俺たち百八魔貴族 作:ジエン
狩猟隊の魔貴族
ユーステルムの狩猟隊の日常ッス!!
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「大鹿がそっちに行ったぞ! 久々の獲物だ、逃がすなよ!」
「突撃ッスー!!」
【スパイラルチャージ】
「あっ、おい! やめろバカ!! ああーっ!?」
「討ち取ったりーッス!」
「討ち取ったじゃねえ! 毛皮に穴が空いたろうが!! これじゃ売り物にならねえよ!」
「アイタタタ頭離してゴメンナサイッス!」
「はあ…終わったもんは仕方ねえが、せっかくのデカい獲物が…。」
「あ、あの…。」
「氷湖も落ち着いちまったし、久々の稼ぎ時だったんだぞ? どうすっかな…。」
「あわわ…。」
狩猟隊の魔貴族
募)良い稼ぎ方法 無いッスか!?なんでもするッス!
名無しの魔貴族
今なんでもって言った?
名無しの魔貴族
稼ぎを台無しにしちまったからなあ
隊長も気落ちするわな
名無しの魔貴族
昨日の実況でも酒控えめだったしな〜
狩猟隊の魔貴族
ほんと!何でもするんで!稼ぎが良い事ならちょっとはやるッス!
船乗りの魔貴族
今何でもって。今居るのってユーステルムだよね?
ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、いいかな?
名無しの魔貴族
女船長じゃん?航海中じゃないの?
狩猟隊の魔貴族
ユーステルムにいるッス!何かあるッスか!?
船乗りの魔貴族
魚が大漁なんだけどさ、売り切る前に腐っちゃいそうでね。
確かそこって氷湖があったでしょ?あそこの氷をヤーマス港まで運べないかな?
運んでくれたら高く買うよ!
狩猟隊の魔貴族
!!!!
早速提案するッス!
名無しの魔貴族
そういや陸運もやってんだっけウォード隊
名無しの魔貴族
待て待て、ユーステルムから運んでランス、ヤーマスだろ?
遠くて溶けちまうんじゃねーの?
狩猟隊の魔貴族
それじゃ売れないッスか…?
船乗りの魔貴族
違う違う、ちょっとした工夫があるんだよ。
ユーステルムに居るなら、溶けないように出来ると思うよ!
狩猟隊の魔貴族
工夫ッスか?何をすれば良いッスかね?
船乗りの魔貴族
あのね──
「リーダー!! お金が手に入る話を見つけたッス!」
「何ぃ!? …いや待て、お前の話だ。騙されてんじゃねーか?」
「酷いッスよ! 信用出来る友達からの話ッス!」
「お前のダチねえ…。ハッ、まあいい、話だけでも聞いてやるよ。」
「実はヤーマスの港に船乗りの友達が来るッス! そこで魚を冷やす氷を買いたいらしくて!」
「氷だぁ!? そんなもんが金になるかよ! 大体、ヤーマスまで運ぶ前に溶けちまうだろ。却下だ却下!」
「フフン、実は氷を溶かさない秘密の魔法を二つ聞いてるッス! これでランスもヤーマスも氷を運べるッスよ!!」
「…本当なら悪くねえシノギだがな。その方法とやら、言ってみろよ。」
「まず使うのは『毛皮』ッス! 売り物にならない毛皮で氷の塊を包むッスよ!」
「毛皮だと? 暖かくしてどうすんだ、氷を包むのかよ?」
「毛皮は温かさを逃さないけど、冷たさも逃さないから氷の保護に使える!ッス!
あ! その毛皮も買い取ってくれるらしいッスよ!」
「在庫の毛皮も売れるってか?…まあ助かるがよ。で、もう一つは?」
「もう一つは、薪を切った時に出る『おがくず』ッス! あれで氷を包むと溶けにくくなるらしいッス!」
「ほー…確かに聞いたことがあるな。冷やした酒を運ぶ時に長持ちするだとか。それを毛皮と一緒に使うのか。」
「ッス! おがくずは町のみんながゴミにして捨ててる奴を貰って来るッス! お金がかからないのに皆ハッピー! 完璧ッス!」
「話通りなら美味い仕事だがな、本当に買ってくれるって保証はあるのか?」
「むむむ、船乗りの友達は良い奴ッスよ! 港であったら魚とかくれるッス!」
「食いもんで信用すんなよ。まあ、てめえがそんな知恵回るわけねえし、全部その友達の入れ知恵だな?
…そこまで言うなら、一回乗ってみるか。」
「やったッス! 5日後にヤーマスに来るから、氷湖で氷を取って包んで運ぶッスよ! あ、下に置くスノコ?も準備するッス!」
「5日!? 急ぎじゃねーか!」
「あ、『出来ればブロックをノコギリで切り出してほしいけど、無理は言わない』そうッス! それじゃ氷集めに行くッスよ!」
「細けえ注文だな!? これで骨折り損だったら只じゃおかねえぞ? おうおめーら! 聞いたな! 新しい仕事だ!!」
狩猟隊の魔貴族
決まったッス!すぐに氷を集めてヤーマスに行くッスよ!
名無しの魔貴族
野太い集団の掛け声ええなあ
船乗りの魔貴族
急な話でごめんね!少しでもあれば損しない額を払うから!
それじゃ5日後によろしく!
───
「ふぅ…ランスまで来たぞ。おい、箱を開けてみろ。氷は無事か!?」
「リーダー! 毛皮の内側が冷たいッス!カチコチのまま全然減ってないッスよ!むしろ表面に霜が張ってるッス!!」
「マジかよ! おがくずと毛皮が本当に効いてやがるのか。」
「この勢いでヤーマスまで突っ走るッスよー!」
「お前ら、ここからは野盗が出る道だ。気を引き締めろよ!」
「もちッス! がんばるッスよ!」
「おー、いい返事だ。まあ、お前が居りゃ問題ねえか。それじゃいっちょ頼むぜ!」
「ハイッス! 『フェザーシール』!!」
【フェザーシール】
「よし、透明になったな! 見えないうちに一気に駆け抜けるぞ! 野盗どもは相手にすんな! 荷物が最優先だ!」
「オレはやるぜ!ッスー!」
名無しの魔貴族
犬ゾリかな?
名無しの魔貴族
フェザーシールって狙われなくなるやつ?
名無しの魔貴族
権能で強化されて、最早透明化になってるやーつ
名無しの魔貴族
野盗スルーして爆走してる
名無しの魔貴族
野盗視点、誰もいないのに叫び声が聞こえるのか
名無しの魔貴族
早い、これで勝つる
「はぁーっ! ヤーマスの港に到着ッス!」
「おう、無事に着いたぞ…って、おいお前ら、何鼻の下伸ばしてんだ。」
「港にこーんなビキニの美人が居るからかな?皆さん、お疲れさま!」
「あっ!船長!お疲れ様ッス!氷持ってきたッスよ!」
「ふふ、遠路はるばるご苦労様!ありがとう皆さん! 氷の状態も完璧だね?」
「…ああ、完璧な状態だ。おい野郎ども、いつまで見とれてやがる! シャキッとしろ!」
「あはは、雪国の人には珍しいかな? 見るかい?」
「船長、ポーズが決まってるッス!」
「なんだと…!?」
名無しの魔貴族
女船長の水着きたあああああああ!!
名無しの魔貴族
野郎ども大盛り上がり!!
船乗りの魔貴族
今日のは明るめの色で揃えてみたよ!
名無しの魔貴族
隊の男どもが鼻下伸ばしてて草
「お前ら、良く見とけよ!こんな美人、お貴族様でもそうそう居ねえぞ!」
「ふふ、実はお貴族様か…海のモンスター、かもしれないね?」
「ハッ、お貴族様はそんな格好しねえよ!ベッドの上なら別だがな!」
「詳しいね!あなたもお貴族様か、親戚にお貴族様が居たりして!」
「…食えねえ姉ちゃんだな。それで、氷を買い取ってくれるで、良いんだよな?」
「勿論!はい、これが氷の買い取り代金。毛皮も貰って良いのかな?それなら上乗せだね!お疲れ様!」
「うおおお! お金の山ッス! リーダー、小遣いッス! 小遣い貰うッス!」
「分かった分かった、お前ら一回解散して酒でも飲んでこい!ほら持ってけ!」
「賑やかだね!グラちゃんは氷をあっちの船員に渡してくれる?船に積んでほしいんだ。」
「分かったッス!ダッシュっすよー!」
「転ばないようにねー!!」
名無しの魔貴族
船だ船だ!
名無しの魔貴族
船の中見たいな
名無しの魔貴族
キュウリ貰ってる。一本漬けか?
狩猟隊の魔貴族
冷えたキュウリ美味いッス!!!
────
「…さて、船長さんよ。無事に荷物は届けたぜ。値段についてだがよ。」
「うん、色々急がせちゃったよね。ごめんね?臨時ボーナスも出すよ。」
「お、悪いな。うちも隊を作っている以上は連中を食わせないといけなくてな。
急ぎの話だったし、ランスとヤーマスの間も野盗が出るだろ?」
「勿論、その分も上乗せするよ!はいこれ小切手!銀行で換金してね!!」
「話が早いのは嫌いじゃねえ…5000オーラム?」
「うん、野盗が出る区間の配達のお代と、道の情報料だよ!これからのお付き合いも籠めて!…安かったかな?」
「逆だ、高すぎる。…話が美味すぎて胡散臭え。それに何の情報だ?うちのバカをヤバい仕事に巻き込もうとしてんじゃねえだろうな?」
「…ふうん、グラちゃんにも言ってないけど、どこまで話そうかな…。」
「ヤバいヤマだってんならコレきりだぜ。あいつにも関わらねーで貰うからな。」
「んー…。
ユーステルムからヤーマスまで、この日数で氷を運べた事と、その経路。それと、君たちのように採って運んでくれる人たちが居る事の情報。
言葉にするとこんな感じなんだけど、どうかな?」
「…足りねえ。無いとは思うが、うちのが悪事の片棒を担がされちゃ堪らないんでな。」
「…分かった。少し離れた所で話そうか。私の船の甲板に行かない? どこに『耳』があるか分からないから。」
「へッ、分かったよ。お前さんの城にお邪魔するとするか。」
狩猟隊の魔貴族
リーダーと船長が船の甲板に行って、二人でピドナの方の海見つめながら雰囲気出してるッス!
物陰から聞き耳を立てるッス!
名無しの魔貴族
密談きた!
名無しの魔貴族
ドフォーレに聞かれたくないんやな
「この先にあるのがピドナだよ。船で向かうなら300オーラムの距離だね。この船も、出港したらそこに行くんだ。」
「さっぱり見えねえな。それだけ遠くに荷物を運ぶって訳か。…で、説明してくれるか?」
「うん、理由はさっきの通りなんだけど、もう少し詳しくいうとね。ピドナから依頼をして、この期間で氷が手に入ることが分かったって事実が大事なんだ。」
「街に氷を届けようってか?それだけなら、こんな額を払わなくたっていいだろ?」
「規模とね、輸送の問題なんだよ。例えば、大きな街で熱病が流行ったとして、熱を下げるための冷たい氷が、病院や家庭で求められたとするよ。
その時、普段から抱えている在庫があっても、すぐに吐き出すわけには行かない。でしょ?」
「…理屈は分かる。一般人に吐き出しちまって、大事な時に使えなけりゃ大損だ。」
「いざという時、非常事態に備えると言って、氷を出し渋る事も充分に考えられる。だけど、次に手にはいる予定が明白なら、安心して在庫を使えるって訳。」
「そうだな。次に入ってくる予定があるなら、出し渋る事は出来ねえだろう。氷は溶けちまうからな。
だが、それならそん時、雪国近くの商会に話しちまえば…!そういうことかよ。」
「ヤーマスの商会も氷の需要に気づいて売るだろうけどね、ヤーマスの商会は有名なドフォーレ商会。
一般人では使えない値段に釣り上げて、手の届かない高級品にしちゃうだろうね。
きっと、犠牲になる人も出ると思う。」
「だが、現地に詳しい奴と繋がりを持っておけば、安定して氷を供給出来る。
それが戦える人間なら、悪質な妨害にも自分で対処が出来る、ってか?」
「だからこそ、いざという時にこの期間で氷が手に入るという、情報と経路に対してお金を支払った。
そのための命綱、命の道が今回のルートなんだよ。お値段の価値はあるでしょ?」
狩猟隊の魔貴族
えーっと…????
名無しの魔貴族
緊急輸送ルートの可用性証明に対しての金?
名無しの魔貴族
これが災害大国日本の現代知識チート…?
名無しの魔貴族
転売ヤー潰しか
「…難しい話はわからねーが、大事な事は伝わったぜ。
俺達は金を稼げる。いざって時の人助けにもなる。それに、タチの悪い金持ちのハナを明かせるってな!
いかにも俺好みの話だ!1枚噛ませて貰うぜ!!」
「やった、ありがとう!…じゃ、記念にちょっとした内緒話。これから船旅なんだけど、魚はどう冷やすと思う?」
「さてな。氷水に漬けるだけじゃ、溶けちまうんじゃねえか?」
「グラちゃんに魔法があるって言うのは聞いたかな?その魔法の掛かった箱が、これさ!」
「あん?こりゃ塩か?」
「御名答!氷に塩をかけると、すごく冷たくなるんだ!
魚そのものがカチコチに凍るくらいね!」
「おいおい、からかうのも大概に…って、マジか!? 外側までガチガチになってやがる!」
「あ、他の人には秘密ね? どこかの商会に漏れたら大変だから。私たちだけの秘密。ね?」
「おー、おっかねえ…。口の上手い姉ちゃんだぜ。」
「氷の需要が増えちゃうからね。広まったら高くなって困っちゃうなー。」
「心配すんな。イイ女を怒らせるような真似はしねえよ。後が怖えからな!」
「ありがとう! でも怖くはないから安心してね?」
「ハッ、これだけの船と荒くれ者どもを引っ張ってる奴が何言ってんだか。」
「あはは!何も言えないね!」
名無しの魔貴族
ガチムチ船員と美人船長は絵になる
名無しの魔貴族
ヤクザのアメとムチを一人でやってそう
名無しの魔貴族
ヤバい匂いしかしない
「しかし、氷より冷たい塩水か。器ごと冷やすとなりゃ、他の事にも使えそうだな。
…獣や魚に付いてる虫、なんかも殺せるか?」
「良く分かったね!お貴族様のお抱え料理人は、そうやって安全に仕込むらしいよ!
それに、冷やした器で色んなものが作れるね。氷のお菓子…アイスとかね!」
「アイス、ッスか!?」
名無しの魔貴族
あっバカ
名無しの魔貴族
アイスの単語にだけ反応して首根っこ掴まれる魔貴族
「おい、お前な…盗み聞きしてただろ?」
「あたたた! ゴメンナサイッス!」
「まったく、どこで聞き耳立ててやがったんだか。…ほら、そのキュウリでも食ってあっち行ってろ。」
「あ、グラちゃん。厨房のシェフがね、貰った氷とフルーツでソルベを作るって言ってたよ!」
「マジッスか!? アイス! 冷たいデザート! 行ってくるッスー!!」
「まったく、人の船だってのに。やかましい奴め。」
「ふふ、元気なのは良いことだよ? きっと周りの人に恵まれたんだろうね!」
「ハッ、違いねえ! …だがなあ。」
「何か気になることかな? 友達として聞いておくけど。」
「いやなに、そのな…
アイツ、嫁の貰い手はあるのかね?って思ってよ。」
「いやあ、元気なのが良いって人も多いよ? むしろリーダーさんが貰ってあげたら?」
「冗談だろ! あんなガキと一緒にいちゃイイ女も口説けねえよ! 船長の姉ちゃん、オレはどうだい? 優良物件だぜ?」
「あはは、良いビジネスパートナーで居ようね!」
「ちくしょう、堅えな!」
名無しの魔貴族
カラッとしてる
名無しの魔貴族
良いビジネスパートナー(バッサリ)
名無しの魔貴族
秒で撃沈しててかわいそ…くもないか
名無しの魔貴族
ナイスジョークって感じね
「ああ、そういや、俺は狩猟と傭兵が本業だから、部下の奴に運ばせても良いよな?」
「オッケー!あっ、そうだ! 次から氷を受け取りに来る船は、私じゃなくてウィルミントンの船かもしれないからよろしくね!」
「あ? 姉ちゃんじゃねえのか? って…
おい、ウィルミントンの商会って言ったら大商会じゃねえか!バックがデカすぎるだろ!!」
「協力者だからね! まあ、私を指名して呼んでくれたらまた会いに来るし、その時はあの子にも伝えておいてよ!」
「まったく、とんでもない大仕事に巻き込まれたもんだぜ!!」
名無しの魔貴族
なにかと縁があるフルブライトさんよ
名無しの魔貴族
ヤーマスとウィルミントンは都市同盟の中心都市だからな。
品物の積み込みしてても変なこと出来ないって寸法よ
名無しの魔貴族
ウォード隊がフルブライト商会に買われそう
狩猟隊の魔貴族
ソルベを食べてる間に話が終わってたッス!
美味しかったッス!
名無しの魔貴族
よかったね
船乗りの魔貴族
グラちゃんはそれでいいよ!
名無しの魔貴族
氷が来たら何作ろっかな