ロヴァノリヤ禽獣旅紀 —広大なる多民族國家の命運、大衆の暗く斃れる先には、何が在るのか—   作:南部 八十一朗

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淸慧文と魁薦と蓬門にて Ⅶ

其れから数日の月日が流れた。

料理の味付けにも多少は慣れて来た、そして、ようやく、列車は蓬門駅に着いた。

早朝は薄霧みたいな煙が滴ってて、灰色の濁りの雲が棚引き、燦然な陽が僅かに隠れて居る。少し寒風とは言えないが、少し気温は低くく感じる。

 

泰西の建物と打って変わって、独特な建物達の群れが辺りには広がって居る。遠くには黄緑な山も見え、街は色鮮やかな色合いの建物がずらりと佇んで居る。暖色系で派手派手しく、ぎらついた街並みが其処には在った。

 

まぁ、細かく見れば、そう美しい物とは言えなかった。建物と建物の隙間は汚れているし、建物も全部は綺麗とは言えなかった。ただ、其れが逆に生活感と一杯、使われて居るんだなと感じた。褒め言葉だぞ。

 

淡々と時間は過ぎ、ペーテは地図を片手に広げながら、街波の中を割る様に前へ前へ歩いて行く。繁華街から離れて、少し丘の上に来た。其処から見える景色は絶景と言っても過言では無かった。大きな大河周辺から広がる街々の細かく歪な点描図に深緑の山々、白く棚引く雲が蠢き、空を見渡せば、有明の月が佇んで居る。

 

丘に綴られる道を辿る事、数分だろうか、質素だが、何処か泰西文化と此処の文化が混合したかの様な平屋の建物が露に成る。ペーテは其の建物の扉に近づき、ノックをする。此処がペーテの友人の邸宅なのだろうか?

 

ガチャッと扉が開くと、街の者達同様、私よりもペーテよりも遥かに小さい女性が出て来る。

「あっ、いらっしゃい...其の後ろの二人は..?」

「俺の連れだよ、ちょっと困っててね」

「は、はぁ..まぁ、取り敢えず中に入って」

 

淸慧文(せいけいぶん)、其れが其の女性の名前らしい。

凄く異文化だな、前に聞いたイデナの名前と同じ様な感じかな...

女性と言えど、人間では無いらしい、馬人らしい。

因みに読み方は馬人(マーレン)らしい...一杯読み方が有って訳解らないな。

 

まぁ、そんなこんなで、しゃがみ込んで扉を超えれば、色々と装飾品が飾られた邸宅の中に誘われる。でも、何か泰西的な物も平然と飾られたり、置かれたりして居る。

案外、泰西文化品も在るんだな。ほら、中折れ帽に山海の泰西画も飾られて居る。

と言うか、淸慧文って言う女性自身、服装が袖捲った白襯衣に黒ズボンを履いてる。

街中の連中にも似た服装も居たが、何か独特と言う、此の国伝統衣装的な服を着た人の方が多かった。

 

まぁ、ともかく、私らは椅子に座り、彼女が淹れた茶を啜りながら、家内を眺める。

泰西と異国の文化品が淡々と佇み、茶の淹れられた盃も白地に黄金色の装飾が刻まれて居る。

「如何です?味は?」

「うん、良い味」

「...」

 

正直、何と言えば良いか解らない。此の茶は紅茶だ、私は数回飲んだ事が在るが、何とも嫌いとか好きみたいな印象は無いし、何方付かずな感じだ。でも、此処で負的な言葉遣いをすれば、私の印象は低く成るだろうしな。

「...うん、あぁ美味しいな..」

「其れなら、良かった」

 

多少は機嫌を損なう事は無いだろう。私は味が良く解らなくて、如何思えば良いか、解らないけどな。紅茶って、獣半人は飲める奴は居るが、獣人は禁止なんだよな。

紅茶の成分が刺激に成って病か痛みを起すみたいな風聞は聞いた事が在る。

 

淡朱色の紅茶と湯気立つ白煙、白光が色付きの硝子を通り、橙色の陽光が差し込んで来る。四人は細かく薄い気配を漂わせながら、紅茶を啜る音と少し冷えた紅茶の味と喉を通る音が聞こえる。

「其れで、困り事とは?」

「此奴等、ミズホ迄行きたいんだが、船の揺れで怪我して、療養したら、逃げられてね...」

「成る程、最近、向こうの会社は責任逃れする事が増えてますしね、今、此処には居ませんが、私の従兄弟が此処に来て居るんですよ、其の人は瑞穂の人なので、もしかしたら、連れて行ってくれるかも知れません...」

「其れは有難いな...」

「まぁ、でも今は居ませんし、此処で休んでください、見た通り、遠地から来た人っぽいし...」

「まぁ、そうして置きます...」

 

之で行けるかな...まぁ、良いか...

 

其れからは、自由時間で怠けた様な姿勢で椅子に座り込む。こうでもしないと真面に椅子に座り込めないのだ。イデナは黒で筆先を染め上げ、手紙を書き、ペーテは...いちいち、淸慧文ばかりだと言いにくいし、慧文で言うか...まぁ、ペーテは慧文と会話をして居る。

 

其れから、何かと無く、時間は濁流し、扉が開かれる。

「ただいまって...この人達は誰だ?ラディノさんの友人?慧さんの友人?」

「違うよ、ラディノさんの連れの人達なんだけど、あっ、薦(すすむ)さん、この人達ね、ちょっと頼みたい事が在ってね...」

 

説明中...

 

「...成る程、まぁ、其れなら案内はしますよ、流石に向こうの奴等みたいに私は腐って居ませんのでね」

「有り難う御座います...あのお名前は..?」

「あー、すまんすまん、未だ教えて無かったね、私は魁薦(さきがけすすめ)。慧さんの従兄弟だよ、気軽に薦(すすむ)って呼んでくれ」

「宜しくお願いします、私は...イデナなんだけど、まぁ、泉北鵬とも言うよ、母がミズホの人なんだけど、父が泰西の人なんだ、隣でだらしなく座って居るのは相方のミュハーンだよ」

「宜しく、ミュハって呼んでくれ」

「成る程、イデナさんもとい泉さん、ミュハさん、宜しくお願いします」

「お互いに自己紹介は出来たようだね、其れで薦さん、何時頃、帰国するんでしたっけ?」

「2日後ですね」

「じゃあ取り敢えず、五人で此処で過ごします事に成りそうですね」

 

こうして、四日間は此処で五人で過ごす事に成った。

其れから其れから、夕食に成った。眼の前に出された多量の料理群。

どう表せば良いか解らないが、匂いで解る味の予想は其れなりには美味しそうだ。

しかし...私とペーテはスプーンとフォークだ。三人とも木か金属の棒二本で器用に器に料理を乗せたり食べている。不思議な光景だ。

 

ペーテと目が合う、仲間の瞳だった。

スプーンで取り皿に料理を入れる。柔らかく、未知な料理も在れば、何処か見た事有りそうな見た目をした料理も在るし、香辛料や味付けの影響で独特で奇妙な香りが鼻を刺す。大きな丸机に鎮座する緑酒瓶数本並び、淡い蠟燭の様な儚く飛ぶ様な暖かい雰囲気が漂う。

 

二本の棒、箸が皿に突き、カンッと甲高い金属擬きな音が聴こえ、柔硬様々な料理の噛む様な音が閉じた口の一厘糎な僅かな隙間から聴こえる小音的な咀嚼騒響曲が耳に突く、夜街の繁華街の様に。

 

濃い茶色に染まった厚かましく白脂跡の残る茶染め肉に何かに染められた卵、暖色系統のサラダ、どれも之も温かみと言う心の表情を具体化する様に料理に光沢的輝きが見える。

 

器用に両手の親指と人差し指でスプーンとフォークを持ちながら、何とかして、料理を貪る。

..本当に未知と言う言葉が口内に拡がる。

 

何かの出汁が肉も卵からも出て来る。其れが別に不快とか不味いと言う訳では無いが、或る意味、驚く様な要素では在るし、之が頭の中で思った異国と言う文化を塗り替える様な修正液、いや、新しく塗られた様だった。

 

味が濃く、脂味が多いが、反してサラダは此の味を揉み消す様に柔らかく、且つ、酸味の在るドレッシングが降り掛かって居る。緑酒瓶から溢れる透き通る様な水的な酒を盃に注ぐ、慎重に、そして丁寧に。

 

飲んだら、舌を刺す様なツーンとしてピーンと細り尖る様な刺激がする。雑味だが、其れが辛味を深々と染み込ませて来る。でも、酔うかと言えば、全くだ、まぁ、強炭酸水的な立ち位置に属すと思うし、何か水の食感が違う。水が硬く僅かな噛み応えみたいなを体感出来る。

「之、美味いですね、何と言う酒で?」

「ミュハさんも此のお酒の魅力に気が付きましたか?之は玉山と言う酒で山の研ぎ澄まされた水で作った酒なんですよ」

「へぇ、タマヤマか...」

「料理にも肴の味をより美味くしてくれる良い酒ですよ」

「そうなのか...」

「其れにしても、ミュハさん、平然と其のお酒を飲んでますね、其れ、、普通の人が飲んだらすぐに酔う事が多いのに...」

「ミュハは、酒が異様に強いからね、何時も酒飲んでるから、もう何とも思わないんでしょ」

「そうなんですか...でも、確かに..」

「まぁ、確かに酒は何時も飲んでそうでは在りますね」

「其れは褒め言葉なのか?」

「ミュハ自身で決めて」

「じゃあ、0以下だから、貶されました、賠償金を請求します」

「酒買うだけの資金集めだろ」

「二人共、仲良いですね」

「まぁ、確かにそうですね...」

 

そう愉快な会話を何度も交わした後、今日は終わった。

窓から見える満ち溢れる星降る空の下、少し高い丘の上に佇む一つの邸宅の中。

流石に私はベッドは使いたく無いので、いや、こんな私を治めれる程の大きさのベッドな訳では無いので、怠けた様な姿勢で腕組みながら椅子に座り眠りに着いた。

明後日にまた異国に行くのか、少しは休みを一粒でも貪られないとな...

 

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続

 

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淸慧文

(セイ ケイブン)

 

性別 女

種族 馬人(マーレン)

民族 蓬莱系瑞穂人

能力 無い

年齢 29歳 (12か月換算:36歳)

出身 蓬莱民國南雄縣星鄭(せいてい)區

身長 152㎝

好物 細かく切ったパイン、蓬莱料理

 

外観・・・

少し濃い枯草色の髪、唐装みたいな服とズボン、上には羽織を着ている。紅茶色の瞳をして居る。

 

精神・・・

 

華國の島・・・

蓬莱民國は、蓬莱仙島を主島とする十余りの島を領する島國で在る。人口は推定1020万人。蓬莱人と呼ばれる民族が9割を占めて居る。蓬莱民國は北・中・南に分けて、様々な魅力が在る。北は蓬莱民國の首都、蓬莱郷が佇む近代的な都市。中部は山岳地帯が魅せる美景が見れ、南は大鵬南港等、数多の港が存在し、最先端の泰西の近代技術を手に入れられる。

 

蓬莱民國と蓬莱民族・・・

蓬莱仙島は、古来(神話等)から、神秘なる島として描かれる事が多く、実際、美景な自然風景が多く存在している。其の島に住む民族で在る蓬莱民族は或る意味、世渡り上手な民族で在る。此処ら、東奥の民族は泰西の近代技術による脅迫に屈服し、傀儡状態の國も少なく無いが、独自外交等でデバフを追いながらも、何とか近代の船に乗り遅れなかった瑞穂国の支援を外交で得て、其の技術で泰西諸国との条約も不平等には成らなかったし、瑞穂国の統治領には成ったが、政治や島の統治は今まで通り、蓬莱民族が行う事に成ったので、かなり災難を回避して来た。蓬莱民族は、かなりの曲者なのかも知れないし、一種の平和主義者なのかも知れない。

 

蓬莱の馬人・・・

慧文自身は瑞穂人(馬人)の母と蓬莱人(人間)の間に産まれた蓬莱系瑞穂人だが、蓬莱仙島には古来から馬人と言う存在は居なかった、少なくとも渡来して来たと言う説が有力で在る。

 

泰西文化に染まるる馬人・・・

慧文は幼少期に自国語に翻訳された泰西文學の本を読んでから、泰西文化に心が浸透して居る。文學等も越えて、服装や食文化も憧れを抱いて居る。実際、泰西の服装も持っており、かなり気に入って居る。

 

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魁薦

(サキガケ ススム)

 

性別 男

種族 馬人(バジン)

民族 瑞穂人?

能力 ??

年齢 32歳 (12か月換算:40歳)

出身 瑞穂国(八洲日国(やしまにっこく))五畿摂府(ごきせっふ)佐曾里(さそり)町

身長 169㎝

好物 葡萄、林檎、焼酎、養命酒

 

外観・・・

茶髪に前髪の一部が黒髪になって居る。黒茶色の瞳をしていて、少し古臭い白襯衣とズボンに羽織を着ている。そして、すこし、煤や少し軽傷に染まった黒色のドゴール帽等を被って居る。

 

精神・・・

 

極東奥の近代民族・・・

瑞穂国は独自の外交をして、長年、泰西の数か国としか貿易をしておらず、厳重で厳格な掟により、泰西もとい、外国からの脅威を防いで来た。しかし、其れが半永続的に続いた訳では無い。泰西の近代技術に驚愕し、不平等な条約を結び、旧体制派と改革派との内戦を経て、近代への乗り換え、東奥での一定の地位を確立した。近代化の大波と燈火は今も尚、瑞穂国を照らして居る。得た者と犠牲に成った者を居るが、其れが歴史なのだ。

 

魁・・・

魁、其れは薦の大祖母に当たる人物が名乗った名字で在る。前述した瑞穂の旧体制派と改革派との内戦時に置いて、武功で得た勲章、魁勲章から取って、名字を魁にした。一族はかなりの弓の使い手で薦もそうだ。かなり栄えた一族だったが、近代の波が来た際に泰西から渡来した流行病にやられ、大幅に一族は減り、生存者は大祖母と祖父、薦、薦の|従兄妹(淸慧文等、他1人)や其の従兄妹の子供2人で、流行病前は30人以上は居た。

 

天性的な弓矢使い・・・

薦を含め、魁の一族は弓矢の使い方が一言で言えば、異様と言う言葉が合うだろう。

基本的に長弓での使用に長けており、かなりの曲者な弓使いで在る。其れの関係で、射撃も上手い。

 

飲酒癖・・・

薦自体は酒や煙草を吸わない健康的な人では在った。しかし、流行病の影響で、妻と子供が亡く成ると、辛い苦痛から逃れる様に酒に手を出してしまった。だが、飲酒の過度による中毒や死亡等も知って居る為、少量にしたり、養命酒で抑えて居たりする。

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