ケロロ軍曹ぷらすいち! 空兵参上であります!   作:性癖大爆発

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第一話 真面目一徹!ナルル空准尉であります!

「……なぜ……バレたでありますか……!?」

 

「え?」

 

「ええええええっ!?」

 

 はらり、と地球(ペコポン)製住居の壁に合わせて作られた隠密用モジュールが剥がれる。そこに隠れているのはまさしくカエル、によく似た未確認生物だった。まさかバレるとは思っていなかったらしいカエルは冷や汗を滝のように流し質問を飛ばしている。

 

 状況を整理しよう、此処は地球、国は日本、そしてその中にある民家に一室である。日向家と銘打たれたその民家には一人の母親と二人の姉弟が仲睦まじく暮らしていた。寝坊し掛けの弟日向冬樹とそれを起こそうとしたしっかり者の姉日向夏美。その夏美が弟の気を引くために発したのが

 

「あんなところに宇宙人が!」

 

 である。それを聞いた冬樹は気色ばんで指さされた先を見ると指さされた壁がぺらりとめくれ、件のカエルの登場というわけである。まさか本当に何かがいるという頭がおかしくなりそうな事態を目にした姉弟とまさかバレるわけないと舐めてかかっていた未確認生物両方の時間がとまり、再起動を果たしたのは姉の夏美であった。

 

 つかまえろ、という号令と共に襲い掛かる両名と襲われる側の未確認生物。テンパるとポンコツになるらしい未確認生物は碌な抵抗もできることなくなぜかあった荒縄でぐるぐる巻きになって天井からつるされることになった。

 

 尋問というか拷問の絵面に等しいのではあるが不法侵入者と家主の関係である以上それは仕方がないとして黙秘権を要求する未確認生物を学校に遅刻するからとしてぐるぐる巻きにしたまま出かけて行ってしまった。冬樹の部屋に放置されていた未確認生物はボソリと呟いた。

 

「伏兵を想定しないとはアマチュア極まれりでありますな。ナルル空准尉、偽装を解いても構わないであります。できればたすけて?」

 

「はい、ケロロ軍曹。ナルル空准尉これより偽装を解いて救出任務を開始します」

 

「かたじけないであります」

 

 ケロロと呼ばれた緑色に腹に星を携えたカエル、正確にはガマ星雲第58番惑星宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長、ケロロ軍曹という長ったらしい正式名称を備えた宇宙人は冬樹のベッドの下に声をかけるとそこから高めの声が帰ってくる。

 

 ベッドの下から這い出してきたのは同じくカエル、というかケロロと同じ生き物であった。ただし体色は異なり雪のように全体的に白かった。体つきはケロロよりも華奢で雄か雌かで言えば雌であろう。くりんとした目は蒼く、頭の頭巾は空色で首に赤いマフラーを巻いておりそれがよく目立っている。さらに腹にはケロロと同じく黄色い星が輝いていた。

 

 

 

 

 

 

「あびゃーーー。たすかったたすかった。恩に着るでありますナルル空准尉」

 

「おきになさらず。私が飛び出す前に待ての指示を出したケロロ隊長の御慧眼のおかげ、流石はベテランのケロロ隊長です」

 

「な、なんのなんの!同胞が捕まったのにも関わらず冷静に事を運んだナルル空准尉のお手柄でありますよ!(やっべー合図なんてしてねーのであります。勘違いしてくれてタスカッター!)」

 

 空中に吊り下げられたケロロ隊長に向かって飛びつき、ビームナイフで縄を斬って彼を束縛から解放する。流石は歴戦のベテラン隊長、ケロロ軍曹殿。まさか彼のもとで隊長の研修を受けられるとはものすごく幸運なことです。わざと敵に掴まる間抜けを演じ、さらには油断を誘うことで無害を装う。何て見事な作戦なんでしょう。

 

 ここは地球、外宇宙の民は地球(ペコポン)と呼ぶ。私たちケロン人は古代よりこの地球(ペコポン)に目をつけ侵略し我がものにしようとしていました。ですけど幾度となく侵略は失敗し今回本腰を入れたケロン軍は先遣部隊としてケロロ小隊を抜擢しました。

 

 今回、ケロン軍の一パイロットであった私、ナルルに「隊長の素質」なるものがあることが定期検査で発覚し真新しいケロンスターをいただけたのですが残念ながら私は一兵卒で人を使う立場ではなく使われる立場でした。ですので軍はケロロ小隊に私を同伴させることで実地研修及び侵略のノウハウを学んで来いとの御命令をくだしました。

 

「とにかく彼奴等が帰ってくる前にこの民家を接収、前線基地として転用するであります!まずはナルル空准尉!使えそうなものを漁るであります!」

 

「了解!」

 

 その号令にピシッと敬礼を返して私は部屋を後にする。きっとケロロ軍曹はこの後隊長のみに支給される万能兵器ケロボールを使って宇宙で待機している本隊と連絡を取るつもりなのだろう。私には研修中名目なので支給はされていませんけども。しかし抜け目ない、本国でも名声が高まる理由がよくわかります。

 

 ふむ、私たちケロン人の凡そ4倍の大きさを持つ地球(ペコポン)人の住居だけあってありとあらゆるものが大きく操作し辛いですね……ただ、武器の類やトラップの類は見当たりません、きっとただの一般人の住居なのでしょう……困りました、軍人としていかに侵略先といえども非戦闘員に対しての軍事力の行使はしたくありません。

 

 命令は命令です、非致死性のトラップを中心に組み立てることにしましょう。先ほどの荒縄は転用できそうですね、それと天上の強度は心もとないですが先ほどのサイズの地球(ペコポン)人を支える強度はありそうです。

 

 おそらく出入り口であろう通路にいくつかのトラップを仕掛け、ある程度の作業を済ませたのちにケロロ隊長の元に戻ります。いくら私の機体や武器が個人用の亜空間倉庫の中にあるとはいえ無駄玉一発、出撃一つに予算がかかるご時世。現地調達で済むならそれに越したことはありません。

 

「ケロロ隊長、戻りました。本隊との通信は……ケロロ隊長?」

 

「ゲロォっ!?は、はやかったでありますねナルル空准尉……」

 

「その、ケロロ隊長。先ほどからケロボ」

 

「わーー!何の問題もないであります!ケロボールはほら!しまってるだけですから!?」

 

「????でしたら通信に備えて出しておくのが賢明かと」

 

「わかってないでありますなあ~~~!?通信の音声なぞ聞かれたら大変でありましょうがあ!(やっべ~~鋭いぞこの娘!)」

 

 なるほど、通信は傍受されなくても通信自体を聞かれては意味がない、と。確かに翻訳機を切れば例え盗聴されてたとしても地球(ペコポン)人には私たちの言葉はわからないがケロボールの呼び出し音を聞かれれば通信をしているという事実が露呈する。そこまでは思いつかなかった。尊敬の念が絶えない。

 

「ではナルル空准尉、偵察の結果を」

 

「はい。現住居に武器あるいは防衛兵器の類は無し。一般的な民間人、非戦闘員の住居と思われます」

 

「非戦闘員……だが、接触してしまった事実に変わりはないであります。速やかに無力化を行い可能ならば寝返りを狙う。異論はあるでありますか」

 

「いえ、ありません。ブービートラップもしかけ終えました」

 

「よくやった。では作戦開始まで待機であります」

 

 きりり、と真面目な顔で今後の方針を発表するケロロ隊長。私としてもその方針に異論はありません。地球(ペコポン)人の一部個体は外れ値のような身体能力を秘めていることが報告されているものの非戦闘員の住居でそれはありえないでしょう。万が一武力衝突になった場合でも身体能力はともかく武装面ではケロン人に分があります。

 

 食料の保管場所と思わしきケロン人からしたら何千世代前の保存技術であろう冷蔵技術を発する箱の中から接収した食料をケロロ隊長と分け合い、待つこと暫く。出入り口のドアを開ける音が響くと同時にしかけたブービートラップが起動したようで甲高い悲鳴が私たちの耳に届きました。

 

 弾かれたように私となぜかこの家で調達できる原始的な道具を改造した武器を背負ったケロロ隊長が飛び出します。はたしてトラップに引っかかっていたのは地球(ペコポン)人の雌個体、朝ケロロ隊長を拘束した地球(ペコポン)人でした。彼女は私たちを見ると眦を釣り上げて大きく息を吸って大声を出し始めました。

 

「こ、このオバケガエル!何すんのよ!サッサと降ろしなさい!というか仲間呼んでるんじゃないわよ!」

 

「ゲロゲロリ。呼んでなんかいないであります。彼女は吾輩が貴様に拷問のような辱めを受けているときも恥辱に耐え貴様らがいなくなった途端すぐに助け出した優秀なソルジャーであります」

 

「光栄です。申し訳ありませんが現時点よりこの民家を接収、ケロン人による地球侵略における前線基地とさせていただきます。ご理解くださいますよう」

 

「理解できるわけないでしょ!侵略って何よ!カエルのくせして何言ってんの!?」

 

「確かにこの地球(ペコポン)において私たちと似た生命体がいるのは事実ですが見た目だけで=と決めつけられては困ります。私たちがあなた方にとっては異星人、わかりやすく言うと」

 

「宇宙人というやつであります。それに吾輩はカエルじゃな~~い!ガマ星雲第58番惑星宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長、ケロロ軍曹であります!ってそんなことはどうでもいい!ケロボールをどこへやったァ!?ここかぁ!?ここでありますかぁ!?」

 

「きゃああああああっ!?」

 

 あの、隊長?その……非戦闘員なうえ女性なのでもうちょっとこう、手加減と言いますか手心と言いますかとわざわざビーム兵装ではなく食材をカットする用途で使うのであろうナイフでつんつんとするケロロ隊長に思わず苦言を呈しそうになります。非戦闘員への拷問と尋問って宇宙戦闘紳士条約で禁止されてるはずじゃあ……というかあの?

 

「ケロロ隊長、ケロボール……もしかして鹵獲されたんですか?」

 

「人聞きが悪い!鹵獲ではなく貸してやったのであります!」

 

「……結局それはケロボールが地球(ペコポン)人に渡ったということですよね?あの~~、こう言ったらなんですが上層部にバレたらしけ」

 

「言わんでいいのであります怖いことはぁ!!とにかくケロボールをかえs、キィィィヤァァァァァァ!?!?!?」

 

 とんでもない重大事項をさらっと流したケロロ隊長に思わず口をはさんでしまいました。軍人たるもの上の命令には絶対服従という不文律をまさか己から崩すことになろうとは、ナルル一生の不覚です。

 

 ケロボールとは侵略部隊の隊長に呑み支給される万能兵装。隊長の証ともいえます。当然その扱いは最重要機密事項なのですがケロン軍の軍務規定において兵器を鹵獲された場合責任者は死刑というものがありまして。具体的にはケロロ隊長とその場にいた私が殺されます。こまりました。

 

 絶体絶命のピンチにたらりと冷や汗が垂れます。これほどのピンチはかつてキルルという古代兵器の単独消去任務に就いた時以来でしょうか。どうしたものかと考えていると電撃がケロロ隊長を直撃し真っ黒こげに!?これはケロボールのショックビームです!ということは……地球(ペコポン)人は既にケロボールを使いこなしているのですか!?

 

「冬樹!?あんたどうやってここに!?」

 

「へへっ。これを使って2階から戻ってきたんだ!さあ!姉ちゃんを離せ!じゃないとこのビームで君もああなっちゃうぞ!?」

 

「……地球(ペコポン)人の少年、私たちは軍人です。貴方たちが非戦闘員ということは理解しているつもりでしたが、ケロボール(それ)を私たちに向けるのならば話は変わります。覚悟はよろしいですか」

 

「へ、えっ!?」

 

 迂闊でした、まさか地球(ペコポン)人にケロボールの使用法を独力で体得できるものがいようとは。眼前の現地人を敵対対象と認定。先制攻撃を受けたため威嚇射撃は不要と判断、殺傷兵器の使用を解禁します。

 

 私の両手に2丁のビームライフルが転送され、背後の空間からマルチアームが姿を現しそれぞれに多種多様の重火器を少年に向けます。あわよくばこれで戦意を喪失してくれればいいのですが……そう思いつつ両手のトリガーと思考トリガーを連動させ、眼前に発射しようとした瞬間。

 

「やめよ、ナルル空准尉。我々は破壊者ではない、武器を下ろすのであります」

 

「……了解」

 

「いやー、驚かせて申し訳ないであります。ナルル空准尉はしばしば真面目過ぎるきらいがありましてなぁ……拘束を解くのできちんと話し合いに応じてほしいであります。ナルル殿」

 

「失礼しました」

 

 背筋にツララを差し込まれたようになりました。ケロロ隊長の一喝を受けた私はすぐさま武器を仕舞い地球(ペコポン)人のお二人に対してすっと頭を下げた後私はブービートラップに引っかかった女性の拘束を解きにかかるのでした。先ほどの一喝は効きました、私にはない威厳というものを体感した気分です。

 

 




オリケロ紹介

ナルル

 階級は空准尉(権力としては准尉と同等)年齢はクルルと同じというか同期。性別は女、体色は白系。ノンケロン一歩手前のメカに乗らせて適切な装備を持たせたらキルルを単独で狩ってくるやべーやつ、パイロットとしては化け物。乗り物なら大体何でも乗れるらしい。性格は真面目が過ぎるきらいがあるものの上の命令だったらアイドル活動だろうがグラビアだろうがノリノリでやる程度の茶目っ気はある。この度なぜか隊長の素質が後天的に発現したせいで地球に送り込まれてしまった。
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