ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
何時に起きたのだろう。まだ、陽が少ししか上らず、群青と朱が共鳴する空が窓から見える。
...早朝って事は確かだな。
「よし、走るぞぉぉ!!」
そう意気込みながら、服を着替える。
地味で華やかな丈長の比翼
「よぉぉし!!行くぞぉぉ!!」
脱いだ服を鞄に詰め、勢いよく扉を開け、外へ出る。馬車に鞄を入れ、両腕を大きく広げ、深く息を吸う。
そして...地形を抉る勢いの脚力で彼方へ走る。同時に風の当たる爽快感に包まれる。
「やっぱり、走るのは、楽しいな!!」
そして、宿の方へ戻る。
「ふぅぅ、疲れたぁぁ...」
そんなこと言いながら、中に入る。一回の待合、其処には、イデナが新聞読みながら、座っていた。
「あっ、イデナ、おはよう」
「あぁぁ、おはよう」
苦みのある渋い顔で新聞と睨みつける。何か気に留まる内容なのか、私からは見えないから判らない。
ただ、その表情からは良くない事だとしか解らない。途端、少し雰囲気が重くなる。
私は咄嗟にイデナの隣に座る。新聞を覗くためだ。
「...如何した?」
そうイデナが問いかける。
「新聞にそんな睨めて、如何したの?」
「...はい」
イデナが新聞を渡して来た。ドレドレと新聞を読む。
「!?、之って!?」
「...革命前夜、遂に帝都で労働者が大規模蜂起を興したんだ、其れに軍人も関与してる」
「それってかなり、やばいのでは...?」
「そりゃそうだ、之からあらゆる民族が叛旗を翻して、此の国は革命が起き、内戦が起きるのだろう、不発に終わろうが、この国は崩壊する、最悪の二択だな...」
そう言うと、煙草を吸い始める。私はその様子を横目に新聞の続きを読む。
「軍の一部も蜂起に参加、民衆は古い銃携えながら、ボロい
「世知辛い雰囲気が革命で塗り替わったな...さぁ、これからどうしようか...」
問いかけているのか、単なる独り言なのかも解らない、天を仰ぐかの様な目線で尋ねて来る。
「このままだと
私は今まで、名誉有りの前提で此処まで歩んできた。
このまま、この情報を鵜呑みにでもすれば、この情報を不信を抱けば...何が変わるのだろうか...私はどうなるのだろう。革命でもみくちゃにされるのか、名誉の為に死するのか。
...まだその時では無い。何かを決断する時、そう簡単に、はいかいいえを答えるか?その選択で此の先の人生に影響を及ぼすのは確実、此処は慎重に決めて行くんだ。
其れにイデナは私に聞いたって、何か得するのだろうか、私の戦力は良いものか?私の了承を得ても、ミュハーンの了承が駄目だったらどうするの?だから、
「まぁ、でも私には関係無い事だよ」
私は
「其れに私にどうこう言ったって、変わる物は僅かでもない。変わりが分かるのは、時間でしょ?」
私には歴史に名を刻む、何て所業は不可能だ。
英雄に成ることは、素晴らしい事だ、だが、英雄に成ることは、そんなに良いものなのか?人々から尊敬され、担ぎ上げられる。其れって、王様と変わりない気がする。
私はそんな者には成りたくない。成りたいのは、
「だから、私は
そう問うと、イデナは話した。
「私は、革命を支持する側の者だ。ただ、聞くだけ聞いてだけの傍観者。別にこの問いに深い意味も無い、皆そんな考えだよ。私もユジノーもこうやって、他者より自らを優先する。でも、其れが一番の策だと思う。はっきり言うが、暴力革命賛成派の私から見れば、この蜂起では、真の平等は生まれない」
「...そっか、イデナは革命派の者かぁ...でも、私は攻めもしないよ。結局、此の国に在るのはその革命や保守論に改革論、色々な物の考えが有るんだよね。だから、私は納得できる。ただ、納得できない者も居るよ。
「ミュハーンか...彼奴はかなりの個人主義、現実主義だね。社会系統の党から見れば、一番の対立分子だね。社会系統の党は平等の理想を掲げるけど、現実主義や個人主義は理想を否定するから難しい、ユジノーみたいに受け入れるなら、良いけど...」
...難しい話だ。でも、此処からは複雑な国内情勢は確定だ。さぁ此処からは一つ一つの選択で人生にも影響がある。嫌だねぇ...でも、真の冒険でいいな。目標も夢も無い退屈で可変な旅、何か言葉では表せない独特な感情に心情。楽しみさと危うさの双方が液と成って混在の単一になった感じ。
そんな時の事。
「ぉお...二人とも、もう起きていたのか」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続