ガンダムビルドダイバーズ 命を繋ぐ翼   作:イエッサム

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罪を庇う事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、ヨナは学校でリク達と話していた。

 あの後、結局マギーに相談することも無く黙っていて欲しいというティフォンのお願いでミッションを破棄して一緒に戻り、エントランスで解散した。

 サラはマギーをお姉さんと呼び可愛がられていたが、それにしても。

(ログアウト出来ないダイバー……か)

 ヨナもそう言う話は聞いたことがある。

 両親が、余所のゲーム関連の仕事をしている以上、聞き覚えがあった。

「結局、あの二人何だったんだろうねリク」

 放課後、今日も話す二人に言う。

「ユキオ君、あの件はとりあえず黙っておこう。運営がもしも勘付いたら、大事になる」

「どういう事?」

 リクが問うので説明する。

 実はログアウト出来ないアバターというのは、偶に聞く話だったりする。

 但しそれは事故や事件などの子供の出る幕ではない。

「予想はつくよ。多分、あの二人はサイバーゴーストだと思う。リアルのトラブルでログアウト出来ない状態になってる。したくても出来ないんだよ。項目が無いのは、考えたくないけど……リアルの方の身体が出口として機能していない。そう言う場合、精神がゲーム内部に閉じ込められて脱出できない状況になる。分からないと言った理由は、恐らくリアルで何かあって、ショックで通信がバグったから。その反動で、精神のデータがダメージを受けた。プロフィールがバグっていたのもそれなら説明がつく」

 ゲーム中に災害や事故でリアルの身体が異変に巻き込まれると、このサイバーゴースト状態になる。

 特に家庭でやっている場合に多い。

 これを運営に言っても無駄だ。出口が無い以上、ゲームの運営にリアルのトラブルを解決できる手段が無い。

 それは個人の問題になる。

「成る程……。迂闊に騒ぎ立てたら、あの子達の事も踏まえると、どうしようもない状態なのに運営が関与した所で事態は好転しないんだ」

「うん。出口である身体の接続がどういう状況か、運営は確かめることぐらいしか出来ない。万が一、ログアウト出来ない状態だと断定されれば、二人のメンタルに多大なダメージが入るんじゃないかな。どの道、私達に出来ることはない。黙っていることが最善策」

 ユキオの言うとおり、好転しないどころか悪化する。

 沈黙した方が良い。個人の問題に彼女らが出来ることはない。

 それに結局子供であるリク達に出来ることは少ない。

 トラブルなら、本人の意思を尊重する程度。

 出来ることはない。触れてはいけない、デリケートな問題。

 それも踏まえて、沈黙を保つ。

 それが良いとヨナは言う。

「うん、ゲームの界隈に詳しいシルビアさんが言うなら俺も信じるよ」

 リクも頷いて、今度会ったら気にせずに接するという。

 尤も、出会うかどうかは別として。

 今日は近場でリクの応援するプロサッカーのサイン会があり、リクは前から気になっていたので見に行きたいという。

 ユキオは新しいガンプラの購入の検討。

 それぞれ、本日はバラバラだった。

 ヨナはどうするか、決め倦ねていると。

「シルビアさん、ちょっといい? 今日の放課後暇?」

 モモカが一人で教室を出ようとするヨナに声を掛けてきた。

 要件は何かと問うと、サッカー部にリクを勧誘したいが、リクがあれやこれやで逃げるのでどうにかヨナに聞きたいらしい。

 ヨナはリクは既に熱中するGBNがあるから、サッカー部には入らないと思うと言う。

「GBN? 何それ?」

 簡単に言うとガンプラのゲームだというと、モモカは不服そうに言う。サッカー部はつまらないのか。

 そう言うわけでも無い。現に今日はリクはプロの選手のサイン会に向かっているし。

「んー……私も無理強いしたくないんだよね。逆にユキオ君やリク君の言うGBN? っていうのを知った方がいいかな」

「興味があるなら、一緒にやろうか? うちに来る?」

 ヨナは、自宅でGBNが出来るし予備用のセットでもう一人ぐらいなら可能だ。

「いいの? 本当はお店でお金払ってやるのでしょ?」

「別に良いよ。家庭用が無いわけじゃ無いし」

 筐体は家にあるので、自宅にモモカを招いてGBNを紹介する。

 モモカは誘うのにも、サッカー部も楽しいが本人達が余所に興味がある以上、譲歩はすべきだと思うのだろう。

「そもそも私、ガンプラ知らないんだけど……。ガンダムってなに?」

 完全に素人。ガンダムと言えどもシリーズ過多、好みも分かれればスタンスも変わる。

「何かこう、希望はある?」

 素人のエスコートだ。無知にも分かりやすい説明をしたい。

 するとモモカが言うには可愛いガンダムってあるか。

 女の子が乗れるような、可愛いガンダム。

「ガンダムは基本的に戦争物のシリアスなストーリーだからファンシーは難しいかな……」

 良くてノーベルか? ああでも、あるっちゃあるか。

 ガンプラバトルも歴史の移り変わりがある。

 余所のゲーム関連で、数年前まで主流だったスポーツのガンプラ。

 バトルは一緒だがガンプラが破損するとマジで実物も壊れる、経済的にも精神的にも万人受けしない競技の世界。

 GPDと言うのだが、これは競技の色が強く、プレイヤーは経済的にも精神的にも余裕のある層だけで、棲み分けは出来ていた。

 普通のプレイヤーがGBNの登場で爆増したのは言うまでも無い。

 GPDはその後廃れたようだが、新規の入らないコンテンツの行く末、時代の流れというモノだろう。

「可愛い系ね……。合ったかなぁ?」

 既製品の中にそういうのがあったか考えながら一緒に帰る。

 帰宅すると、上がってとモモカを招く。

 アパートの部屋。リビングはごく普通の内装。

 筐体の置いてある部屋は凄いが。

 まあ、端から端までガンプラだらけである。

 狭い室内に詰め込んである、山だった。

「うわ、凄いねこれ。シルビアさん、もしかしてプロの人?」

「プロなら自分のガンプラ作るよ。私は作れないから、モデラーの人の既製品を使ってるだけ」

 モモカがその山を見て、驚くように言う。

 これ全てがツテでモデラーが組んだ素組みである。

 自分で組めないヨナがフォース最強に君臨した、オールラウンダーの異名の元。

「ガンプラ持ってく? 無くても出来るけど」

 机と椅子を準備しながらヨナが聞くと、ただ行くだけじゃ二人がのめり込む理由が分からないと言ってガンプラを選ぶモモカ。

 この際だから、アバター作っとけともヨナは告げる。

 作るだけならタダだ。まあ課金システムゆえ、下手に妙なアバターに出来ないが。

「あ、これ可愛い」

 そう言うと、一個ガンプラを手に取る。

 レールガン装備のバクゥだった。

 確かにガンダムと言えども獣のMSは珍しい。

 ただこれ、初期型でビームサーベルついてないけど大丈夫か。

 空戦も出来ない、つまり滑空すらできない地上専用のガンプラだが。

 まあ初心者には汎用性ガンプラよりは重心も安定するし、使いやすいガンプラだろうか。

 自分もガンプラを用意する。

 ヨナの強みは気分で既製品を選ぶために相手はバトルまで何を使うか、予想できない事にある。

 この全ての既製品をヨナは十分に扱える。

「じゃあ、行こうかモモカさん」

「うん。借りるね、これ」

 そう言うと、椅子に座って二人はGBNに向かう。

 先にアバターの外見を伝えて、モモカには後で合流すると言っておく。

 GBNのエントランス。

 待ち合わせ場所にヨナはまたリタとなり待っている。

 待ち時間にメニュー画面を開いて確認する。

 メールが届いていた。コンパスのリーダー、ガレムソン直通。

 内容は最近、コンパスを狙ったダイバーが攻撃しているらしい。

 元々はマスダイバーの一派だったようだが、調査の限り本人はブレイクデカールを使用した情報は無い。

 珍しい事に一般ダイバーがマスダイバーに味方していると言うことになる。

 ガレムソン曰く、その人物は過去にマスダイバーのフォースに所属しており、そのフォースがあのAVALONに攻撃を仕掛けて返り討ちに遭ったらしい。

 理由はブレイクデカールの一件でAVALONが摘発をした際に抵抗して、AVALONに真っ向から潰された。

 その際、AVALONのダイバー相手に数人を一人で逆襲したらしく、善戦したがチャンピオンキョウヤがその人物を撃破、ブレイクデカールのフォースとして運営に通報。

 その人物は免れたが、所属したマスダイバーは常用していたが故に状況証拠が揃いすぎて全員アカウントの削除と永久追放を受けた。

 その人物はキョウヤの正論に反論できず、理由があれば規約違反、もっと言えば犯罪をして良いのかと言われて黙り込んだそうだ。

 全てのマスダイバーに理由はあれど、ブレイクデカールは言い逃れの出来ない規約違反。

 もっと突き詰めれば歴とした犯罪である。

 それを擁護する理由がどうやら仲間意識のようだが、何故か一般ダイバーなのにマスダイバーが許されると思っている。

 コンパスの攻撃理由もマスダイバー殲滅への八つ当たりの可能性がある。

 AVALONもその人物をマスダイバーこそしないが、私怨のPK行為と見なして運営に処分を具申している。

 コンパスのマスダイバー殲滅は、非公開と言えども運営の依頼だ。

 それに妨害をするのは立派な営業妨害にあたる。

 他にもマスダイバー擁護のスタンスの人物がいるようだ。

 とあるフォースの女性がマスダイバーは確かに良くはないが、だがせめて理由ぐらい汲んでも良いのでは? と言うがここでもキョウヤの正論がぶっ刺さる。

 例えば貧乏なら稼ぐ努力もせずに足取りが追えないと知ってて、万引きしても良いのか。

 歴とした犯罪と知った上で。それは単なる犯罪者。

 そう言われると結局擁護派も反論できない。

 理由があれば悪事を許されるなど、子供の屁理屈だ。

 子供だから物事の判断がつかない、そんなダイバーなら親がついている。

 万が一規約違反をすれば親の責任だ。

 公平であるための規約を違反するのに理由があれば良いなどと言う思考が先ずGBNへの侮辱。

 明確な違反行為を開き直るとしかAVALONもコンパスも受け取らない。

 つまりは、だ。ガレムソンのこのメールの内容から察するに、無責任な感情論で八つ当たりをしてくるダイバーが居るから、関わるなという意味だろう。

(居るんだなぁ……こんな身勝手な理由でブレイクデカール許そうとするダイバー)

 そう。結局この手の連中の理由はシンプルだ。

 自分の都合。ブレイクデカールを使うぐらい大変だった、だから情状酌量の余地をくれとAVALONやコンパス、運営に言ってくる自分勝手。

 だったら皆は決まってこう言うだろう。

 そうなる前にGBNを止めろ。

 理解した上で人の迷惑や犯罪をしてまでGBNを続けるな。

 規約違反をした時点でアウトだと分かっている癖に。

 全員から当たり前の反論をされて逆上するぐらいなら出て行け。

 この手の連中は言うだけ無駄だとリタも分かっている。

 自分の都合で感情論を振り回す子供。

 利用規約という常識が通用しないし説得にも応じない。八つ当たりと分かった上で、仕返しをする。

 何度も言うが、マスダイバーは規約違反。

 リアルで言えば犯罪なのである。下手すると運営に訴えられて捕まる可能性だってある。

 ブレイクデカールが如何に隠匿しようが、コンパスが人海戦術で洗い出している以上、炙り出されたら狩られるのは当然だ。

 悪いのはどっちか明白だろうに。

 永久追放で済んでいるだけ恩情があると思った方が良い。

 何故ならその気になれば見つかったらマスダイバーを法的に潰すことも運営は出来るから。

 軽いズル程度の認識でGBNに蔓延るマスダイバーだが、その代償は非常に重たいとそろそろ認識が変わりつつある。

 コンパスという最大手と運営に口出しできるチャンピオンキョウヤがいるAVALONがとうとう動いたのだ。

(良い流れだね。マスダイバーが消えるのは当たり前だから)

 ガレムソンの返事に了解と返答しつつ、リタは彼女を待つのだった。

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