ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
「トルミールか...確かに東方へ航行する船は在ると聞くなぁ...」
「此処から、此処からどれくらい距離は在る?」
「数日は時間は掛るよ、強いて言えば4日は掛かる」
「そうか...」
「お前らは、何処へ行きたいんだ?」
「東方の一国、ミズホと言う場所だ、此奴《イデナ》の第二祖国さ」
「...成る程、だが、あの馬人は如何するんだ?此処まで一緒に来ていたが、如何するつもりだ?」
「其れは彼奴の意志次第だな、別に強制的に連れて行く様な事は考えていない」
「...そうか、まぁだが、お前らはロヴァノリヤから来た者だろう?さぞかし、疲れただろう?少しばかりは此処で休養はどうだ?」
「...なぁ、此処で食事やら何かしらは楽しむ予定さ...(何しようかな...)」
「お前は、酒は好きか?」
「勿論」
「お勧めの酒屋が有るんだが...どうだ?一杯...」
「マジ?良いぞ、イデナも来いよ」
「良いけど、変な事は起こすなよ」
「私を誰だと思っているんだ?」
「巨体の不審者」
「ひど...」
「お前ら、仲良しだな」
「...そう言えば、お前、名前は何て言うんだ?」
「ヴロツレスカ、其れかグゴール...どっちでも良いさ、お前は?」
「私は、ミュハーン、隣の黒禽はイデナウアー、ミュハ、イデナって呼んでくれ」
「ミュハーン...イデナウアー...良い名前だな...」
「まぁ、宜しくな...」
「おう、宜しく」
「よろしく...」
「なぁ、私らは何時まで待たされる?」
「私にも解らないな、人によって時間が異なるからな...」
「もう、私は腹が減ったぞ」
「早いなミュハは、朝食はいっぱい食べた筈だろうが、此の暴食暴飲野郎!!」
「私はイデナと違って、体格が巨体なんだから、胃袋も大きいの!!いい加減にしろ!!」
「...(之は喧嘩する程仲が良いって解釈すれば良いだな?)」
そんな会話をしていた時、扉が開く。
其処には、ユジノーとハルィーヴの姿、何処か愉快に見える。何か良い事でも有ったのだろうか。
「よう、ハルィーヴ、どうだった?」
「無事加入したさ...」
「おう、そうなのか、おめでとう、同胞だな!!」
「...よろしく」
「おう、よろしくな!!」
「で、私らは何をすればいいんだ...?」
「...時間は...全然だな、酒屋がまだ空いてない時間だな」
「ハルィーヴ、何かまだ、予定は在るのか?加入したから、何かするとか...」
「まぁ...後は...何も無いな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
此処は、カルパドルア州ギュメレ市。
黄褐色の奇岩群が跋扈する不思議な場所、奇岩群に纏われた丘の上、其処には背低い叢に、絶景が在る。
此処まで、何と車で来た。ヴロツレスカは車の免許を持っているそうだ。
大きな側面の一部木製のワゴンで乗せられた。だが私だけ、巨体過ぎて荷物入れに寝かせられた。しかも、体を曲げないと行けない。
「居心地はどうだ?」
目的地に到着した後に、ヴロツレスカに言われた。
「最悪だよ、死体輸送される遺体の気持ちが分かった」
「其れなら良かった」
「其の白毛、毟り取ってやろうか」
「止めてくれよ、ポーラスカ人としての栄誉が消えちゃうだろうが」
「そんなの関係無いな...其れに何か食べ物が喰いたいな」
「酷いな、少しぐらいは自分や民族に誇りを持てよ...」
「あぁ、如何でも良い、だが、少しお前に誇れるものが在る運転の荒さは」
「違う、其れにあれは、道が悪いんだ、山岳道は運転が難しんだ」
「ともかく、目的地には着いたんだろう?何か食べ物が欲しくて仕方が無い」
「...近くに店が在る、こんな所にポツンと建つ飲食店が在る。前にも何回か言ったが、かなりの名店さ(其れに本当は別の酒屋にする予定だったが、時間的に開いてないからな...)」
「じゃあ、早く行こう!!行くんだよ!!」
「待てよ!!」
奇岩群の自然城跡の丘、少し大きな東屋が立って居る。周りは砂利道で、木造のテーブルやら、大きな酒樽が並んで飾られ、東屋からは芳ばしい料理の靡き風が薫っている。
東屋の周辺には、食事する為の大きな木製テーブルに椅子。其れとは別に少し二、三段の緩い段差の下には、二人か三人ぐらいは座れるソファが在る。其れに、ソファや椅子に座ると目の前の絶景が良く見えるのだろう。
何せ、目の前には、奇岩群の丘の城壁に奇岩群によって明白に成った丘と地の河に浮かぶ島の様な奇岩、河は麓の街、ギュメレへ辿っている。確かに絶景だ。ロヴァノリヤには無い光景だ。
さぁ、餐する時。
あの酒樽は何だ?麦酒《ジュース》か?だが、こんな所に飲食処が在る何て、面白いな。此処で料理を食べるのは、美味しく感じそうだ。そりゃ、此処で飲食を営んでいても可笑しくは無さそうだが、客は来るのか?
(なぁ、いいともかく、何か喰いたい)
目の前に広がるは、異国料理の城塞。何だっけ、シュトルヴだっけ、其れに巻かれた野菜と肉料理に淡い黄色のスープに檸檬がトッピングされたボルシチ亜種みたいな何かに、オリーブオイルでも掛けられたパンに色々な緑黄色野菜に麦粒でも油で炒めた何かが多彩な鮮やかな皿に乗って居る。其れに、ジョッキには果実酒特有の薫りがする黒ビール?黒に近しい色の葡萄酒か?後、取り皿が在る、スプーンやフォークが乗って居る。
お前らは何か此の中で喰いたい物は在るか?
あっ、後、三日月型のジャガイモとミートボール?が何かのソースで掛けられた奴も有るぞ?異界越しで一杯やる?盃《グラス》に一杯注げよ、泡か余所見で零すなよ。
はい、乾杯~
「ちょ、ミュハ取り皿に入れすぎ!!食べる分を調整して」
「ヴロツレスカ、ちゃんと噛んで喰い、前にもそれで喉が詰まり掛けただろ」
「何此処、暴食者が多いと、盛り上がるね~」
「其れは侮辱って捉えて良い奴」
「其れ以外有る?」
「今日は筋肉質な肉の出荷が決まったな」
「え?此の白馬の事?」
「私は美味しくないぞ、焼けば硬いし、生は菌で病に罹るし、旨味が若さみたいに逃げてる」
「自虐に自虐を盛るな」
「
「???」
「もう酔ってる、違った狂ってる、違う両方元々か...」
「何か料理の色が暗く成った」
「羽の光沢薄れた」
「...酷い、ヴロちゃんもっと酒飲むもん!!」
「めちゃ酔ってるじゃん...」
「酒樽一つ分は無くそう!!」
「馬鹿ならぬ、馬狼」
「急に酔い始めたね...」
結果、麦酒《ジュース》の酒樽一つ全部飲みました。私とヴロツレスカの二人だけで!!お前らも酒樽一気に飲んでみろ!!良いぞ、之。
店の人(馬人)には、
「君たち、凄いね、何勝手に酒樽一つ空っぽにしてねん、こちとら頑張って持って来たんだぞ、頑張った労力をあっと言う間に消しやがって、凄いね!!」
「本音漏れてますよ」
「ユジノーもそう思います、ヒック...」
「やばい、酔いで皆、歪んで来ている...」
料理も酒も堪能!!何時の間にか星夜が輝く宵に成って居る。
...何時の間にか二人・三人用のソファ二つ其々にヴロツレスカとユジノーが独り占めして寝てるんだけど...
「すみません、デザート無いですか?」
「在りますよ、去ね」
「何が在りますか?」
「そうですね、林檎や葡萄が在りますので...」
「じゃあ、葡萄下さい、一房一房」
「かしこまりました、しばくぞ」
「もう一種の店のサービスみたいに成ってるじゃん」
「ユジノーもそう思います...ヒック...」
「ユジノー、肯定しか出来ないみたいに成ってる...」
さぁさぁ、酔いも宵も老けて来た。
月光に照らされ、鉛と黄昏色に光る曇の群れ、雪降らずに青臭い叢が茂み舞ってる。
外套《コート》の嚢《ポケット》に手を入れて、口には何時もの様に煙草を銜え、絶景を眺める。
星の光が地を照らして、幾つかの奇岩の先端を照らし、燈台みたいに成ってる。
何とも凄いとしか言えない風景だ。
「いっぱい食べて、酒たらふく飲んで、デザートに葡萄一房喰っておいて、煙草か」
「何か悪いか?」
「もう、暴飲暴食酒類喫煙重度中毒巨狼じゃん」
「何か色々な称号を兼任してる貴族みたいで良いね」
「良くない」
「じゃあ、イデナは暴飲暴食酒類喫煙重度中毒巨狼の相方だから、穏飲穏食酒類喫煙者だね」
「何言ってんの?」
「で、ハルィーヴはカロードニキ、過多の労働者を砕いてカロードニキ」
「???」
「お前もまぁまぁ、酔ってない?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続