界渡りの不確定な切り札   作:アルフレッド

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漂流編第二話「生きている惑星」

キョウスケside

 

俺たちは今謎の機械惑星を探索している。

 

シロガネを含む4隻の戦艦を収容してもなお十分すぎる広さを持つ格納庫を出て、通路を進んでいく。

するとその先には、リニアモーターカーのものと思しき軌道と――駅、としか言いようのない施設が存在していた。

 

「……駅、だよな?」

 

「そう見えるわね」

 

「惑星の中に駅……?」

 

いや、人工の星なら移動手段があっても不思議はないんだが、問題はこれにどうやって龍王機と虎王機を乗せる?

 

そう考えた、その時だった。

 

軌道の向こうから、こちらへ何かが近づいてくる。

 

……客車、か?

 

見たところ、俺たちが乗るには十分な大きさだ。

 

だが、本当に驚いたのはその後ろだった。

 

客車の後方には、どう見ても龍王機と虎王機を載せられるだけの大きさを持つ貨物車が連結されていた。

 

「……随分と気が利くな」

 

俺たちに都合がよすぎる。この星の支配者はどうやら俺達をどこかに運びたいようだ。自分の元へか、それ以外か……

 

「キョウスケ……誰かが私たちを見ているんじゃない?」

 

「俺も今、同じことを考えていた」

「さて……どこへ行けばいい?」

 

と俺が考えた瞬間

勝手にドアが閉まって発車する。

 

「……偶然じゃないな」

 

「罠の可能性は?」

 

戦闘員としてのレオナはやはりそちらに考えが行くか

 

「あるでしょうね」

 

だよな、だが。

 

「だが、ここで降りても何も分からん」

 

「結局、乗ってみるしかないってことね」

 

「そういうことだ」

 

◇ ◇ ◇

 

しばらく乗っていると――

 

『次の停車区画――』

 

というアナウンスとともに、アルファベットと数字で構成された区画ナンバーが表示される。

 

当然かもしれないが、町の名前は出ないか……

 

……いや、それよりも!

 

なんで俺たちに分かる言葉でアナウンスが流れるんだ?

 

「……気づいた?」

 

「ああ。俺たちの言語を知っている」

 

「あるいは、私たちに合わせて翻訳しているか」

 

「どちらにしろ、歓迎されていると考えていいのか?」

 

「そこまでは分からないわね」

 

「だよな」

 

「なんか怖くなってきました……」

 

まあ看護師とはいえクスハは一般人だったんだから当然だろうな。

 

貨物車で龍王機と虎王機があくびをしてるから危険はないんだろうが。

 

「……あれ?」

 

クスハが何かに気づいたように貨物車へ視線を向ける。

 

「龍王機と虎王機……寝そうになってません?」

 

「……そうだな」

 

「危険は……ないんでしょうか?」

 

「少なくとも、あいつらはそう判断してるらしい」

 

ん?少しスピードが落ちてきた。

 

どうやら止まるらしいな……

 

「レモン、このリニアの大体のスピードわかったか?」

 

「少なくとも音速クラスね。並の早さじゃないわ」

 

「そうか、この惑星の移動手段だからなそれも仕方ないだろう」

「ん、止まったか。いったん降りるぞ」

 

さて何が出てくるか。

 

停車した後、駅の周囲を探索してみると何者かが生活をした後がある。

 

食料は携帯食料のようだが足跡や歩幅から判断して人間型だ。

 

「一人じゃないな」

 

「分かるの?」

 

「足跡の大きさと歩幅が違う。少なくとも数人いる」

 

男性と女性が混じって複数人だ。

 

携帯食料の包装や残り方を見れば、かなり最近まで使われていたことも推測できる。

 

「それに、そう古い跡じゃない」

 

「つまり……」

 

「まだこの近くにいる可能性が高い」

 

レオナが自然に警戒を強める。

だが一方、クスハは。

 

「だったら、生存者かもしれません!」

 

「……なるほどな」

 

「どうしたの?」

 

「あのリニアシャトルが、ここで止まった理由だ」

 

「――そこまでだ」

 

「――そこまでだ」

 

不意に、背後から男の声が響いた。

 

「後ろから脅すのがこの星のマナーなのか?」

 

「……我々も、この星の住人ではない」

 

「そうか。なら少なくとも、この星のマナーじゃないことは分かった」

 

「今度は先生にちゃんとマナーを習っておくといい」

 

俺は後ろにいる男の腕を取り、投げ飛ばした。

 

とはいえ、男もちゃんと着地したが。

 

「イントネーションからして大陸の生まれか?」

 

「……中国だ」

 

「やはり地球人か」

 

「地球を知っているのか?」

 

「知っている。だが――俺たちは地球人じゃない」

「いや、正確にはお前たちが知ってる地球とは別の地球かもしれない」

 

「確認しておく。お前たちの地球に――」

 

「DC戦争は起きたか?それにリクセント公国という国はあったか?」

 

「DC戦争は起きた。リクセント公国は聞いたことがある。小さいが風光明媚なところだと聞いている」

 

……偶然にしては一致しすぎている。

 

DC戦争だけならまだしも、リクセント公国まで存在する。

 

少なくとも、俺たちがいた世界と極めて近い世界なのは間違いない。

 

が、まだ並行世界の可能性もある。

 

「今は西暦何年だ?」

 

「今は新西暦187年だ」

 

今のところ一致しているが……

 

「おい、西暦という年号を使ったのは何かのひっかけか?」

「あまり人を試すのもマナー違反だと思うがな」

 

「すまん最後に一つ聞かせてくれ。あんたの名前だ」

 

「私の名はホワン・ヤンロン。魔装機神操者だ」

 

「「魔装機神!!」」

 

「マサキ・アンドーという男を知っているか?」

 

「……知っている。魔装機神サイバスターの操者だ」

 

「やっぱりか」

 

「待て。なぜお前がマサキを知っている?」

 

「俺たちのいた地球にもいたからだ」

 

「……何?」

 

「DC戦争で突然現れて反DC側について活躍したパイロットだ。一緒にいるのか?」

 

「いや……私たちが住んでいたラ・ギアスはヴォルクルスに滅ぼされ消滅した。マサキとリカルドはその時に……」

 

「……そうか」

 

ラ・ギアスという世界を丸ごと消滅させた……?

 

俺の知っているヴォルクルスが、そこまでの存在だったのか?

 

「それで、あんたたちはどうやってここへ?」

 

「分からん」

 

「分からない?」

 

「ラ・ギアスが崩壊する直前、我々は魔装機神で脱出を試みた。だが――」

 

「気がついたら、この機械惑星にいた?」

 

「……その通りだ」

 

「似たようなものだな。俺たちはアインストと呼ばれる怪物に攻められてボスを倒したがその時の基地の崩壊に巻き込まれてな。一か八か転移したらこのざまだ」

 

「ん?他にもいるのか?」

 

「ああ。紹介しよう」

 

隠れていたのであろう女性が3人出てくる。

 

……やっぱり他にもいたか。足跡の数とも合う。

 

「右からセニア・グラニア・ビルセイアさまとウェンディ・ラスム・イクナートとテュッティ・ノールバックだ」

 

「さま?えらいさんなのか?」

 

「今となっては滅んだ国の王女よ。セニアでいいわ。ヤンロンは固いのよ」

 

「そうか。ならセニアと呼ばせてもらう」

 

「ええ。その方が楽だわ」

 

「キョウスケ・ナンブだ。こっちは――」

 

レモンとレオナ、クスハを紹介する。

 

「それにしても……王女か」

 

「何よ?」

 

「いや、最近王族に縁があると思ってな」

 

「?」

 

「こっちの話だ」

 

女性陣は個別に自己紹介をしているようだ。

 

「ウェンディ・ラスム・イクナートです。魔装機神の設計に携わっていました」

 

「……設計?」

 

レモンの目つきが変わった。

 

……嫌な予感がする。

 

「しかし俺達を監視してるやつは俺たちとあんたらをまとめたかったみたいだな」

 

「わざわざリニアシャトルを止める位ですものね」

 

どうやらレモンも同感の様だな。

 

「さっき魔装機神の力で転移したと言っていたがどこに置いてあるんだ?」

 

「ん?あれ……」

 

あー

 

「いや、大丈夫の様だ貨物車が増えて後ろに魔装機神だろうな。貨物につけてある」

 

「……お前たちは、この星の主と知り合いなのか?」

 

「招待状をもらった覚えはないんだがな」

 

◇ ◇ ◇

 

リニアが発車してから気づく

 

……待て。

 

こいつは俺たちの動きを監視しているだけじゃない。

 

この星の内部なら、かなり自由に物を動かせるのか?

 

気がついたら女性三人が姦しくなっている。

 

「この推進方式、どうなってるのかしら」

 

「少なくとも私たちのリニアとは違いますね」

 

「ちょっと制御系を調べてみない?」

 

「やめておけ」

 

「まだ何もしてないわよ?」

 

「まだって言うな、その顔はこれからする顔だ」

 

「セニア。一応言っておくが、今こいつは音速クラスで走ってるぞ」

 

「分かってるわよ」

 

「その状態で制御系を弄ろうとしたのか?」

 

「調べるだけよ」

 

「同じだ」

 

「違うわよ!」

 

「ナンブ。忠告しておくが、セニアの『調べるだけ』は信用しない方がいい」

 

「もう信用してない」

 

「ちょっと!?」

 

「でも、構造だけでも少し……」

 

「ウェンディ?」

 

「……見るだけです」

 

「やめておけ」

 

「レモン」

 

「触ってないわよ」

 

「だから『まだ』を付けるなよ?」

 

「…………」

 

「なんで黙る」

 

ヤンロンが真面目な顔で

 

「引率は大変だな」

 

「人に押し付けるな。自分のところぐらい引き受けろ」

 

他に漂流者がいないのならここの行き先おそらく……

 

◇ ◇ ◇

 

音速で移動してるはずなのに二時間乗っていた。

 

音速なら、一時間もあれば日本を縦断できる。

その倍だ。

 

……いや、考えるのはやめよう。

 

問題はどこに向かっているのかだ。

 

チューブ状の軌道を走り続けていたリニアシャトルが、段々と減速していく。

 

どうやら目的地に着いたようだ。

 

龍王機たちは自力で降りたが、さすがに魔装機神はそうはいかない。ヤンロンたちがそれぞれ降ろしている。

 

さて俺たちの前には大き目の扉がある。魔装機神や龍王機たちならギリギリは入れるぐらいの扉だ。

 

「まあ入らないって理由はないんだがな……」

 

扉の向こうは通路、だが今までとは雰囲気の違う豪華な通路になっていた。

 

とはいえ壁の模様が凝っているだけで床は今までと変わらず謎の金属製だ。

 

ただ、扉と同じく廊下も広いし高い。まるで巨人が住んでいたかのように……

 

◇ ◇ ◇

ヤンロンが独り言のように話し出す。

 

「……妙だな」

 

「何がだ?」

 

「これまでの区画は、巨大ではあったが実用一辺倒だった。しかしここは違う」

 

セニアも気になったんだろう。

 

「装飾する必要があったってこと?」

 

ウェンディもそれに続く。

 

「それとも、私たちには装飾に見えているだけなのか……」

 

「行けば分かるさ」

 

鬼が出るか、蛇が出るかはわからないけどな。

 

俺たちは進んでいく……

 

◇ ◇ ◇

しばらく歩いた先にさらに巨大な扉が待っていた。

 

装飾付きだ。

 

「……また扉か」

 

セニアが見上げながらつぶやく。

 

「今度はさらに大きいわね」

 

ヤンロンの目線はやはり装飾に行っているんだろう。

 

「ここまでのものとは明らかに違うな」

 

ドアノブもかなり高い位置にあるな。

 

「ヤンロン、悪いが魔装機神で開けてくれ」

 

ドアノブまで手が届かない。

 

「わかった」

 

グランヴェールの巨大な手がノブを掴む。

 

扉が開く。

 

その向こうに――

 

◇ ◇ ◇

 

「……なんだ、あれは?」

 

巨大な空間だった。

 

そして、その中央に――

 

何かが浮いている。

 

「発光する……球体?いえ違うわ、電気が球体状になったような感じね」

 

レモンの言う通りだろう。天井と床を繋ぐように走る光が、中央で球体状に集まっている。

 

「これが俺達を呼んでいたのか」

 

『その通りだキョウスケ・ナンブ』

 

どこから声が!

 

『我が名はユニクロン』

 

 

 

 

 

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