当日、必死で控え室で緊張を抑えていた。
「やっぱコスチューム来たかったなぁ」
「公平を期すために着用不可らしいよ」
「予選の種目って何なんだろうな?」
「何が来ようが対応するしかない」
「みんな!!準備はできてるか!?もうじき入場だ!!」
飯田が伝えたことでより控え室に緊張が走ったとき、轟が出久に話しかけた。
「緑谷」
「轟くん?何?」
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
「………うん」
「けどお前、オールマイトに目ぇかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねえが、お前には勝つぞ」
『高みに行きたいが故の宣戦布告か』
出久もその宣戦布告に応えた。
「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのかわかんないけど、そりゃ君の方が上だよ。でもみんな、他の科の人も本気でトップを狙っているんだ!僕も本気で獲りに行く!」
「おう」
『HEEEY!!刮目しろオーディエンス!!群がれマスメディア!!今年もお前らが大好きな高校生たちの青春暴れ馬!!雄英体育祭が始まりエブリバディ!?アーユーレディ!?1年ステージ、選手の入場だ!!』
1番最初にA組がマイク先生の紹介とともに入場した。
『どーせアレだろ!!こいつらだろ!!敵の襲撃を受けたのにも関わらず、鋼の精神で乗り越えたキセキの新生!!ヒーロー科1年A組だろォ!?』
「ひひひ人がすごい!」
『落ち着け出久。ヒーローになれば嫌でも注目されるんだ。今のうちに慣れておかないといけないぞ』
「大人数にみられる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか、これもまたヒーローとしての素養を身に着ける一環なんだな」
「めっちゃ持ち上げられてんな。なんか緊張すんな、なあ爆豪」
「しねえよ、ただただアガるわ!」
1年の全クラスが入場し終えると、勝己の選手宣誓が来た。
「選手宣誓!選手代表1ーA爆豪勝己!」
「ええ!?かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試1位通過だったからな!」
「せんせー、俺が1位になる」
「「「絶対やると思った!!」」」
A組の声が一致し、他のクラスからブーイングが飛んだ。
「せめて跳ねのいい踏み台になってくれ」
『ここに来て変わったな。あえて自分を追い込んでいる』
「まあ僕らを巻き込んでるのがかっちゃんぽいけど………」
そして早速ミッドナイト先生から第1種目が発表された。
「毎年ここで多くの者が
「『障害物レース………!!』」
「計11クラス全員参加のレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!!我が校は自由さが売り文句、コースさえ守れば何をしたって構わないわ!!さあさあ!!位置に付きまくりなさい!!」
スタジアムの側面に緑色のランプが3つ点灯した。
『出久?どこへ行く?』
「あれほど狭いなら、入り口がごった返すはず!スタートの一瞬前に後ろでトップスピードになってスタートしよう!」
『なるほど、そうしようか』
出久とスタートから少し離れたところでフルカウル15%を使ってスタートダッシュに備えた。
「フルカウル15%!!」
『スタート!!!』
ミッドナイト先生の声と共に踏み切り、2つの壁をパルクールのように互いに蹴って他と明らかな差をつけて1位に躍り出た。
「よし!!」
『上に飛べ!!轟だ!!』
「っ!!」
温度の低下が見え、出久が斜め前に飛ぶと同時に轟の氷が広がった。一瞬遅れて轟が走ってきていた。続くように勝己、八百万、切島、青山も先陣を切った。
「ターゲット、大量!!」
「こ、これは!!」
『入試の0Pロボ!!』
『さあ、いきなり障害物だ!!まずは手始め、第1関門ロボ・インフェルノ!!』
目の前に実技試験の0Pロボ軍団が立ちふさがり、一瞬足を止めたが出久はロボに向けて走った。
「鏑!!New Hampshire SMASHでロボを壊さずに潜り抜ける!!」
『なるほどわかった!!』
ロボの攻撃がどこから来るのか的確に伝え、出久が走りながら両腕を振りかぶって思い切り後ろに振りぬいた。
「New Hampshire SMASH!!」
風圧を利用して一気に加速し、ロボの隙間を縫ってさらに進んだ。このときの余波が後続に当たり、風圧ですぐに動けていなかった。
『1-A緑谷!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!すげえな!!1抜けだ!!もうなんかアレだな!!ずりぃな!!』
『あえてロボを壊さず抜ける、合理的かつ戦略的行動だな』
だが、轟がすぐにロボを攻略して追いかけてきた。
「そう簡単には行かせねえぞ!!」
「そっちこそ!!」
『おいおい第1関門ちょろいってよ!?んじゃ第2関門はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォール!!』
『出久!!New Hampshire SMASHで跳べ!!』
「もちろんだよ!!」
出久は走る足を止めず、さっきと同様に飛んだ。最近まで調整していた移動時の体勢を利用して岩を川の飛び石のように使い、瞬く間に第2関門を突破した。
『って緑谷速すぎだろ!?もうちょい説明させろっての!!』
何とか1位をキープしていたが、轟に加えて勝己も近づいてきていた。
『まずいな、轟との差が縮まっている上に勝己が近づいてきている』
「あれは!!」
『さあ、早くも最終関門!!かくしてその実態は一面地雷原!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と足酷使しろ!!』
地雷原と聞いて驚いたが、サーモグラフィーを駆使すると地雷の位置がわかることに気づいた。
『そのまま走れ!!私が導く!!』
「わかった!!鏑を信じる!!」
だが、一瞬止まったのが効いたのか轟と勝己に追いつかれた。
『出久は2人と走りに集中しろ!!』
「うん!!」
『ここで先頭が変わった!!喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だ!!』
出久、轟、勝己による三つ巴で戦う中、私は出久の歩幅を理解して地雷を踏まないように首を引き続けた。
『後続もスパートかけてきた!!だが!!引っ張り合いながらも3人がリードか!?イレイザーヘッドおまえのクラスすげえな!!どういう教育してんだ!!』
『俺は何もしてねえよ。やつらが勝手に火付けあってんだろ』
放送を右から左に流しながら、出久に忠告した。
『この先に1か所だけ地雷が2,3個固まってる!』
「ならそれを敢えて使う!詳しく教えて!」
『そのまままっすぐだ!』
詳細な座標を首を引くことで教えると、出久はそれを片足で踏みぬいた。
「「!!?」」
轟と勝己の視界を一瞬塞ぎ、地雷を踏みぬいた足でそのまま踏み切った。そのトップスピードのまま、スタジアムに戻ってきた。
『1番にスタジアムに返ってきたのは!!A組緑谷出久!!』
スタジアムの歓声に包まれ、1位を実感した。
「1年ステージ、第1種目もようやく終わりね!それじゃあ結果をごらんなさい!」
1位 緑谷出久
2位 轟焦凍
3位 爆豪勝己
4位 塩崎茨
5位 骨抜柔造
6位 飯田天哉
7位 常闇踏陰
8位 瀬呂範太
9位 切島鋭児郎
10位 鉄哲徹鐵
11位 尾白猿夫
12位 泡瀬洋雪
13位 蛙吹梅雨
14位 障子目蔵
15位 砂藤力道
16位 麗日お茶子
17位 八百万百
18位 峰田実
19位 芦戸三奈
20位 口田甲司
以下略
「予選通過は上位42名、残念ながら落ちちゃった人も安心なさい!まだ見せ場は用意されてるわ!そして、次からいよいよ本選よ!ここからは取材陣も白熱してくるわ!気張りなさい!」」
そしてミッドナイトから第2種目が発表された。