ガンダムビルドダイバーズ 命を繋ぐ翼   作:イエッサム

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抑止力、コンパス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヨナは翌日から学校に通い出す。

 リク達のおかげで、何とか授業にもついていけるしクラスメイトにも馴染めた。

 ユキオ曰く、頭が良い上に気遣いも出来るヨナ。

 比較的速く仲良くなった。

 GBNに戻っていたヨナはユキオに言う。

「ちょっと前に久々に顔出しに行ったんだけど、コンパスのやり方に反感を買うダイバー多いね」

「うん……一概に間違ってないって言えないから強くは言わないけど、過激すぎるって結構コンパスは言われてみたい」

 そう、リクが放課後ガンプラ買いに行く前に教室で話す。

 前のフォースの拠点に出向いて事情を聞いた。

 久しぶりの邂逅にリーダーがたまたまいて、笑って出迎えてくれたけど。

 シルエットフォーミュラの悪役、ガレムソンのアバター。名前もガレムソンだ。

「ワシたちはGBNの運営がマスダイバーに対応できない事は承知の上だ。恐らくはブレイクデカールの仕様上、徹底的に秘匿しているのだろうよ。ならばどうするか。リタ、お前ならワシ達の流儀を忘れては居まい」

 リタとゲームの名前で呼ばれた彼女は溜め息交じりで答えた。

「秩序のために後手でも良いから叩き潰す。……ガレムソン、やっぱり強引だよ」

「ワシ達とてマスダイバーなぞ居なければこんなことをしていない。だがクジョウ・キョウヤも動かぬ今、明確な対策が出来るのはワシ達上位フォースの役目ではないか?」

「その結果がプレイヤーキラーなら、どっちもどっち」

「マスダイバーは利用規約に反する。言わばゲームを本来アカウントを消されても文句は言えまい。なのに図々しい態度で暴れている以上、鉄槌が必要だ」

「平行線だね」

「違反行為と理解して使用する以上、如何なる理由だろうが明確な『悪』だ。マスダイバーはGBNの膿なのだ。駆逐するべきただの悪として処する。これは大義である」

「それっぽい事言ってるだけだよ。AVALONと揉めないでね」

 秩序を乱すマスダイバーを野放しにする事は新規の参入を妨げて、衰退を招く。

 故にコンパスは、マスダイバーを殲滅する。

 大義はある。違反行為と分かった上で使用する以上、情状酌量の余地は必要か?

 無いのだ。違反行為を理解した上で使った時点でアカウントを運営に消し飛ばされる行為なのに、剰え常用する阿呆もいる。

 だから運営に変わって、コンパスはマスダイバーを駆逐する。事情など汲み取らない。

 例え勝ちたいという理由であっても、違反行為は立派な違反。ルールを守るからGBNはここまで人気が出た。

 それを反する事はあらゆる言い分をコンパスは言い逃れとしか聞かない。

 前提は、気軽に選んではいけない方法。

 やってはいけない方法。現実で言うなら利用規約に反する犯罪だ。

 それを駆逐して、GBNから叩き出す。全てはGBNにの平穏のために、誰かがやらないといけない汚れ役。

 コンパスを批判するのはいい。承知の上。

 だが実際、他のフォースはどうだ。

 チャンピオンのAVALONですら傍観する。

 手を拱いて、何もしない。動こうとすら。

 だから被害者が出る。だったらコンパスが対応して何が悪い。

 そもそもコンパスはAVALONと同じく上位フォースだ。

 拠点は巨大な日本の城であり、此処には上位ランカーから下位ランカーまでうようよいる。

 人数だけならGBN最大手だったりする。

 コンパスの方針に皆納得済みだ。嫌われても良い。

 それでも、役目と殉じてダイバー達はマスダイバーを執拗に見つけ出す。

 人数もAVALONよりも多く、そのメンバーは最低でも中級者が大半、上級者もそこそこで四六時中誰かが居る。

 常にダイバーがGBNに居て、情報屋として活動するダイバーを何人も雇ったり、コンパス自体がマスダイバーの被害者の救済措置として常時開いている。

 マスダイバーの被害者が逃げ込んで、事情を語ってコンパスは直ぐに動いて数日もすれば特定して見つけ次第、フリーバトルに取り囲んで脅してでも誘導して袋叩きにする。

 コンパスの評価は、被害者達からは放置する運営よりも余程信用できるとして絶大な支持を受けている。

 外野はプレイヤーキラーとなった上位フォースが余程新規に与える印象が悪いと言いつつマスダイバーに本格的に対応しているコンパスの方針自体は否定できない。

 利用規約に反しているわけではない。マナーが悪すぎると言えば、違反行為をするマスダイバーにマナーを議題に持ち出す愚論を笑うコンパス。

 相手の方がタチが悪いのにこっちだけ口頭で言うことを聞けば苦労しない。

 マスダイバー、ブレイクデカール。

 こんなものがあるからGBNによからぬ印象を与える。

 対してコンパスは直々にマスダイバーを狩っている抑止力としても機能している。

 ブレイクデカールを使おうがマスダイバーだろうが、実力で黙らせる。

 一般ダイバーに手を出すわけでも無い。

 被害者が届け出を出して、ぶっ潰す。

 鉄槌とガレムソンは言うが、リタは苦い顔で言う。

 頼むからフォース同士の揉め事になるな。

 下手するとバトルという手前の戦争になる。

 コンパスは今や過激派だ。個人的にマスダイバーに復讐するべく、門を叩くダイバーが増えてコンパスの勢力は拡大する。

 多くの大手フォースや、AVALONが静観するからコンパスは動く。

 率先して、マスダイバーをプレイヤーキラーになってでも排除する。

「貴様はどうだ、リタ。またコンパスに戻る気は無いか?」

 過去オールラウンダーと呼ばれた、コンパスの最強のダイバー。

 リタが居れば、マスダイバーを徹底的に駆除できる。

「今のコンパスには嫌だよ。プレイヤーキラーの魔の手がガレムソンや幹部の手で管理されてるうちは良いけど、間違って余所のフォースにちょっかい出すと思うと面倒くさい」

「ふはは。マスダイバーを抱えるフォースならとうに潰しているさ。ワシ達コンパスの名はかなり広がっている。……貴様には言おうか。大手のフォースにはコンパスから出奔したダイバーが内通している。無論、AVALONにもだ。マスダイバーの噂を確認次第、報告が来る」

「ガレムソン……マスダイバーにアカウント殺されでもした? やり過ぎだよ。内通者作ってまで何やってんの?」

 呆れるリタ。ここまでやっていると運営からプレイヤーキラーの違反行為で特定される。

 が、不敵に笑うガレムソン。

 曰く、クジョウ・キョウヤと連携して運営から許可を得ている。

 チャンピオンでは有名すぎて出来ない故に、コンパスが代理でマスダイバー対策を運営から直属に任されているらしい。

「あーあー……。何でこう、ガレムソンが本気出すと大人げないかな」

「全てはGBNに平穏の為。ワシ達コンパスは汚名を被ってでもマスダイバーを駆逐する」

「それしたらブーイングって言うんだよ」

「ふはは、上手いことを言うなリタ。ワシ達がソレスタル・ビーイングか。ニュアンスで分かるぞ」

 武力によるマスダイバーの根絶。

 CBと同じような事を平然とやっている。

 弱小フォースの情報すら流れてくるコンパス。

 そもそもコンパスの由来は劇場版SEEDの組織。

 平和維持を目的とする、有志の集まりだ。

 AVALONと同じく、GBNの秩序を重んじる。

「コンパスの由来が丸潰れだよガレムソン。これじゃアロウズみたい」

「心外だなリタ。ワシ達は決して驕ってなどおらんぞ」

 傲慢な組織と言われてガレムソンもそれは違うというけども。

「大義名分掲げてプレイヤーキラーやっててよく言うよ……。まぁ、マスダイバーの駆逐を運営から非公開とはいえ委託されてるなら、徹底的にやってよ。私は関わらないから」

「フッ……任された。貴様はまた気が向いたらコンパスに戻ってくると良い。貴様に会いたがっている奴等が喜ぶ」

「そうだね。挨拶には偶に来るよ」

 事情を聞いて、とりあえず救済措置になっているなら良いと戻ってきた。

 そう、ユキオに伝える。

「うへえ……コンパス敵に回すと怖そう。間違いなく狩られるって事だよね」

「大丈夫、マスダイバーだけだから。じゃないと運営も許可を降ろさないよ、こんなプレイヤーキラー」

 そこまで蔓延していて、GBN運営も手を焼くブレイクデカール。

 マスダイバー対策を有志に任せる理由は、根本的な解決……つまり何処で入手したのか、分からないまま。

 追跡も出来ないのであれば、マスダイバー本人を捕まれば良いが基本的に絶対に言わない。ほぼ逃げる。

 最悪アカウントを消してでも。

 もうこうなると勝ち逃げだった。

 ルートが不明な上にバイヤーでもいるのか、雨後の竹の子のように増えるマスダイバー。

 だから抑止力にコンパスはなっている。

 こんなもので減れば誰も苦労しないが。

 今日の放課後、リクがガンプラ買いに行くのでヨナも付き合う。

 幾つか現品を学校に黙って持ち込んでいる。

 嵩張るが、まあバレまい。

「リクは何にするのかな、最初のガンプラ」

「リク君はガンダムそんなに詳しくないだろうから、気に入ったフィーリングで良いんじゃない? あ、でも資金的な意味で幾つも買えないんだっけ」

 普通の中学生に金銭で複数を求めるのは酷だ。

 ヨナが大量に既製品を持っているだけで、例外。

「シルビアさんみたいに親が大盤振る舞いって訳じゃないから、リクは」

「うちはゲーム関係の仕事だから、こう言うのは好きにしろって言われてるんだ」

「理解のある両親だねぇ……」

「その代わり多忙で帰ってこないけどね」

 愛情の代わりに金銭の余裕とツテ。

 ヨナもそれなりに苦労はある。なにせ一人暮らし。

 長時間GBNにいると生活が崩壊する。

 自己管理を確りやれと言われている。

「自炊の生活も慣れたんだ。日本の冷食美味しいよね」

「食生活犠牲にしてGBN行くのもどうかと思うよ!?」

 食事をほぼインスタントで片付けるヨナに突っ込むユキオ。

 長時間のツケは食生活だった。

「ユッキー! それにシルビアさんも! お待たせ!」

 リクが荷物を纏めて、合流する。

 馴染みの模型店に行って、初めてのガンプラを購入する。

 早速行こうと言うリク達。

 その後、顔見知りの店員のお姉さんにヨナも挨拶して、リクはガンプラを購入。

 OOガンダムだった。それを後日、ミキシングするという。

 そんなまだ平和なリク達。

 最初のダイブまで、もう少し。

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