ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか—   作:南部 八十一朗

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黒薔薇と紫薔薇 Ⅱ

其れから、二ヶ月の月日が海底に沈んだのだろうか。慣れ親しんだ名も知ら無い数多の星夜を送り、黒い蒸気煙が縦長に空に聳え、白濁な泡飛沫立てながら、地平線まで甘碧い此の海を進む船。風は黄色く橙色で砂を率いて軽い金切り音で行進の靴音をだして居る。燦然的な光りが間近で指を見る様に騒々しく重々しき程に目が奪われる位には眩しさが輝いて居た。

 

時刻は未だ、6時半の針を通過した処、濃い朱の陽が微笑み浮かべて、喧騒な光りを要らない程に私に浴びせてくれる、有難迷惑だな。少し白塗装や金属が錆びた手摺りを軽く掴むと、風景は動くが、時間だけが色塗られて無い様に感じた。

 

山並みな黒蒸気煙の群れ、夜色を貫き、明るい空に贋物な夜の色を吹き出す。

渋々しい服装とは裏腹に掌に張り巡らされた此の数多の血脈は今日も活発的で青や赤、僅かに黄色な所も有るが、少し揺れながら手相の弱度地震が起きて居る。

五臓六腑に響く、血脈の迷路は今日も周る、風に触れて靡く髪や外套(コート)に銜え吹く煙草の煙。

 

誰もが未だ、眠りの森も海も出来れて居ない。

坦々的な空気感、淡々的な仕草、耽々的な泡飛沫、どれも之も表情は無けれど、風景に色が加えられて居る。私も此の一秒画の風景要員なのかも知れない。

「あーあ、今日も今日とて、何をするかね...」

 

最近は船の甲板上から此の海原を良く眺めて居る。何ら興味的な仕草では無くて、無意識の類似な仕草で会話ではそんな一日も潰れる何て事は少なくて、本やら海原の平原を眺める事が一種の日課に生って居る。波の皺が此方の甲板に滴って来ても何ら感じない程、少し無意識が主導権を握って居る。

 

此の頃、思う事が在る。私は、革命の悪夢から逃げる様にイデナと諸外国へ亡命と言う上品さの言葉で誤魔化して、此処まで来た。古代や中世の時代とは異なり、機械が蔓延る時代、其れは其れは恐ろしい時代だ。其のせいで革命と言う馬鹿げた事も起きたのだから。

 

人工的な物ばかりに触れて、古が築いた事等忘れの果実が稔りかかって居る。

私はそんな確証も点かない古代の遺産と文化で正当化できるのか?

もう、私自身が一種の災害なのかも知れない。なぁ、そうだろ?

真の正義は歴史の称号は与えられないし、其れが尊敬や軽蔑なのかも解らないし、唯一無二な存在なのか、そんな事は解らない。

 

でも、私と言う存在はお前らにとって、此の世界にとって特異点だろう。

何せ、お前らと言う異世界に語り掛ける事が出来るからな、傍から見れば、精神異常者みたいだ。

 

...だから、私と言う存在の名称が思い付いた。ヴァナルガントは古の実の一つだ、私にとっては神話上の者を崇拝して居る様な気分で少し違和感が在った。血も繋がって居るのか解らない、古代のプロパガンダかも知れない神話よりも多くの者達に恐怖に沈めた者の方が良いだろう?

 

だから、お前らの世界から良い名前を見つけた、チカチーロって名前をね。

存在意義何て堅物には興味は無かったが、私の様に他者からは実態が知られたら、恐怖の対象に成りそうな人物はお前らの世界にも居るんだな、勝手に言葉だけの戦争が続く世界とか想像して居たが...

「チカチーロ...良い名前だな」

 

チカチーロ、私が調べた限りでは、私と似てて、先ず殺害でしょ、で食人及び食臓。

私は男女や年齢関係無く屠るし売るが、此のチカチーロって奴は女性と子供を主に屠ったらしい。共通点は他にも在るが、此の辺にして置こうかな。

 

之以上言い過ぎると、お前らにも呆れられると言うか支障が出るかも知れないしな。

詳しくはお前らで調べてくれよ、何か今回は翻訳家共は正確な情報を残したらしいしな、味付けで素材の味を消しやがって...まぁ良いさ、蟠りが残ってるけどな。

「何でこんなに制限塗れに成るんだよ、巫山戯んなよ」

 

革命で亡命、向こうの世界の干渉制限設けられた、所持金為替レートは紙幣玩具に成る、巨体で出費嵩む、力加減出来ない、全然利点が無いぃ~

「よう、おはよう、起きるの早いな」

「おぉ、おはようペーテ」

「あーあ、何か疲れたよ」

「早いな、何だ寝付けなかったのか?」

「いや、普通に淡い二日酔いがな...」

「其れは可哀そうだな」

「良いよな、ミュハは酒が異様に強くて、くぅ..頭が...」

「部屋戻って休めば良いじゃないか?」

「お前の煙草の染み付き臭が酷過ぎるんだよ、窓開けても一向に臭いが弱く成らないんだが...」

「芳香剤だと思って過ごせ」

「あんなな芳香剤在って溜まるか!!」

「そんな急にテンション上げたら、頭が響くんじゃないか?」

「大丈夫だ、問題在りだ」

「私が突っ込み出来るとでも?」

「空気感最悪に成るだけだぞ」

「逆に良いのか?」

「何度も経験した事在るから大丈夫さ」

「之、どう反応すれば良い奴だ?」

「愛想笑いが良いと思うよ」

「お前が言ったら、駄目な奴だろ」

「何だよ、ちゃんと突っ込み出来るじゃ無いか」

「完全に突っ込みし無いとは言って居ないからな」

 

此の船にも朝食は流石に在る。

4人位の大きなテーブルの上、広がる皿々が置かれる。模様も在れば無地や独特な形な皿が置かれ、其の上には色々な色彩な料理が鎮座して居る。私の目の前に鎮座と言うか、まるで服従の様な容をした料理が並べられて居る。

 

何か紫や赤、橙等も交じるオリジナルドレッシングが掛かったサラダに酒樽を半分したみたいな円の様な形をした焼かれた肉、肉汁が既に滴って居る。其れとは別でテーブルの中心に黒と紫の薔薇が入れられた花瓶が聳えて居る。

 

仄かなで濃密的な花の薫りが鼻を突き、同時に料理の匂いと絡み合って別の何かな馨りが鼻の深部まで香る。混合的でハーブとかそう言う感じのに似た感覚がした。

 

私は両利きだから、片手はナイフ、もう片手はフォークを持ち、イデナは手を合わせてからフォークを持ち始めて、ペーテは食欲の渇きが顔に出てて、双方の掌を擦り付け、美味しそうと内心思ってそうだ。

 

他の乗客も含め、テーブルの中心には花が刺さる花瓶が置かれて居る。

どれも同じ花では無くて、席事に違う種類の花々が咲き刺さって居て、他の席の花瓶に刺さる花からも僅かに馨りを感じる。

 

一口大に肉を切れば、其の儘、口へ運ぶ。

少し癖の在る胡椒と肉の弾力が歯の深くまで感じる。溢れる肉汁は一種の果汁で、舌に伝わる滑らかな肉の断面、擽ったい綿でも触って居るの様な感覚だ。

「之、美味しいな」

「..解る、何か歯応えが絶妙に硬いけど、其の分、肉汁が沢山溢れて美味しく成ってる」

「此のサラダに掛かって居るドレッシングとかも何か良い、取り敢えず美味しい」

「確かに少し酸味が在るけど、其れがアクセントに成ってて良いね」

 

ペーテが仲介役に成って、食事の会話が成立して居る。

難解的な食事の会話がこんなにもあっさりな味みたいに口溶けてしまうのか...

花瓶に刺さる薔薇も驚愕する様に少しだけ揺れ動いた。

私が小言を零した様な事しただけで、こうも話の布が拡がるのか...

 

まるで、食事前の食卓にテーブルクロスを広げ敷く様な出来だった。友達とか相方の接し方何て一粍も判ら無いからな、孤高か孤独的なのが狼何だからな、我が性だから性が無い。

「之、薄く切って、サラダを肉で巻いて食べて見たらどう?」

「..何か良いかも知れない」

「其れか肉かサラダ喰った後に未だ喰って無い方を後から口に入れるのは?」

「其れでも行ける」

 

独特な模様の水差しを持ち、片手よりも小さい硝子盃に注ぎ切る。淋しい冷たさの水が盃を貫き豊沃な掌に寒波を与える。

 

霧掛かった様に透き通りを暈しに変化した硝子盃、テキーラ勝負の様に一気に飲み干す。ただの水だから酔いも眠けも冷めるだけの味しか無い。

「之で二日酔いは更に弱まったか?」

「大分、収まった気がするさ」

「じゃあ、亦酒飲もっか」

「何てド畜生なんだ...」

 

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