ケロロ軍曹ぷらすいち! 空兵参上であります! 作:性癖大爆発
「体の調子が頗る良いです。
「そりゃ梅雨だもの。ナルちゃんなんだかつやつやしているわね」
「潤っているのです。この星は乾き気味ですから」
「しかし、ナルちゃんの漫画リアリティ高すぎね。連載決定しちゃったらどうしましょう、断れるかしら」
「リアリティ、と申しますが実体験なので仕方ありません。流石に連載はご勘弁いただきたく……」
「そうよねぇ。いけないわね私も。困ったらピンチヒッターでナルちゃんが思い浮かんじゃうわ」
いただいた自室の作業机でママ様と私は原稿を前にして和気あいあいと会話を楽しんでいました。ケロン星は湿度や天気をコントロールしていたので常に私たちケロン人にとって快適な温度や湿度が保たれていました。ですがこの星はそうではなく季節という気温や天気がガラッと変わることがあるそうなのです。そして、今の季節は梅雨というらしく雨がよく振り湿度が高いケロン人にとってのベスト季節。
なぜ原稿があるか、という話なのですが答えは単純です。私が書きました、ナルナル。実は私ママ様からいくつか漫画本を勧められて読んでいるのですが読んでいるうちに自分でも書きたくなってきたのです。幸い絵は描けるのでそれを応用すれば……と考えていたのですが甘いお話でした。
一枚絵と漫画、違いすぎます。コマ割り、セリフ、絵に動きをつけるという作業がこれほどまでに難しいとは思いませんでした。あまりに難しすぎてママ様に教えを請うたほどです。流石にストーリーまでもオリジナルで手が回らないものですから過去に出撃した任務の一つを参考に脚色しました。実際はすぐに終わってしまったのですがこの漫画ではそこそこ善戦しております、相手方が。
ママ様が漫画については厳しいというのは重々承知の上でしたがまさか新兵の頃に受けた訓練を思い出すほどのスパルタになろうとは思いもしませんでした。そのおかげもあってママ様のご満足いただけるような漫画を描くことができたらしいです。誇らしげに胸を張ってみましょう、ナルナル。
「あ、そういえばそろそろ夏美たちが帰ってくる頃ね」
「ママ様がいることに驚かれるでしょうね」
「降ってわいた午後休だものねぇ。とりあえずこれで来月の読み切り枠は確保ね!あ、そうねえ。原稿料は奮発しちゃうわよ!」
「原稿料、ですか?家賃代ということで納めていただければ」
「そーれじゃダメよ。ちゃんと受け取ること。ナルちゃんちょっと無欲よねぇ」
「いえ、そうではなく……私は
「それでも貯めておくこと!困ることは絶対ないんだから!」
ママ様がそういうのあれば受け取ることにいたしますが、しかし頂いても使うこともないでしょう。流石に趣味の乗り物集めに使おうにも
「うわ~~~っ!?軍曹、どうしちゃったんだよぉ!?」
「ブッキー!近づいちゃダメですぅ!?」
「あら。ケロちゃんどうしちゃったんでしょうね」
「湿度酔いでもしてるのでは……?」
もはやこのお家でケロロ隊長が何かをして冬樹様か夏美様が巻き込まれるのは日常茶飯事となってしまっております。ケロロ隊長もケロロ隊長で懲りないので繰り返してばかり。ただ、侵略作戦と考えればトライアンドエラーを繰り返しているとも受け取れます。例えばこの前の監視カメラの件についてもタママ二等兵に影武者を頼んで自分は監視仕返ししていたりとかもしてましたし。夏美様のプライバシーだけは確保させていただきましたが。
「ゲロゲロリ、この漲るパワー……!あの頃に……!あの頃に戻ったようだ……!」
「こ、これはあの頃の軍曹さんですぅ!」
「ふふ、いいじゃないか!ケロロ、このまま
「えーっと、これどういうことなのかしら?ケロちゃんが漲ってるわ」
「はい、説明させていただきます。ケロン人は湿度があれば元気になりますがかといって過剰な湿度はそれはそれで問題です。湿度酔いと呼ばれる酩酊状態になることがあるのですがケロロ隊長の今の状態がまさにそれですね。どうしましょう」
つややかな肌、火照った顔、異様に陽気で漲った状態。どこからどう見ても湿度酔いの状態のケロロ隊長を前にしてあわあわするタママ二等兵とむしろやる気が出たのならばそれはそれでいいというギロロ伍長。ですが、その……酔った状態でする侵略活動というのは大体が悪いことになるのでやめておいた方がいいと思うのです。
「ケロロ隊長、それ以上になると生体反応が高まってしまいます。どうか落ち着きくださいますよう」
「ならぬっ!俺はこのパワーの赴くまま
「いやですから、素面の状態でやらないといけないのです。酩酊侵略は宇宙警察案件です。掴まるというか侵略なかったことになって終わりです」
「ええいわからぬかぁっ!ならば強行突破であります!」
目を白黒させているママ様と冬樹様はともかくとして酩酊状態での侵略行為はいけません。宇宙警察に掴まる程度ならいいのですが侵略免許取り消しの事態になったらケロロ隊長はケロン星へ強制送還になってしまいます。なんとか被害を出さないように取り押さえねば。
幸いケロロ隊長の様子を見たギロロ伍長とタママ二等兵も湿度酔いの状態にあるということは察してくれたようでケロロ隊長に組み付いて抑え込んでくれますが何ともなりません。流石は全盛期の状態のケロロ隊長です、突撃兵であるタママ二等兵ですら抑え込めないとは、私も加わりましょう!!
「ぬるいわ!ナルル空准尉ぃ!乗騎に乗らぬ空兵など恐るるにたらずぅ!!!」
「えっ!?ひゃっ!?あうっ!?」
「わっ!?軍曹さんそれシャレになんないですぅ!?やるならボクにやるですぅ!」
「バカ野郎ケロロォ!!!」
ドガァン!とギロロ伍長がケロロ隊長を蹴り飛ばし容赦なく手榴弾を爆発させます。一方私はケロロ隊長が二人の拘束を振り払い私に向かって手を伸ばします。ひたり、とケロロ隊長の手が私のお尻を撫でると瞬時に口から変な声が漏れて私は思わずへたり込んでしまいます。な、なんと……!誰にも触らせたことがない場所を撫でられてしまいました……!!しかし手榴弾が直撃したにもかかわらずケロロ隊長は無傷です。
「なんの!これしきの事で俺は……俺はぁ!!!」
「軍曹……?ダメじゃないか友達にこんなひどいことしちゃぁ……」
「ケロちゃん……?女の子に何をしているのかしら……?」
「あ、あの……別にデリケートゾーンとかそういう場所ではないのでそこまで怒らなくても……」
「あが……あがががが……」
びっくりして腰が抜けてしまいましたが特に何か問題があるワケでもありません。ですが
ゆらりと生気を感じさせない動きでケロロ隊長に近づく二人。もはや逃げられぬと悟ったのか自主的に正座の状態に入ったケロロ隊長に容赦なく説教を浴びせようと口をあけるお二人を見た瞬間、カンが働きました。抜けた腰に鞭打って立ち上がりケロロ隊長を突き飛ばします。その瞬間、私の胴体に触手が巻き付いて私は圧迫感のある暗い場所に放り込まれたのです。
「ナルル空准尉!クソ、ニョロロか!」
「ナルちゃんっ!?ギロちゃん、ニョロロって何かしら!?ナルちゃんは大丈夫なの!?」
「さ、流石にこれはいい気味だとか笑えないですぅ……ギロロ先輩何とか助けてあげられないですぅ?」
「無理だ……ニョロロは俺たちの天敵。知っているだろうタママ、一度絞られる体勢に入ればもう逃げられない」
悪い意味で暴走したケロロにお灸をすえる態勢に入った日向秋と冬樹であったがナルルがなぜかケロロを突き飛ばしたのだ。それに驚いた二人であったがその直後にケロロを狙ったであろう触手がナルルに巻き付き、彼女を食べるように取り込んでしまう。下手人はイソギンチャクとサンショウウオを合体させたような宇宙生物だった。
「奴はニョロロ、俺たちケロン人の天敵種族の一つだ。取り込まれても命に別状はない、ただただ絞られるだけだからな」
「絞られるって、なにを?」
「水分ですぅ。さっきナルル空准尉が軍曹さんの生体反応が高まるって話してたの覚えてるです?あれはこのニョロロに気づかれるって話ですぅ」
「ニョロロは湿気を好物としている、ケロン人は最適な餌の一つだ。ヤツは俺たちを取り込むと全身をねじり俺たちから水分を抜くんだ」
痛ましいものを見るような顔になっているケロン人二名と突き飛ばされた結果気絶してしまった元凶の緑ガエル一名。未知のものにおののきつつも取り込まれた真っ白カエルを助けようとする地球人二人であったがそれは赤いカエルに止められることになる。
「止せ、こうなってしまったらもう絞られるしか道はない。変に刺激して失敗されると捩じられすぎて本当に命に係わる羽目になる」
「で、でも!それじゃあナルちゃんが!」
「死にはしない。本当ならあのバカが絞られるべきだがナルル空准尉は部下として上官を守った。軍人としては本望だろう。ただ一つ……一つお前らに言えるとしたら」
「したら、なに?ギロロ」
「……
そう言うとギロロは後ろを向いて防音用のイヤーマフを耳にかけるとそれをタママにも渡す。タママも悲壮な顔でそれをかけるとそろって後ろを向いてみないようにした。目を白黒させてそれを見ていた二人であったが餌を呑み込んだニョロロが脱水の準備を完了し全身をねじり始めた瞬間その意味を理解した。
「あぅ!?やっ!?」
「ニョロォ~~~~」
「や、やめ!?も、もうでませんっ!?」
「ニョロ、ニョロ~」
「あううううっ!?」
何処か艶めかしい悲鳴と嬌声の中間のようなナルルの声がニョロロの中から聞こえてくる。ただただ水分を絞られているだけなのだがナルルは生真面目にもう出ないだのやめてだの律儀に言い続けるので
ポンッ、と卒業証書の筒を開けたりするときのような音が鳴るとニョロロからカラカラに乾いた白い物体が吐き出され神のように宙を舞って地面にひらひらと舞い降りる。意識はなく、カサカサに乾いたナルルがそこにいた。あまりにも痛々しいその姿にギロロですら視線を逸らすしかない。
「……ゲロ、なにが……ゲロォっ!?ナルル空准尉!?一体何が……げ!?ニョロロォ!?」
「軍曹さん、ナルル空准尉は軍曹さんを助けるために犠牲になったんですぅ」
「なんですとぉ!?なんという、なんという事をしてくれんじゃきさんはぁ!?俺のあふれるこのパワーで今すぐぶちのめしてくれるぅ!!!」
「あっバカよせケロロ!」
「こればっかりは、自業自得ね」
「だね。ギロロ、ナルルは大丈夫なの?」
「ああ、2、3日動けなくなるが命に別状はない。だが申し訳ないことをした」
「もうちょっとボクらが本気出して軍曹さん止めればよかったんですぅ。ごめんなさいナルル空准尉」
「とりあえず水分補給だ。何か水につけてやってくれ」
真後ろで水分を絞られているケロロの悲鳴は完全になかったことにされその場にいたナルルのことだけ考えていた。ナルルがきちんと息をしていることを確認した秋はほっと一息をついてカサカサで紙のように軽くなったナルルを抱き上げてお風呂に向かうことにした。
出血大サービスとばかりにいつもの3倍は捩じれているニョロロを一瞥したギロロはいい薬だと言わんばかりに鼻で笑ってそのままケロロを見捨て部屋を後にした。タママですらこれはさすがにと言わんばかりにギロロに付き従う。いつもより長めの脱水を経てカラカラに乾いたケロロが誰もいなくなった部屋に舞った。
ケロン人のあられもない姿ってなんだよ、という感想に対するアンサーは「ニョロロに絞られる」です。私の名前を見れば大隊察することができるでしょうぐへへ。
さて、原作ベースで進めていくという感じでこの話を書いているのですが、原作ベースにするとケロロ小隊全員集合があまりにも遅いので方針を変更して集合まではアニメをベースにさせてもらうことにしました。劇場版も書けたら書きたいですが当面はケロロ小隊24時を目標にします。ではまた次回に。