界渡りの不確定な切り札   作:アルフレッド

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第11話アースクレイドル後編

キョウスケside

 

そこは地獄だった。様々な破壊された後。兵士たちの死体の山。おそらくは指揮官だろう男も死んでいた。グルンガスト零式が破壊したのであろう傷跡だ。

 

『貴様らは何者だ!』

 

グルンガスト零式から男の声が響いてくる。

 

「我々はシャドウミラー。ノイエDCにアーチボルトを追ってきた」

 

俺がそう答えると

 

『やっと来たか。待っていた。俺たちはお前たちを。俺の名はゼンガー』

『ゼンガー・ゾンボルト!ソフィアの剣なり!』

 

『大きな声をださないで!貴方の体は今!』

 

女性の声が続けて響く

 

「まさか!今行く!そこで待っていろ!レオナ周囲を索敵していてくれ!」

 

俺はとっさに周囲を確認し降りると零式のコックピットに飛び乗る。

 

「中にいるのならばここを開けてくれ!俺はシャドウミラーのキョウスケ・ナンブだ!」

 

ゆっくりとハッチが開く。

 

――そこもまた、地獄だった。

 

操縦席には銀髪の大男が座っていた。

おそらく、彼がゼンガー・ゾンボルト。

 

軍服は血に染まり、身体にはいくつもの銃創がある。それでも操縦桿を握る手だけは離していない。

 

その傍らでは、アクア色の髪をした女性――ソフィア・ネート博士が、自らの服を裂いて作った布をゼンガーの傷口へ押し当てていた。

 

彼女自身も血まみれだった。

 

「……こんな状態で、零式を動かしていたのか」

 

「私は大丈夫です! それよりゼンガーを!」

 

「レオナ! 量産型Wを呼べ! ゼンガーをシロガネへ運ぶ! 急げ!」

 

『承知しましたわ!』

 

◇ ◇ ◇

「…………」

 

間に合わなかった。

 

おそらく俺がハッチにたどり着いた時点でこと切れていたんだろう。

 

そこまで気力で持たせていたに違いない。ソフィア博士を守るために。

 

話によると零式にたどり着いた時点でかなりの銃弾を受けていたらしい。

 

ソフィア博士も眠りに落ちている。仕方がない。

 

精神的疲労がきつかっただろうからな。

 

むしろソフィア博士に傷一つ付けずに零式まで守ってきたゼンガーに敬意を表する。

 

尊敬できる兄弟子。

 

――もっと別なところで、お会いしたかった。

 

「レオナ、アクセル……先に進もう。ヴィンデル、レモン。俺たちの帰る場所は頼んだぞ」

 

『任せておけ』

 

ヴィンデルもツヴァイザーゲインに搭乗し、シロガネを護衛する側に回った。

 

俺とレオナ、アクセルは格納庫を離れ、アースクレイドルのさらに奥へと進んでいく。

 

研究区画があれば可能な限りデータを回収しておこう。

 

アギラがアラドたちに施した洗脳や調整。その記録が残っているかもしれない。

 

今すぐ助けることはできなかった。

 

だが――

 

次に会った時も助けられないとは限らない。

 

そのために使えるものは、何でも持って帰る。

 

◇ ◇ ◇

???side

 

「博士、アウルム1たちの収容が完了しました」

 

「そうかい。フェフ、そっちは?」

 

「問題ない。こちらの研究成果も移送済みだ」

 

アギラが薄く笑う。

 

「なら、ここに用はないねぇ」

 

「ああ。ここを失ったところで研究そのものが失われるわけではない」

 

「アードラー、あんたも急ぎな。置いていくよ」

 

「わ、分かっておる!」

 

フェフは最後に研究区画のモニターへ視線を向けた。

 

そこには三つの培養槽。

 

――ウルズ。

――アンサズ。

――スリサズ。

 

「……まだ、この子たちを使う時ではない」

 

◇ ◇ ◇

アースクレイドル通路side

 

「ほらほら兵士どもしっかり撃ちな!」

 

「しかし、どうしてこうなったのかねぇ。私たちこの騒動の隙にアードラーのじじぃを一発殴って脱出しようと思ったのに本人たちは見つからないし。いい子ちゃんのアウルム1とその兄弟も見つからない」

 

「いるのは一部の一般兵士と私たちだけか……」

 

「まったく……とんだ貧乏くじだねぇ」

 

女は悪態をつきながら、通路の向こうへ銃を向ける。

 

「それで? どうするんだい?」

 

「どうするも何もないだろ。ここを突破されたら私たちも巻き込まれる」

 

「だからって、あのじじぃどものために命を張る気はないよ」

 

「同感」

 

三人が顔を見合わせる。

 

「適当に戦って――」

 

「隙を見て逃げる」

 

「決まりだね」

 

その時。

 

通路の奥から爆発音が響いた。

 

「来たよ!」

 

一般兵たちが一斉に銃を構える。

 

『敵機接近! 三機!』

 

「三機?」

 

「あの騒ぎを起こしてる連中か」

 

「シャドウミラーって奴らだろ?」

 

「……さて」

 

女は操縦桿を握りながら口元を歪めた。

 

「あいつら、話の通じる相手だといいんだけどねぇ」

◇ ◇ ◇

キョウスケside

 

(……妙だ)

 

一般兵のガーリオンは明確にこちらを殺しに来ている。

 

だが、あの機体だけ違う。

 

攻撃はしてくる。

 

だが――追撃してこない。

 

……捕虜にするか。

 

◇ ◇ ◇

 

「投降するなら攻撃はしない。武装を解除して機体から降りろ」

 

「……捕虜にするってことかい?」

 

「そうなる」

 

「飯は?」

 

「……出る」

 

「寝床は?」

 

「ある」

 

三人が顔を見合わせた。

 

「「「降伏する」」」

 

「早いな!?」

 

アクセルも驚く早さだな。

 

「お前たち、少しは迷わんのか?」

 

「じゃあ聞くけどさ」

 

シエンヌが呆れたように返す。

 

「ここに残って、逃げたアードラーの糞じじぃのために死ぬのと、飯と寝床付きの捕虜になるの、どっちがいいと思う?」

 

「…………」

 

『アクセル、考えるな』

 

「考えてなどいない!」

 

「で、武器を捨てりゃいいんだろ?」

 

「ああ」

 

「ほら、シアン! シオ! さっさと捨てな!」

 

「言われなくてもやってる」

 

「命拾いしたな」

 

「それはこっちの台詞だよ」

 

「アクセル、悪いがこいつらをシロガネの営倉に連れて行ってくれ。俺たちはこの辺のデータを洗ってみる」

 

アクセルは一瞬顔をしかめる

 

「了解、俺がいない間に危ないこと始めるなよ」

 

軽口をたたきながら連れて行く。

 

戦争以上に危ないことってなんだ?

 

まあいい。

 

「レオナ、この辺の部屋の情報も洗ってみよう」

 

「スクールの子供たちの情報ですの?」

 

「それもある。洗脳を解除する手掛かりが残っているかもしれない」

 

「……分かりましたわ」

 

レオナが周囲を見回す。

 

「ですが、あまり時間はかけられませんわね」

 

「ああ。アーチボルトも逃がせない」

 

研究室の扉を開く。

 

中には放棄された端末と、慌ただしく持ち出されたらしい空のラックが並んでいた。

 

「……逃げる準備はしていたようだな」

 

「それでも全部は持ち出せなかったようですわ」

 

「なら、残り物をいただこう」

 

端末を操作し、使えそうなデータを片っ端から記録媒体へ移していく。

研究室に残された端末を調べていく。

 

スクールに関する資料。

 

薬物投与、精神操作、記憶処理――。

「……胸糞の悪い研究ばかりだな」

 

「ええ……」

 

「……持って帰るぞ」

 

「ええ。クエルボさんなら、あの子たちを助ける手掛かりを見つけられるかもしれませんわ」

 

データを記録媒体へ移していると、別の項目が目に入った。

 

「こちらに妙な記録がありますわ」

 

「妙?」

 

「……なんだ、これは?」

 

『特殊物質保管記録』

 

その中に、見慣れない名称がある。

「高エネルギー物質の搬入記録です。識別名称――」

 

レオナが画面を読み上げる。

 

――トロニウム。

 

「レオナ、知っているか?」

 

「いいえ。ですが……保管区分が異常ですわね」

 

確かに。

 

他の物資とは扱いが違う。

 

保管場所は――

 

特殊動力研究区画・第三区画保管庫。

 

「随分と大事にしまってあるらしいな」

 

「確認しますの?」

 

「ああ。アーチボルトを追う途中だ。遠回りにならないなら見ておこう」

 

◇ ◇ ◇

 

ここが特殊動力研究区画・第三区画保管庫か……

 

この部屋らしいな。重厚な扉が部屋をふさいでいる。

 

何が出てくるかわからんな。慎重に開けよう。

 

キーカードか。

 

「レモン特製疑似磁気カードで……開いた」

 

さて鬼が出るか蛇が出るか・・・・・・

 

が、そこには端末と小さな金庫があるだけだった。

 

「……これだけ?」

 

レオナが思わず呟いた。

 

厳重な保管設備の中央にあるのは、拍子抜けするほど小さな金庫だった。

 

レオナが端末を操作する。

 

『高エネルギー反応物質……保管設備による常時安定化が必要』

 

「常時?」

 

「隊長。これ……施設の電源が落ちた場合、保管設備も停止しますわ」

 

「停止したら?」

 

「…………」

 

「レオナ?」

 

「資料通りなら、放置できる代物ではありませんわね」

 

「具体的には?」

 

「最悪の場合――この辺り一帯がなくなります」

 

「…………」

 

「持って帰るぞ」

 

「賛成ですわ」

 

一旦シロガネに持ち帰るかこんなものを持ったまま戦闘に入るなんて自殺行為だ。

 

◇ ◇ ◇

 

『レモン、危険物を回収した。受け取りを頼む』

 

『了解。こっちで引き取るわ。あなたたちは?』

 

「アーチボルトを追う」

 

『そう。気をつけなさい』

 

「ああ」

 

◇ ◇ ◇

 

「……キョウスケ」

 

「なんだ?」

 

「あなた、今度は何を拾ってきたの?」

 

「トロニウムというらしい」

 

「…………トロニウム?」

 

レモンの顔から笑みが消えた。

 

「保管設備が止まると危険らしい。だから持ってきた」

 

「それを先に言いなさい!!」

 

◇ ◇ ◇

そこはなぜか広くスペースが取ってある施設だった

 

『おやおや。随分と遅かったですねぇ、シャドウミラー』

 

「久しぶりだなアーチボルト・グリムズ」

 

『ええ。わざわざ私を追ってこんなところまで……ご苦労なことです』

 

「ゼンガーを殺したのはお前か」

 

『ゼンガー? ああ――』

 

アーチボルトは、思い出したように笑った。

 

『あの死に損ないですか』

 

「…………」

 

『残念でしたねぇ。もう少し早ければ助けられたかもしれませんよ?』

 

「……そうか」

 

『おや? 怒らないんですか?』

 

「怒っているさ」

 

シシオウブレードを抜く。

 

「だから――お前を斬る」

 

『……ふふふ』

 

「何がおかしい?」

 

『あなた方は本当に面白い』

 

その瞬間――

 

アーチボルトのガーリオン・カスタムの周囲に、白い異形が現れた。

 

「アインスト!?」

 

『隊長! 待ってください! 様子がおかしいですわ!』

 

アインストは俺たちに向かってこない。

 

ガーリオンへ――群がっている。

 

『ハハハハハ! そうです! もっと……もっと私に力を!』

 

「自分から取り込まれているのか!?」

 

直後、施設全体の照明が落ちた。

 

『――警告。メイガス管理領域への外部侵入を確認』

 

「メイガス?」

 

『アースクレイドルの管理コンピューターですわ!』

 

『侵入排除――失敗』

 

『管理権限――喪失』

 

『システム……再構築……』

 

ノイズ。

 

そして――

 

『――我は……メイガス……』

 

声が変わった。

 

「……まずいな」

 

目の前では、既にガーリオンだったものが異形へと変貌している。

 

そして施設のスピーカーから響く声と――

 

アーチボルトの笑い声が重なった。

 

『さあ――始めましょうか』

 

――私たちの殺戮の宴を――

 

◇ ◇ ◇

 

さすがにアインスト化したアーチボルト恐ろしく手ごわい。メイガスは機械化した触手でこちらを狙ってくる。俺はその触手を斬り払いながらアーチボルトに接敵を試みる。

 

「ふん、数が多すぎるな」

 

『おやおや弱音ですか?』

 

ふざけるな。

 

俺の後ろではレオナが援護してくれている。

 

一人で全部相手にする必要などない。

 

「レオナ! 三時方向!」

 

『見えていますわ!』

 

俺を狙って伸びてきた触手が、横合いから放たれた砲撃によって吹き飛ぶ。

 

「助かる!」

 

『お構いなく! 前だけ見ていなさい!』

 

「了解!」

 

ナハトをさらに前へ。

 

正面から三本。

 

左から二本。

 

上――一本。

 

全部を見る必要はない。

 

リシュウ先生に言われたことを思い出す。

 

――見るのではない。観ろ。

 

触手そのものを見るな。

 

根元を見る。

曲がりを見る。

力の流れを見る。

 

「そこだ!」

 

シシオウブレードを振るう。

 

一本。

 

返す刃で二本目。

 

機体を半歩ずらして三本目を躱し、その触手を踏み台にナハトを跳ばす。

 

『ほう!』

 

アーチボルトの声が弾んだ。

 

『いいですねぇ! 以前より随分と面白い動きをする!』

 

「お前を楽しませるために修行したわけじゃない!」

 

『では――これはどうです?』

 

「!」

 

アーチボルトの周囲から一斉に触手が伸びた。

 

多い。

 

十――いや、それ以上。

 

(全部斬る必要はない!)

 

自分に当たるものだけを見極める。

 

一歩。

 

二歩。

 

最小限の動きで躱し、避けられないものだけを斬る。

 

そして――

 

「捕まえたぞ、アーチボルト!」

 

触手の壁を抜けた。

 

目の前に異形と化したガーリオン。

 

シシオウブレードを上段へ構える。

 

『素晴らしい!』

 

「黙れ!」

 

振り下ろす。

 

『ハハハハ! 届きましたねぇ!』

『ですが――届いただけだ!』

 

「くっ、浅かったか……!」

 

耳障りな笑い声が響く。

 

『冷静になれ、ベーオウルフ!』

 

「!」

 

アクセルが部屋へ飛び込んでくる。

 

『青龍鱗!』

 

ソウルゲインの掌から蒼いエネルギー波が放たれる。

 

俺へ殺到していた機械触手がまとめて吹き飛ばされた。

 

「アクセル!」

 

『まったく……俺がいない間に危ないことを始めるなと言ったはずだが?』

 

「俺から始めたわけじゃない」

 

『似たようなものだ!』

 

『おやおや』

 

アーチボルトの声が響く。

 

『役者が増えましたか』

 

『貴様がアーチボルト・グリムズか』

 

ソウルゲインが拳を構える。

 

『ええ。そういうあなたはアクセル・アルマーでしたか。随分と威勢がいい』

 

『口数の多い男だ』

 

「同感だ」

 

『そこは意見が合いますのね……』

 

レオナの呆れた声が聞こえる。

 

……さて。

 

アクセルが来たことで状況は変わった。

 

俺が前。

アクセルも前。

レオナが後ろ。

 

なら――

 

「アクセル!」

 

『分かっている!』

 

俺が言い終えるより早く、ソウルゲインが走った。

 

『正面から行くぞ!』

 

「上等!」

 

『ちょっ、二人とも!?』

 

ナハトとソウルゲインが同時に加速する。

 

『ハハハハハ! 馬鹿の一つ覚えという奴ですか!』

 

無数の触手が俺たちへ殺到する。

 

「違うな」

 

一本を斬る。

 

二本目をアクセルが殴り飛ばす。

 

三本目――

 

『そこですわ!』

 

レオナの砲撃が撃ち抜いた。

 

「俺たち三人を――」

 

『一人ずつ相手にしているつもりなら――』

 

ナハトとソウルゲインが左右へ分かれる。

 

『大間違いですわ!』

 

『どうしました!? 先ほどまでの勢いは!』

 

アーチボルトが笑う。

 

だが――見える。

 

触手を見るな。

 

アーチボルトを見るな。

 

全体を観ろ。

 

メイガスが俺たちの動きを読んでいるなら、その予測に従って触手も動いている。

 

なら――

 

「アクセル!」

 

『応!』

 

ソウルゲインが真正面から突っ込む。

 

『また同じ攻撃ですか!』

 

触手がアクセルへ集中する。

 

「レオナ!」

 

『撃ち抜きますわ!』

 

砲撃が触手の根元を吹き飛ばす。

 

道が開いた。

 

『――!?』

 

ソウルゲインがゼロ距離まで接敵し。

 

『白虎咬‼』

 

エネルギーを手に収束させて連続パンチを繰り出す。

俺は右側をドリフト気味に回ってマシンキャノンを撃ち接敵する。

 

「全弾持っていけ!」

 

ソウルゲインが離れたタイミングでクレイモアを撃ちこむ!

 

「回復するなら!」

「そのすきを与えず!」

「「倒し切ればいい!!」」

 

『玄武剛弾!』

アッパー気味に入ったロケットパンチが奴を打ち上げる!

 

とどめだ!

「リボルビング・ステーク!!」

 

ナハトの左腕が異形の胸部へ突き刺さる。

 

――一発。

 

『ぐっ!?』

 

――二発。

 

装甲が砕ける。

 

――三発。

 

アインストの組織が弾け飛ぶ。

 

――四発。

 

再生しようとした肉塊が、再生するより早く吹き飛ばされる。

 

――五発。

 

『ま、待ちなさ――』

 

「終わりだ、アーチボルト」

 

――六発目。

 

轟音。

 

アーチボルトは今度こそ倒れた……

 

「…………」

 

爆炎の中へアーチボルトが消えていく。

 

仇を討った。

 

だが、不思議と何も感じなかった。

 

ゼンガーは戻らない。

アラドたちも取り戻せていない。

 

ただ――

 

これ以上、奴に奪われる人間はいなくなった。

 

それだけでいい。

そこへ突然警報が鳴り響いた!

 

『警告――メイガス管理機能、停止』

 

「……何?」

 

『アースクレイドル全域の統括制御を喪失』

 

レオナの顔色が変わった。

 

『隊長――まずいですわ』

 

「何が起きている?」

 

『施設各所で異常を確認! 隔壁、生命維持、動力制御――いずれも正常に機能していません!』

 

地響き。

 

「っ!」

 

天井から巨大な破片が落下する。

 

ナハトを後退させた直後、それまで立っていた床が崩落した。

 

『構造維持限界を超過』

 

『アースクレイドル――崩壊を開始します』

 

「……冗談だろ」

 

『ベーオウルフ! 呆けている場合か!』

 

アクセルの声で我に返る。

 

『脱出するぞ!』

 

「分かっている! レオナ!」

 

『こちらも行けますわ!』

 

「シロガネへ戻る! 急げ!」

 

 

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