ご注意下さい
レクリエーションの後、セメントス先生によって真ん中にステージが形成された。
『Hey guys!!Are you ready!?色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!!ヒーローじゃなくてもそんな場面ばっかりだ!!わかるよなぁ!!心技体に知恵知識その意志で駆け上がれ!!』
出久は入場する場所で緊張を整えていた。
『オーディエンス共!!待ちに待った最終種目がついに始まるぜ!!第1回戦!!成績のわりになんだその顔!!ヒーロー科、緑谷出久!!Versus!!ごめん、まだ目立つ活躍なし!!普通科、心操人使!!』
互いに入場し、ステージに上がった。
『ルールは簡単!!相手を場外に落とすか行動不能にする!!あとは『まいった』とか言わせても勝ちのガチンコだ!!怪我上等!!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!!道徳倫理は一旦捨て置け!!だがまあもちろん命に関わるようなのはクソだぜ!!ヒーローはヴィランを捕まえるために拳を振るうのだ!!』
開始の合図を待ちつつ出久が呼吸を整えていると心操が話しかけてきた。
「『まいった』か、これは心の強さを問われる戦い。強く思う将来があるなら、なり振り構ってちゃダメなんだ」
『Ready!?』
「あの猿はプライドがどうとか言ってたけど………」
『Start!!』
「………チャンスをドブに捨てるなんて馬鹿だと思わないか?」
「なんっ!!?」
言い返そうとした出久の首を強めに絞めた。
「か、鏑!?」
『尾白からの忠告を忘れたのか?返事をするな』
『おいおいどうした!?大事な初戦だ、盛り上げてくれよ!?緑谷、開始早々完全停止!?』
動きを止めた出久を見て個性が発動したと思ったのか、心操が話し出した。
「お前は恵まれてていいよな、緑谷出久。振り向いてそのまま場外へ歩いていけ」
出久は心操に言った。
「君の個性でもできることはあるよ。相澤先生を見てごらん」
「テメェどうやって!?」
「イレイザーヘッド、相澤先生の個性は「抹消」、決して戦闘向きじゃない。でも先生はそれでも戦う術を身に着けた。個性じゃなく技術で」
「っ!!!」
「今からでも遅くないよ。間に合わない、そう思った時点で道は長くなる。諦めちゃだめだよ」
「何で俺にそんなことを………」
「ヒーローだからさ」
「は?」
「余計なお世話はヒーローの本質だからさ」
『ったく、出久はすごいな』
明らかに心操の雰囲気が変わった。
「フルカウル15%!!」
出久はフルカウル15%で心操を場外へ投げ飛ばした。
「心操くん場外!!緑谷くん2回戦進出!!」
『最終種目、真っ先に2回戦に進出したのは!!A組緑谷出久!!』
『人を操る、ヴィランを抑え込めば何の被害もなく制圧できるいい個性だな』
「君の個性はいい個性だよ。何の被害もなくヴィランを制圧できる。僕みたいな超パワーじゃあ周りに被害が出るかもしれない。いい個性だよ」
「………ありがとう、次会うときは覚悟してろよ」
「うん!」
出久が返事をすると、出久が固まった。
「普通構えるんだけどな、俺と話す人。そんなんじゃすぐ足元掬われるぞ。せめてみっともない負け方はしないでくれ」
「うん!」
「………」
『出久………』
続く2回戦、轟と当たることになった。出久と控室に向かっていると、道中でエンデヴァーと会った。
「エンデヴァー!?」
「おお、いたいた。君の活躍を見せてもらった」
「エンデヴァー!?何でこんなところに!?」
「君の活躍見せてもらった。素晴らしい個性だね、指を弾くだけであれほどの風圧、パワーだけで言えばオールマイトに匹敵する力だ」
「はあ………」
「うちの焦凍にはオールマイトを超える義務がある。君との試合はテストベッドとしてとても有益なものとなる。くれぐれもみっともない試合はしないでくれたまえ。言いたいのはそれだけだ直前に失礼した」
言いたいだけ言って去ろうとしたエンデヴァーに出久が言った。
「僕はオールマイトじゃありません!!」
「そんなものは当たり前………」
「当たり前のことですよね!!轟くんもあなたじゃない!!」
そのまま振り返らずに控室に向かった。
『あれがエンデヴァーか、反吐が出るな。自らの野望を義務として息子に押し付けるとは毒親もいいところだ』
「他に聞こえないからって言いすぎだよ、鏑」
『2回戦第1試合はビッグマッチだ!!1回戦の圧勝で観客を文字通り凍らせた男!!ヒーロー科、轟焦凍!!かたや、こっちはヒヤヒヤでの1回戦突破!!今度はどんな戦いを見せてくれるのか!?ヒーロー科、緑谷出久!!』
ステージに上がって轟と相対したが、轟は少し下を向いていた。
『今回の体育祭、両者トップクラスの成績!!まさしく両雄並び立ち!!今!!緑谷Versus轟!!Start!!』
出久はスタートと同時に構えたが、轟の近くが全く冷えていなかった。下を向いて戦意がない。
『まだ決めあぐねているんだな、轟』
「轟くん?」
「………すまん、まだ決められねえ」
「左も使ってみてよ。今はとりあえず、全力で来てほしい。僕も全力で応えるから!!」
「とりあえず……全力で………」
『おいおい!!全く動いてねえぞ!?さっさと始めろ!?』
「行くぞ、緑谷!!」
「来い!!」
マイク先生の声が煩わしいと思う中、氷の攻撃から始まった。出久はそれを拳で破壊し、両者の一進一退の攻防が繰り返された。
「左を使うことが怖いの?」
「………ああ、制御がまだまだだ」
「信じてよ、何をしても先生たちが何とかしてくれる」
轟の身体に下りていた霜がなくなり、轟の左から炎が噴き出た。
『こ、これは!!』
「こんな出力したことねえ、お前も巻き込むかも知らねえぞ!!」
「上等だ!!全力でかかって来い!!」
『まずい、熱すぎる………!!』
「瞬間出力100%!!」
『馬鹿出久!!瞬間でも100%は!!』
轟と全力で戦おうという気持ちが前に出たのか、出久はワンフォーオール100%を右腕に溜めた。私があまりに危険だと判断して首から離れた瞬間、出久が踏み切って拳と轟の炎がぶつかりかけた。厳密には危険だと判断した中心のセメントス先生のコンクリにぶつかった。衝撃でコンクリが砕け散り、さっきまで氷で冷やされていた空気が一気に膨張して爆風が発生した。
『何今の………お前のクラス何なの………』
『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され、膨張したんだ』
『それでこの爆風って、どんだけ高熱だよ!!ったく何も見えねえ!!これ勝負どうなってんだ!?』
飛ばされかけていたミッドナイト先生が場外の壁に背中を打ち付けた出久を確認した。
「み、緑谷くん場外!轟くん、3回戦進出!!」
1匹の蛇が瞬間最大風速が吹くステージで耐えれるはずもなく、私は宙を舞い観客席まで飛ばされた。
「ケロッ!!」
それにいち早く気付いた蛙吹が舌で私を捕まえてくれた。
「鏑ちゃん大丈夫?」
『あ、ああ………』
何とか返事したが、三半規管が狂ったのか視界が歪んでいた。
「ゆっくり休憩するといいわ」
それが聞こえると、鱗に人肌を感じた。出久より低く、さっきまで冷えていた自らの体温よりは高い、それがちょうどよくてとても気持ちよかった。気づけば夢の世界へと旅立っていた。
梅雨 side
「寝ちゃったのかしら?」
ぐったりしていた鏑ちゃんを心配して、優しく撫でていると微動だにしなくなった。口の近くに手をかざすと、空気の出入りを感じた。ただそれがとてつもなく遅かったため、寝ていると判断した。
「あら、鏑さんでは?」
「百ちゃん、どうも寝ちゃったみたいなの」
「蛇は目を開けて寝るとお聞きしましたが、本当に見るのは初めてですわ」
轟ちゃんと緑谷ちゃんの試合でステージの補修が始まったため、それまで鏑ちゃんを撫でながら待っていると鏑ちゃんが動いた。
「起きたの?」
鏑ちゃんと心を通わせることができるのは緑谷ちゃんだけ、私にはできない。
「そういえばまだお礼がまだだったわね。USJで襲撃されたとき、助けようとしてくれてありがとう」
返事の代わりに、いつも緑谷ちゃんにするように首に巻き付いてくれた。
「あれ?鏑?」
「お疲れ様、緑谷ちゃん。轟ちゃんとの試合でここまで吹き飛んでたの」
「そうだったのか。ごめんな、鏑」
緑谷ちゃんは鏑ちゃんと話すと、とても驚いて私に言った。
「鏑が今の僕に巻き付くわけにはいかないって」
「確かに今の緑谷ちゃんに巻き付くのは危ないわね」
緑谷ちゃんは右腕を吊っていて痛々しいほどの包帯が目立っていた。
「じゃあ終わるまで私が一緒にいるわ」
「うん、お願いつっ梅雨ちゃん!」
爆豪ちゃんが優勝して、授与式が終わるまでずっと鏑ちゃんと一緒にいた。
鏑 side
体育祭を終え、蛙吹から離れて出久の首に巻き付いた。数日の間右腕が使えなくなることもあり、出久を介助することにした。
「おつかれ。つうことで明日・明後日は休校だ。体育祭を観戦したプロヒーローからの指名などもあるだろうが、それはこっちでまとめて休み明けに発表する。ドキドキしながらしっかり休んでおけ」