ガンダムビルドダイバーズ 命を繋ぐ翼   作:イエッサム

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百鬼夜行 1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日の放課後。

 妙にハイテンションのリクがヨナとユキオに熱弁していた。

 曰くこの前のサイン会に出向いた際、そのサッカー選手がここの地元出身だったらしく、偶然サイン会の時にリクの制服で気付いたそうだ。

 何でもここの中学のOB。

 白石研という名前のサッカー選手だが。

「あ、聞いたことあるよ私。動画で矢鱈ゴールを決めるってビッグマウスを言うのに本当に実現する人」

 ヨナも知っている、著名人だった。

 そうか。あのサッカー選手、ここの出身だったのか。

 で、リクが後輩だと知るやちょっと話したという。

 聞いたらGBNをやっている、という共通の趣味が合って今度の休みにもしかしたら会えるかも、と言われたそうだ。

「白石選手もGBNをやってたんだって! 会えたら嬉しいなー」

 興奮気味のリクの熱弁にサッカーの話題になって合流したモモカも聞いていた。

 プロでもやっているぐらいだから有名なゲームなんだろうとも思うし、二人がのめり込む理由もある。

 モモカもマギーから概要は聞いている。

 始めてみようかな、と興味も出て来た。ガンプラ無くとも出来るらしいしそれなりにお金かかるけど……。

「リク君やユキオ君がやるなら、私もGBNやろうかな。折角シルビアさんに案内して貰ったんだし」

 モモカの反応に二人が驚くと、ヨナが案内して紹介しておいたと笑う。

 アバターはもうあるんだし、何時でも出来る。

 尚、記念にバクゥはプレゼントしておいた。

 既製品のバクゥなら複数あるので使用頻度も高くないし、上げちゃっても問題ない。

 ターレットのレールガン、ミサイルにウィザードのブレイズも入れたハウンドの方を上げたので、これならギリギリ可愛いと言えるだろう。

 宇宙でも活動できる汎用性も確保しつつ、局地の地上戦も出来るバクゥハウンドならモモカもオッケーしてくれた。

 但しケルベロスは外見が怖いという理由で不採用。

 まぁ、原作からして犬がMSを食い殺す機体だから仕方ない。

 既製品の組み合わせ故、どうしても火力は貧弱だが。

 そもそもバクゥのウィザードは四つ足で、余所のガンプラと共通規格とは言えどもザクは普通のガンプラ。

 バクゥのウィザード、ケルベロスはまだしもバクゥの方にガナーやスラッシュを使うのは不可能なのでブレイズ以外に装備できず、機動性強化のブレイズは火力が無い。

 一応ハウンド本体の頭にはビームサーベルがくっついたので火力はバクゥその物よりはあがってはいるが。

 そのガンプラを聞いて、ユキオは言う。

 一応、既製品でも共通規格でストライカーも装備できる。だけど、結局武装が使えない。

 ちぐはぐな既製品の組み合わせ。

 獣に武器は持てないのはどうしようもない。

「可愛いなら良いのよ!」

「……バクゥハウンドの原作の所業を知っていれば嫌でもそう言えなくなるよ」

 ユキオは含みを持たせて言うが、モモカは原作にあまり興味が無い。

 GBNに行ければいい。

 今日も今日とて何時もの模型店で二人は行くらしい。

 モモカも受け取ったバクゥハウンドの使用感を確かめる為に潜る。

 ヨナも今日は皆と共に行くつもりだ。

 尚、学校にはガンプラを持ってきていないので全員一回帰宅して速攻持ってくる予定。

 そんなこんなで一度解散。

 現地集合で、模型店に来た。

 リクの両親が夢中で熱心なリクを見てGBNのプレイを許してくれたらしい。

 長くやっても良いと言われて喜ぶリクが報告する。

 店員のお姉さんに挨拶しつつ、四人はGBNにログインした。

 見慣れたエントランス。

 四人は合流すると、早速ミッションカウンターに向かう。

 ガンプラの試運転出来る初心者向けのミッション。

「それなら、簡単なコレクトミッションがあるよ。全体マップを移動できて、散策も出来るし。お花摘んでくるだけで良いから報酬はアレだけど、試運転なら丁度良いかも」

 ヨナからリタになった彼女の提案。

 簡単なコレクトミッションなら、道中何を寄り道していても支障は無い。

 彼是話していると不意に声を掛けてくる女の子。

「あ、この前の……!」

「あら、また会ったわね」

 一同、そっちに向き変えると白い少女と黒い少女。

 サラとティフォンだった。

「何となく散策してたら会えるとは思ってなかったわ。またあんたら、遊びに来てんの?」

 何事もないようにティフォンは話しかける。

 リタがリクとユッキーに直ぐに目配せする。

 二人は頷いた。サイバーゴーストであることに触れるな。そう了解して。

 本人が気にしてない素振りなら突くな。

 そう理解した上で、軽く対応する。

「こんにちは。何か用?」

 朗らかに笑うリタに、モモは知り合いか聞くと以前知り合ったと言って説明する。

「あの……! 私……一緒に遊びたいと思って……」

 サラはそう言うとリクやユッキーに言う。

 GBNは素敵な場所だから一緒に行きたいと言い出す。

「あたしは単なる暇潰し。こっちに付き合ってたら、たまたまあんたら見つけただけよ」

 そういうティフォンが、大袈裟に溜息をつく。

 別に気にしない様子で、前回よりも落ち着いている。

 触れないようにしつつ、リタは何ならフレンド交換しておくか聞く。

 知り合いだし、念の為秘密とは言え関係性は持った方が良い。

「フレンド? 別に良いわよ。サラ、メニュー画面出して。この三人に送っておくわよ」

「あ、うん……」

 モモは初対面だがティフォンは意に介する事も無い。

 一応二人は挨拶して、フレンド交換を三人に送る。

 すると……。

「ん? ティフォン、ガンプラが素組みのキャリバーン……?」

 プロフィールの使用ガンプラがティフォンはリタと同じキャリバーンの素組みだった。

 ……サイバーゴーストが、現物を何処で手に入れた?

「あー……うん。一応使ってるわ。慣れてきてるから結構良いわねキャリバーン」

 明らかに渋い表情になるティフォン。

 聞かない方が良いとリタは判断した。

 サラは使っているガンプラはない。

 二人ともダイバーランクはサラがD、ティフォンがC。

 ……思っていたよりも高い気もするが、そういうことにしておこう。

 以前のプロフィールのバグっていた部分も直っている。

 やはり普通のダイバーではないか。

 更に客は増えた。

「おや、その顔……。本当に会えるとは思わなかったな。君、俺のこと覚えてるかい?」

 その辺を歩いていたアバターがリクに向かってそう声を掛けてくる。

 公式で売っているAGEのウルフのアバターだが……。

「えと? お兄さん、どなたですか?」

 名指しのリクが困惑すると、そのアバター……プロフィールを見せて、見た目通りウルフという名の彼はサイン会の事を語った。 

 出会えたらいいな、と言っただろうと。

「えっ!? あなた、もしかして!」

「おっと。今の俺はウルフ。リアルの話はノータッチで頼むぜ少年。あとスキャニングで顔で分かるのはもしかして初心者かな」

 暗に白石研というサッカー選手と名乗った二人は驚く。

 有名人が普通にGBNに来ていた。

 モモもリタとユッキーの反応に例のサッカー選手と気付いて仰天する。

「誰よあんた?」

 ティフォンが怪訝そうに問う。

 名乗り遅れた青年、ウルフはただのダイバーと言った。

 二人にも見せたプロフィールのランクはB。上々の高さだ。

「あまりGBNに来ないからな。これでも多忙でね。久々に来たらサイン会の少年を見かけて来ただけだよ」

「ふーん……リクの知り合い?」

「プロと応援してくれるサポーターって意味でね」

 爽やかに笑うウルフにティフォンは腑に落ちない顔をする。

 ウルフは恒常の原作の販売されるなりきりアバターなのに妙に表情が豊かで、明らかに別人であった。

「お、俺リクって言います! こっちは友人のユッキーとモモ、リタ。あと知り合いのサラとティフォン」

 リクに紹介されて一同軽く会釈。

 ウルフはティフォン達には有名人とだけ言っておく。

「俺は彼、リク君の応援するチームの一員でね。自分で言うのもアレだけど、エースだと思っている」

「妙に自信満々ねえ。大口な奴はイマイチ信用ならないんだけど」

 ティフォンの態度に苦笑するよく言われると言うウルフ。

 リクが即座に否定する。彼は実際、中核的な存在でありチームの推進力になっている人材。

 その腕前は海外からもオファーが来るほどだ。

「あぁ、俺としては一人で海外に行く気は無いんだ。日本って言う国で、俺のチームは天辺取ってないから。行くならチームで行くのが王道だろ?」

「ですよね! 流石ウルフさん!」

 ニヤッと強気で笑うウルフ。リクがチームの一人として、勝つことに意味があるとサラ達に力説する。

「チーム……」

 サラは首を傾げる。皆で共に行く目標。

 一致団結がよく分かってないのか。

「まあ、あんたがそのチームとやらで世界の行くのは好きにすれば? あたし達には精々見送るぐらいしか出来ないわけだし」

 興味も無いのか、素っ気ないティフォン。

 努力して勝とうが負けようがどうでも良い。

 自分には関係ないと切ってしまう。

「そうだな。スポーツに興味の無いダイバーには俺のことを言ってもあまり惹かれないだろうね」

「生憎と、そういうの興味ないわ。勝つも負けるも、GBNと違って公平なら良いんじゃ無いの」

 ティフォンはそっぽを向いてそう言った。

 公平では無いGBN。その言い回しに、モモやリクも、ウルフも反応した。

「ティフォン……。ちょっと、ぶっきらぼうだよ」

 サラが苦言を呈するが、本人はけんもほろろ。

 悪びれずに言った。

 GBNは不公平。ブレイクデカール、マスダイバー。

 そんなのが跋扈する世界の何処が公平かと。

「マスダイバー……? 噂は聞いてるが、本当にいるのか。大手のフォースが対処して減っていると言うけど」

「居るわよ普通に。隠し持ってる奴ならうろうろ。表立って使えないから隠してるだけで、追い込まれれば使ってる。で、コンパスやAVALONに見つかって駆除されてる。でもブレイクデカールはそもそもGBNの中のモノじゃないから。連中は何処からか持ち込んでるのよ」

 ティフォンが言うには、少なくともGBNにブレイクデカールのツールはない。

 違反行為である通り、外部から持ち込んできている。

 つまり隠し持ってる状態なら分からない。

 ログインした時の異常に検知されない。

 そこまで秘匿性の高いもののようだ。

「……よく知ってるね」

 リタが痕跡も残らず持ち込みもすり抜けるその特性を何故ティフォンが熟知しているのか、疑問に思う。

 ティフォンは情報収集で得たと言うが、何処で集めたデータだ?

 GBNに検索など個人で出来る訳が無いのに。

「……勘違いしてないでよ。あたしはマスダイバーじゃないわ。ブレイクデカールは嫌い。周辺がバグるから」

 ドライに自分はブレイクデカールを忌避すると告げる。

 データがバグるから嫌い。マスダイバー否定の理由にしては、分からない訳でも無い。

 にしても、彼女は……。

「何? 疑ってるわけ?」

「んーん、違うよ。……気をつけてね。そこまで分かってるなら、マスダイバーはそこら中に居るって意味だから」

 険悪な空気を避けて忠告を受けておくリタ。

 触れないように。彼女達は普通では無いから。

「あんた……何か、変に疑り深いわね。こっちに何か言いたいなら言いなさい」

「気のせいだよ」

 気遣いをしているという空気は嫌でも感じるか。

 ティフォンはぶすっと不満そうな顔でこっちを見た。

 愛想笑いで流しておくと無駄だと分かって切り替える。

「それより、あんたら何かするんでしょう? サラもあたしも暇だから付き合ってあげるわ」

「一緒に……行きたい……!」

 サラは純粋に混ざりたい、ティフォンは暇潰し。

 そんな理由だが、断ることも特にない。

 リク達は了承する。

「んー……俺も同席して良いかな? ちょっと物騒な話を聞いたから、気軽に散策する前に色々見ておきたい」

 ウルフもそう言うと、フレンド交換をリク達にしておく。

 モモも有名人からのフレンド交換に若干興奮している。

「ウルフさんはよく来るんですか?」

「いや、トレーニングの合間の気晴らし程度。あんまり来ないけど、一回の時間も短いから本当に趣味の範囲」

 そりゃプロサッカー選手がGBNに浸っていたら怖いだろう。

 今回も久々に来たと言うし。

「コレクトミッション? へえ、特定エリアの花を回収するのか。道草を食う事も出来るとは、随分と変わったな」

 ……何時から来ていないんだろうか。

 ふと賑やかに向かいながら思うリタであった。




今回からご応募頂いたキャラが本格的に登場します。
一部解釈を変更している場合がございますのはご了承下さい。
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