「異次元の人」——高度魔法文明に住むエルフです、なぜか異世界召喚されました。   作:白木ケイ

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 この作品のキャラクター属性の扱いは作者の趣味と異なる可能性があります。(要は全部いいよねってこと)


第13話 初めてのケモ耳!(そんなことより早く依頼!)

[それで、いい服はありましたか?]

[ちょっと待ってろ、ノイエル]

[はーい]

 

 悪いが今は本当に余裕がないんだ。

 この星を破壊するスマートな手榴弾の取り扱いについては、実のところそこまで問題はない。システムと接続していない今、ローカルモードになっていて、最低限の認証セキュリティが——

 

「ユーザーフリーで使用制限はありません?」

 

 膝から崩れ落ちそうになるがグッと堪える。

 いかにもあいつらしい気遣いだよ全く。そんなんだから天災扱いなんだよ。

 

「はあー」

 

 取り出した危険物をファンシーな小物入れに戻しておく。これは絶対に封印だな。そもそも故郷では所持することも許可されていない。もちろん、持ち出して使用などもってのほかだ。

 

「ん、んー」

 

 なんとなく覗き込んだ2つ目の箱の底には俺名義の『所持許可証』と『持ち出し許可証』、そして『必要時の使用許可証』がわざわざ紙媒体の書類として添えられていた。前述の課題は全てクリアされた、されてしまった。

 これで所持も持ち出しも使用すらも正式に許可されているから問題ないだろう。ついでにその書類の表現は非常に曖昧なものにしておいた。これでいざという時は遠慮なく使えるな、というあいつの幻聴が聞こえた気がする。

 天災なる友人よ、非常に繊細で機微に満ちた配慮をありがとう。でもその方向性だとすごくありがた迷惑かな。

 

「そもそもこんなもの入れるな」

 

 気を取り直して三つ目の箱の中身だ。これは......大当たりだな。

 両手で取り出したそれは分厚いノートのようなものだった。表面がツルツルとしていて、ともすれば石版にも見える。ただし、つぶさに観察しても、《解析》を行使してもその正体を掴ませない非常に強固なセキュリティを持つ硬い何か。

 それは携帯型の基礎教育課程学習キットだ。そして生産量が限られていて非常に希少価値の高いオーダーメイド品だ。

 添えられたメッセージカードを読めば、俺の保護者がシステムオペレーターの権限をフルに使って手に入れてくれたらしい。

 初めての異星の仕事中でも、初期設定を済ませたそれで学習をサボらないようにとのお達しだ。といってもすでに座学は全て終えている。あとは課外活動と鍛練さえ修了すれば最終考査を受けられるのだが。

 

「とてもいい暇つぶしの道具だ」

 

 これを使って鍛練をすれば今より確実に強くなれる。今の環境ではかなりありがたい。目指すは故郷の最低戦力基準である位階10だ。

 

[お兄さん、お兄さん。さっきから独り言が多いですけど、真面目に探してます?]

[ちょうどいい服があったよ。4種類あるからノイエルの好きなのを選んでいいよ]

 

 気になってそわそわしつつも、背を向け続けていたノイエルがばっと振り返ってパタパタと駆け寄ってくる。

 ノイエルの瞳は初めてみるであろう服装に夢中だ。やがて、テーブルの端に置かれたあるものに注目する。

 

[あ、この小物入れいいですね。ついでに——]

[絶対にダメ]

 

 その後も何度か強請られたが、俺はスマート爆弾の所有権を堅持した。

 最後には当てつけのように、お兄さんって変な趣味をお持ちなんですねと伝えられた。

 事情を知らなければそう見えるのは仕方がない。甘んじてその評価を受け入れよう。

 

 小物入れはもらえないとわかると、彼女は再び服選びに戻った。

 それを尻目に広げた物を片付け、カバンの中に収納していく。そういえば一つ目のメッセージカードを読んでいなかったな。

 なになに、お前は頑固な保護者のせいで女性用の服を手に入れられないことを嘆いていたはずだ。だから今回の課外活動を活かして保護者の目を盗んで楽しんで来い。これは友人の俺からのちょっとした贈り物だぜ。

 

 そうですか。はるか太古の話を覚えていてくれてありがとうございます。機会があれば検討に検討を重ねて熟慮することを検討しますね。と感想を述べてみたものの、この服はやはりお前の仕業か実験オタクめ。また貸し1な。

 そしてメッセージカードには続きがあった。

 追伸、服選びには例の二人組にも手伝ってもらった。二人からの伝言も伝える。"きっと絶対に必要になる機会が訪れるから、楽しんで"だそうだ。相変わらずよくわかんねーな。

 珍しくお前と意見が一致したな。まあ純粋な善意であることは確からしいから適当に感謝しておこう。

 

 ノイエルの発する声は言語になっていない。ただなんとなくのニュアンスで、未だに悩んでいることが伝わってくる。

 時間がかかりそうですね。大人しく椅子に座って待ってますね。

 俺はノイエルが手に取った服をテーブルに置いたと思えばまた手に取り真剣に観察する様を眺めていた。

 

[これにします]

 

 しばらく悩んだ末に彼女が選んだのは、近年故郷で流行している二大トレンドの片割れである、ゴシックドレスだ。これで彼女が長身でスラッとした体型であれば故郷でよく見た姿なのだが、あいにくとノイエルは小さな幼女だ。

 故郷ではロリっ子はもう廃れているんだよ。

 

[じゃあ、どうぞ]

[はい、ありがとうございます]

 

 故郷の衣服はサイズ調整ができるのが当たり前だ。似合うかどうかはともかく、どんな体型体格であってもその服を着ることができる。

 

[じゃあ、《着用》]

 

 触れるべきでないところには触れない。今しがた俺はそれを経験から学んだばかりだ。だから彼女が行使した故郷の魔法について俺が言及することは特にない。

 

[似合ってますか。いい感じですか]

[似合ってるよ、ノイエルは可愛いね]

 

 適当な定型句を返しておく。

 彼女はふりふりのスカートを翻しながら、その場で踊るようにはしゃいでいた。

 満足してくれたようでなによりです。

 

[そういえば教えた魔法は使えるようになりましたか]

[一応行使することできました。ですが咄嗟には使えませんね]

[それは何度か同じ魔法を行使して、訓練を重ねて慣れていくしかないでしょう]

 

 わかりました、とノイエルは素直に伝えてきた。

 ようやくノイエルのお願いもひと段落ついたようだ。やっと解放された。

 俺は肩を伸ばして凝った筋肉をほぐしておく。そしてテーブルに広げた服を畳んで回収していく。

 この際だ、異空間で起こったことについても聞いておこう。

 

[話は変わりますが、俺が来る前にここで起こったことについて教えてくれませんか]

[......それはできません。外で他の方に聞いてください]

 

 はい、なるほど。手紙の送り主達はそんなに依頼をこなして欲しいのか。

 その場で項垂れて、げんなりとしてしまう。

 

[ちなみに、ノイエルはこのあとどう行動するつもりですか]

[このまま気配を消して皆さんをやり過ごして、召喚されたあとは一人で逃げるつもりです]

[俺以外と交流する気とかは]

[一切、全くありません]

[そうですか]

 

 なるほど、隣人との交流を犠牲にして、このまま平穏な状態を保つつもりか。ちょっと羨ましい。

 もうあまり考える気はないが、おそらくこのコテージの部屋で俺と接触することがノイエルの目的だったのだろう。それを果たした現在ではここに用はないという感じだ。

 接触したことによって誰にどのような利益があるのかは分からないな。

 

[じゃあ、たくさんお願いを叶えてくれてありがとうねお兄さん。この魔法も切るね]

 

 やはり彼女が故郷の魔法を制御できることについて、特に言及することはない。

 

「じゃあまたどこかでお会いしましょう」

[あ、その食糧鞄を頂きます。同じようなものがあっちにあるから欲しければそこから取っていってね]

 

 彼女が指を指して教えてくれたのは、ヴィーシェルさんが鞄を取ってきた部屋だ。そこに食糧とかの物資があるのだろう。

 俺はそのまま鞄を渡して、未練のない様子で2階へ向かう彼女を眺めていた。

 外に出たくないなぁ。でも依頼のせいで行かざるを得ないんだよな。

 

「はあ、行くか」

 

 背筋を曲げて非常に情けない様子で向かったのは外へのドアだ。心なしか距離が短くなった気がする。

 

「開けたくない、いっそこのまま部屋に戻って引き篭もりたい」

 

 俺の本音だ。食糧や水については所持品でどうにかなるし、なければ創造すればいい。

 衛生問題も《洗浄》もしくは《清潔》とかでどうにかできる。最大の関門である暇潰しも、保護者が贈ってくれた学習キットがあれば非常に生産的な時間を過ごせるだろう。

 つまり、単純な生存を考えるなら特に問題はないのだ。

 

「干渉を除いてな」

 

 手紙に書いてあったのだ。『私はしないだろうがオレは干渉できるぜ。だから無視するなよ。』と。

 深呼吸をしたあと、小声でやることを確認する。

 

「依頼のために、外へ出たら一直線に潰れたトマトへ向かう。そしたら予定の軍用魔法を行使して、すぐに中に入る。外で戦っているであろう危険な人たちには関わらない。隣人との交流は最低限に済ませる。スニークミッションだ、よし」

 

 いくぞー!

 内心の意気込みとは裏腹に、音を立てることが無

いようにゆっくりとドアを開ける。

 いきなり体を出したりはしない。そして逆探知される可能性を考えて《索敵》や《探査》の魔法は行使しない。

 俺は恐る恐る隙間から頭を出して様子を伺う。

 

「あら、はじめまして」

 

 ちょっと待ってくださいよ。聞いてないですよ。なんでドアの横に椅子とテーブルがあるんですか。なんでそこで4人仲良くお茶会をしているんですか。その中にエイサンドさんとヴィーシェルさんもいる。

 

 初めてお会いしたお二人はなんらかの獣の耳と服から飛びたした獣の尻尾をお持ちの方だった。お二人とも同じような衣装を纏っていらっしゃる。

 肩からゆったりとした袖口が伸び、足元近くまで一枚の布地として仕立ててある。前で布が重ねられた様子から、それは後ろから羽織り、腹のあたりで巻いた帯で引き締めることで全体の形を整えているようだ。

 故郷でもあまり類を見ない服だと思う。今二人が纏っている衣服の色は薄い緑と薄い青の単色だ。この生地に華やかな植物か、細かな幾何学模様でも編み込めば非常に映えるかもしれない。

 獣の耳......略してケモ耳。片方が先っぽが焦茶色で他は金色のケモ耳。もう片方が少しだけ銀色がかった灰色のケモ耳。腰から伸びるケモしっぽも同じ色合いだ。そして単色羽織りのを纏う二人か。

 ここまで見た異空間でのファッションマナーとは打って変わってお二人は独自路線を貫いている。しかも、それが受け入れられている様子だ。

 というか故郷でもみたことがないお二人の斬新なファッションに俺は尊敬の念を抱かざるを得ない。

 俺の丸耳は早計だったかもしれない。しかしエルフ耳のお仲間は一人もいないのだ。それは少し寂しい。

 

「あ、あんたなんでここに来たのよ。忠告してあげたのに」

 

 どうもヴィーシェルさん。ずいぶんお久しぶりな気がします。その節はお世話になりました。

 忠告を無視してごめんなさい。でもなんの説明もなく部屋に戻れはちょっと難しいです。せめてどんな危険か理解できれば、引き篭もる口実ができたのに。

 

「まあまあ、ちょっとした好奇心でしょうし大目に見てあげては?」

「ヒマイはわかってないでしょうけど、彼は弱いの。私はこれがあるからなんとかなるかもしれないけど、彼には何もないのよ」

「そうですか?」

 

 これといいながらヴィーシェルさんが掲げたのは例の複雑な機構をもつ芸術品だ。

 いまこっそり《解析》してみたけど、色々な機構があるだけでなく外付けの魔力リソースとしても活用できるのか。

 

「へー」

「へーってなによ。へーって。なんか文句でもあるの」

「いえ何もないですよ」

「そんなことないでしょ」

「まあ、その、綺麗な芸術品だなって」

 

 それとは当然ヴィーシェルさんが掲げた物だ。俺の発言を聞いたヴィーシェルさんはみるみるうちに不機嫌になり、勢いよく立ち上がってこちらに詰め寄ってきた。

 

「芸術品?何よそれ馬鹿にしてるの?これは贅沢品じゃないの!きちんとした武装なの。あんたみたいな遅れた星の野蛮人には——」

「ヴィーシェル、やめなさい」

「エイサンド、こいつが馬鹿にしてきたのよ!」

 

 興奮した様子のヴィーシェルさんに対してエイサンドさんは落ち着いた様子だった。そして二人は無言のまま、意味ありげな視線のやり取りや身振り手振りを何度か繰り返す。

 二人の間で交わされた詳細は俺には理解できないものだが、結果としてヴィーシェルさんが折れたらしい。彼女は元の席に座った。

 すごい、エイサンドさんが冷静さを取り戻させた。いや、この場合は興奮を制御できたヴィーシェルさんがすごいのか。

 

「......馬鹿にしたのは悪かったわよ。でも謝りなさい、贅沢な芸術品ってどういうことよ」

 

 どうやらヴィーシェルさんは、俺が彼女の物を芸術品と表現したことが気に食わないらしい。これは常識の齟齬が原因だろう。

 俺の故郷では芸術品という表現は広く使われていて、当然俺が誤った単語を用いたわけではない。しかしヴィーシェルさんの解釈では大切な武装を貶されるような表現に聞こえたのだ。

 彼女の故郷での芸術という言葉の扱いについて少し気になるな。

 だが先に誤解を招く表現をしてしまったことを謝ろう。

 

「まずは申し訳ありません」

「いいわよ」

「私の故郷では、複雑な機構を持つ物は用途を問わず全て芸術品として扱われています。なので——」

 

 俺の説明を聞いたヴィーシェルさんは、まだしこりがあるようだが飲み込むことにしたようだ。それには合間合間にうまく相槌を打つことで、説明を補足してくれたエイサンドさんの働きも大きいだろう。

 ヴィーシェルさんはテーブルの上にそっと芸術品を置き、指を曲げて関節の部分でリズムよく音を立てながら俺に返答する。

 

「そうなのね、これは私の故郷で必要とされた武器よ。そして私の頼れる相棒なの。決して金持ちの贅沢として作られた芸術品ではないわ」

 

 芸術は贅沢という少し歪んだ認識をお持ちのようだが、まあそこはいったん棚に上げよう。また芸術品を作るのにお金が必要というのも引っ掛かるが、それも地面に置いておこう。

 ヴィーシェルさんの認識では、芸術とは実用性を伴わない道楽であり役に立たない不要なものらしい。そして彼女の中ではそんな芸術品より役にたつ武器の方の価値が上のようだ。

 つまり、実用が奢侈に勝るという価値観か。芸術という言葉も故郷のものとは異なり、奢侈品のみを指す狭い範囲の意味しか持たないようだし。

 俺は今の理解を踏まえて、先程の表現を訂正する。

 

「ではあらためて、複雑な構造を持つ実用品ですね」

「芸術扱いよりはましだけど......なんか違う気がするわ」

 

 これにはエイサンドさんも苦笑いだ。やはり異文化交流って難しいね。

 

 3人のやり取りに集中しすぎると奥に座っているケモ耳のお二人が手持ち無沙汰になってしまう。そこで俺が視線を向けてみると即座に灰色のケモ耳を持つお方が反応した。

 

「お三方で親交を深め合うのもいいことですが......せっかくです。私達とも少しお話しませんか?とくにそちらの方は初めてお会いしますし」

 

 なんだか間の取り方といい声の表現のあり方といいその場を制するような言い方だった。会話に入る時はこうすればいいのか。だが強引なものだと誤解されて反感を買ったらどうしよう。

 

「それはいいですね、ヨラメ。このままだと我々が置いてきぼりですから」

 

 片目を瞑って、お気遣いいただきありがとうございますと伝えてきた金色ケモ耳のお人。そのケモ耳どうなっているのかちょっと触ってもいいですか。絶対にいいわけないです、遠慮させていただきます。

 好奇心から変態的な思考に陥った己を正気に戻していたら、勝手にヴィーシェルさんが紹介していた。

 

「はあ、こいつはエリク。ルガルとかいう種族で、なんとか共同体の学生だそうよ」

 

 ヴィーシェルさん。頼むから情報は正確に伝えてください。そして俺が置いてきぼりにされてます。

 

「ルガル?」

「共同体?」

 

 この流れでは俺の発言チャンスはここにしかない、今こそ正確な情報を伝えるのだ。

 

「エルガルド共同体ですね」

「エルガルド共同体......ですか」

 

 あの、なぜお二人とも顔を俯かせたりして考え込んでいるのでしょうか。なんだか嫌な予感がするのですが。

 

「エルガルド共同体のルガル......」

「まあまあまあ、とても不思議なお名前のところからやってきたのですね。我々もお返事しましょうか、ヨラメ?」

 

 最後の呼びかけは強い圧をかけるものだった。まるで余計なことを考えるなとの叱責を含めているようだ。

 

「はい姉様」

 

 金色の方の声かけで顔を戻して取り繕った灰色の方が続けて発言する。

 

「私はヨラメです。ここに来る前のことは説明したくない、です。決して我々があなたに隔意を持っているとは誤解しないで欲しい、です」

 

 そのまま間を置くことなく、というより被せるように金色のケモ耳が発言する。

 何か今の発言に不都合なことがあってそれを誤魔化そうとしているのか?

 わからん。

 

「私はヒマイと申します。ここにいるヨラメと同じ場所の出身ですよ。ヨラメが言った誤解してほしくないのは本当のことです。隠しごと、ばかりをしていて虫のいい話とは思いますが、どうか仲良くさせてくださいね」

 

 はいはい出たよ隠しごと。ヒマイさんのさりげない抑揚の付け方で理解できた。どうやら彼女達には過去の出来事以外にも隠しごとがあるらしい。

 十中八九、俺にはどうしようもできないアレだろう。

 

「改めて、ヴィーシェルさんに紹介してもらいました、エリクです。私にも言えない秘密はありますからお互い様です。これからよろしくお願いします」

 

 こっちも手紙の送り主と関わりがあると含みを持たせておく。本当は脅されているだけだがな。

 

「はいよろしくお願いしますね」

「どうかよろしくお願いする」

 

 お互いに明るく高らかやり取りする。傍目にはいい雰囲気に見えるかもしれない。

 だが水面下では探り合いをすることは確定だな。気が重いし面倒だな。やりたくないな。




 明日も17:00に投稿します。

作中備考
・芸術とは贅沢って歪んでる認識だよね、より
主人公の芸術観が作中で絶対に説明されないと思ったので補足。
 主人公的には芸術とは何かから見出すもの。見出される対象は自然の美しい風景でもいいし、何気ない日常で見る景色でもいい。さらには、道端の草でも捨てられたゴミでも構わない。もちろん贅沢な成金趣味の金ピカ銅像でもいい。
 つまり主人公にとって芸術とは、物や作品そのものではなく、何かを視界に入れて観察したときに生まれるその人物の内面に発露する心の働きのようなもの。
 より正確には、対象物と人間の内面の働きが結びついて、相互に作用することで生まれるその人の情動や思考や思いなどのこと。(←この表現で大丈夫かな)
 作中でよく人によって解釈が異なるとか書いてあるのはこの解釈にもとづく......と見せかけて実は後付けです。 
 実際の作中主人公が思う芸術はもっと複雑だろうけど一旦はこんな感じで。

※なおこれは作者が勝手に考えたそれっぽい妄想を割と適当にまとめた産物なので、現実世界の芸術とは異なる可能性大です。振り返ると色々と矛盾が生まれそうな解釈だと思いますが、どうか大目に見てください。
 ついでに世の中にはそんな解釈をしている誰かがいるかもということでどうか許してください。
 私は素人です。芸術家でも評論家でも何者でもありません。

・奢侈品(しゃしひん)
 日常生活に本来必要のない贅沢品という意味で使用。なんとなくのイメージで構いません。
 まあ日常生活に本来必要のない品ってなんですかと聞かれたら、ちょっと厳密な定義は難しいかな、と作者は思います。これ以上は触れ辛い方向性の話題かもなので口をつぐみます。
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