満月に出陣せよ大月防衛隊 侵略者のお越しを心よりお待ちしています   作:四つ切パン

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第3話 Pink Moon 3 夜空の虹は全てを撃ち砕く

敵拠点の奇襲を目的として隠密行動していた高尾の先行隊は上手く進行していた。

 

貨物車両の1本前になる各駅停車で猿橋駅に密かに降り、葛野川沿いに進み自動車学校に近づいていた。

 

所定の位置に着きこれから東守備隊のいる寺院付近を奇襲するまさにその時、猿橋駅の増援部隊は貨物車両と共に全滅したように見えた。 

巨大な流星弾が駅周辺を飲み込み未だ赤い爆炎を上げている。 

 

「裏を描いた積りが その裏を描かれるとは 何手先まで読んでいる?」 

 

そして葛野川沿いの敵に気が付いた岩殿山の東守備隊が攻撃を開始する。

 

「こちら東守備隊 寺院 大竹クロスボウ攻撃を開始する OVER」

 

「黒 了解 」

 

高尾の先発隊は異様な殺気に気が付きその場に伏せる。

そこへ飛んできた10mはある大竹が地面に突き刺さる、パニックになるムササビ

達に黄金籠手持ちが叫ぶ。

「うろたえるな! 山側斜面に隠れろ、寺院からは見えない」

 

「むしろ此方からは奴らの攻撃は丸見えだ」

 

しかし河原の草陰には無数の小型竹槍があり先端には痺れ薬が塗られていた、数匹のムササビが竹槍で傷を負った負傷兵の悲痛な声が漏れる。

「こんな所まで罠が・・・・」

 

黄金籠手のムササビは怯みながらも反撃を試みる。

全弾ドングリを一斉に放つ流星弾を岩殿山東側の寺院付近に撃った。

100を超える小型のドングリが大型クロスボウに命中。 

バキバキと大きい音を立て大破した。 

 

東守備隊のイノシシは大半が竹やぶに逃げ込み難を逃れたが、逃げ遅れた数匹が重症を負った。

 

イノシシ達が攻撃を受けたその時、高台から山下を見下ろす冷たい眼差しは籠手を構え呟く。

「今夜の運気は10だ 満月でも砕けそうな気分だぜ 」

 

運気は防御率、攻撃の命中率等に影響し5が普通、6は×1.1で10は×1.5

逆に4は×0.9、1は×0.6と変化し、満月の日に神域入った時点で付与される場合がある。

 

「黄金籠手持ちはそこか!」

    

黒兎の3組を縦に連結した黄金籠手が唸り、岩殿山の山頂付近から北側へと大きな虹を架ける。

発射時間をずらし帯状に連なり敵へと向かうようにコントロールしている、

正に神業。

 

1組20個が連なった大型ドングリが高速回転しながら満月の光を周囲に撒き散らす、それはタマムシに似ていた。

そして凄まじい着弾音 ズギュン ズギュン

 

その威力は地中3mに達する直30cmの穴を無数に作った。

砲撃を受けた葛野川沿は以前の形が判らくなるほどに穴だらけだ。

動く者は無く爆撃の熱が朝までに冷めるか疑わしいかった。

 

指1本も動かせない瀕死のムササビ隊長は思う。

「この前の戦い方と全然違う、それに隊員がこれほど増えているとは・・」

 

「プロパガンダか情報戦でも勝てないのか?」

 

彼には喪失感と絶望しか残らない戦いだった。 

熱風にライトグリーンの輝きが翻弄されながらゆっくりと上空に上がる。

先発隊15匹死亡 全滅

 

笹子鴈の腹摺り山の緑兎は呟く。

「俺の流星弾凄かったのに 親分の一撃でだいぶ霞んだな 」

 

緑兎は急ぎ笹子駅へと下る、笹子駅で次の上り電車に乗り大月駅へ向かうためだ。

作戦通り猿橋駅の脱線事故により上り電車は大月までは移動可能だ。

 

岩殿山中腹から先行隊全滅を見た謀反宣言したシカ隊長は無意識に、山側に身を寄せ山頂からの狙撃に備えた。

冷汗が止まらない。

「化け物め、だが高尾A隊の6匹が丸山公園先から山頂を強襲する予定だ、援護に

付くぞ」

 

不敵に笑うシカは直ぐに青ざめた。

 

 バコーン バコーン 

 

鈍い音と共に先ほど自分が落としたクルミ弾が坂を上がってくる。 

「・・・近づいてくる」

 

「こっちらも化け物か?」

 

高月橋中央の熊2匹が巨大クルミ弾を盾で弾きながら坂を上がってくる。

どんどんスピードを増している40km/hは出ている。

 

シカ達は錯乱しながらも一斉射撃を開始 

「来るな 来るな 来るなー」

 

巨大クルミ弾は固く通常銃ではダメージは限定的だ。

熊の後ろを青兎が付いてきている。

「俺は一撃援護射撃後に坂の上から尾根へトラバースするクルミを割り炸裂弾を敵に喰らわせろ」

 

青兎が目立つように大きく弧を描いてシカの頭上に撃ち込む、シカが一瞬頭上に目線を向けた瞬間。

 

巨大クルミ弾に2匹の熊がFULLアタック。

前方に向け砕け散ったクルミがシカに弾き飛ぶ、正に直径10mの炸裂弾だ。

 

この攻撃を無傷で防いだシカは無く、方円の陣形を布いていた彼らの中央に熊盾

FULLスイング×2が大きな円を描くと、そこには頭の無い体が立ち竦んでいた。 

やがてライトグリーンの球が10上がるだろう。

 

満月は今宵の一番高い位置まで上り、敵のシカ10匹は全滅したがまだ勝利は

遠い。

 

兎達は感じていた高尾は以前ここ大月で1回大敗した、今回は簡単には撤退

しない。

 

青兎は通常籠手を背中に背負っている黄金籠手に変更した。

 「命中率が低い日はこいつに限るぜ」

 

その銃はオシロイ花の種を一度に50発放つショットガンタイプに設定し、それを両手に装備した。 

 

「お前らも付いて来い、残党狩りだ。逃がしはしない」

 

同時刻大月駅の1つ先の初狩駅で降りた、高尾C隊が笹子川を滑空し岩殿山南側に向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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