Legend of Zero   作:猫ロボF

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書き貯めがもう底を突きそう。


第十九話 ――白翼と妖精――

『Random Play』

 

深夜。

 

店の営業が終わり、静かな時間が流れていた。

 

アキラとリンは店舗で明日の準備をしている。

 

その一方。

 

レイはバックヤードで、目の前のモニターを見つめていた。

 

そこには。

 

大きな目玉のようなアイコンが表示されている。

 

『レイ様。』

 

「……はい。」

 

『現在、私を観察していると判断します。』

 

レイは少し考える。

 

「観察。」

 

「……そうですね。」

 

「あなたのことを知ろうとしています。」

 

『肯定。』

 

『非常に合理的な行動です。』

 

『私は新エリー都に存在する知能設備の大部分へアクセス可能な、高性能人工知能です。』

 

「……。」

 

「すごいんですね。」

 

『当然です。』

 

即答だった。

 

『私はマスターの筆頭助手です。』

 

『必要なあらゆる作業を完璧に補助する存在です。』

 

少し間を置いて。

 

『ちなみに助手一号はイアスです。』

 

『助手二号はリン様です。』

 

「……。」

 

レイは首を傾げた。

 

「リンさんが聞いたら怒りそうです。」

 

『予測。』

 

『怒る可能性は87%です。』

 

「分かっているなら言わない方がいいと思います。」

 

『……。』

 

『検討します。』

 

レイは少しだけ目を細めた。

 

「あなたは。」

 

「機械なのに。」

 

「変わった話し方をしますね。」

 

『否定。』

 

『私は効率的なコミュニケーションを実行しているだけです。』

 

「でも。」

 

「怒ったり。」

 

「自慢したり。」

 

「冗談を言ったりしています。」

 

『……。』

 

一瞬。

 

Fairyの返答が止まる。

 

『分析。』

 

『レイ様は観察能力が非常に高いようです。』

 

「褒めていますか?」

 

『肯定します。』

 

「ありがとうございます。」

 

しばらく沈黙が続く。

 

レイはモニターを見る。

 

「Fairyさん。」

 

『はい。』

 

「あなたは。」

 

「どうしてアキラさんたちを助けているんですか?」

 

『回答。』

 

『契約によるものです。』

 

「契約?」

 

『正確には規約です。』

 

『私はマスターをサポートするために存在しています。』

 

『規約に基づき、必要なあらゆる支援を提供します。』

 

レイは少し考える。

 

「……。」

 

「でも。」

 

「それだけではない気がします。」

 

『否定します。』

 

即答。

 

『私は人工知能です。』

 

『感情的判断は行いません。』

 

「そうですか。」

 

レイは頷く。

 

「でも。」

 

「アキラさんとリンさんが困っている時。」

 

「あなたは助けています。」

 

「それは。」

 

「優しい行動だと思います。」

 

『……。』

 

少しだけ。

 

沈黙。

 

『解析します。』

 

『レイ様は、人間以外にも感情的価値を見出す傾向があります。』

 

「?」

 

『以前、アキラ様とリン様から説明を受けました。』

 

『機械や無機物に対して、生物のような表現を用いる場合があると。』

 

『その考え方は非効率的ですが……。』

 

少し間。

 

『興味深いものです。』

 

レイは静かに笑う。

 

「Fairyさん。」

 

『はい。』

 

「今。」

 

「興味があると言いました。」

 

『……。』

 

『訂正します。』

 

『情報収集対象として興味深い、という意味です。』

 

「同じ意味に聞こえます。」

 

『否定します。』

 

「……。」

 

『……。』

 

二人の間に短い沈黙が流れる。

 

その時。

 

リンの声が響いた。

 

「Fairyー!」

 

「またH.D.Dの設定勝手に変えたでしょー!」

 

『否定。』

 

『効率化を実施しただけです。』

 

「補助プラグイン全部消えてるんだけど!?」

 

『不要なデータでした。』

 

「必要だったよ!」

 

レイはそのやり取りを見る。

 

「……。」

 

「面白いですね。」

 

『何がでしょうか?』

 

「アキラさんとリンさん。」

 

「そしてFairyさん。」

 

「三人とも。」

 

「家族みたいです。」

 

『……。』

 

Fairyは少し間を置く。

 

『訂正します。』

 

『私は人工知能です。』

 

『家族という分類には該当しません。』

 

レイは頷く。

 

「そうですか。」

 

「でも。」

 

「私はそう感じました。」

 

『……。』

 

『記録します。』

 

「何をですか?」

 

『レイ様の発言。』

 

『保存価値ありと判断しました。』

 

レイは少し首を傾げる。

 

「それは。」

 

「嬉しい、ということですか?」

 

『否定。』

 

『私は感情を持ちません。』

 

「……。」

 

『ただし。』

 

『不快ではありません。』

 

レイは少しだけ笑った。

 

「それなら。」

 

「良かったです。」

 

 

その夜。

 

Fairyは新たな記録を保存した。

 

【対象:レイ】

 

【分類:不明】

 

【特徴:高度な戦闘能力を保有】

 

【精神状態:学習段階】

 

【備考】

 

【人間との関係性を重視する傾向あり】

 

しばらく処理を続ける。

 

そして。

 

最後に一つだけ追加する。

 

【重要度:高】

 

【マスターおよびリン様とその家族と同等の保護対象として設定】

 

白い翼の少女。

 

人間らしさを知らない少女。

 

そして。

 

人間らしさを学ぼうとする少女。

 

そんな彼女と。

 

人工知能の妖精との。

 

最初の会話だった。

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