入試を終え、家に帰って1日休憩してから身体を動かすことにした。
「もっとワンフォーオールが身体が馴染めたらいいよね!」
『もちろんだ。だが今日は筋肉痛で痛いだろうから、明日からやろう』
「うん!」
出久と2人でトレーニングを続けようと決意した時、出久の母がリビングに何かを手に走ってきた。
「いいい出久!!来てたよ!!」
「母さんどうしたの?」
「雄英!!雄英から来てたよ!!」
「本当!!?」
出久が封筒を受け取り、首から封筒を見ると確かに「雄英」と書かれていた。
「ありがとう、母さん。自分の部屋で見るね」
『私もいいか?』
「もちろんだよ、鏑」
部屋に戻り、封筒を開けると小さな機械が入ってあった。
「これは………?」
『機械のようだな』
その直後、機械から光が壁に照射されてオールマイトが映し出された。
「私が投影された!!」
「『オールマイト!!?』」
「これ雄英からだよね!?」
『今まで連絡がないことにつながりそうだ』
急いで部屋を暗くし、投影された映像を見た。
「諸々手続きに時間がかかって連絡が取れなくてね。いや、すまない。実は私がこの街に来たのは、雄英に勤めることになったからなんだ!!」
「オールマイトが雄英に!?」
『そうだったのか………』
「筆記試験は余裕の合格、実技試験は15ポイントだ!!」
『私が数えていた点数と同じだな』
「だが!!この入試、見ていたのはヴィランポイントだけにあらず!!審査制のレスキューポイント!!」
「レスキューポイント?」
「我々雄英が見ていたもう1つの基礎能力!!緑谷出久、60ポイント!!」
『計75ポイント、確実だな』
「本当に………夢じゃないよな?」
「2位で通過だ!!来いよ緑谷少年、これが君のヒーローアカデミアだ!!」
投影が終わり、出久とリビングにいる出久の母に報告した。
「出久ぅぅぅ!!!」
「母さん、大げさだよ………」
出久の母は泣いて喜び、祝いに大盛カツ丼を作ってくれた。
日が沈んだ頃、フルカウルで砂浜を疾走し終えて休憩中の出久にトゥルーフォームのオールマイトが声をかけた。
「やあ、やってるね」
「『オールマイト!』」
「誰ソレ?」
「『へ?』」
「オールマイト!?本当!?」
一瞬オールマイトの返答に困惑したが、周りが騒ぎ出したことで事の重大さを知って人違いだと全力で否定した。
「人違いでした!」
「すみません!」
「なんだ、人違いか………」
周りに人がいなくなると、オールマイトが切り出した。
「緑谷少年、合格おめでとう」
「あ、ありがとうございます!」
「一応言っておくが、学校側に君との接点は話していないぞ。君、そういうのズルだとか気にするタイプだろう?私は審査やってないよ」
「お、お気遣いありがとうございます!」
「緑谷少年がコツを掴むのが上手いからと言って、未だに出力を上げることは難しい。雄英に入学したことでその歩みが速くなるかもしれない。頑張ってくれ」
「『はい!!』」
それから1ヶ月鍛錬を重ね、出久はフルカウル10%まで安定して出せるようになった。
今日は雄英高校の入学式で初登校日だ。
『そろそろ行こう、出久』
「うん、そうだね」
「鏑、出久のことをお願いね」
「いってきます!」
出久の母に見送られ、一緒に雄英へ向かった。
雄英に到着すると、出久の首に巻きついて一緒に1-Aの教室を探した。
数分後、目の前に1-Aのドアがあった。
「ドア、でかいね」
『そうだな、入ろう………ん?』
出久がドアを開けると勝己と誰かが言い合っており、それに気を取られかけたがドアの下に熱源があることに気づいた。形と温度からして人間だ。
『待て出久、入り口のドアの下に人型の熱源がある』
「熱源?」
下を見ると黄色の寝袋に包まった謎の男が転がっていた。
「『!!?』」
「気づいたか、今までで初めてだな」
突然のことに絶句していると、さらに男は続けた。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね。担任の相澤消太だ、よろしくね。早速だが、これ着てグラウンドに出ろ」
勝己も言い合いを止め、指示に従った。
出久が渡された体操服に着替え、私が襟に隠れてグラウンドに出ると先生から個性把握テストを行うと言われた。
「「「個性把握テストォ!?」」」
「入学式は?ガイダンスは?」
「ヒーローになるなら、そんな悠長なイベントに時間を割く必要はない。雄英は自由な校風が売り文句、それは先生側もまた然り。おまえたちも、中学の頃から個性使用禁止の体力テストをやってるだろ?」
『なるほど、個性を使うヒーローだからこそ個性ありの体力テストを行うのか』
「実技入試試験の1位は爆豪だったな?中学のときソフトボール投げ何mだった?」
「………67m」
「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何をしてもいい、早よ、思いっきりな」
勝己は球威に爆風を乗せた。
「死ねえ!!」
相澤先生の持つ端末に705.2mと表示された。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
「705mってマジかよ?」
「何これ!面白そう!」
相澤先生は反応を聞いて固まった。まあ、軽視する発言だったから仕方ない。
「面白そうか………ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「「「はぁあああ!?」」」
まさかの言葉で目が点になった。そんな私たちを横目に先生は準備を始めた。
第1種目 50m走
2人ずつ測定され、出久は勝己と走ることになった。横に勝己がいようが関係ない、これは今までの己との勝負だ。
「よーい………」
「フルカウル10%!!」
旗が振り下ろされた瞬間に溜めた力を解放した。
「デクはこんな早くできね………」
「爆豪 4:13、緑谷 4:15」
「よし!」
「ハァ!?デク!!どういうことだァ!?」
『いつも通りだ、右から顔を狙っている』
勝己が出久のタイムに驚き、出久に爆破で攻撃しようとしたが出久が避ける前に勝己が謎の布に捕まっていた。
「な、なんだこの布、固ぇ!?」
「これは………!?」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ。ったく、何度も何度も個性使わすなよ………俺はドライアイなんだ!」
「「「個性すごいのにもったいない!!」」」
◇ ◇ ◇
その後は無事に何事もなく種目が進んでいき、全ての種目が終わった後に先生が言った。
「ちなみに除籍は嘘な。君らの個性を最大限に引き出す合理的虚偽」
「「「はあああああああ!?」」」
『いや、言ったときの体温、呼吸からして本気だったはずだ。全員に見込みがあると思ってくれたのだろうか?』
「これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ」
カリキュラムによると、午前は普通の授業を行い、昼は大食堂で一流の料理を食べ、午後にヒーロー基礎学とヒーロー情報学をするらしい。
初日ということもあって早く終わり、同じ会場で受験した飯田と帰ることになった。
「君は0Pロボを倒していたな?試験でヒーローの本質を試す雄英、さすがだ………」
『飯田は真面目なんだな』
すると、後ろから声が聞こえた。
「お2人さん!待って!」
「あの子、確か………」
「君は無限少女!」
「麗日お茶子です!飯田天哉くんと、緑谷デクくんだよね!入試で助けてくれたお礼言えてなかったから、改めてありがとうデクくん!」
「デク!?」
「だって、体力テストのときに爆豪って人が………」
『確かに勝己が言っていたな』
出久はしどろもどろになりながらも間違いを訂正した。
「デクっていうのは木偶の坊のデクで………」
「成る程、蔑称だったのか」
「ごめんね、でも私「頑張れ」って感じがして好きだなあ」
「デクで良いです!!」
「緑谷君それでいいのか!?」
その直後、出久のポケットから定期券が落ちかけていることに気づいた。落ち始めた瞬間に私が襟から出て定期券を咥えた。
「「蛇!?」」
「ごめん、鏑。落ちかけてたね」
「デクくん!?その蛇何!?」
「僕の相棒の鏑だよ、入試も鏑と切り抜けたんだ」
「個性って蛇と話す個性なん?」
「実はよくわかってなくて、超人的な力が主だと思うんだけど鏑と話せるんだ」
「話せるのか!?」
「だから一緒に戦えるしね」
出久が私との思い出を語って気恥ずかしい中、3人は仲良く話しながら駅へ向かっていった。
(初日から出久に友達ができてなによりだ)
次回はヘドロヴィラン、入試と続いて3つ目の戦闘の描写となります。
苦手ですが頑張るので楽しみにしていてください!