ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
「にしても、何かまた大きく成って居ないか?」
「まぁ、確かに前よりも目線が高くなった気がするな...」
「凄いな、ミュハ。もう巨大な狼、巨狼じゃん」
「何でこんなに背丈が高く成るんだろうねぇ...」
「両親どちらかに巨人の血でも入ってるじゃない?」
「...判んないな...」
「まぁ、でも別に大きく成ること事態は別に悪影響を及ぼす事は無いんじゃない?」
「まぁ、そうだな。別に言うて、不便な事は無いかな...」
今の身長は恐らく、200㎝は超えたのだろうか...
確かに前よりも周り僅かに小さく見える様に感じる。でも、其処まで嬉しい事でも嫌な事でも無いし、所詮、また身長が大きく成ったのかとしか思えない。
確かに、お前らから見れば、巨大やら羨ましいみたいな事は思うだろうが、上には上が居るんだよ、巨人と言う種族がね。5mの奴も居るし、10mの者いると聞く、彼らから見れば、私は小さいだろうし、如何とも思えない。
何か退屈だな、話は良いけど、話題が薄い感じ。曇り硝子にも及ばない、遮断性の薄さで、尚且つ、実害の無い可愛げの在る霧の様な興奮とか危険と感じない、何だこれくらいかと言う安堵の様な感じが占めている。まぁ、要は之位しか話すこと無いし、肝心の話も味が無くて、退屈だな...みたいな感じだ。
まぁ、でも、黙って過ごすよりかは、断然マシな事だがな...
とは言え、何か話せる様な話題は私は持っていないし、此処で急な話題振って、滑ったり、長く続かなかったら、其れは其れで苦しい状況に成って仕舞うし...積みだな...
お前らなら、何か解決策とかは無いのか?
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どうしようかな...
何とか、話題を出してみたものの、直ぐに終わって、変な空気に成っちゃった...
(此処で、何か話題を出せば、吉にも凶にも成り得る...でも、肝心の話題が思い浮かばない...それどころか、余計に気まずい感じに成りそうで怖い...)
こう言う時に限って、一分一分の一秒刻みが異常な程に遅く、怠けている様に感じてしまう...だとしても、何か独りで時間を潰す様な娯楽も思っていないし、此処の部屋には、新聞とか無いし...
「「如何すればいいだろう...」」
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時刻は宵入り前、天候は晴れ、曇在るが雨降る気配は無い。
列車は、何も
バフーミの戦艦蜂起は、昨夜には終わった。発端当時は、バフーミの街を火海に成った。戦艦の数隻の砲撃に、影に潜み込んで居た革命組織の叛乱に、一部のヴルジア兵の叛乱が起き、バフーミの街はボロボロに成って仕舞った。
組織の兵や一部のヴルジア兵は捕縛や処断されたが、戦艦群は海軍が出る前に、何処かに行ってしまった。今もヴルジア海軍の捜索が続いているが、其処まで積極的では無い様だ。
ヴルジアの新聞社達は、此のスクープを逃さず、此の惨劇を一部のヴルジア兵等の存在を隠蔽し、革命組織や関与が無い筈のロヴァノリヤの難民の叛乱と報道していた。
「国内に潜む食糧塵《革命難民》を駆逐せよ!!」
「卑劣で陰湿たる難民を都市《まち》から追い出せ!!」
「偉大なヴルジアの地を汚す者を捨てろ!!」
新聞の様な周囲の情報に盲目な者達を統べれる影響力の塊は、誰かの私情が一滴さえも入ってしまうと、一気に何処かに傾いてしまう。新聞は中立で尚且つ、階級や格差関係無く、誰にでも平等を報じる物では無いのか?
やはり、精神や感情が有ると、刺激が必要だ。正義と悪の様にね...
都合が全て、利益が全て、後先考えずに誰かを批判し、反省をせず、結局、被害が生まれるだけ。
此処には真実も平等も無い様だ。
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目の前には、銀製スプーンと香辛料薫る黄土色のシチューとバスケットには白色寄りの
時刻は、宵入りが終わり、夕食の刻。
列車の食堂車には、既に食事が香っていた。
「美味しいなこれ」
「此のパンみたいなのを、シチューに付けて、食べるのか...」
「...ふぁぁ、もう夕食かぁ...」
「.....」
何も考えずに、スプーンでシチューを抄い、口に運んでは、今度はパンをシチューに浸して、何も考えずに食べる。目線は僅かにぼやけ、咀嚼音が頭の中に響き、周りの声が薄く聞こえる。
寝起きで、頭が回って居ないし、腹も減ってるしで、食事に集中してしまっているのだろう。其れに、心音も聞こえて来るし、中身も外身にも色々と感じる。中身は心音や咀嚼の音、外からは、香辛料の薫りにミュハさんが煙草を吸っている、ミュハさんの器はもう空だった。イデナさんが酒を飲みながら食事してる、ユジノーさんも盃には酒が注がれている。
「.....」
「ハルィーヴ?」
「......」
「如何したんだ?そんな黙食して、気分が悪いのか?」
「......」
「多分、食事に夢中に成ってるじゃない?」
「此の料理、美味しいし、夢中に成りますしね...」
「そうなのかもな...」
「......」
無性に水が欲しくて、手元に有る水が注がれた盃を手に取り、一気に飲み干す。
しかし、水では無かった。酒だった。まぁ、別に味は良いし、普通に喉は癒える。
...麦酒《ビール》とかじゃ無くて、之、ウォッカか...
まぁ、良いか。
晩餐が終わると、自然と私は、独りで車両と車両の間のスペースに立ち、星絨毯を眺める。其れと同時に煙草を吸う。何時もはパイプでするが、風で煙草の葉が飛んでしまうし、水煙草《シーシャ》も車内には置かれて居ない。紙煙草で我慢するか...
「はぁ...」
世の中って残酷だな。
酒と煙草では抑えきれない程の疲弊が襲って来る。正義って何だろうな。救っても助けても、意味が無いなんて、初めての経験だ。自警団員時代の正義感が偽りの様に感じてしまう。
「随分と世知辛く成ったもんだな...」
そう思いながらも、月も星も雲の叢に隠れて、月夜は更ける、角砂糖が砕けて、疎らに輝く白星の星夜。列車の蒸気機関の音に風を切る音が聞こえては、直ぐに喫煙を終わらせる。
静寂な廊下、月光が車窓が貫き、床に拡がっている。独り静かに響く、革靴の足音に僅かに感じる冷風、埃が光り、青い電燈に視えながらも、自室へ戻る。
(さすがに、もう寝ているか...)
そう思いながら、扉を開ける。廊下とは違う、風が吹き込んで来ると、明るい橙色の蝋燭ランタンの燈の光が点いて居る。しかし、左右の二つのベッドの左側、寝具のカバーを皺波立てながら、白襯衣状態で、外套《コート》を布団にして寝る、ユジノーの姿。
(起きない様に、そっと動かないとな...)
しっとりと足音を立てながら、外套《コート》を脱ぎ、帽子と外套《コート》を纏めて、椅子の上に置く、序でに靴下も。
ベッドの大海に沈む、明日は幾つかの停車駅に停まる。停車時間は数十分前後、駅内の売店《キヨシュク》ぐらいは行ける。
紙煙草ぐらいは買えるだろうな...
そして、暗海に沈んだ。
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閑散とする廊下、埃の星が輝る廊下林を抜け、何処かの一室に入る。
中には何だ、立った二人だけ。大した事じゃないな...
寝ている二人の物。性別とか関係無い、何か金品に成る物さえ在れば良いだけだ。
そっと、白い息を吐く。しかし、息は不規則に二人の鼻や口の中に入る。
後は、数秒も経てば絶えるだろう。
お前らには少々、刺激の在ることか?
こんな事でか?
面白いな。
じゃあ、之はどうだ?
すると双方の胸部から、鉛色の剣が露出して来る。月光に反射して、刃先には、朱い液が垂れている。
違う、間違えた。やばい、別の奴をしてしまった。
あーあ、血液が散らばちゃった...
...其処まで上手くも無い味だなぁ...此奴らも売るか...
あっ、ちょっとお前ら密告するなよ。捕まるだろう?
官憲まで殺るのは、気が引けるぞ。
二つの骸を両手で胸倉掴みながら、段々煙にする。
煙はどんどん、私の體の中に入っていく。
駄目だな、此の場面は、お前らに作業工程を見せようとしたのに、工程をミスってしまったな...
場面無い事にしてくれないか?
......まぁ、いいさ。此のコマからだと、お前らに届かないしな。
「とっと、戻るか...」
部屋に帰ろうか、返り血も無いし、今日は運が良いな。
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続