壊れた楽園からの少女達   作:名無しの投稿者

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第6話 破滅の天使がもたらす先に

(今のは……どこだ?)

 

垣間見た、アヤネが最後に経験した出来事。だが、該当する部分がまるで思い浮かばない。

 

(一旦……わかるところから判別していこう。アヤネ、セリカ、シロコの3人がいた。その後、ノノミが合流してきた……どこだ?1章、2章、じゃなさそうだし……3章だと思うが……じゃあなんで最後あの2人が……戦ってなかったのか?それに学校が吹き飛んだのは……駄目だ、これだけじゃわからん……とりあえずわからないことが多すぎる)

 

何がどうなってこうなったのかがいまいちわからない。とはいえ、時期は判別できたので、この後の事は本人から聞くことを決定しつつ、驚きつつ呆然としていたアヤネを見る。

 

「……大丈夫か?」

「え、あ、えっと……あなたは?」

「ここの生徒会長……まあ、戸惑ってるよな。一応俺が勝手に呼んだのも事実だし……とりあえず、説明させてくれないか?なんで君がここにいるのか。そして、君がアリスって呼んだここにいる子や、他の2人のことも説明した方がいいと思うんだけど、いいか?」

「あ、は、はい……」

 

椅子を取り出してアヤネを座らせる。アヤネがこの世界に呼ばれる直前、死にかけた状態の彼女の身体の事を考えると、動き方がぎこちなく感じさせるのも無理もないだろう。今も、右目の方から見える景色に若干違和感を感じているようにも見える。

 

「それじゃ、説明していくぞ……」

 

 

 

 

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一通り、アヤネも話を聞き終え、その後のアヤネの話から何故後輩達が学園にいたのかという状況は少年も理解できた。

 

(やっぱり対策委員会編第3章か。そして……総会に行き、人質にされたノノミを助けるための会議でホシノは1人で総会に向かい、アヤネ達は先生を待つという選択肢を取って対立。その結果、ホシノが1人で向かうことになったが……原作だとこの後、先生が駆けつけたことで後輩達も出発することになるが……その先生が来なかったまま総会の始まる時間である正午を過ぎてしまった、ってことか。先生がいなければ後輩達だけで追いかけることはできない……ハイランダーの生徒達も助けられないからな。となると……その後にあの光、多分シェマタが発射されたせいで全て吹き飛んだってことになるんだろうが……でも、後輩達が追いかけての下りがまとめて消えるわけだから、そのままホシノがスオウを倒してシェマタを破壊して終わりじゃないのか……?スオウがシェマタに乗り込むタイミングがなくなるだろ?なんで撃たれてるんだ?)

 

理解できたからこそ逆にわからない。まだ自分の知らない何かがある。しかし、アヤネの視点で語られているあの記憶ではそれがどういうものかは残念なのかわからない。だからこそ、わからないことは一旦置いておくしかない。

 

「……それで、アヤネはこれからどうする?一応……他の皆がどう動くのかは聞いてるとは思うが、別にアヤネが無理に俺達に同調する必要はない、ってことは最初に言っておくよ。まあ……外に出るって言われても同一人物が2人いて混乱することになるから顔とかを隠したり、基本的にうちの自治区に居座ってもらうことにはなると思うけど……」

「……お気遣いありがとうございます。でも、大丈夫です。私も……協力させてください」

 

その上で、アヤネがどうしたいのかを聞く。アヤネは少年達と目的を共にすることを決めてくれたことに、4人は安心したような表情を浮かべる。

 

「それを聞けて安心したよ」

「はい!これでアヤネも私達の仲間です!」

「うん、よろしくねアリ……王女ちゃん?」

「はい!」

「聞いた感じだと後方支援に秀でているみたいだし、丁度いいんじゃないか?それに、機材のメンテナンスや修理もこなせると来た」

「俺も簡単なことはできるけど複雑なのは王女に作り直してもらってるからな……ぶっちゃけ人力で、できるようにした方が好ましいからな……」

「そ、それは凄いですね……」

 

アヤネが加入してくれたことで、自治区の方も少しは変わってくるだろう。先生のこと、これから始まる様々なキヴォトスで起こる出来事、自治区のこと。様々なことをやる必要があることを予感しながら、少年は徐々に明るさを取り戻していく自治区の空を見上げるのだった。

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

アヤネが来てから数日後。少年はシャーレの方に向かい、何かと理由を付けて仕事を手伝ったりしながら先生と交流を深めるために自治区を出る時間が多くなる中、アヤネ達は作業を行っていた。

 

「これで……よし。発電機の方も何とか整備が終わりました」

「悪いな、アヤネ。というか俺より整備の時間短いな……」

「そ、そうでしょうか?」

「一応メンテナンス表とかそういうのは残ってたから俺もできないわけじゃないんだけどな……」

 

夕暮れ時、少年が自治区に戻ってきて見ていたのはアヤネがこの自治区で使っている発電機の予備の方の整備を終わらせていたところであった。アヤネが来てメンテナンスだけでなくその先の修理もできるようになったことで、王女の再構築の力を使って技術やスキルがあれば直せるものも直さずに作り直す、といったことをする必要がなくなったことで王女の力は他の環境整備にも向けられており、居住区の環境面は確実に改善していた。

 

「……それにしても、凄い場所ですよね……私達が呼ばれなければ、あなただけだったんですよね?」

「まあ、そうなるな……別にそれでも良かったんだけどなあの時は。聞いたと思うけど、あの時の俺は割と色々やられてたし。偶然王女を呼べたからこういう感じになったってだけでさ。でも、後悔はしてないぜ」

「……ありがとうございます」

「他の皆とはどうだ?王女とは世界線が違うとはいえお互いに面識があるみたいだけど」

「はい。セイアさんもユキノさんも良い人で……仲良くさせてもらっています……あの。1つ聞いていいですか?」

「ん?なんだ?」

 

以前よりも住みやすくなった自治区。食料面も元から量だけはあったが質も担保されるようになり、住も改善されつつある。この自治区だけで判断するならば新入生や他の住人がいないから先が見えない、以外は何の問題もないと言える。尤も、先については少年がほとんど考えていないし残そうとも思っていないために問題にもならないのだが。

 

「……先生は、シャーレに赴任して初めての出張でアビドスに来てくれました。ユキノさんの話や王女ちゃんの話を聞くに他の皆さんの世界でもそのようでしたし……ただ、その。思い出したんですけど」

「思い出した……何をだ?」

「先生って……行き倒れていたところをシロコ先輩が連れてきたんですよ。だから、その……」

「ああ、そっか……そこからか……!!」

 

すっかり忘れていたと言わんばかりに少年が頭を抱える。よくよく考えれば、あの瞬間だって本当にたまたまシロコが先生を発見できたから無事だったのだ。むしろアビドスの広さを考えればシロコが見つけられていない可能性の方が高い。原作ではこうだったから、が通じるとは思えない世界だと理解してしまった今だと、かなりまずい。

 

(となると、本当に先生の一挙一動を注視しないといけないなこれは……それに、万が一先生が1人でアビドスに行って遭難してしまった時のための準備もしないといけない)

 

どうするべきかと考える少年。と、そんな時だった。

 

「やあ、ちょっといいかな?」

「セイア?どうしたんだ?王女とユキノも一緒だが」

「ああ。私も少し行動を起こしたいと思っていてね。話をしたい」

「わかった、アヤネも大丈夫か?」

「はい、私は大丈夫ですよ」

 

セイア達がやってきて、これからについて話し合いたいと言われる。それを聞き、少年は頷くと、夕食を食べながら話をしようということになり、全員で調理用の焚火がある校庭の片隅の方へと向かうのだった。

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

「……少し思うところがあるからトリニティに行きたい?」

「ああ……といっても、私の身の事を考えれば許されるとはとても―――」

「いや、いいよ」

「許されるとは思わ……え?」

 

皆で協力して作ったカレーを食べながら、セイアの提案に許可を出す少年。セイアはまさか受け入れられるとは思っていなかったのか驚いたように少年を見る。

 

「なんだその反応」

「いや……あまり迂闊なことをするなと言われてもおかしくないと思っていたからな……だからこうも簡単に許可が出るとは思わなかった」

「トリニティの事はセイアが一番わかってる。その上で、これが最善なんだって思ってるんだろ?なら……いいんじゃないか?俺も、ここでこうしないとああなるから、みたいなのは……ある一件以外は極力やらないで自分がこう思ったからこうする、で動くつもりだし。ただ……その皺寄せは多分出てくると思うだからその時は」

「ああ、未来を変えるために動くんだ、それが良い結果になっても悪い結果になってもおかしくない」

「だから私達が手を取り合うんです」

 

ユキノ、そしてアリスの言葉にセイアも安心したような表情を浮かべる。その様子を見て少年も笑みを浮かべながら、

 

「それで、セイアは何をしようとしているんだ?トリニティに行くってことは身を隠していくことになるんだろうが―――」

「ああ、ミカに会おうと思ってね」

「……え?」

「あ、あの?」

「……セイア、君は確か死んでいる扱いの……」

「な、なんだその反応は!?許したのは君達じゃないか!」

「それはそうなんだが……いやまぁ許すこととなんで?って思うのは別だろ?俺はお前がそうしたいなら構わないと思うけど、何をしに行くんだ?」

「……何か勘違いしているが別に白昼堂々会いに行くことは私だってする気はない。声だけを彼女に届けてやろうと思ってね。彼女が自らの罪から目を逸らさないように。ひいてはそれが、彼女が更なる大罪を犯さずに済むため、そして大きな災いを産まずに済むための助けになるだろうからね」

 

ユキノ達に困惑の視線を向けられ、慌てて言葉を並べるセイア。少年はその言葉を聞きながら、どうするべきかを考えていた。

 

「トリニティにどうやって行くつもりなんだ?しかも見つかったらその時点で大事だろ?」

「……ああ、そのためにユキノにも協力してもらいたいと思っているんだが。潜入も経験があるんじゃないか?」

「まあ、あるが……」

「……それについてなんだが。ちょっとアヤネと話してて思ったんだが、もしかしたら先生はすぐにアビドスで遭難して死ぬかもしれないっていうことが分かってな……万が一の事を考えてユキノにはアビドスの方に影ながら支援とかしてくれると助かると思ってたんだが、どうだ?」

「それは……そうだな……セイア。それはいつまでにやらないといけないんだ?」

 

ユキノの協力があれば、セイアの潜入もかなり安心感が出てくるだろう。しかし、アビドスで起こる先生への危機を踏まえると、こっちの方にも人手が割きたいというのが本音だ。セイアは少年の話を聞きながら考えていたが、

 

「……楔はできる限り早くは打ち込みたい。だが……先生が鍵なのは確かだ。その鍵が失われるというのは私としても避けたい……わかった。まずはそっちに」

「……もう1人、呼ぶか」

「いるのかい?その候補が」

「1回眠らせて考えさせてほしい。俺の予想が正しければ、まだ呼べていない悪夢の世界があるはずだからな。そこを見てから判断したい」

「ああ、わかった。そこは君に任せるよ」

 

そういうことならと、諦めかけていたセイアは自分の方も何とかなる簡素入れないと聞いて少し安心したように頷く。潜入の役に立つ、とまではいわなくても、トリニティの事を知る人がいれば。そう考えながら、少年は食事が終わった皿を置くのだった。

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

―――ラッパの音が鳴り響く。それと共に地上が燃え上がり、空の果て、海があると思われる場所に巨大な火炎が落ち、巨大な赤い水が吹き上がる。隕石が次々川などの水源に落ちていき、水が深緑色ん位濁っていく。太陽が欠け、月が欠け、星が消え、世界から明るさが消滅していく。そして、巨大な星がサンクトゥムタワーの方角へと墜落し、サンクトゥムタワーがあった場所を粉々に吹き飛ばしていく。

 

そこから無数のイナゴが現れ、人々を襲い始める。知り合いも、大切な仲間も次々と食い尽くしていく。少女は人の力ではどうしようもないその力を前に逃げ出した。生きるために苦すぎる水を飲んで吐き出し、這い出た地上では火の手がどこからも上がり、人々がイナゴに食われ、水に苦しみ、暗い中その命を奪われていた。

 

もう限界だった。限界で、こんな地獄から逃げ出したいと思った。そう思った少女の前に、イナゴの群れが現れる。その上には、7人の天使がおり、その内の1人が、見覚えのある顔で少女を冷たく見下ろしていた。

 

少女が手を降ろす。イナゴが襲い掛かる。後ろを振り向くもそこは壁で、もう逃げ場所はない。これで死ぬのだと、少女がそう痛感したその時視界が切り替わり―――

 

 

 

「ひぃいいいい!!た、食べないでくださいいいい!!……あ、あれ?」

(!この少女は……確かアリウスの……?)

 

その少女、槌永ヒヨリは両腕で自分の体を抱きしめながら蹲った状態で魔法陣の上に出現し、その様子を少年やセイア達は見ていた。そして戸惑っている彼女が困惑しつつも話ができるまで時間が経つと、少年たちは説明を開始するのだった。

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