ケロロ軍曹ぷらすいち! 空兵参上であります! 作:性癖大爆発
「だめよママ!ボケガエルに個室なんて与えちゃ!?」
「何言ってるの夏美。部屋があるんだから使わせてあげたらいいじゃない。いつまでもリビングのソファで寝かせるのもかわいそうでしょ?」
「部屋が余ってるとか、そういう問題じゃなくて……!あいつに部屋なんて渡したら何するかわからないじゃない!」
「あら、半分それが目的よ♡宇宙人のプライベートルームなんて興味わかないわけないじゃない!」
ナル、なんと激しい攻防なのでしょう。ママ様のお部屋で明日の仕事についてのお話をしていたところ夏美様がママ様のお部屋に入るなり個室が何だのと話題を出してママ様に食って掛かっています。私の頭に疑問符が浮かんでいるとママ様がご説明してくださいます。
「そろそろナルちゃんにもケロちゃんにも自分の個室が必要でしょう?特にナルちゃんは基本ずっと私と一緒でプライベートの時間あまりないものね。でも困っちゃうわぁ。ナルちゃん抱っこして寝るとひんやりしていて気持ちがいいのに」
「個室、ですか?ナル、捕虜としては破格の待遇になってしまいますが……ママ様の睡眠時のお役に立ててるなら何よりです」
「なにそれちょっと気になるんだけど……ナルルちゃん、今日一緒に寝ましょ?じゃなくて!反対よ反対!」
「決定事項です。いいわね?」
「~~~~~~っ!!もう!何かあっても知らないんだからね!?」
「……よろしいのですか?」
ママ様の強硬姿勢に夏美様は個室の提供を阻止するのをあきらめてかなり怒った様子になり大股かつ大きな足音をたてて部屋から出て行ってしまいます。ママ様にしてはずいぶんとアレといいますかかなり強引な言いくるめ方です。あれでは夏美様も納得がいかないでしょう。
「ふふ、いいのよ。夏美はね、拗ねてるだけだから」
「ナル?拗ねてる、ですか?」
「そう。夏美にお部屋をあげた時私結構いろいろ条件を付けて夏美もそれを頑張ってやっと個室を手に入れたから。だから何もしなくてもお部屋がもらえるように見えてるケロちゃんやナルちゃんをズルいって思っちゃってるの」
「もらう立場として具申するのはおかしいかもしれませんが夏美様からしたらそれは確かにずるいのでは?」
ますます不思議です。そういった事情があるならそれこそ私やケロロ隊長などにも条件を出して部屋を提供するのが公平かつ平等というもの。衝撃音とケロロ隊長の悲鳴が響く廊下の内情はいつも通りなので大丈夫でしょう。それよりも今はママ様とのお話です。
「そうかしら?夏美は私の子供。だけどナルちゃんやケロちゃんはそうじゃないわ。だからよ」
「……???」
「そうねぇ、ナルちゃんもお母さんになったらわかる話よ。私にはね、夏美と冬樹を育て上げて大人になっても困らないようにする義務があるの。一人で暮らすようになってお部屋の掃除をしたりとかね。だけど、ナルちゃんやケロちゃんはそうじゃない。大人なんでしょう?部屋の扱いで私が口を出す理由はないわ。ひどい扱い方をすれば大人のルールで罰を受けてもらうことになるの」
「なるほど、いわゆる躾というやつですね。ちゃんと自分の部屋が管理できると分かったから夏美様も冬樹様もお部屋を獲得できた、と」
「そういうこと!ケロちゃんもナルちゃんもここ何日か見てきたけどお掃除はできるし整理整頓もできます。だから、夏美に出したような条件はいらないわ。壊さなければ何をしても平気よ」
親の視点、というやつですね。勉強になりました。それならばママ様が言っていることもわかります。しかし、私にも私室が与えられることになるとは……あまり自宅に帰った記憶はありませんがいただけるものは値千金です。
「ケロちゃんは地下室でいいけど……ナルちゃんは2階ね。魔窟の隣が開いてるからそこにしましょう」
「ナル、私は別にケロロ隊長と同じ部屋でも」
「ダメです。ナルちゃん貴方女の子でしょう。ケロちゃんとは仲良しかもしれないけどそういう節度はきちんと持って。うちの家ではそういうのは許しません」
「はい」
魔窟の隣、と言いますがその部屋も確か半分ほど魔窟に埋まっていたはずです。掃除の時に入って確認済みですので間違いありません。しかし、ママ様に勝てる気がしないのはなぜでしょう。単純な武力であれば私が圧勝のはずですのに、これが精神力の差でしょうか。まだまだ鍛錬が足りません。
「ナル、そういえばママ様から受諾した任務の依頼品が完成いたしました。ご査収ください」
「えっ!?もうできたの!?助かるわ~~~!そうそう、こういうメカの一枚絵欲しかったのよ~~!」
「お役に立てて光栄です」
ママ様に手渡したのは漫画の原稿用紙に書かれた一枚の絵です。お恥ずかしながら私が書かせていただきました。なんでもオリジナルメカデザイン企画?というものをやるらしいのですがなかなかどの漫画家さんもデザインが上がらず……メカが好きでパイロットになった身としてママ様に一枚書いてお渡ししたらピンときた、とのことです。
ナル、まさかここでクルルとともに描き続けた製図と設計、デザイン絵の経験が生きるとは思いませんでした。データと紙の違いとは言え大枠の経験が流用出来て良かったです。一部所持しているメカを参考にしたのは内緒ですが著作権に触れる部分はすべてオリジナルなので大丈夫のはずです。
「では、私はいただける部屋の整理に参ります。何か御用がありましたら遠慮なくどうぞ」
「わかったわ。だけど私の家のものだから私も手伝わないとね。ケロちゃんの様子を見たら戻ってくるから」
「あ、ならば私もギロロ伍長の様子を見てからにすることにします」
「ギロちゃんね。お庭でテントだなんて大丈夫かしら」
ママ様は慣れた様子で私を抱き上げると……いやなんで慣れてるのでしょう。というか私もどうしてなれたように抱き上げられてるのでしょう?……おかしいです。ママ様、私は子供ではございません。先ほど大人だと、そう言ってくださったではありませんか。
「ギロロ伍長、いらっしゃいますか」
「ナルル准尉、何かあったのか?」
「いえ、とくには。ですが
「必要ない。曲がりなりにも侵略者と防衛側だ。ナルル空准尉、貴方が一線を引いているのは理解しているがそれでもほだされることのないように頼みたい」
「……???夏美様に惚れてしまった貴方が言うのですか?」
「ンガァッ!?お、おれが夏美を!?ば、バカなことを」
「その反応では誤魔化すのは無理でしょう。幸いケロン星の技術なら異種族婚をしても問題なく子供は残せます。アタックをかけるだけならば自由ですよ、侵略した後ならなおさら」
「ングムゥ……そういう貴様は」
「残念ながらまだそういうのには出会えてませんね……恋、というのがどういうものか女としては気になりますよ」
他人の恋路というのは分かりやすいと聞きますが、桃華様にしてもギロロ伍長にしても聊か分かりやすすぎです。というか、ギロロ伍長の恋路はかなりハードルが高いとは思いますが頑張っていただきたいものです。ナルルは応援いたします。侵略の成否は関係ありますがそれはそれ、これはこれです。
ギロロ伍長にも返されましたが確かに真面目堅物として通っている私も女ですから、恋というものに憧れがないとはいえません。むしろ憧れがあるからこそ他人の恋路の手助けをしようと思えるのかもしれませんが。あ、そういえばですが。
「ギロロ伍長、条約締結前の装備についてですが武力侵攻に際しても使用には細心の注意を払ってください。
「む、それは心得ている。あの装備群はそうやすやすと使うものではないからな……使うな、とは言わんのか」
「現状最終手段として武力制圧は選択肢の一つとして残っています。ですが、できるだけ温和な方法での侵略が現時点でのケロロ隊長の方針です。……それにここだけの話ですが、私も所持しているので人のことは言えないんですよ」
「……ふっ、どうやら貴方とは話が合いそうだ。作戦前に腹を割っておけばよかった」
いつでもこい、とテントの中に引っ込んでいってしまったギロロ伍長を見送り私はお家の中に戻ります。そういえばケロロ隊長のお部屋は地下でしたか。様子を見に行ってみましょう。
「ケロロ隊長、進捗はいかがですか?」
「お~~~ナルル殿!ばっちりであります。見てみてこの部屋!イカしたマークまであるであります」
「おや……これは、ケロロ隊長。どうやらここにはもう一人いらっしゃるようですね。こんにちは、ご機嫌いかがですか?」
『えっ!?あの、私が見えるんですか……!?』
「ゲロ、ナルル殿いきなり何を……」
「ケロロ隊長、精神生命体です。アンゴル族を見る要領で目を凝らしてください」
「ゲロォっ!?あんた誰でありますかぁ吾輩の部屋にぃ!?」
ケロロ隊長の部屋に入ると一時的にケロボールを返却していただいたのかそれを使ってケロロ隊長は模様替えを楽しんでいました。嬉しげで楽しそうに壁についたマークを見せていただいたのですがそこからなにかエネルギーのようなものを感じ取りました。ですのでちゃんと見てみますとあら不思議、精神生命体であろう少女が見えたのです。
精神生命体とはアンゴル族を代表とするように実体を持ってはいませんが意識のみをもつという種族全体を指す言葉になります。姿を隠すと見えないのが特徴なのですが私はなぜか昔からカンが鋭くて大抵見破ることができます。こう、ピキィィィンという天啓が降りるといいますか。まあ出撃中とても便利に使わせていただいてるので何の文句もないですが。
「はい、見えておりますよ。あらためてましてナルルと申します。こちらはケロロ隊長です」
『私はお御世と申します。申し訳ありません、驚かせるつもりはなかったのですが……実は私地縛霊でして、この部屋に憑りつかせていただいてるんです。この家ができるずっと前から……』
「ゲロ!?ということは先任の住人という事でありますか!?それは大変失礼したであります!吾輩、日向家のご意向によりこの部屋の管理を任された次第。先任殿にも許可をいただきたいであります!」
『そんな、私はもう生きてはいないので……私はここから離れられないので寧ろそれでも大丈夫なんですか……?』
「なんのなんの!吾輩は大丈夫であります!あ、じゃあ先任殿にもご意見を賜るべきでありますな!せっかく一緒に暮らすんでありますから!どういうデザインが好きとかあるでありますか?」
『じゃあ、あの跡だけは消さないでください……』
「ナル?ママ様、夏美様に冬樹様。皆様そろってナルッ!?」
お御世様とおっしゃる方とケロロ隊長が談笑してらっしゃるのを眺めていた私でしたが開けっ放しにしていたドアからこちらを見ていたママ様をはじめとした面々に頭を掴まれて連れ去られてしまいました。ケロロ隊長、お御世様と仲良くしてくださいますよう。
「な、ナルル!今軍曹と話してたのってゆ、幽霊!?」
「幽霊、というのがどういうものかはわかりませんが私たちのくくりで説明させていただきますと精神生命体という体を持たず意識だけを持っている生命体だと思われます。
「ま、ママ!?やっぱりこの家出るってことぉ!?」
「ママもちょっとわからないわね……でもケロちゃんやナルちゃんは問題ないみたいだし……このまま生活してもらいましょ☆」
「ナル?出るとはどういう……」
「「「いいのいいの!気にしなくて!」」」
「そうでございますか?」
「さ!ナルちゃんはナルちゃんのお部屋の整理に行きましょう!ママも手伝うから!」
「私も私も!」
ナ、ナル?何か誤魔化されたような気がしてなりません。しかも日向家の皆様そろって同じことを言うなんて益々不可解です。まあ、お御世様に何か害があるかどうかと聞かれましたらなさそうなので特に問題はないでしょう。
ママ様と夏美様が手伝ってくださるなんてとても光栄なことです。私の私室のためとはいえお二人にご負担をかけるのは心が痛みますがそれは私が頑張ってささっと終わらせればよいこと。頑張ります、ナル。
「冬樹様」
「あれ?どうしたのナルル」
「こちら、お返しいたします」
「えっ、あ~~これは……」
「監視カメラを設置するのは結構ですが、気づかれるのは三流のやることです。ケロロ隊長も気づいておられましたがあえて無視していましたよ」
「えっ!?そうなの!?ご、ごめん……これは」
「言い訳も事情も聴きません。冬樹様、私たちは軍人です。こういうものには慣れております。ですが私も住まわせてもらっている身、これ以上は言いません」
「ごめんね、ナルル。僕軍曹にも謝ってくるよ」
「それがよろしいかと。それとも冬樹様は……私のあられもない姿が見たかったのですか?冬樹様も男の子なのですね」
「ち、違うよ!?違うから!?ごめんねナルル~~~~!!」
「……ふふ、羞恥心はおありなのですね。桃華様、押せば行ける範囲です。ナル」