仮面ライダー555 外伝 ―灰翼のモルフォ―   作:木崎真帆

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はじめまして。

本作は『仮面ライダー555』の二次創作作品です。

原作TVシリーズの世界観・設定を基盤にしながら、オリジナル主人公「九条真綾」と、新たなオルフェノク「モルフォオルフェノク」を中心とした全5話完結の外伝形式で描いています。

本作では、

・オルフェノクとは何なのか
・人間と怪物を分けるものは何なのか
・生きるとはどういうことなのか

という『仮面ライダー555』が描いたテーマを、自分なりの形で掘り下げています。

原作キャラクターは登場しませんが、555の世界観を愛する方にも楽しんでいただけるよう制作しました。

よろしくお願いいたします。

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# 仮面ライダー555 外伝

## 灰翼のモルフォ

### 第1話「目覚め」

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**死んでも終わりじゃない。**

**終わりだと思ったその先から、運命は始まる。**

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第1話「目覚め」

### Scene.1 国立自然史博物館

 

午後五時三十分。

 

閉館を知らせるアナウンスが館内へ流れる。

 

展示室には誰もいない。

 

薄暗くなった標本修復室だけに、白いライトが灯っていた。

 

机に向かう女性。

 

九条真綾、二十五歳。

 

自然史博物館で昆虫標本の修復を担当している。

 

ピンセットを使い、一枚の青い翅を慎重に整える。

 

モルフォチョウ。

 

南米に生息する大型の蝶。

 

光の当たり方で、青くも紫にも見える。

 

同僚が声を掛ける。

 

「九条さん、まだやってるの?」

 

真綾は顔を上げず答える。

 

「もう少しです。」

 

「相変わらず真面目だなぁ。」

 

笑いながら同僚は帰っていく。

 

静寂。

 

真綾は標本へ向かって小さく呟く。

 

「……死んでも、美しい。」

 

それは独り言だった。

 

「だから、人は残そうとするのかな。」

 

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### Scene.2 雨の帰り道

 

午後八時。

 

雨。

 

博物館を出た真綾は傘を差して歩く。

 

信号が青へ変わる。

 

横断歩道を渡り始める。

 

その時。

 

「危ない!」

 

誰かの叫び。

 

ブレーキ音。

 

大型トラックが赤信号を無視して突っ込んできた。

 

振り返る。

 

眩しいヘッドライト。

 

衝撃。

 

視界が白く染まる。

 

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### Scene.3 病院

 

「午後八時二十七分。」

 

「死亡確認。」

 

心電図。

 

ピーーーーーーー。

 

一直線。

 

医師が静かにシーツを掛ける。

 

病室には誰もいない。

 

窓の外では雨だけが降り続いていた。

 

数分後。

 

異変が起きる。

 

ピー……

 

心電図へ微かな波形が現れる。

 

「……?」

 

看護師が振り返る。

 

再び波形。

 

ゆっくり。

 

規則正しく。

 

真綾の指先がわずかに動いた。

 

医師が駆け寄る。

 

「馬鹿な……。」

 

停止したはずの生命活動。

 

しかし、それは蘇生とは違った。

 

胸の奥では、人間の心臓ではない"何か"が鼓動していた。

 

リバースハート。

 

誰にも知られることなく、それは静かに形成されていた。

 

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### Scene.4 退院

 

奇跡の回復。

 

新聞には小さく記事が載った。

 

「交通事故の女性、奇跡の生還」

 

だが真綾自身には分かっていた。

 

以前とは違う。

 

聴覚。

 

嗅覚。

 

視覚。

 

すべてが異様に鋭い。

 

階段を上るだけで、遠くの鼓動まで聞こえる。

 

ガラスコップを持つ。

 

パキッ。

 

力を入れた覚えもない。

 

それだけでヒビが入る。

 

「……何なの。」

 

鏡を見る。

 

首筋に灰色の筋が一瞬だけ浮かび、すぐ消えた。

 

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### Scene.5 夜の公園

 

帰宅途中。

 

人気のない公園。

 

争う声。

 

「金を出せ!」

 

若い男が女性を脅していた。

 

真綾は駆け寄る。

 

「やめてください!」

 

男が振り向く。

 

その目は赤かった。

 

「見られたか。」

 

男の表情が変わる。

 

皮膚がひび割れる。

 

灰色の甲殻。

 

異形の頭部。

 

人ではない。

 

怪物。

 

オルフェノク。

 

「逃げろ。」

 

女性は走り去る。

 

男は笑う。

 

「お前……。」

 

鼻を鳴らす。

 

「妙な匂いがする。」

 

真綾は後ずさる。

 

「何……あなた。」

 

「知らねぇのか?」

 

男は近付く。

 

「同族。」

 

その一言と同時だった。

 

ドクン。

 

胸が大きく脈打つ。

 

息が苦しい。

 

視界が揺れる。

 

腕を見る。

 

皮膚へ無数の亀裂が走る。

 

「え……?」

 

灰色の甲殻が現れる。

 

肩。

 

腕。

 

脚。

 

全身が石のような装甲に覆われていく。

 

背中には閉じた蝶の翅を思わせる灰色の甲殻。

 

胸には翅脈を思わせる有機的な紋様。

 

腰には三方向へ枝分かれしたオルフェノクレスト。

 

顔は仮面状の甲殻に覆われる。

 

複眼のような白い眼が静かに光る。

 

モルフォオルフェノク。

 

初めて、その姿になった。

 

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### Scene.6 初めての戦い

 

「やっぱりか!」

 

男は笑う。

 

「オリジナルとは珍しい!」

 

真綾は何も理解できない。

 

「私は……。」

 

男が拳を振るう。

 

身体が勝手に動く。

 

半歩。

 

紙一重でかわす。

 

(見える。)

 

相手の重心。

 

筋肉の動き。

 

次の攻撃。

 

すべて分かる。

 

男が連撃を放つ。

 

真綾は蝶が舞うような滑らかな動きで避け続ける。

 

そして。

 

右腕の鉤爪が自然に振るわれた。

 

ガキン!

 

男の肩の甲殻へ亀裂が入る。

 

「なっ!?」

 

初めての戦い。

 

初めての力。

 

真綾自身も驚いていた。

 

「私は……。」

 

怪物なのか。

 

それとも。

 

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### Scene.7 謎の視線

 

遠くのビル屋上。

 

双眼鏡を覗く男。

 

スーツ姿。

 

イヤホンへ向かって話す。

 

「確認しました。」

 

「未登録オルフェノク。」

 

「女性型。」

 

「モチーフは……蝶。」

 

少し間を置く。

 

「オリジナル個体と思われます。」

 

イヤホンの向こうから低い声。

 

「監視を続けろ。」

 

「スマートブレインが回収する。」

 

男は静かに双眼鏡を下ろした。

 

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### ラストシーン

 

戦いを終えた真綾は、人間の姿へ戻っていた。

 

夜風が吹く。

 

公園には誰もいない。

 

震える手を見つめ、小さく呟く。

 

「私は……死んだはずなのに。」

 

胸に手を当てる。

 

鼓動はある。

 

けれど、それはもう人間のものではない。

 

その頃、スマートブレイン本社のモニターには、彼女の変身映像が映し出されていた。

 

「モルフォオルフェノク……。」

 

「興味深い。」

 

誰かが静かにそう呟く。

 

真綾はまだ知らない。

 

自分の「死」が、新たな運命の始まりだったことを。

 

---

 

**つづく――**

 

 

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