊へ送信する。

 

第三班の中継器前には要撃級が迫っていた。

 

八神が叫ぶ。

 

『右後方です!』

 

宝泉は振り返らずに答える。

 

『見えてる!』

 

要撃級の脚部へ射撃。

 

七瀬が不足した火力を補う。

 

天沢が側面へ回り、別角度から砲撃を加えた。

 

要撃級が停止する。

 

その間に茶柱たちは上部亀裂へ到達した。

 

六機の反応が狭い地層内へ入る。

 

通信には強いノイズが混じる。

 

それでも信号は残っている。

 

残された正規軍と候補生第一隊は、

中枢接触隊が戻るまで統率級防衛線を維持しなければならない。

 

堀北が全体へ命じた。

 

『候補生第一隊は、正規軍中央線の後方へ移動』

 

『中継器を守りながら、敵を中央へ入れないで』

 

「第一班は左」

 

「第二班は中央」

 

「第三班は右」

 

オレが配置を決める。

 

龍園は第三班へ言う。

 

『前へ出すぎるなよ、宝泉』

 

『分かってる』

 

須藤も自分たちへ言い聞かせるように言った。

 

『俺たちもだ』

 

高円寺が僅かに笑う。

 

『君が言う側になったのかい』

 

『今は言わせろ』

 

統率級六体。

 

左右で火力を集中する正規軍。

 

周囲から無数に押し寄せるBETA。

 

中枢構造体は深度六百二十メートルまで上昇。

 

予測接触まで残り八分。

 

上部亀裂では、茶柱たちが中枢へ向かって進んでいる。

 

爆薬運搬機の反応は正常。

 

天衝作戦は、まだ継続していた。

 

午前五時二十三分。

 

地上に近い浅層西側入口では、候補生第二隊の戦闘も始まっていた。

 

断界作戦で崩落させた幹線の隙間から、浅層BETAが次々と集まってくる。

 

葛城が全隊へ告げる。

 

『第一候補生隊の退路を守る』

 

『ここから一体も奥へ通すな』

 

橋本が通信を管理。

 

神室が右側。

 

軽井沢と櫛田が中央支援。

 

伊吹、石崎、アルベルトが前衛へ立つ。

 

軽井沢の吹雪の管制ユニットでは、操縦桿を握る手が震えていた。

 

櫛田が気づく。

 

『軽井沢さん』

 

『何?』

 

『大丈夫?』

 

軽井沢は誤魔化さなかった。

 

『大丈夫じゃない』

 

短く息を吸う。

 

『でも、動ける』

 

前方には数十体の戦車級。

 

葛城が命じる。

 

『射撃開始』

 

候補生第二隊が、本格的な実戦で初めて一斉射撃を行う。

 

砲口炎。

 

着弾。

 

爆発。

 

軽井沢の初弾は外れた。

 

砲弾は戦車級の手前へ着弾し、地面から火花を散らす。

 

敵は止まらない。

 

櫛田が穏やかに言う。

 

『もう一度』

 

軽井沢は照準を合わせ直す。

 

平田の言葉を思い出す。

 

一人で撃たなくていい。

 

櫛田の弾道。

 

石崎の射線。

 

自分が守るべき区域。

 

右端から接近する一体へ照準を合わせる。

 

発射。

 

命中。

 

戦車級が停止した。

 

軽井沢は息を吐く。

 

『当たった』

 

神室がすぐに言う。

 

『喜ぶのは後にして』

 

橋本が追加反応を警告する。

 

『右側からさらに来る!』

 

伊吹。

 

『軽井沢、右!』

 

軽井沢機が即座に向きを変える。

 

今度は迷わず撃てる。

 

浅層防衛戦も始まっていた。

 

同じ頃、西中層では、統率級を相手にした戦闘がさらに激しくなっていた。

 

統率級の一体が外殻を開くように、中央の赤い孔を大きく広げた。

 

ひよりが熱反応の上昇へ気づく。

 

『統率級中央部の温度が急上昇しています!』

 

坂柳有栖が警告する。

 

『全機、正面から離れてください!』

 

何が起きるのか。

 

誰にも分からなかった。

 

赤い孔の内部へ光が集まる。

 

レーザー級の照射とは違う。

 

高熱。

 

そして異常な圧力。

 

次の瞬間、統率級の正面から強烈な衝撃波が放たれた。

 

白い蒸気と有機液体が広範囲へ噴き出し、

正面にいた撃震二機がまとめて押し飛ばされる。

 

一機は転倒。

 

もう一機は壁面へ叩きつけられた。

 

『シールド4、中破!』

 

『シールド5、脚部損傷!』

 

統率級に、これまで確認されていなかった攻撃能力がある。

 

正規軍中央線が崩れ、周囲のBETAが開いた隙間へ流れ込んできた。

 

堀北が叫ぶ。

 

『中央を埋めて!』

 

第二班が前へ出る。

 

龍園。

 

平田。

 

一之瀬。

 

神崎。

 

龍園が戦車級へ射撃。

 

平田と一之瀬は転倒した損傷機へ向かう。

 

神崎が周囲の敵位置を送り続ける。

 

第一班も左側から中央へ寄った。

 

オレ。

 

須藤。

 

高円寺。

 

第三班は中継器を維持しながら右側へ移動する。

 

宝泉。

 

七瀬。

 

天沢。

 

八神。

 

統率級の赤い孔は再び閉じた。

 

ひよりが次の攻撃までの時間を推測する。

 

『次の噴射まで、推定二十秒です!』

 

龍園が即座に判断する。

 

『孔が開いた時が弱点だ』

 

高円寺も同意する。

 

『私もそう思う』

 

須藤。

 

『次はそこへ撃つ』

 

「全機、赤い孔へ火力を集中する」

 

オレが命じる。

 

堀北が条件を加えた。

 

『ただし、孔が開くまでは撃たないで』

 

閉じている間は白い外殻が砲撃を弾く。

 

正面へ撃ち続けても、弾薬を消費するだけだった。

 

周囲の要撃級と戦車級が押し寄せる。

 

候補生第一隊と正規軍は、それらを止めながら統率級の次の攻撃を待った。

 

上部亀裂から、茶柱たちの通信が断続的に届く。

 

『……接触地点……近い』

 

坂柳有栖が信号状態を確認する。

 

『中枢接触隊の反応は継続しています』

 

『中枢構造体まで、残り約百五十メートルです』

 

その時、統率級の赤い孔が再び開いた。

 

ひよりが叫ぶ。

 

『来ます!』

 

「撃て!」

 

候補生と正規軍が一斉に射撃する。

 

砲弾が開いた赤い孔へ飛び込み、外殻内部で連続爆発を起こした。

 

統率級の身体が大きく揺れる。

 

正面へ向けられていた蒸気攻撃は上方へ逸れ、天井を直撃した。

 

大量の岩盤が崩れる。

 

それでも攻撃は止まった。

 

須藤が叫ぶ。

 

『効いた!』

 

高円寺が冷静に分析する。

 

『少なくとも、内部は正面装甲より脆い』

 

龍園。

 

『次も同じだ』

 

宝泉は統率級を見ながら言う。

 

『倒せる』

 

堀北が止める。

 

『倒すことが目的ではないわ』

 

『中枢接触隊が戻るための道を維持して』

 

一体の統率級は動きが低下した。

 

だが、残る五体は前進を続けている。

 

候補生側の弾薬も、少しずつ減っていた。

 

通信距離が限界に近づき、八神は第三中継器の設置準備へ入る。

 

設置予定地点は空洞中央付近。

 

統率級の右側。

 

周囲には多数の戦車級。

 

神崎が状況を見る。

 

『今は危険すぎる』

 

八神は通信強度を確認する。

 

『ですが、ここで設置しなければ中枢接触隊の信号を失います』

 

地上の橋本も言う。

 

『三号中継器が必要だ』

 

宝泉は設置地点を見る。

 

前方に統率級。

 

周囲に戦車級。

 

左右には要撃級反応。

 

「設置する」

 

オレが決める。

 

七瀬が即座に答えた。

 

『護衛します』

 

天沢も続く。

 

『私も行く』

 

宝泉が前へ出る。

 

『俺が先頭だ』

 

今回は勝手に動かず、命令を待っている。

 

「第三班は中継器を設置」

 

「第二班は右側を支援しろ」

 

龍園。

 

『了解』

 

宝泉。

 

『行くぞ』

 

第三班の四機が移動を開始する。

 

八神を中央。

 

宝泉が前。

 

七瀬が左。

 

天沢が右。

 

戦車級の群れが向かってくる。

 

宝泉が射撃。

 

七瀬が左側を止める。

 

天沢は要撃級の腕を引きつけるように大きく動く。

 

七瀬が脚部へ射撃し、腕の軌道を逸らした。

 

宝泉は八神との距離を維持しながら、

中央へ入ろうとする戦車級を次々と排除する。

 

八神が中継器の固定作業へ入った。

 

十秒。

 

宝泉が叫ぶ。

 

『まだか!』

 

『あと五秒です』

 

要撃級の腕が天沢へ迫る。

 

天沢が回避。

 

余裕は少ない。

 

七瀬の射撃によって腕が僅かに逸れる。

 

宝泉は後方を見ない。

 

中継器へ迫る戦車級だけを止める。

 

一体。

 

二体。

 

三体。

 

『設置完了!』

 

八神の声と同時に、通信状態が回復した。

 

ノイズに埋もれていた茶柱の声が、明瞭に聞こえる。

 

『中枢構造体を視認した!』

 

地上へ送られた映像には、巨大な有機壁が映っていた。

 

一定間隔で脈動する、東京ハイヴ中枢構造体。

 

その手前には光線級と要撃級。

 

さらに、中層で戦っている六体とは別の統率級が二体存在していた。

 

ひよりが驚く。

 

『中枢側にも統率級反応があります!』

 

坂柳有栖。

 

『確認できるだけで、合計八体以上です』

 

茶柱の声が続く。

 

『爆薬設置地点まで百メートル』

 

坂柳理事長が命じる。

 

『到達が困難なら、戻ってください』

 

茶柱。

 

『まだ進めます』

 

堀北が僅かに息を呑む。

 

茶柱は追わないと約束した。

 

だが、爆薬設置地点まで残り百メートル。

 

中枢接触隊は前進を続けた。

 

正規軍と候補生は、中層で統率級を止める。

 

茶柱たちは、中枢へ爆薬を運ぶ。

 

天衝作戦は、最終局面へ入ろうとしていた。

 

その時。

 

東京ハイヴ全体が、これまでで最も大きく揺れた。

 

地中から凄まじい轟音が響く。

 

中枢構造体の上昇速度が急激に増加した。

 

深度五百八十メートル。

 

五百四十。

 

五百。

 

僅か一分で、八十メートル近く上昇している。

 

坂柳有栖が叫ぶ。

 

『中枢構造体が急加速しています!』

 

ひより。

 

『中枢接触隊がいる空間そのものが上昇しています!』

 

茶柱たちの足元が大きく傾いた。

 

壁面が動く。

 

中枢構造体が周囲の岩盤を押し上げ、

地下空洞全体を地表へ向かって持ち上げている。

 

星之宮の声が乱れる。

 

『ちょっと、こんなの聞いてない!』

 

真嶋。

 

『機体を固定しろ!』

 

坂上。

 

『壁側へ寄れ!』

 

茶柱。

 

『爆薬運搬機を守れ!』

 

中枢接触隊六機が巨大な空間の上昇へ巻き込まれる。

 

平らだった地面が斜面へ変わり、岩盤が次々と砕けていく。

 

周囲のBETAも同時に動いた。

 

統率級が中枢へ密着し、人類側の機体を押し潰そうとする。

 

中層空洞でも、天井と壁面に大きな亀裂が入った。

 

堀北が全機へ命じる。

 

『姿勢を低くして!』

 

大量の岩盤が落下する。

 

正規軍機一機が岩の下へ挟まれた。

 

反応は残っている。

 

一之瀬が叫ぶ。

 

『救援へ向かいます!』

 

平田も続く。

 

『僕も行く!』

 

二機が損傷機へ向かう。

 

龍園は中央線を維持する。

 

『他は持ち場を離れるな!』

 

須藤が天井を見上げる。

 

『上を見ろ!』

 

高円寺が落下地点を予測する。

 

『右へ移動するべきだ』

 

「全隊、右壁沿いへ移動」

 

オレが指示する。

 

直後、左側天井で大規模な崩落が起きた。

 

何千トンもの岩盤が落ち、統率級一体を巻き込む。

 

正規軍二機も回避しようとする。

 

一機は間に合った。

 

もう一機は岩盤へ押し潰された。

 

爆発。

 

機体反応が消える。

 

管制官の声が震えた。

 

『サムライ12、反応消失』

 

誰もすぐには声を出せなかった。

 

これまで作戦ごとに損傷者は出た。

 

中破機も。

 

重傷者も。

 

それでも、全員が帰還してきた。

 

天衝作戦で初めて。

 

一機の反応が消えた。

 

戻らない者が出た。

 

茶柱の通信が、ノイズの奥から届く。

 

『候補生隊……後退しろ……』

 

堀北が呼びかける。

 

『先生?』

 

『中枢接触が困難になった』

 

『空間そのものが上昇している』

 

坂柳理事長が命令する。

 

「茶柱先生、撤退してください」

 

茶柱。

 

『爆薬地点まで……五十メートル』

 

「撤退命令です」

 

茶柱は答えなかった。

 

約束。

 

追わない。

 

無理なら戻る。

 

堀北が叫ぶ。

 

『先生!』

 

須藤。

 

『戻れ!』

 

星之宮の声が入る。

 

『佐枝ちゃん』

 

坂上。

 

『撤退するべきだ』

 

真嶋。

 

『爆薬運搬機を引く』

 

サムライ3。

 

『中枢は地上で迎え撃つ』

 

一秒。

 

二秒。

 

長い沈黙。

 

そして。

 

『……了解』

 

茶柱は撤退を選んだ。

 

約束を守った。

 

中枢接触隊は反転する。

 

だが、空間は上昇を続け、各所で崩壊している。

 

無事に候補生隊の位置まで戻れる保証はない。

 

候補生第一隊の退路にも、統率級とBETAが押し寄せている。

 

浅層では第二候補生隊の戦闘が続く。

 

天衝作戦は、地下迎撃の失敗へ傾き始めていた。

 

坂柳理事長が全回線を開いた。

 

「地下部隊へ」

 

声は穏やかだった。

 

だが、決断に迷いはない。

 

「作戦を第二段階へ移行します」

 

地下で中枢を破壊する計画を断念する。

 

地上決戦。

 

「全地下部隊は撤退してください」

 

「中枢構造体を地表へ誘導します」

 

参謀が驚く。

 

「誘導するのですか?」

 

坂柳有栖が中枢進路を確認する。

 

予測経路は東京湾中央から僅かに西へ逸れ、人工島へ近づいていた。

 

このまま上昇すれば、高育のすぐ近くへ出現する可能性がある。

 

坂柳理事長が命じる。

 

「地上に設置した囮反応炉を、すべて起動してください」

 

「中枢を東京湾中央の無人海域へ引きます」

 

龍園が意図を理解する。

 

『中枢も反応炉へ向かうと賭けるのか』

 

「はい」

 

灯火作戦では、浅層BETAが囮反応炉へ引き寄せられた。

 

だが、中枢構造体や統率級が同じように反応する保証はない。

 

それでも他に手段はなかった。

 

「海上艦隊」

 

「軌道支援部隊」

 

「地上防衛隊」

 

「最終迎撃準備へ入ってください」

 

坂柳理事長の声が、さらに強くなる。

 

「地下部隊は全員、帰還してください」

 

候補生第一隊。

 

正規軍。

 

教導隊。

 

損傷機。

 

統率級の群れ。

 

地下から地上へ向かう撤退戦が始まる。

 

天衝作戦は、中枢を地下で破壊する作戦から。

 

地上へ誘い出し。

 

東京湾に集結した全軍で迎え撃つ、最終防衛戦へ変わった。

 

午前五時三十四分。

 

中枢構造体の深度は四百二十メートル。

 

地表到達まで、推定十八分。

 

人工島西側の浅層防衛線から、橋本の通信が届く。

 

『第一候補生隊へ』

 

激しいノイズと銃声が混じっている。

 

『こちら第二候補生隊』

 

『浅層出口周辺へBETAが多数集まっている』

 

その回線へ、軽井沢の声が入った。

 

『平田くん』

 

一瞬だけ、二人の回線が直接つながる。

 

『こっちは守る』

 

『だから――』

 

砲撃音と爆発が声を遮る。

 

『戻ってきて』

 

平田は迷わず答えた。

 

『必ず戻る!』

 

神崎が第二隊の状況を確認する。

 

『敵の種類と数を報告して』

 

橋本。

 

『戦車級多数』

 

『要撃級五体』

 

『さらに光線級反応もある』

 

神室。

 

『通信中継器は維持してる』

 

葛城が全隊へ告げる。

 

『出口は閉じさせない』

 

浅層第二隊。

 

軽井沢。

 

橋本。

 

神室。

 

彼らが第一候補生隊の退路を守っている。

 

神崎は地下にいる。

 

それぞれの戦場と役割が、今後の運命へつながり始めていた。

 

オレは前方を見る。

 

地上へ続く退路。

 

その途中にいる統率級と正規軍。

 

背後では中枢が上昇を続けている。

 

残された時間は少ない。

 

「候補生第一隊、全機地上へ戻る」

 

堀北が尋ねる。

 

『隊形は?』

 

「損傷機を中央へ置く」

 

「通信中継器は回収しない」

 

八神が反応する。

 

『第三中継器もですか』

 

「置いていく」

 

中継器を失えば、撤退中に通信が切れる可能性がある。

 

それでも回収作業へ時間を使えば、地上へ間に合わなくなる。

 

宝泉が言う。

 

『俺が最後尾をやる』

 

龍園が止める。

 

『勝手に決めるな』

 

『中継器を守ってた分、俺は弾を残してる』

 

事実だった。

 

須藤も申し出る。

 

『俺も残る』

 

「最後尾は交代制にする」

 

堀北が即座に役割を割り振る。

 

『第一後衛は宝泉くんと龍園くん』

 

『第二後衛は須藤くんと高円寺くん』

 

『第三後衛は綾小路くんと私』

 

宝泉が反発する。

 

『俺一人で十分だ』

 

七瀬が穏やかに言う。

 

『一人で戦わないでください』

 

宝泉は七瀬を見る。

 

その隣には天沢。

 

八神。

 

龍園。

 

仲間たちがいる。

 

短い沈黙の後。

 

『……分かった』

 

宝泉が、初めて素直に受け入れた。

 

龍園が全隊へ告げる。

 

『行くぞ』

 

候補生第一隊と正規軍部隊は、

損傷機を中央へ入れ、地上へ向けて撤退を開始する。

 

背後では中枢構造体が岩盤を押し上げ、

地下空間全体を破壊しながら上昇している。

 

周囲には統率級。

 

無数のBETA。

 

天衝作戦の本当の最終局面は、まだ地上へ姿を現していない。

 

それでも東京湾の海面はすでに。

 

中心から外側へ向かって。

 

巨大な円を描くように。

 

ゆっくりと盛り上がり始めていた。

 

その異変は、東京湾の海上だけで起きていたわけではなかった。

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