ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか— 作:南部 八十一朗
さぁ、宵は血塗りの舞踏会の幕開け、夜は刻み込み入り、同時に凄く濃密な魔物達の気配がする。夜と言えど、雲一つも無い晴天に相応しい星天で金平糖、増しては角砂糖の粉々の星々が光っていて、暗いと言う言葉も明度も無い。
時刻は幾つだろうか、夜と言うと眠気の病が来るだろう?魔物達はどうだろうか、奴等も睡魔は来るのだろうか?個人的には、鋭い小槍な爪やら兵器を握る手の血脈は欲情と闘欲が溢れんばかりに濁流して居る。
白い連峰に
其処から4、5弾ぐらい指と指の間の隙間に挟み込み、シリンダーが剥き出して居るノヴォークに装填する。火の点いた蝋燭が囚われた硝子の角灯の淡い橙色の光が黄金の弾丸に反射して居る。何ら、変哲も刺激も無い、ただの装填の時間。其れはまるで、独りで暮らして居る様で、暗さと淡い光が何処と無く渋い雰囲気を醸し出して居る。
カチッと装填完了の音が鳴ると、窓から見ゆる満天の星空を見て居た。
昔、満天の星天に緑か赤紫の大きな揺れる布が棚引いて居る景色を見た事が在る。
現地の人は極光と言って居たかな、何かこう、大風でも色塗られたかの様な感じで、塔に掲げられ揺れる旗や風に吹かれ靡く髪みたいな感じだが、何処か神秘的で神と言う存在が描いた一種の絵画の様に美しかった。其れも周辺は雪が積もり白銀風景だった事も相まって、より際立って居たのも印象に残って居る。
此の満天の星々は其の極光の時の星天の時よりも耀きは少ないが、多色な香辛料の星々が連なって居る。何時もだったら、星見酒でもしたいのになぁ...
口に銜えた煙草の先端から薄霧な紫煙が漏れる、先端が純白から銀灰色に代わる。何時もの味に大差は無い、少し舌に刺激と言うか違和感は在るがな。其れにしても、そう直ぐには魔物達は来ないのだな。意外と慎重的なのだな、宣戦布告はしたのに、肝心な進行は遅れて居るのか、大した挑発だな。
ノヴォークの銃弾は効果は在った。貫通はしたし、剣も骨みたいな少し硬い処を除けば、普通に切り裂けれる事は解った。問題は数だ、完全には魔物の数だなんて、把握出来る訳が無い。独りで暴れるならしも、二人に裏の顔の片鱗を視られた限り、完全には裏の力を解放出来る訳では無いし、二人は眠って居る。之は絶好の機会で在り、同時に不利な状況だ。
淡々とそして、短時間の戦闘が良いだろうか?長期的なら多量の魔物を駆逐出来るが...少し悩ましい所が在る。問題は魔物共が姿を現さない限り、戦闘は起きない事も含めたら、先ず、彼奴等の魔法だな。どんな魔法を使うによって、戦況は不利か有利か膠着してしまうだろう。
今宵の星は私に微笑む様に数多の血が産き呻いて居るのに、こんなにも戦に策略やら安全を求める様に成った?孤高と言えど、同種では無く異種の仲間は居るから、一匹狼では無いしな...
そして、窓に反射する私の顔、止血はしたが、傷跡が残ってしまったなぁ...
顔に
其の時、ガサゴソと物音が聞こえる、イデナかペーテが起きたのか?
そう音のする方へ顔を向ければ...
窓に魔物の姿が僅かに映った。
其の瞬間、私の體から鬱陶しい鼓動が響く、血脈の不規則民謡が聴こえる。銃口を窓に向ければ、蔭は消え、満開の星天だけの風景が見えて戻る。僅かに押し掛けた引き金を押す指を元の場所に帰す。
(此処で撃っても、殺せないな...もう少し彼奴等の活動が私の眼に完全に露見しないとなぁ...)
濛々と煙草の紫煙が朧げに煙る。
其れが謎に何処か不気味で、訳解らない不可解な現象の様に感じた。其れに妖しい影が近くまで蔓延って入る様に気配の範囲に侵入する。いい加減、変な奇行を起して居ないで、さっさと来たらどうだ?
此方の體の全身はもう白灰の煙が充満して来て居るぞ。
直ぐに腸と黄金の胃液湖か解体して売る準備も万端なんだぞ、少しは金に成る実として出て来い。根性が無いのか?其れとも怖気付いたのか?どうでも良いから、さっさとこっちに来いよ。
「....全然、此方に来ないな...」
返答は寒く少ない風の囁きのみで、本当に魔物の気配はするのに、刺激的で大胆な行動をして来ない。煙草の先端に媚びり付く灰が床に落ちる、剥ぎ落ち煙草の先端は淡く紅い火の塊が僅かに視えて来る。本当に焦らして来る、私が先手を撃つとでも思って居るのだろうか?其れだと数の暴力で不利に成る可能性が在るじゃ無いか。殺され喰われても一粒の煙が在る限り、私は還れる。胃か腸から食い千切って、飛び出る事も有るが、其れだと返り血で服が汚れるだろ?なら、無理だね。
大量に居るのなら、大量に殺せれる。其れも正当防衛と判別出来るのだから、本当に
(殺しと言う嗜好は楽しいものだね)
楽に金も信用も買える、凄く安い仕事だ。
そう少し気が薄く甘く成った其の時だった。眠り床から目覚めたイデナの欠伸の声が響いた時、急に扉が前に押し倒されるかの様に倒され、一気に近代社会に塗られ染まった魔物数体程度が姿を現す。私は驚いた、ビクッと驚いた反動で直ぐに魔物の方へ振り返ると...直ぐにノヴォークの引き金を引いた。
ヴァン!!
部屋は扉が開いたとは言え、銃声が勢い良く響く。其れは大きな耳鳴りの様で一種の目覚ましの様だ。鉛の弾丸はちゃんと魔物の脳天を突いて、毒々しい朱い血が一滴二滴と溢れ零れて居る。序でにイデナもペーテも撃たれたかの様に反動で吹き飛ぶ様に起き上がる。
「「何だ!?」」
「あぁ...すまんすまん、扉壊して魔物入って来たから、銃で撃っただけさ」
「だとしても...って魔物入って来たの!?」
「..大分、不味い状態じゃ無いか?魔物が来るって事は...」
「此処からは、明日と言う黎明が来るまでの三人夜戦のい火蓋が切れたって訳だな」
「...如何するんだ!?次々と魔物が来るんじゃ無いか!?」
「安心しろ」
大きい銃声が何回も響く。多数の鉛の鎮静剤は魔物達の體と言う菌を殺す様に、バタバタと薙ぎ倒す。弾を排出すれば、直ぐに机に佇む弾に大きな掌の肉々しい揺り籠に乗せて、装填をした。そうするとまた、残響と猟奇的な銃声の悪魔の囁きと呪いの弾が瀕死か死んだ魔物の體を貫く。死体撃ち?そんな馬鹿気た事はしないさ、あくまで確実に殺した事を証明しただけだ。
「取り敢えず、今来た魔物共は片付いた、今の内に場所を変えよう」
何も言わず、頷く二人。
急いで此の部屋から出て、外の広い甲板の平原へ行く。
満天の星夜が嘲笑うかのように眩い光を煌々と甲板や私らを照らす。
其れは舞踏場の中心で舞うオデットの様な中心人物の様で、其の光に釣られて来るのは其の光と言う希望に心打たれた魔物と言うオディール達だ。
だが、オデットやオディール等と簡単に称せる程、美しい舞踏では無い。
之は夜戦と言う、或る意味では、赤い色が輝く舞踏の舞が視れるぞ。
勿論、血と言う美しい物が飛沫で演出してくれる、其れは一種の美学に基づいた命と言う尊く眩い演出の一つだろう?
萎びれ皺波打つ煙草の先端、火が点いて、灰色の靄と燃えた紙煙草の欠片が一粒一粒落ちて行くのと同時に三人は背中を合わせ、腰と背中と背中の隙間が三角の形ぐらいには互いの體が会っただろう。
溢れる魔物達、見た目何か知らない。
獣人も獣半人も人間の様な姿の魔物だろうが、同胞殺しには含まれ無い。
あくまで、擬きに過ぎないし、先手は向こうから何だから、そんな複雑で囂しい理由は無いさ。
すると、魔物達は勢い良く私らへ先制攻撃を仕掛けて来る。
剣や斧、蛮族的な攻撃と武器を兼ね備えている。銃や魔法を使わないのか、将又、武器自体に何か魔法でも刻まれて居るのかも知れないな...
「..さぁ、行こうじゃないか!!」
「蹴散らしてやるよ!!」
「俺も此の火で炙り灰にしてやるぞ!!」
三人の掛け声が
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続