翌日、雄英に登校すると門の近くでテレビに囲まれた。
「君!オールマイトの授業はどんな感じですか?」
「す、すみません!僕急いでて!」
『オールマイトが視聴率取れるからと言ってやりすぎではないか?』
「ま、まあまあ………」
連日マスコミが雄英に押し寄せ、雄英の敷地内に入る前の生徒にインタビューを続けている。
HRの時間になり、相澤先生が話を切り出した。
「急で悪いが、今日は君らに学級委員長を決めてもらう」
(((学校っぽいのきた!!!)))
「委員長やりたいです!!それ俺!!」
「俺も!!」
「ウチもやりたいっス」
「僕の為にある!!」
「リーダーやろうやろう!!」
中学までは学級委員長という名の雑務だったが、このヒーロー科であれば「集団を導く」というトップヒーローの素地を鍛えられるためにやりたい人も自然と多くなる。
「静粛にしたまえ!!」
ざわつくクラスを飯田が一喝した。
「多を牽引する責任重大な仕事だぞ!!やりたい者がやれる物ではないだろう!!周囲からの信頼あってこそ務まる聖務、民主主義に則り真のリーダーをみんなで決めるというのならこれは投票で決めるべき議案!!」
「「「腕そびえ立ってんじゃねーか!!!」」」
「なぜ発案した!?」
「日も浅いのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん」
「そんなん全員自分にいれりゃあ……」
「だからこそ、ここで複数票を取った者こそが真にふさわしい人間ということにならないか!?どうでしょうか、先生!!」
「時間内に決めりゃ何でもいいよ」
「ありがとうございます!!」
飯田の提案で投票による多数決で学級委員長を決めることになった。
| 名前 | 票数 |
| 緑谷出久 | 3 |
| 八百万百 | 2 |
| 以下略 | 以下略 |
「僕3票!?」
「何でデクに!!?誰が!!?」
「まあお前に入れるよりかはわかるけどな………」
「くっ……0票…わかってはいた。流石に聖職といったところか!!」
「他に入れたのね」
「お前もやりたがってたのに、何がしたいんだ?飯田」
「じゃあ委員長は緑谷、副委員長は八百万だ」
「ま、まじでか………」
「悔しい………」
「いいんじゃないかしら?」
「緑谷、なんだかんだ熱いしな!」
その後のお昼休憩、私は出久の首から離れて出久のすぐ隣の机で小さく切られた豚肉を吞み込んでいた。出久は飯田と麗日と対面して昼食を摂っている。出久はかつ丼、飯田はカレー、麗日は煮魚定食だ。
「いざ委員長やるとなると務まるか不安だよ………」
「務まる!」
「大丈夫さ、緑谷くんのここぞという時の胆力や判断力は多を牽引するに値する。だから君に投票したんだ」
「君だったのか!?」
「でも飯田くんも委員長したかったんじゃないの?メガネだし」
「やりたいと相応しいか否かは別の話、僕は僕の正しいと思う判断をしたまでだ」
「「『僕!!?』」」
その時、飯田の一人称が変わっていることに他2人も同時に気づいた。
「いや、それは………」
「ちょっと思ってたけど、飯田くんって坊ちゃん!?」
「そう思われるのが嫌で一人称を変えていたんだが………ああ、俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」
「「ええ!?すご!!」」
「ターボヒーロー、インゲニウムは知ってるかい?」
「もちろんだよ!!東京の事務所に65人ものサイドキックを雇っている大人気ヒーローじゃないか!!はっ!!まさか!!」
「それが俺の兄さ!!」
「すごいや!!」
ヒーローの名前が出たことで、出久のヒーローオタクとしての心が興奮していた。
「規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー。俺はそんな兄に憧れヒーローを志した。しかし、人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う」
「なんか初めて笑ったかもね、飯田くん」
「そうだったか?笑うぞ俺は?」
すると突然、学校に警報が鳴り響いた。
「警報!?」
「セキュリティー3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください」
生徒たちが何事かとパニックになる中、飯田は冷静に隣の生徒に聞いた。
「セキュリティー3ってなんですか?」
「校舎内に誰かが侵入してきたってことだよ!!3年間でこんなの初めてだ!!君らも早く!!」
だが食堂から避難する道は太くはあるが1本の道、一気に人が動いたため押し合いの地獄絵図が広がった。3人もはぐれそうになる中、飯田の声が聞こえた。
「何かと思えばマスコミか!!」
『マスコミだと!?』
気づけば3人が離れてしまい、飯田が麗日の方へ何とか行くのが見えた。
「麗日くん!!」
「へっ?」
「俺を!!浮かせろ!!麗日くん!!」
麗日の腕が何とか届き飯田を浮かせた。飯田はそのまま個性で生徒の上を飛んだ。
「エンジンブースト!!」
そのまま生徒の視線が集まりやすい非常口の上に張り付いた。
「皆さん、大丈夫!!ただのマスコミです!!何もパニックになることはありません、大丈夫!!ここは雄英、最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」
原因を知ったことで生徒のパニックは一瞬で収まり、私は出久よりも飯田の方が委員長に向いているのではないかと感じた。
次の時間、他の委員を決めるときに出久はクラスメートに飯田が委員長になることを提案した。
「でっ、では他の委員決めを執り行って参ります。けど、その前にいいですか?委員長はやっぱり飯田天哉くんがいいと思います!!あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ!!僕は飯田君がやるのが正しいと思うよ!!」
「俺はそれでもいいぜ。緑谷もそう言ってるし、確かに飯田、食堂で超活躍したしな!」
「ああ、それになんか非常口の標識みてぇになってたよな」
「時間がもったいない、何でもいいから早く進めろ」
誰も反対しなかったため、飯田が委員長になった。
「委員長の指名なら仕方あるまい、以後はこの飯田天哉が委員長の責務を全力で果たすことを誓います!!」
「任せたぜ!!非常口!!」
「私の立場は………?」
出久たちが高校生活を謳歌する中、雄英にヴィランの影が迫っていることなどヒーローたちは知る由もなかった。
次回のUSJ襲撃は長くなりそうなので前編と後編に分けます。